古屋美登里のレビュー一覧

  • 帰還兵はなぜ自殺するのか
    文学的なノンフィクション。良質な純文学を読んでいる気分になるが、これはノンフィクションなのだと驚く。
    戦争は多くの犠牲を伴うが、その犠牲とは人間の人生にほかならない。
    戦争は解のない問題だ。
  • 堆塵館
    これが児童文学なのか。名前が力を持つ。ロンドンの汚穢を引き受けた一族。富を持つと同時に、差別もされる。当時のロンドンやパリってあまり清潔ではなかったんだな。そういうところはオースティンもブロンテ姉妹も描かない。江戸の方が多分清潔。これからはゴミ屋敷ではなく、堆塵館と呼ぼう。幼い恋の行く末がどうなるか...続きを読む
  • 帰還兵はなぜ自殺するのか
    著者のデイヴィッド・フィンケル氏はワシントンポストで23年間記者として働き、2006年にピュリツァー賞を受賞。その後退職して従軍記者としてイラクに渡り、そこで知り合った兵士の「戦後」の生活-帰還兵の生活-を具体的に描いている。
    戦争そのものが「不幸」だということ。そして、その不幸せな生活を送るのは決...続きを読む
  • 帰還兵はなぜ自殺するのか
    国会で議論されている今だからこそ
    読んでほしい一冊!
    どんな戦争でも精神的に傷を負う兵士がいたに違いないけど、日本ではあまり注目されていないように感じる。
    というか、見ないようにしている…?この現実を…。
  • 帰還兵はなぜ自殺するのか
    誤解を恐れずに言えば、今の政府は戦争をしても構わないと考えているのではないだろうか。為政者は絶対に戦場には赴かない、為政者より間違いなく未来への時間を多く持つ若者が行くのだ。突然、自己の未来が消滅する可能性だって勿論生じることになる。運よく戦場から生還できても、PTSDやTBIで人生がボロボロになっ...続きを読む
  • 帰還兵はなぜ自殺するのか
    アメリカの対イラク戦争に派遣された兵士たち。

    イラク、アフガンで見た惨状。
    「敵」の攻撃(爆破)によりむごたらいい戦友の死…。幼児を抱えたイラク兵を撃つ…。

    帰国後、PTSDになり、自殺に至った者も多い。
    本書で取り上げるのは、自責の念にとらわれ、苦悩する元兵士本人やその家族の苦悩を、淡々とした...続きを読む
  • 帰還兵はなぜ自殺するのか
    帰還兵の物語というとオブライエンの『本当の戦争の話をしよう』が思い出されるが、これはイラク戦争からの帰還兵を追ったノンフィクション。第二次世界大戦、ベトナム戦争からの帰還兵とイラク戦争の帰還兵は当然それぞれの苦悩があったかと思うが、帰還後の精神的ストレスについてはトラウマの症状が異なるという。前線が...続きを読む
  • 帰還兵はなぜ自殺するのか
    デイヴィッド・フィンケル(1955年~)氏は、米フロリダ大学卒業後、長年ワシントン・ポスト紙に勤務し、2006年にピュリツァー賞(報道部門)を受賞。
    2007年に新聞社を辞めてバグダッドに赴き、1年間、米陸軍第16歩兵連隊第2大隊の兵士たちと生活を共にし、その過酷な日常と凄惨な戦闘について詳細に記し...続きを読む
  • わたしの香港 消滅の瀬戸際で
    【香港の記録】
    1993年生まれ、香港在住ジャーナリストが、香港と自分の関係を綴る。

    彼女は、生まれは本土で、小さいときに親戚のつながりもあり香港に越してきてから、インターナショナルスクールに入学。

    自分は香港人と言ったのは、英語ボランティアでトルコに行ったとき。

    大学は香港、でも交換留...続きを読む
  • わたしの香港 消滅の瀬戸際で
    香港について、僕が知っていたことはかなり限られていて、留学の話があって初めて興味を持った。一言で言えば、環境的にも社会的にもディストピアな都市であったのは間違いない。その中でも、もちろん喜びがあって、その様子を瑞々しく描いている。雨傘革命に関する映画も観てみたいと思う。
  • ロスチャイルドの女たち
    ロスチャイルドの女たち ナタリーリヴィングストン 亜紀書房

    ゲットーの凄さに驚きを覚えると共に
    ロスチャイルド家を生み出した夫婦が
    実践してみせる家父長性と
    恐ろしいほどの献身性を以て夫を支えるユダヤ女性の良妻賢母振りと
    それを当然とする男社会の傲慢さがみせる驚くほどの醜さである
    こうした男女のセ...続きを読む
  • 望楼館追想
    ジョジョの敵キャラだけを集めて話を作ったら・・・? というお題を出されたらこの本を出せば良い。というほどに登場人物全員が異質で奇妙で偏執狂的だ。
    特に素晴らしいのが主人公の性格がめちゃくちゃ悪い事である。息をするように物を盗み、自分のコレクションにする。この「盗む」ことが重要で、社会から外れた主人公...続きを読む
  • 第三の極地――エヴェレスト、その夢と死と謎
    1924年、人類初のエヴェレスト登頂を目指すイギリス遠征隊のジョージ・マロリーとアンドリュー・アーヴィンの2人は、登頂中に行方不明となる。問題は、2人の死は山頂到達前なのか、後なのか。それが明らかにならない限り、人類初のエヴェレスト山頂到達者は確定しない。

    そして、1999年にマロリーの遺体が発見...続きを読む
  • その名を暴け―#MeTooに火をつけたジャーナリストたちの闘い―(新潮文庫)
    ハリウッドと政治を絡めて、抑圧についてかかれている。
    文章より映画の方からが、ビジュアルもありわかりやすい。
  • 人喰い――ロックフェラー失踪事件
    1961年、首狩り族と噂される部族に殺され食べられた(!)と言われるロックフェラー家の子息、マイケル失踪の真実を追ったノンフィクション。題名に比して残酷な描写は少なく、むしろ著者が得た真相には、異文化コミュニケーションについて色々と考えさせられました。
  • 肺都
    読み終わってしまった・・・。
    おもしろかった。しばらくたったら再読しよう。

    また違った発見があるようなそんな奥深い本です。
  • B:鉛筆と私の500日
    幻想的かつユニークな小説で私たちを楽しませるエドワード・ケアリーが500点ものスケッチを描き、1冊の本が出来上がりました。コロナ禍の世界を憂い、時に希望を見出して日々を記録しています。
  • わたしのペンは鳥の翼
    アフガンに生きる女性たちは想像を遥かに超える恐ろしさの中に生きていることを知り、今この日本でいろんな悩みをそれぞれ抱えながら過ごしていることは平和であるからこそあるのだと改めて感じこれは毎日に感謝しないといけないことなんだと実感した。
    同じ人間でおなじ女性として生まれてきたのにこんなに違うのだと、自...続きを読む
  • 穢れの町
    まさに”怒涛”の展開!
    1部の終わりが「ええっ!!!」で終わったので、続きが楽しみな続編です。
    第3部の完結まで発行されてから購入、読み始めたので、1部と2部の間隔があまり空いていないからいいものだけど、これ発行当初に読んでいたら待ちくたびれて、狂いそうなレベルです。

    2部の主役は、完全に召使の女...続きを読む
  • わたしのペンは鳥の翼
    男の子の子供が生まれなくて頭から熱湯をかぶった女性の話が頭に残っている。そしてその女をみて哀れまれたのは彼女の旦那が可哀想、というのも。