古屋美登里のレビュー一覧
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Posted by ブクログ
新聞の書評を見て、本書を手に取る。
アメリカ人のお互いに意見の違いを尊重しながら、議論を交わすのが、優れた特徴とちょっと前まで思ってもいましたが⋅⋅⋅
トランプが大統領候補になって、3回の大統領選での言動を見聞きするに、共和と民主の非難合戦、各支持者のお互いに相手を全面否定する怒鳴り合い、大統領候補の激しいけなし合い、それによる同じ国での国民の分断を驚き、荒んだ国になったんだなと呆れるばかりでした。
同書にもその黒くドロドロした感情が至るところにあり、読むのが辛くなります。
日本でもSNSなどを通じた政治の世界での非難合戦、或いはコロナワクチンを巡る肯定派と否定派の論戦、何事につけてもSNSで感情的な中傷を行う今の風潮に怒りが増幅する同じ様な世界を感じます。
残念ながら同書がドキュメンタリー本として特に優れた本とは世の評判とは異なりますが、私的には感じませんでした。 -
Posted by ブクログ
イーディス・パールマンが、2015年に発表した、5作目の短篇集「Honeydew」は、私が以前に読んだ、「蜜のように甘く」と本書が合わさった、全20篇で構成されており、「蜜のように~」が好きな方にとっては、まさに待望の一冊だと思います。
バラエティに富んだ、多種多様な人生模様のひとこまから突如として現れる、テーマの感慨深さも同じものではなく、特に大きな盛り上がりをせず、完結したように見えても、実は内に秘めた思いであったり、願いであったりと、込められたものの強さを見出す喜びの詰まった、短篇集だと思います。
が、私には人生経験が未熟であるせいか、読解力が足りないのか、それが分からなかった作品がいくつかあり(前作も同様)、これ以上の感想を書くことは難しく感じたため、訳者の古屋美登里さんの、あとがきから、パールマンの作品の魅力が分かる部分を、抜粋させていただきます。
興味を持っている、未読の方の参考になればいいのですが。
『一言一句に深い意味が込められているその文章は、ちょっとでも気を抜くとそれに気づかないまま通り過ぎてしまいかねない。句読点のひとつ、形容詞の意味のひとつも疎かにできない』
あとがきの中の、パールマンのエッセイ、「短篇作家の自由」より。
『短篇の結末では、縺れた糸を撚り合わせるという長篇に必要なことをしなくてもいいのです。得体の知れなさこそが、短篇小説の持ち味です』
『短篇作家は、チェーホフのような短い事件を書いてもいいし、アップダイクのような人生の断片を描いてもいいし、グレース・ペイリーのようにニューヨークの公園での午後のひとときを語るだけでもいいのです。語られないことをそれとなく示すために短篇小説はあるわけですから、作家がすべきことは手がかりをそっと差し出すことなのです』 -
Posted by ブクログ
ネタバレp74
パーティが終わってみんなが家に帰っていくのを見てるみたいな感じだ
ある意味、何か起きそうで何も起きていない内容。
主人公の現在地は変わっていなくて、それは同じ場所に浮かぶ地球のよう。月を地球から見上げるように、月から地球を見上げる。
あとがきにも書かれていましたが、横顔を多く描かれる作家らしく、表情に大きな変化はないものの色も相まって寂寥が演出されています。
アポロに感銘を受けたのかなと思ったけど、生まれはそれ以降なので、月で暮らすという浪漫や憧れもない。だからこそ地球から移住した人々は地球に帰っていくという流れもどこか現代的に感じました。 -
Posted by ブクログ
ありえないことをさも当然のように淡々と静々と描かれた物語が散りばめられた、作者だけが知っている空想世界が詰め込まれた短編集。全体的に、理解するものではなく、感じ取る物語たち、というイメージを持ちました。
どういうことなの?という疑問をまったくほどけない作品もあれば、数奇なひとりの男の物悲しい運命をたどった表題作や、「私の仕事を邪魔する隣人たちへ」のようなシニカルで恐ろしげな作品もある。「おが屑」「毛物」はイメージしやすい不可思議さで、童話のような戯れを感じる。そういう起伏を読み取れる話に、幻想味の強い意図が解けない話が挟み込まれているという感じ方をしました。
そういう印象だったもので、全体的に楽しみきることはできなかったけれど、とにかく独特だな…、という印象が残りました。