古屋美登里のレビュー一覧
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エドワード・ケアリーの掌編から短編までを含む作品集。
これまで『堆塵館』や『おちび』などの長編は読んだことがあったが、短編は読んだことがなかった。
独特な世界観を丁寧に積み立てていくことで構築するタイプの作家なのかと思っていたが、エドワード・ケアリーは短編や掌編でもちゃんとエドワード・ケアリーとしての世界観が確立されていた。それが数ページかそれにも満たない作品であってもエドワード・ケアリーらしいな、と思えた。
気に入ったのは『アーネスト・アルバート・ラザフォード・ドッド』『かつて、ぼくたちの町で』『おが屑』あたりが特に気に入った。
そういえばおが屑ってヤン・シュヴァンクマイエルもよく扱うモチ -
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ネタバレ皆川博子「随筆精華Ⅱ 書物の森への招待」の推薦で興味を持った作家。
結構分厚いので寝かせていたが、思い立って。
(文春文庫「もっと厭な物語」で「私の仕事の邪魔をする隣人たちに関する報告書」既読だが、記憶にない)
章立てが細切れなので、割と読みやすかった。
つっても焦点の当たる人物が8人いるので、拡散し散漫になりがちな印象を、統合しながら読んでいく努力は必要。
と、いっても、全員風変り……はっきり言えば変人なので、たとえばジャン=ピエール・ジュネの「デリカテッセン」みたいな、ラフな楽しみ方でよさそう。
ツイッターで引き合いに出されていたジョン・アーヴィング原作トニー・リチャードソン監督「ホテル・ -
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ネタバレ戦争後に精神を病む軍人に対し(またその軍人に接する機会の多い家族に対し)、どう支援すべきか、どんなシステムを構築すべきか。イラクとアフガニスタンの戦争に200万人のアメリカ人が派遣され、そのうちの20〜30%はPTSDやTBIの精神疾患にかかった。彼らが元の性格に戻ることは困難だ。家族の負担も大きい。精神衛生の問題は陸軍では自殺者の増加が問題となり医療施設ができたが収容者でいっぱいで入れない人もいる。セラピストも足りない。日本もイラクに約1万派兵したが帰還後28人もの自衛隊員が自殺した。派兵では兵士の精神衛生管理は1番重要な問題とみなすべきだろう。
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デイヴィッド・フィンケル(1955年~)氏は、米フロリダ大学卒業後、長年ワシントン・ポスト紙に勤務し、2006年にピュリツァー賞(報道部門)を受賞。
2007年に新聞社を辞めてバグダッドに赴き、1年間、米陸軍第16歩兵連隊第2大隊の兵士たちと生活を共にし、その過酷な日常と凄惨な戦闘について詳細に記した『The Good Soldiers』(邦題『兵士は戦場で何を見たのか』)を上梓(2009年)した。しかし、帰国後、バグダッドで知り合った兵士たちが、帰還後に電話やメールや手紙で不調を訴えてきたことから、戦争の後を記録しなければ、自らの仕事は終わらないと考えるに至り、帰還した兵士や家族、ペンタゴン -
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ネタバレ【香港の記録】
1993年生まれ、香港在住ジャーナリストが、香港と自分の関係を綴る。
彼女は、生まれは本土で、小さいときに親戚のつながりもあり香港に越してきてから、インターナショナルスクールに入学。
自分は香港人と言ったのは、英語ボランティアでトルコに行ったとき。
大学は香港、でも交換留学で一時期スコットランドへ。
卒業後は香港に在住し、ジャーナリストとして活動されているらしい。
第一部では、自己の生まれと所在について、香港という特殊な土地との関係とともに、自分の家とは、家庭とは、そして故郷とは、という問いとともに生きる彼女の幼少期から小学校ぐらいのあいだのことを綴る -
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ロスチャイルドの女たち ナタリーリヴィングストン 亜紀書房
ゲットーの凄さに驚きを覚えると共に
ロスチャイルド家を生み出した夫婦が
実践してみせる家父長性と
恐ろしいほどの献身性を以て夫を支えるユダヤ女性の良妻賢母振りと
それを当然とする男社会の傲慢さがみせる驚くほどの醜さである
こうした男女のセットが物質至上主義が極める悪魔的資本主義というモノだと私を納得させた
前書きの数ページを冷静に読むことが難儀な程に胸糞悪い吐き気をもよおす内容であった
一神教が故だと決めつけられないかもしれないが
男社会の幼稚な暴力性を目の当たりにする思いで我を忘れ
息苦しさに陥ってしまうことを避けられないほどであ -
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【あらすじ】
その昔は荘厳な貴族の館としてそびえ立っていたが、今や古く汚い集合住宅と化してしまった、望楼館。
誰も寄り付かないこの館に残った、孤独で奇妙な7人の住人。
だが、望楼館にやってきた新しい住人によって、彼らの忘れられた過去が蘇り、向き合うことになる。
【感想】
ジョジョの敵キャラだけを集めて話を作ったら・・・? というお題を出されたらこの本を出せば良い。というほどに登場人物全員が異質で奇妙で偏執狂的だ。
特に素晴らしいのが主人公の性格がめちゃくちゃ悪い事である。息をするように物を盗み(彼の言葉では蒐集)、自分のコレクションにする。しかも、この「盗む」ことが重要で、社会から外れた主人 -
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1924年、人類初のエヴェレスト登頂を目指すイギリス遠征隊のジョージ・マロリーとアンドリュー・アーヴィンの2人は、登頂中に行方不明となる。問題は、2人の死は山頂到達前なのか、後なのか。それが明らかにならない限り、人類初のエヴェレスト山頂到達者は確定しない。
そして、1999年にマロリーの遺体が発見。が、彼が山頂に到達したかは、未だ不明。それなら、もう一人のアーヴィンの遺体と彼が持っているはずのカメラを探し出すべき。そんな登山界の期待を受けて、結成されたのが、2019年アーヴィン捜索隊。
本書はアーヴィン捜索隊に参加した著者による捜索ドキュメンタリーであり、それと並行して、エヴェレスト登頂史 -
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