古屋美登里のレビュー一覧
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Posted by ブクログ
1961年、ニューギニアで「プリミティブアート」を蒐集していたマイケル・ロックフェラーの船が座礁し、同船していた者と別れて陸に泳ぐ姿を最後に、彼は行方不明になる。サメに喰われたのか、溺死したのか、首狩り・人喰いの風習があるアスマットに殺されたのか。世界の富豪ロックフェラー家の一員の安否に注目が集まったが、事件は解決を見ずに終わった。事件から50年後、著者は民族学のフィールドワークのように現地に入り込み、彼なりに事件のフーダニット、ホワイダニットに至る。収集した証言をどこまで信用するのかはよく民族学でも問題になる。調査者の役に立ちたいという善意の嘘も含めて、相手が本当のことを言っているとは限らな
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Posted by ブクログ
1961年、世界有数の富豪、ロックフェラー一族のマイケルはニューギニアを探検中に行方不明になった。ロックフェラー家は莫大な財力、政治力をつぎ込んで大規模な捜索を行ったが、マイケルを発見することはできず、彼の消息は未だ謎のままだ。
実はマイケルがどうなったかについては、当時から結論が出ていたが、ロックフェラーのメンツや国際関係などが考慮されて、公式には認められていない。本書の最初の数ページで明らかにされる真相は、マイケルが地元のアスマット族に襲われ、食べられたというものだ。
というわけで、本書はマイケルの死因を探るドキュメンタリーではなく、なぜマイケルは食べられたのか、なぜアスマット族は人を -
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Posted by ブクログ
YAとして書かれた作品のようだけど、YAでは売れそうにないので一般向けとして売っている、という印象の本。
日本の中高生に受けるかは疑問。誕生の品含め、すさまじくたくさん名前が出てくるので、翻訳小説が苦手な人にもおすすめできない。
絵と設定は魅力的。ディケンズ的でもあるし、ティム・バートンのアニメ(で見たい!)のようでもある。
ゴミで財をなした一族が世間的には地位が低いのに、実際は貴族のような暮らしをしているというのも、キリスト教徒がしたがらない金融業でのしあがったユダヤ人や、インドの不可触民の富豪を思わせ、象徴的。
ただ、この本ではまだ話が始まったばかりで、謎も多く残されたまま。これ続刊が出 -
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Posted by ブクログ
久々に完読を諦めた本。
イラク戦争などで精神的外傷を追って米国に帰国した軍人の実話。ドキュメンタリーで取材した事実を丹念に丁寧に追っていて、すんなりと日常生活に戻れない軍人とその家族の苦しみを書いているのだけど、軍人を4人か5人か追っていいっているのだけど、錯綜していて、どれが誰の話なのかわからなくなる。これに加えて、話の進展がエンドレスな精神を病んだ人の日常がどこまでたっても足踏みをしているような感じのためにいつまでたっても同じ場面ばかりを見せられているような気分になり苦痛が倍増する。
ただ、この本を読んで思ったことは、PTSDなる概念がでてきた背景にはアメリカ独自のものがあると思った。戦争 -
Posted by ブクログ
軍隊における医療は、一般の医療とは性格が異なる。
なぜなら、一般の医療の目的は病気や怪我をした人を、治療し、元の生活に戻すことが目標なのに対して、軍隊の医療の目的は、傷ついた兵隊を、また戦えるように整備し、戦闘に投入することだから。
本書には、主にイラク戦争で戦い、肉体的、或いは精神的に負傷した兵士とその家族が、どのような日々を過ごすことになったか、兵士はどんな風に破壊されてしまったのかという記録が書かれている。
全ての兵士が戦争に行くことによって、破壊されるわけではない。
しかし、たまたま激しい戦闘の中に送り込まれた兵士のうちかなり多くのものは、肉体的、精神的に破壊される。
その、破滅的 -
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