古屋美登里のレビュー一覧
-
-
-
-
Posted by ブクログ
戦争やテロ、デモが当たり前に存在すること、そして家父長制もまた当然として存在することそれが大前提として物語が進むために、展開や心の動きの何もかもが予想できず衝撃的だった。
アフガニスタンの女性がそれらを受け入れてて諦めているのではなく、当然苦しんでいて足掻いているということが痛いくらい伝わって、苦しい物語も多くあった。
一方で、子の安全を願う気持ち、働くことに生きがいを感じることといった同じ気持ちも感じることもできた。
また、アフガニスタンではどのような食器でどのようなものを食べ、飲み、どんな家に住んで、買い物は、学校は、などの暮らしが目に浮かぶような描写が素晴らしかった。 -
-
Posted by ブクログ
映画を見る前に読んでおこうと思い手に取った。
ミステリー小説を読んでいる感覚で一気読み。
告発記事はいかに緻密に裏を取っていかないと公表に辿り着けないか、その苦労が描かれている。
しんどい作業だ。よく粘り強く調べてくれたなと感謝の気持ちが湧き上がる。
この開けた正義への純粋な信念、何だろう、そういうとこ、アメリカ社会の良さでもある。
同時に、アメリカ社会の闇もこのノンフィクションでよくわかる。特に、企業を守るためのヒエラルキーの上のものへの服従。ザ、資本主義社会。
それから自由を謳歌する若者たちのパーティーという密室で行われるレイプ。この社会で思春期を乗り越えるのは大変そう。
日本でも同じよ -
Posted by ブクログ
一度声を上げてしまえば、それまでの生活には戻れないかもしれない。被害にあった側が時を経て告発に至るには、とてもとても高いハードルがあるのだなと。
当たり前みたいに性加害をしてきたボーイズクラブの仕草や反抗が似てるってことは、それが彼らのやり方としてある種共有されてたのだろうなと思って気が遠くなる。
「被害にあった側が」「恐怖を乗り越え」「真実であることを厳密に証明する」まで信じないことを“冷静で論理的で正しい”かのように認識してしまっている社会はやっぱおかしいよと思ったし、性加害の話題をネタにできると思ってる我が国のアーティストが「アップデートしてやり直します」っていうのは随分呑気なもんだ -
Posted by ブクログ
エドワード・ケアリーはとにかく日常に溢れる小物達、特に日用品達を生きている対象物として描く事が持ち味なんだけれども今回もその味わいがこれでもかと発揮されていた。ストーリーはピノッキオの生みの親ゼペット爺さんが魚の腹で独り暮らしていた時の話。爺さんが孤独を紛らわす為に手に入ったもので日記を書き、絵を描き、粘土細工をして正気を保とうとしているその様が少しづつ崩れていって時折狂気じみてくるのが圧巻。小物が最初は心を慰めるものであるのにやがて心を苛んでいくものとなっていくのがみててこちらもとても苦しい。延々と爺さんの1人語りなのでこちらも息を詰まらせつつハラハラとしてページをめくっていた。
エドワード -
-
Posted by ブクログ
人類は一旦月に移住したものの、やっぱり地球が良くて次々と帰還していく、そんな状況を設定したディストピア小説のような絵本。
主人公は月面移住者コミュニティの警察官という設定。
セリフは少なめ、紺色と白の2色しか使われない、そして登場人物は常に横顔だけ描くという独特のスタイルだが、創造力を大いに掻き立てられる。
効率化や過疎化について何度も考えさせられた。
モジュール状のパーツを組み合わせた簡易的なつくりのマンションが、ある日突然縮小して、自分の部屋のフロアが変わってしまい、部屋からの眺めも変わってしまう場面は印象的だった。居住者の意志は無視され、合理化が優先されている。
また、自販機が故障した -
-
-
Posted by ブクログ
吹き溜まり
1. 雪や落ち葉などが、風に吹きよせられてたまっている場所。
2. 行き場のない人たちが、自然と寄り集まる所。
「吹溜りは孤立した部屋で見つかることになっている」
「ご存じのように、大半の吹溜りはあえて沈黙しているが、言葉を発するものもいる」
最初の「吹溜り」を読んだ時に、大好きな、「アイアマンガー三部作」を思い出しました。上記の、哀愁ある雰囲気の中にも、茶目っ気溢れる様が、奇妙さと共に、親しみやすさを感じさせるところなんか、まさに一緒です。
ただ、どうしてもイラストの怖さに目がいくと思うのですが(表紙を見るとね)、物語を読んだ後は、その印象も変わると思います。もちろん、イ