古屋美登里のレビュー一覧
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物語の舞台となるのは19世紀後半のロンドンのはずれにあるゴミ捨て場である。そのゴミ捨て場中央には大きな屋敷が鎮座し、アイアマンガーという一族が付近を管理・支配していた。
アイアマンガー一族には生まれつき誕生の品が与えられる。誕生の品は大事なもので肌身離さず持っているというのが、決まりであった。
そして主人公、クロッドは誕生の品の声が聞こえるのだ。
歴史的背景とファンタジー的設定が絡まり合って独特の世界観をなした本作は、特殊な能力を持ったアイアマンガーであるクロッドと無理やりアイアマンガー家に連れてこられた孤児のルーシー・ペナントという2人の人物を中心にして、読者の前で何度も何度も万華鏡のよう -
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【暴虐なる神秘】ニューギニアの熱帯で美術品の収集に務めていたロックフェラー家の御曹司・マイケル。原始的な美に惹かれた彼を最終的に待ち受けていたものは、突然の死と、現地人に「喰われてしまう」という衝撃的な最期であった。1961年に起きた実際の事件を取材するとともに、その裏に横たわる文化人類学的な深淵を覗き込んだ作品です。。著者は、「ナショナル・ジオグラフィック・トラベラー」の編集者でもあるカール・ホフマン。訳者は、小説作品の翻訳も手がける古屋美登里。原題は、『Savage Harvest: A Tale of Cannibals, Colonialism and Michael Rockefel
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ネタバレ表紙を見ただけで絶対この本面白いと思わせる妖しさ!表紙も中のイラストも、ちょっとグロテスクなんだけどこの本の世界観がこれ以上無いくらいに表現されている。
まず設定がすごくて、アイアマンガー一族がみんな誕生の品を肌見離さず持っていること、それが一つ一つ名前があって自分の名前を喋ること、クロッドにだけその声が聞こえる(後に一族で何人かはそれが可能であることが判明するが)ことなどなんじゃこれはと思いながらもグイグイ引き込まれて、クロッドや、ルーシーに同調せずにいられない。
児童むけ?らしいが。ハマった。
早く続きを読みたい気持ちでいっぱいです。 -
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550ページを一気読み。
うん、満足。
ロンドン市民や貴族たちからは、アイアマンガ―一族や穢れの町の人々など、一段下の人間、または人間以下としか 見られていない。
しかし原因不明の伝染病が蔓延し、人々はより安全なロンドンへと向かう。
もちろんロンドンはそれを阻止するために、彼らを迎え撃つ。
いったい何が原因でこんな戦いになってしまったのだろう。
最初はアイアマンガ―一族の話だったのに。
物やごみがあふれかえった堆塵館に住んでいたアイアマンガ―一族は、結集という、ごみが互いに引き寄せあいくっついて、巨大化する現象のため住む家を失った。
穢れの町では、人間が物に代わる奇妙な病気が流行っていた -
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いやあ、なんだろう。
ゴミがあふれかえり、汚物にまみれ、ネズミが逃げ出し、虫が湧く。
そんな世界の話なのに。
クロッドもルーシーも決して美形でもなければ清潔でもないのに。
彼らの愛は美しいと思う。
ロンドン中のごみの処理を一手に引き受けるアイアマンガ―一族。
しかし、彼らにとって金の生る木であるゴミに執着しすぎて、ついにごみの山に飲み込まれてしまった堆塵館。
物に執着しすぎて、物と人間の区別すら曖昧になる。
前巻で堆塵館から逃げ出そうとして果たせなかったクロッドとルーシー。
その生死すら定かでないまま巻は終わったのだが、この巻で二人は物に変えられ、離れ離れになっている。
クロッドは殺人鬼・ -
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ネタバレえ~!!
ここで終わり?
これじゃ、すぐに続きを読むしかないじゃん!
というのが読み終わった直後の感想。
週刊少年ジャンプ並みの引きの強さ。
19世紀後半、ビクトリア女王の頃のイギリス…からちょっとずれた位相にあるロンドン郊外にある巨大なゴミ屋敷が舞台。
何しろ地上7階、地下6階の建物に一族みんなで住んでいて、館の中には駅まであるのだから、その巨大さも知れようというもの。
主人公のクロッドは純粋なアイアマンガーの一族として、地上に部屋を持ち、大勢のおじ・おばや従兄弟・はとこたちと暮らしている。
両親は彼が生まれてすぐに相次いで亡くなり、彼が物の声を聴くことができるという特殊能力を持ってい -
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命が助かるためでも、トースト立てに戻ることを拒絶したローランド・カリスの矜持が痛ましい。私が物に変わるとしたら、何だろうと考えてしまった。理不尽な命の奪われ方をした穢れの町の子供たちもいるので、ハッピーエンドとは言えないけど。エレナーの家族は元に戻れたのか。理不尽な命令を下すウンビットと、子供を助けなさいと命を下したヴィクトリア女王。君臨する者の差が出たね。1876年ってヴィクトリアがインド皇帝になった年なのね。この年を舞台に選んだことと関係あるのかな。ルーシーは最強だった。クロッドはやっぱり優しかった。ウンビットみたいに無慈悲にはなれなかった。だから生き残れたのね。
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アメリカの対イラク戦争に派遣された兵士たち。
イラク、アフガンで見た惨状。
「敵」の攻撃(爆破)によりむごたらいい戦友の死…。幼児を抱えたイラク兵を撃つ…。
帰国後、PTSDになり、自殺に至った者も多い。
本書で取り上げるのは、自責の念にとらわれ、苦悩する元兵士本人やその家族の苦悩を、淡々とした客観的視点で描く。
「戦争に行く前は『いい人』だったのに、帰還後は別人になっていた」。
「戦争」が、兵士やその家族を「破壊」していく様子が、痛いほど伝わった。
もちろん、アメリカ兵たちも、他国の兵士や民間人を殺害していて、他国側の人々にも肉体的・精神的苦痛を負わせているのも事実。
「国家のた -
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帰還兵の物語というとオブライエンの『本当の戦争の話をしよう』が思い出されるが、これはイラク戦争からの帰還兵を追ったノンフィクション。第二次世界大戦、ベトナム戦争からの帰還兵とイラク戦争の帰還兵は当然それぞれの苦悩があったかと思うが、帰還後の精神的ストレスについてはトラウマの症状が異なるという。前線があるかないか、明確な戦場が区切られていないイラクでは360度、気の抜けない環境であったことが指摘されている。
ノンフィクションではあるが、帰還兵のその後の生活、本人を取り巻く家族の苦悩、米軍によるメンタルケアの実情などが生々しく物語られていて、さながら複数の主人公が存在する小説を読んでいるかのようで -