古屋美登里のレビュー一覧

  • 呑み込まれた男

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    エドワード・ケアリーはとにかく日常に溢れる小物達、特に日用品達を生きている対象物として描く事が持ち味なんだけれども今回もその味わいがこれでもかと発揮されていた。ストーリーはピノッキオの生みの親ゼペット爺さんが魚の腹で独り暮らしていた時の話。爺さんが孤独を紛らわす為に手に入ったもので日記を書き、絵を描き、粘土細工をして正気を保とうとしているその様が少しづつ崩れていって時折狂気じみてくるのが圧巻。小物が最初は心を慰めるものであるのにやがて心を苛んでいくものとなっていくのがみててこちらもとても苦しい。延々と爺さんの1人語りなのでこちらも息を詰まらせつつハラハラとしてページをめくっていた。
    エドワード

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    2022年08月16日
  • その名を暴け―#MeTooに火をつけたジャーナリストたちの闘い―(新潮文庫)

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    BURRN!の書評で目にして以来読みたかった本で、文庫化を機に、宇都宮の来らっせの待ち時間に購入。

    娘を持つ親としてやるせない想いになる。

    売名のため権力者の男性に近づく女性もいないことはないだろうが、権力を利用する男性の方が圧倒的に多いのが実態だろう。

    そして、未だ男性中心の世の中では声を上げても、すぐに風化してしまう気がする。特に日本では。

    そう思うと、能力云々を言い訳にせず、数だけでも男女同等にするというクオータ制から始めることも意味がある。

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    2022年06月06日
  • 幸いなるハリー

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    お気に入りの作家。この人はプロビテンス生まれ(アメリカの超北東)で、父ロシア人、母ポーランド人で、やっぱ辺境生まれの人(失礼か?)には強く惹かれる。物事や他人を測るものさしがオリジナルというか、よく「あたし帰国子女なんでえ」みたいにどこが偉いのかよくわからんことを自慢する人間に限って全然中身おもんない人間と違い、「人と違うことの苦悩、分かり合えない壁の存在」みたいなんを悩んでこねくりまわし、熟成させ、自分のものにした上で提供しているから、触れる価値あるし、これからも応援したい。

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    2022年05月30日
  • 月の番人

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    人類は一旦月に移住したものの、やっぱり地球が良くて次々と帰還していく、そんな状況を設定したディストピア小説のような絵本。
    主人公は月面移住者コミュニティの警察官という設定。
    セリフは少なめ、紺色と白の2色しか使われない、そして登場人物は常に横顔だけ描くという独特のスタイルだが、創造力を大いに掻き立てられる。

    効率化や過疎化について何度も考えさせられた。
    モジュール状のパーツを組み合わせた簡易的なつくりのマンションが、ある日突然縮小して、自分の部屋のフロアが変わってしまい、部屋からの眺めも変わってしまう場面は印象的だった。居住者の意志は無視され、合理化が優先されている。
    また、自販機が故障した

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    2022年05月22日
  • 肺都

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    ゴミはいつからゴミになるのだろうか。
                   ……肺都。
    物はいつから物だったのだろうか。
                   ……肺都。
    人間はいつから屑なのだろうか。
                   ……LUNGDON。

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    2022年05月03日
  • 帰還兵はなぜ自殺するのか

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    主にイラク、アフガニスタンの戦争から帰って来た兵士は、PTSDや脳損傷により苦しみ、自殺してしまう。

    兵士や家族の日々を坦々と記録してある。

    戦争は、戦闘が終わってもなお、人々を苦しめ続けるもの。

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    2022年02月16日
  • 月の番人

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    コマ割り漫画風。月に駐在するお巡りさんの日常。夜色の世界が静かで落ち着く。これは月の話だけど、かつて小さな島々に住んでいた島民たちが、時代の流れで本土に移り住むさまを思い起こさせた。お茶を濁すように派遣されたセラピーロボが、どうにもポンコツでちょっと笑える。カフェのお姉さんみたいな人もいるし、いつかまた、月に移り住みたいという人は現れるんじゃないかと思う。その頃、お巡りさんは地球に戻っているかも。

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    2021年12月20日
  • 幸いなるハリー

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    たくさんの世界を見せてくれた短編集

    生活に困窮した女性とその子どもたちのための食堂を舞台にした『救済』や、言葉を発することの出来ない人々を通じて社会の構造を考えさせられる『金の白鳥』が良かった。

    女性器切除や介護、死とそのまま扱ったら生々しい題材も、美しい表現で優しく包み込むと、主張はし続けながらも作品のなかに静かに収まるんだから、小説は本当にすごい。

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    2021年10月11日
  • 月の番人

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    ネタバレ

    なんだか、あったかいような寂しいような不思議な気持ちで読み終えた。
    残された二人は寂しいよりも美しいと感じるように思う。

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    2021年09月26日
  • 飢渇の人 エドワード・ケアリー短篇集

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    エドワード・ケアリーの「おちび」が妙に味があって面白かったので,買ってみた.ジワジワきますね.繰返し読むタイプの本だと思います.

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    2021年09月12日
  • 飢渇の人 エドワード・ケアリー短篇集

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    吹き溜まり
    1. 雪や落ち葉などが、風に吹きよせられてたまっている場所。
    2. 行き場のない人たちが、自然と寄り集まる所。

    「吹溜りは孤立した部屋で見つかることになっている」

    「ご存じのように、大半の吹溜りはあえて沈黙しているが、言葉を発するものもいる」

    最初の「吹溜り」を読んだ時に、大好きな、「アイアマンガー三部作」を思い出しました。上記の、哀愁ある雰囲気の中にも、茶目っ気溢れる様が、奇妙さと共に、親しみやすさを感じさせるところなんか、まさに一緒です。

    ただ、どうしてもイラストの怖さに目がいくと思うのですが(表紙を見るとね)、物語を読んだ後は、その印象も変わると思います。もちろん、イ

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    2021年08月15日
  • 飢渇の人 エドワード・ケアリー短篇集

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    『バートン夫人』『私の仕事の邪魔をする隣人たちへ』『おが屑』『毛物』◎、そしてやっぱり私も『パトリックおじさん』がサイコーです。

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    2021年07月24日
  • 飢渇の人 エドワード・ケアリー短篇集

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    イラストと相まって、すごく奇妙で幻想的な作品ばかりで、短篇ながら強烈な印象を受けるものが多かった。どれも面白かったが、「私の仕事の邪魔をする隣人たちへ」「パトリックおじさん」がお気に入り。

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    2021年07月12日
  • おちび

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    かなりの分厚さで速読する私でも何日もかかって読んだ。主人公実在した人物とのこと
    特に少女時代の話は夢中になって読んだ。彼女の生涯に書かれた本
    時はフランスルイ16世の頃
    大きな変革飲み込まれ生きていった1人の女性の話

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    2021年04月04日
  • 蜜のように甘く

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    表紙は御本人?いつものように予備知識なく手に取り、なんかヨーロッパっぽいのかなー、と思ったらプロビデンスの人だって。アメリカの超北東。しまった短編(苦手)だよ。これがいい短編だった。沢山この人の書く物読みたいと思わせるし、上手い。皆さん褒めてらっしゃるけど、もうね、嫌いな人はいないだろう。強烈な個性っていうんじゃないんだけど、なんかさ、ぼーっとお茶してる時に、誰か入店してきて、なんとも言えず素敵な人っているじゃん?余裕あって、こっちがジロジロ見てんのに気にしない人。そういう感じがした。うーん駄目な感想。

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    2020年11月12日
  • 穢れの町

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    ネタバレ

    アイアマンガー3部作の2作目…というか、第2巻。

    前巻のゴミだらけで煙ってて薄汚いイメージがさらにパワーアップした本作。ゴミの山とロンドンの間にある「穢れの街」を舞台に、10シリング金貨になってしまった(?)前作の主人公を探す、前作のヒロイン(っぽくないが)が大活躍する。

    本作で一番気になる人物が「ビナディット」。この男、ゴミの山で生まれ育ち、ゴミを服装どころか皮膚のように身にまとい、身体にうごめく昆虫や小動物を食して生きているというとんでもない汚物人間。ゴミどもに「父」と慕われるこの男がヒロインとキスをするシーンがあるのは圧巻。こんなに萌えないキスシーンは初めてだ!

    前作同様、本作もと

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    2020年09月03日
  • 堆塵館

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    ネタバレ

    スチームパンク?…ともまた違うか。塵芥を集積したロンドン郊外に住むアイアマガー一族と彼らの召使とその皆が住む大きな屋敷の物語。

    塵芥の山に立つ屋敷が舞台なのだから、汚れに汚れた不潔な世界観、人間関係もゴチャゴチャ、登場人物たちも好人物っぽいのは一切いない。主人公もなんだかフワフワだし、ヒロインは泥棒だし、それ以外の全員が悪役的。なのに、そのすべてがちょっと気になるというか居心地がいいというか。なんという世界観だ、これ?

    この1冊だけを手に取ってみたが、早く続きが読みたい。
    ところで、3部作というより、全3巻なのではないだろうか?でないと、このラストは締めになってないぞ。

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    2020年07月31日
  • 人喰い――ロックフェラー失踪事件

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    期待したほどの面白さではなかったけど、充分に読む価値があった思う。
    食人に関する食べる側の思考については一定の類型が視られるのだなと思う。
    もう、地球上には、習慣的に食人する人たちはいないのであろうなぁ。

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    2020年07月07日
  • 穢れの町

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    舞台を移した穢れの町が堆塵館のあるゴミ山とロンドンの間にあって,それが滅ぼされるというすごい展開の中で、再び巡り会うクロードとルーシー.物と人間の謎を秘めた関係が次第に明らかになってきた.新たに登場するロンドンに住む本当の?人間たち.アイアマンガーはどう攻撃を仕掛けるのか,クロードはどうするのか,いよいよ盛り上がる次巻,楽しみだ.

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    2020年02月11日
  • 人喰い――ロックフェラー失踪事件

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    小中学生の頃に愛読していた「ポケットムー」シリーズの「世界謎の10大事件」という巻に、確か"秘境に消えたロックフェラー"というサブタイトルで収蔵されていたと記憶している。
    以来、これまでにこの失踪事件を扱った記事や書籍は何度か読んだが、当時のオランダ政府やインドネシア政府にアメリカ政府、そしてもちろん現場となったパプアニューギニアの政治的関係や立場を分析し、さらにはロックフェラー家と美術品収集の因縁にまで踏み込んで詳細に報告したものに接するのは初めてだ。
    マイケル・ロックフェラーが辿った命運については、本書の序盤でいきなり結論めいた描写が生々しく綴られるが、そのショッキング

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    2019年11月27日