古屋美登里のレビュー一覧
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帰還兵の物語というとオブライエンの『本当の戦争の話をしよう』が思い出されるが、これはイラク戦争からの帰還兵を追ったノンフィクション。第二次世界大戦、ベトナム戦争からの帰還兵とイラク戦争の帰還兵は当然それぞれの苦悩があったかと思うが、帰還後の精神的ストレスについてはトラウマの症状が異なるという。前線があるかないか、明確な戦場が区切られていないイラクでは360度、気の抜けない環境であったことが指摘されている。
ノンフィクションではあるが、帰還兵のその後の生活、本人を取り巻く家族の苦悩、米軍によるメンタルケアの実情などが生々しく物語られていて、さながら複数の主人公が存在する小説を読んでいるかのようで -
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アメリカが抱える本音と建前、差別、そして戦争が人間に負わせる傷の深さがノンフィクションで描かれている。
大統領選挙前後のアメリカ人の日常、感情に多くを割いて書かれているが、これが日本人には深く理解が難しい要素が多い。そして、現在世界一とされているアメリカではあるがその闇の深さ、今後ますますその問題は大きくなり全世界に波及ししていく感覚を強く持った。
本著の最終章ではバイデン大統領誕生で閉じるが、知っての通り再び大統領はトランプ大統領返り咲きとなる。アメリカは前進しているのか後退しているのか、どこに向かっているのか、今の自分の知識ではわからないことが多く、歴史的にアメリカは非常に複雑な事情 -
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表紙写真の近景は、著者である。では遠景はというと、エベレスト頂上だ。しかし異様である。晴れているとはいえ、世界最高峰のエヴェレストに、行列ができている。実はこれ、大変な問題となっている。
ごみが増える、とかそんな問題ではない。エヴェレストが、さして登山経験&技術のない登山者にも、ツアーとして魅力的な素材となったため、混雑が起きている。経験の少ない登山者は足がすくんで動かない。思わぬ高地での体の反応によって、思うように体が動かない。こうした人たちが行列の中に一人でもいると、さして広くもない登山道が混雑し、そのために多くの死が起こっている。簡単に登れるといっても、やはり山の天気は変わりやすい -
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返還前に香港に行った。狭い土地に多くの人が住むためには、高層ビルが建つしかないのだな、と納得の外観だった。中国語も勉強していたが、香港へ行っても、英語が通じるので楽だった。とはいえ、中国でありながら、中国ではない場所。本来中国の領土だった香港が、中国に戻るのは、植民地支配が終わることを意味するので、望ましいことだと思っていた。しかし、返還後起こったことは、それとは逆のことばかりだった。
西欧の支配のもとの方が、人々は自由に行き来でき、自由に意見を述べられていた。中国からの圧力が年々強くなり、母国への復帰が必ずしもハッピーではない。自由系の新聞は廃刊となり、雨傘運動など発言が目立つものは逮捕 -
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消え行く香港の姿を自らの自伝と絡めて描いている。筆者は1993年香港生まれ。シンガポールのインターナショナルスクールから香港の現地校、スコットランドの大学にすすみ、社会人になってからは香港をベースとしたジャーナリストとして活動。2014年の雨傘運動はスコットランドにいた時なので参加せず。2019年の大規模な抗議活動には当事者として参加する。1997年の返還以降、多くの中産階級の香港人が海外に移住していく中で、時を追うごとに強まる北京の統制により、香港社会が受けていくストレスの姿を、筆者の一人称を通じて追体験する物語。チベット、新疆、内モンゴル。香港の次は台湾、その次はいよいよ。。。
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エドワード・ケアリーの掌編から短編までを含む作品集。
これまで『堆塵館』や『おちび』などの長編は読んだことがあったが、短編は読んだことがなかった。
独特な世界観を丁寧に積み立てていくことで構築するタイプの作家なのかと思っていたが、エドワード・ケアリーは短編や掌編でもちゃんとエドワード・ケアリーとしての世界観が確立されていた。それが数ページかそれにも満たない作品であってもエドワード・ケアリーらしいな、と思えた。
気に入ったのは『アーネスト・アルバート・ラザフォード・ドッド』『かつて、ぼくたちの町で』『おが屑』あたりが特に気に入った。
そういえばおが屑ってヤン・シュヴァンクマイエルもよく扱うモチ -
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ネタバレ皆川博子「随筆精華Ⅱ 書物の森への招待」の推薦で興味を持った作家。
結構分厚いので寝かせていたが、思い立って。
(文春文庫「もっと厭な物語」で「私の仕事の邪魔をする隣人たちに関する報告書」既読だが、記憶にない)
章立てが細切れなので、割と読みやすかった。
つっても焦点の当たる人物が8人いるので、拡散し散漫になりがちな印象を、統合しながら読んでいく努力は必要。
と、いっても、全員風変り……はっきり言えば変人なので、たとえばジャン=ピエール・ジュネの「デリカテッセン」みたいな、ラフな楽しみ方でよさそう。
ツイッターで引き合いに出されていたジョン・アーヴィング原作トニー・リチャードソン監督「ホテル・ -
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ネタバレ戦争後に精神を病む軍人に対し(またその軍人に接する機会の多い家族に対し)、どう支援すべきか、どんなシステムを構築すべきか。イラクとアフガニスタンの戦争に200万人のアメリカ人が派遣され、そのうちの20〜30%はPTSDやTBIの精神疾患にかかった。彼らが元の性格に戻ることは困難だ。家族の負担も大きい。精神衛生の問題は陸軍では自殺者の増加が問題となり医療施設ができたが収容者でいっぱいで入れない人もいる。セラピストも足りない。日本もイラクに約1万派兵したが帰還後28人もの自衛隊員が自殺した。派兵では兵士の精神衛生管理は1番重要な問題とみなすべきだろう。
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デイヴィッド・フィンケル(1955年~)氏は、米フロリダ大学卒業後、長年ワシントン・ポスト紙に勤務し、2006年にピュリツァー賞(報道部門)を受賞。
2007年に新聞社を辞めてバグダッドに赴き、1年間、米陸軍第16歩兵連隊第2大隊の兵士たちと生活を共にし、その過酷な日常と凄惨な戦闘について詳細に記した『The Good Soldiers』(邦題『兵士は戦場で何を見たのか』)を上梓(2009年)した。しかし、帰国後、バグダッドで知り合った兵士たちが、帰還後に電話やメールや手紙で不調を訴えてきたことから、戦争の後を記録しなければ、自らの仕事は終わらないと考えるに至り、帰還した兵士や家族、ペンタゴン -
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ネタバレ【香港の記録】
1993年生まれ、香港在住ジャーナリストが、香港と自分の関係を綴る。
彼女は、生まれは本土で、小さいときに親戚のつながりもあり香港に越してきてから、インターナショナルスクールに入学。
自分は香港人と言ったのは、英語ボランティアでトルコに行ったとき。
大学は香港、でも交換留学で一時期スコットランドへ。
卒業後は香港に在住し、ジャーナリストとして活動されているらしい。
第一部では、自己の生まれと所在について、香港という特殊な土地との関係とともに、自分の家とは、家庭とは、そして故郷とは、という問いとともに生きる彼女の幼少期から小学校ぐらいのあいだのことを綴る