古屋美登里のレビュー一覧

  • その名を暴け―#MeTooに火をつけたジャーナリストたちの闘い―(新潮文庫)
    Me Too運動のきっかけになったNY Timesのスクープの話。アメリカのジャーナリズムの力を思い知らされるほどのクォリティ。徹底的にジャーナリズムの作法が貫かれた取材とそのための努力は感動的。後段の最高裁判事候補者の話は最初はなぜ書かれているのか疑問だったが、最後の女性達の話し合いで合点。話もし...続きを読む
  • 呑み込まれた男
    『The other side of ピノッキオ!ジュゼッペ爺さんの物語』

    ピノッキオを探しているうちに巨大魚に呑み込まれてしまったジュゼッペの、魚の腹の中での生活を綴った物語。暗闇の中でただ一人生活するジュゼッペの機微を、作者の挿絵が効果的に描く。自分だったら気が狂いそうだな…
  • 呑み込まれた男
    圧倒的な孤独。巨大な鮫に飲み込まれてピノッキオのバッポであるジュゼッペ爺さん。鮫のお腹の中での二年間の孤独が幻影、記憶、悔恨、ピノッキオへの想いと、さまざまな創作物とともに描かれている。最後に現れたピノッキオは、幻影か、、死への誘いか。少し怖さと狂気を感じながら読みました。
  • 呑み込まれた男
    エドワード・ケアリーが作り出すもう一つのピノッキオ物語。呑み込まれたおじいさんは暗闇でどのように生き、考えたのか?
    冒頭から引き込まれ一気に読みました。この本は面白いです。
  • その名を暴け―#MeTooに火をつけたジャーナリストたちの闘い―(新潮文庫)
    映画界に強大な権力を持つ人間の問題行為。口止めや様々な圧力、有名な弁護士などによって守られた、もうどうしようもないように見える状況をどうやってくぐり抜けて取材をし、裏を取り、発表まで持っていくか。「え、その人はそっち側の人なの?!」といったような展開もあり、なかなかスリリングに面白い。途中、第二部的...続きを読む
  • 月の番人
    7/5の夜。
    仕事で遅くなって1時間も取れず。そんな中手に取ったのが、トム・ゴールド『月の番人』。絵本です。
    本を開いた瞬間に、芳しいインクの香り。月が舞台で、空に広がる宇宙と散りばめられた星が目に飛び込んでくる。月で警官をつとめる主人公は、閑散とした街と、どんどん去っていく住民を見送る側にいる。コ...続きを読む
  • おちび
    ロンドンの蝋人形館の創始者として有名なマダム・タッソー。
    フランスで生きた若い頃の波乱の人生を描きます。
    マダム・タッソーが描いたことになっている、筆者の絵も魅力的。

    マリーは可愛いとは言えない特徴のある顔の、小柄な女の子。
    早く両親を亡くし、ひたすら働き続けます。
    医師のクルティウス先生のところ...続きを読む
  • 月の番人
    今ここにいると、パーティーが終わってみんなが帰るのを見てるような感じなんだ

    さみしさの表現が素敵だと思った

    月は美しいけれど、月から見る地球の方が美しい

    人が少ないと安心安全だけど、だれもいないのはやっぱりつまらなくてさみしい

    がんばったとき褒めてくれるひとがいてほしい

    機械のミスなら、人...続きを読む
  • おちび
    1761年、スイスの小さな村で生まれたマリーは、父を亡くし町の医師クルティウス博士の家で母と共に働くことに。だが、人馴れしない博士の仕事とは病院から運ばれてきた遺体の型を取り、蠟で標本を作ることだった。クルティウスの弟子となり型取りの技術を身につけたマリーの運命は、舞台が革命前夜のパリに移ってから大...続きを読む
  • 飢渇の人 エドワード・ケアリー短篇集
    表現の仕方がたまらなく好き!

    動物や昆虫に家族の名前をつけて寂しさを紛らわす1人者だったり、頬張る様子が『空豆が空豆を追いかけて、体のなかに入っていく』と表現されていたり、目の付け所がとてもユニーク!

    甲乙つけがたいんだけど、「私の仕事の邪魔をする隣人たちへ」と「かつて、ぼくたちの町で」が特に好...続きを読む
  • 肺都
    ページ数が少なくなるにつれて、ああ、まだ終わらないでと思ってしまうくらい、愛しい物語でした。

    訳者のあとがきを読み、作者の物に対する溢れるほどの想いの深さを知ると共に、物語のテーマの深さも伺い知れたような気がします。物と人との関係性について。それは、決して薄いものではないこと。特に、ローランド・カ...続きを読む
  • おちび
    おもしろかった…!
    ずっと読みたかったんだけど値段にビビって買えずにいた♡
    結果買ってよかった…!久々に続きが気になって睡眠削ってまで読んでしまった。
    大好きなマダムタッソーミュージアム。
    本当楽しくて何回も行ってるけどその歴史は全然知らなかった。

    まさかのこんな苦労人の女性だったなんて。
    もちろ...続きを読む
  • 穢れの町
    舞台はルーシーの故郷、穢れの町へと移り、辛い現実を、さも当然であるかのように受け入れている人々に対するルーシーの勇気ある行動が気高く、まるで革命を起こす中心的人物であるかのよう。

    ルーシーに負けず劣らず、クロッドの成長も清々しいものがある。かつてはアイアマンガー一族であることに、なんの疑いもなくひ...続きを読む
  • 堆塵館
    最初こそ、設定の奇抜さに戸惑ったが、世界観を理解した瞬間、変わりました。これは面白い。

    十代の少年少女向けに書かれたというのも、奇妙な絵や世界観でありながら、単純に「クロッド」と「ルーシー」のハラハラドキドキの大冒険にハマってしまい、読書の止めどきが難しい感じで分かる。

    それにしても、この世界観...続きを読む
  • 肺都
    アイアマンガー3部作、ついに最終作。いや、スゲー最後を飾るにふさわしい力作!
    ページ数も中身の詰まり方も圧倒的ボリュームで読み応えたっぷり。

    アイアマンガー一族を葬り去ろうとするイギリス政府、反撃を企てるアイアマンガー一族。その2つの対立を基軸に、それぞれの勢力や第3勢力群の複雑に絡みあう利害関...続きを読む
  • おちび
    主人公の「おちび」(原題はLittle)とはマダム・タッソーのこと.例の蝋人形館には30年ほど前に行ったことはあってタッソーとは設立者だろうな,ぐらいにしか思っていなかった.7歳でパリに連れられてきた彼女がフランスで革命の激動に巻き込まれ,41歳でイギリスに渡るまでの期間を描いた話.
    どうやら史実に...続きを読む
  • 堆塵館
    三部作、貪るように読みました。子供の頃ハリーポッターにハマった時と同じ気分を味わえました。
    ティムバードンの世界観が好きな人にはおすすめ。映画化に期待…!
  • おちび
    ロンドンに実在する蝋人形館の経営者であるマダムタッソーの人生を描いた作品。
    決して美人ではなく、恵まれた環境にもおかれないマリーが、たくましく、貪欲に、力強く人生を生きていく姿が一冊を通して描かれていると思います。
    この物語の面白いところは聖人君子のような人間が出てこず、全員が一癖も二癖もあるような...続きを読む
  • 蜜のように甘く
    この短編集の雰囲気を豊かさを、わたしの語彙力では表現むり。10篇のうち特に好みな「お城四号」「蜜のように甘く」は萩尾望都、山岸凉子、ヤマシタトモコ、よしながふみのみなさんがマンガ化してくれてほしい切望で、つまりそういう深さ美しさのお話なんです。
  • おちび
    蝋人形館で有名なマダム・タッソーの波乱に満ちた人生を、彼女の自叙伝の形で描いたフィクションです。

    素晴らしく、感動する秀作です。

    これまで経験したことがない、新しいタイプの小説で、ケアリーの他の作品も読んでみたくなりました。

    著者、自身による挿絵も良かったです。