古屋美登里のレビュー一覧

  • わたしのペンは鳥の翼
    同じ地球上にこういう世界があるのか、と頭を殴られたような衝撃を感じる。
    ただ、これでアフガニスタンの人々を「理解した」と安易に言うことはとてもできない。きっと、どこまで行っても私は完全に理解できていない。

    厳格なイスラム社会での家父長制、女性の抑圧などを知識として理解はしていても、そこで生きる人々...続きを読む
  • わたしのペンは鳥の翼
    戦争やテロ、デモが当たり前に存在すること、そして家父長制もまた当然として存在することそれが大前提として物語が進むために、展開や心の動きの何もかもが予想できず衝撃的だった。
    アフガニスタンの女性がそれらを受け入れてて諦めているのではなく、当然苦しんでいて足掻いているということが痛いくらい伝わって、苦し...続きを読む
  • その名を暴け―#MeTooに火をつけたジャーナリストたちの闘い―(新潮文庫)
    最後の言葉がすごく響いた。
    何でこんな当たり前のことがわがままって捉えられる世の中なんだろうって思った。
  • その名を暴け―#MeTooに火をつけたジャーナリストたちの闘い―(新潮文庫)
    映画を見る前に読んでおこうと思い手に取った。
    ミステリー小説を読んでいる感覚で一気読み。

    告発記事はいかに緻密に裏を取っていかないと公表に辿り着けないか、その苦労が描かれている。
    しんどい作業だ。よく粘り強く調べてくれたなと感謝の気持ちが湧き上がる。
    この開けた正義への純粋な信念、何だろう、そうい...続きを読む
  • その名を暴け―#MeTooに火をつけたジャーナリストたちの闘い―(新潮文庫)
    一度声を上げてしまえば、それまでの生活には戻れないかもしれない。被害にあった側が時を経て告発に至るには、とてもとても高いハードルがあるのだなと。

    当たり前みたいに性加害をしてきたボーイズクラブの仕草や反抗が似てるってことは、それが彼らのやり方としてある種共有されてたのだろうなと思って気が遠くなる。...続きを読む
  • 呑み込まれた男
    エドワード・ケアリーはとにかく日常に溢れる小物達、特に日用品達を生きている対象物として描く事が持ち味なんだけれども今回もその味わいがこれでもかと発揮されていた。ストーリーはピノッキオの生みの親ゼペット爺さんが魚の腹で独り暮らしていた時の話。爺さんが孤独を紛らわす為に手に入ったもので日記を書き、絵を描...続きを読む
  • その名を暴け―#MeTooに火をつけたジャーナリストたちの闘い―(新潮文庫)
    BURRN!の書評で目にして以来読みたかった本で、文庫化を機に、宇都宮の来らっせの待ち時間に購入。

    娘を持つ親としてやるせない想いになる。

    売名のため権力者の男性に近づく女性もいないことはないだろうが、権力を利用する男性の方が圧倒的に多いのが実態だろう。

    そして、未だ男性中心の世の中では声を上...続きを読む
  • 幸いなるハリー
    お気に入りの作家。この人はプロビテンス生まれ(アメリカの超北東)で、父ロシア人、母ポーランド人で、やっぱ辺境生まれの人(失礼か?)には強く惹かれる。物事や他人を測るものさしがオリジナルというか、よく「あたし帰国子女なんでえ」みたいにどこが偉いのかよくわからんことを自慢する人間に限って全然中身おもんな...続きを読む
  • 月の番人
    人類は一旦月に移住したものの、やっぱり地球が良くて次々と帰還していく、そんな状況を設定したディストピア小説のような絵本。
    主人公は月面移住者コミュニティの警察官という設定。
    セリフは少なめ、紺色と白の2色しか使われない、そして登場人物は常に横顔だけ描くという独特のスタイルだが、創造力を大いに掻き立て...続きを読む
  • 肺都
    ゴミはいつからゴミになるのだろうか。
                   ……肺都。
    物はいつから物だったのだろうか。
                   ……肺都。
    人間はいつから屑なのだろうか。
                   ……LUNGDON。
  • 帰還兵はなぜ自殺するのか
    主にイラク、アフガニスタンの戦争から帰って来た兵士は、PTSDや脳損傷により苦しみ、自殺してしまう。

    兵士や家族の日々を坦々と記録してある。

    戦争は、戦闘が終わってもなお、人々を苦しめ続けるもの。
  • 月の番人
    コマ割り漫画風。月に駐在するお巡りさんの日常。夜色の世界が静かで落ち着く。これは月の話だけど、かつて小さな島々に住んでいた島民たちが、時代の流れで本土に移り住むさまを思い起こさせた。お茶を濁すように派遣されたセラピーロボが、どうにもポンコツでちょっと笑える。カフェのお姉さんみたいな人もいるし、いつか...続きを読む
  • 幸いなるハリー
    たくさんの世界を見せてくれた短編集

    生活に困窮した女性とその子どもたちのための食堂を舞台にした『救済』や、言葉を発することの出来ない人々を通じて社会の構造を考えさせられる『金の白鳥』が良かった。

    女性器切除や介護、死とそのまま扱ったら生々しい題材も、美しい表現で優しく包み込むと、主張はし続けなが...続きを読む
  • 月の番人
    なんだか、あったかいような寂しいような不思議な気持ちで読み終えた。
    残された二人は寂しいよりも美しいと感じるように思う。
  • 飢渇の人 エドワード・ケアリー短篇集
    エドワード・ケアリーの「おちび」が妙に味があって面白かったので,買ってみた.ジワジワきますね.繰返し読むタイプの本だと思います.
  • 飢渇の人 エドワード・ケアリー短篇集
    吹き溜まり
    1. 雪や落ち葉などが、風に吹きよせられてたまっている場所。
    2. 行き場のない人たちが、自然と寄り集まる所。

    「吹溜りは孤立した部屋で見つかることになっている」

    「ご存じのように、大半の吹溜りはあえて沈黙しているが、言葉を発するものもいる」

    最初の「吹溜り」を読んだ時に、大好きな...続きを読む
  • 飢渇の人 エドワード・ケアリー短篇集
    『バートン夫人』『私の仕事の邪魔をする隣人たちへ』『おが屑』『毛物』◎、そしてやっぱり私も『パトリックおじさん』がサイコーです。
  • 飢渇の人 エドワード・ケアリー短篇集
    イラストと相まって、すごく奇妙で幻想的な作品ばかりで、短篇ながら強烈な印象を受けるものが多かった。どれも面白かったが、「私の仕事の邪魔をする隣人たちへ」「パトリックおじさん」がお気に入り。
  • おちび
    かなりの分厚さで速読する私でも何日もかかって読んだ。主人公実在した人物とのこと
    特に少女時代の話は夢中になって読んだ。彼女の生涯に書かれた本
    時はフランスルイ16世の頃
    大きな変革飲み込まれ生きていった1人の女性の話
  • 蜜のように甘く
    表紙は御本人?いつものように予備知識なく手に取り、なんかヨーロッパっぽいのかなー、と思ったらプロビデンスの人だって。アメリカの超北東。しまった短編(苦手)だよ。これがいい短編だった。沢山この人の書く物読みたいと思わせるし、上手い。皆さん褒めてらっしゃるけど、もうね、嫌いな人はいないだろう。強烈な個性...続きを読む