古屋美登里のレビュー一覧
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Posted by ブクログ
初めは何のことか分からず混沌とした感じで始まるも、ある程度情況が理解できてからは面白くなってくる。
特に訳が素晴らしい。各章話者が変わり、話し言葉で語りかけてくるという形式なので、訳しやすいのかも知らないけれど、いかにも英文訳!ではなく、日本語としてこなれているので、すんなり理解できる。
後半からは、スリルが加わり、あたかもハリーポッターの映画を観ているような雰囲気になる。
アイアマンガー一族の描写には、ユダヤ人とその歴史を彷彿させる様に思ってしまう。
3部作とはいえ、それぞれある程度の区切りがついて終わっているのかと思っていたのだが、やはり連続しているのですね…次を読まざるを得ない様 -
Posted by ブクログ
表題の通りである。
非日常は人を狂わせる。(米軍においてはおそらく)心身無事に帰還する兵の方が多いわけだが、PTSDに悩まされる帰還兵は少なくない。
「負傷兵の方がまだましだ」という見方もある。外傷は名誉の負傷であり、誰が見てもすぐにそれと分かる。
「撃たれて死ぬ方がまだましだ」とすら言える。戦死者の記念碑に、自殺した兵士の名は刻まれなかった。
例えばアメリカ領サモア。「彼の育った島には、マグロの缶詰工場以外に働き口がなかった。トーソロはうんざりするまで工場で働き、もっと充実した生き方を求めて島の募兵係のもとに出向いた」心の底から兵士になることを望んだわけではない。
否応なしに -
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Posted by ブクログ
戦場から帰還した兵士の苦しみが胸に刺さるが、兵士の妻の苦悩もまたいかばかりかと思う。夫は大変な仕事をしてきた。地獄を体験した。身心ともに疲れきっている。
しかし、生きていれば嫌でも生活というものをしなくてはならない。なのに、夫はあてにできないどころか、夫がいることで負担が増す。家事も、育児も、生計も全て自分にかかってくる。夫は国費で治療が受けられるが、自分は頼れる人もいない。苦しんでいる夫には当たれない。
夫を思いやり、顔は笑って家族を支えるのが、いい妻、いい母だとわかっていても、皆ができるわけじゃない。
それにしても。生きて帰ってきても幸せになれない人が多いのに、なぜ戦争を続けるのか。なぜ戦 -
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Posted by ブクログ
新聞の書評を見て、本書を手に取る。
アメリカ人のお互いに意見の違いを尊重しながら、議論を交わすのが、優れた特徴とちょっと前まで思ってもいましたが⋅⋅⋅
トランプが大統領候補になって、3回の大統領選での言動を見聞きするに、共和と民主の非難合戦、各支持者のお互いに相手を全面否定する怒鳴り合い、大統領候補の激しいけなし合い、それによる同じ国での国民の分断を驚き、荒んだ国になったんだなと呆れるばかりでした。
同書にもその黒くドロドロした感情が至るところにあり、読むのが辛くなります。
日本でもSNSなどを通じた政治の世界での非難合戦、或いはコロナワクチンを巡る肯定派と否定派の論戦、何事につけてもSNSで -
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