古屋美登里のレビュー一覧

  • 帰還兵はなぜ自殺するのか
     表題の通りである。 
     非日常は人を狂わせる。(米軍においてはおそらく)心身無事に帰還する兵の方が多いわけだが、PTSDに悩まされる帰還兵は少なくない。
     「負傷兵の方がまだましだ」という見方もある。外傷は名誉の負傷であり、誰が見てもすぐにそれと分かる。
     「撃たれて死ぬ方がまだましだ」とすら言え...続きを読む
  • 堆塵館
    この秋は海外ものが豊作…(私にとって)
    「望楼館追想」もいっぷう変わった話だったがこちらは三部作とあっていきなり梯子をはずされた結末にぼう然。
    モノが意思を持つのは日本古来の付喪神信仰も連想。
    結局クロッドはどうなったの?
  • 帰還兵はなぜ自殺するのか
    なぜ戦争をしてはいけないのか。よーくわかる本。登場人物で混乱しなければ比較的スムーズに読めるが、とても気が重くなる本。
  • 帰還兵はなぜ自殺するのか
    戦場から帰還した兵士の苦しみが胸に刺さるが、兵士の妻の苦悩もまたいかばかりかと思う。夫は大変な仕事をしてきた。地獄を体験した。身心ともに疲れきっている。
    しかし、生きていれば嫌でも生活というものをしなくてはならない。なのに、夫はあてにできないどころか、夫がいることで負担が増す。家事も、育児も、生計も...続きを読む
  • 帰還兵はなぜ自殺するのか
    やっぱりどんな理由があっても、戦争はいけない。人を殺すことは自分も殺すこと。自分の周りの大切な人の心も殺してしまう。正義の戦争なんて無い。
    では、どうやって戦争無き世界にするか?
  • 帰還兵はなぜ自殺するのか
    たとえ、戦場で死ぬことがなかったとしても、無事帰国したあとに、自殺する兵士たち。
    なんとか、自殺の手前でとどまっていても、何年も苦しみ続ける兵士たち。そしてその家族。
    のこのこと海外まで行って、するべき戦争なんてないと思う。戦争を決める人たちは、決して最前線で戦うことはないのだ。やってられない。
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  • 呑み込まれた男
    物語のとらえ方が独特で、ハマる人にはたまらなくおもしろいお話だと思う。
    有名なアニメ作品「ピノキオ」のキャラクターで読むとまた楽しめた小説でした。
  • 飢渇の人 エドワード・ケアリー短篇集
    不思議な小説・・・
    子供のころ、集めた宝物箱を見せられているような懐かしさも感じた。結構はまる、好きな世界です。
  • B:鉛筆と私の500日
    小説家のケアリーがコロナ禍のなかで毎日一枚描き続けたさまざまな人や動物の似顔絵と、その日々の記録。

    ケアリーと同じく作家である奥さんのはにかんだ笑顔、カルヴィーノの好奇心にきらめく瞳、シュルツのパンクロッカーみたいな眼差し、息子とプーも一緒に描き込まれたA.A.ミルン、ディネセンの次の日にガゼルを...続きを読む
  • 美術泥棒
    「事実は小説より奇なり」を地で行くストーリー。売りさばくのを目的としない美術泥棒がいたんだな、あと盗む手口がシンプル、ていう素朴な驚き。著者が若干盛る人っぽく、ラストの方は心情的に入れ込み過ぎでは?感はあるけども。
  • B:鉛筆と私の500日
    クォリティの高い似顔絵のオンパレードで凄いんだけど、その中にも著者ならではの味がしっかりまぶされているのが素晴らしい。コロナ禍のモヤモヤを描いたエッセイも読み応えあり。
  • わたしの香港 消滅の瀬戸際で
    本屋でたまたま手に取ったら、好きな翻訳家の一人である古屋さんが邦訳されたと知り、ジャケ買い。
    『転がる台湾に苔は生えない』とほぼ同時期の香港を、中国本土にもルーツを持つ著者が、自分の半生とともにつづったノンフィクション。

    知らないバンド名が羅列される箇所もあり、読み進めるのは少ししんどいこともあっ...続きを読む
  • 呑み込まれた男
    ピノキオに出てくるゼベット爺さんの話。幼少期の絵本じゃ気づかなかったけど、このお爺さん2年間も閉じ込められたんだね。ピノキオはハッピーエンドだった気がするけど、この話はなんだかとっても悲しかった
  • 堆塵館
    期待して読んだ、ケアリー初読書です。おもしろいです。

    翻訳の古屋美登里さんが上手いのかな、読みやすい文章でした。登場人物が単純に2つの名前をもっていることになるお話しなので、ただで混乱しそうですが、分かり易いです。
    解説によると、これは子供に向けたお話だそうです。だから分かり易いのでしょうか。

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  • 望楼館追想
    最後まで頑張って読んだが、自分には残念だが全く合わなかった。決して読みずらい文体ではなく、主人公に
    ただただ共感できない。だれかの替わりに生きていて、成長過程も複雑で可哀想だとも思うけど、やってることはただの泥棒だし、悪質だと思った。愛されてないから、他人の愛の物品が欲しかったんだろうか?
    最後は、...続きを読む
  • その名を暴け―#MeTooに火をつけたジャーナリストたちの闘い―(新潮文庫)
    同名映画の原作本。映画では描き切れなかったであろう取材の経緯や事件の詳細を知りたくなり、帰り掛けに購入。登場人物が多く、時系列が時折前後するので少々分かり難い部分もあったが、映画を観ていたおかげで十分理解出来た。逆に、映画を観ていなければ読み進めるのに苦戦しただろう。映画では描かれなかった取材記事が...続きを読む
  • 蜜のように甘く
    作者は短編小説の名手としてアメリカでは有名らしいが、不勉強で未知、初めて読んでみた。

    短編小説ってのは、無駄を省いて研ぎ澄ませるかみたいなとこも勘所だと思うのだが、この作家さんはその研ぎ澄まし方に味わいがあるタイプなのかと思う。訳者古屋さんの腕もあってそのすっきり研がれた文章はくどみがなくて気持ち...続きを読む
  • 呑み込まれた男
    ピノキオのケアリー版アナザーストーリー。ピノキオを探して怪魚に呑みこまれたジュゼッペ爺さんの世界。どんどん創り出されるオブジェや物語が面白かった。
  • 幸いなるハリー
    イーディス・パールマンが、2015年に発表した、5作目の短篇集「Honeydew」は、私が以前に読んだ、「蜜のように甘く」と本書が合わさった、全20篇で構成されており、「蜜のように~」が好きな方にとっては、まさに待望の一冊だと思います。

    バラエティに富んだ、多種多様な人生模様のひとこまから突如とし...続きを読む
  • その名を暴け―#MeTooに火をつけたジャーナリストたちの闘い―(新潮文庫)
    誤訳問題に関してはわからないことも多いのでノーコメント
    立場も何もかも違う様々な女性たちの連帯
    トラウマが永遠に残す傷
    事実を暴くための慎重な戦いをやりぬいたジャーナリスト
    グロテスクで言葉を失う加害男性とその背景にある男性中心主義社会
    最も衝撃的でもある、一部の弁護士たちの卑怯さ

    Me Tooと...続きを読む