ディック・フランシスのレビュー一覧

  • 出走
    短編集。
    いつも事件に巻き込まれる主人公の一人称で書いているフランシスが、犯人の側から書いているのが新鮮。
  • 帰還
    再読中。

    若手外交官のピーター・ダーウィンが主人公。
    フランシスの競馬ミステリ・シリーズの30作目。

    ピーターが日本での勤務を終え、次の赴任地の本国へ戻る途中、知り合ったクラブ歌手のヴィッキイ夫妻の窮地を助けたことから、娘の結婚式へ向かう夫妻を送っていくことになります。
    行き先は偶然にもピーター...続きを読む
  • 証拠
    23

     最愛の妻を急病でなくして以来、半ば死んだように生きている主人公が立ち直る話。

     親から、疎まれはしなかったものの失望され、見放され、妻といる間だけが生きている実感だったワイン商。

    「 妻の急死の前兆に全く気付かなかったことに罪悪感を覚え、抜け出したはずの、過去の見捨てられた子供時代の...続きを読む
  • 転倒
    13―14
    主人公の兄がアルコール依存症です。というわけで、個人的にこの話はものすごく感動しました。
    立ち直ろうとする兄。信じきれないけど、支え続ける弟。
    兄は最後に、弟を助けて命を失います。その直後にかかってきた電話。

    「お兄さんとお話がしたいのですが」
    「申し訳ありませんが……」私が言った。「...続きを読む
  • 配当
    20
    「中学校の物理の教師で射撃の名手でもあるジョナサンは、ある日、友人のコンピュータ・プログラマー、ピーターからひそかに3本のテープを渡された。競馬のハンディキャップ決定のプログラムらしいのだが、数日後、ピーターはクルーザーの上で事故死し、ジョナサンも何者かに命を狙われた。ピーターはあのテープに何...続きを読む
  • 侵入
    24
    ふたつの厩舎の間のロミオとジュリエット。
    チャンピオンジョッキィ・キットは妹夫婦の苦境に立ち上がる。
    「周囲の反対を押し切って、先祖代代敵対するアラデック家の息子と結婚した妹ホリイ。ところが、何者かの扇動による中傷記事によって二人が営む厩舎が窮地に追い込まれてしまった。憎悪に満ちた記事を陰で操...続きを読む
  • 興奮
    3―1
    傑作と評判の作品。
    「〔競馬シリーズ〕最近イギリスの障害レースでは思いがけない大穴が十回以上も続出した。番狂わせを演じた馬には興奮剤投与の形跡が明白であったが、証拠が発見されなかった。そこにはどんなからくりがあるのか? 事件の解明を依頼された牧場経営者ロークは、厩務員に身をやつして、黒い霧の...続きを読む
  • 混戦
    9―10
    大好きです。主人公は元国際線パイロットのマット・ショア。さまざまな事情から転落して、今は小さな航空会社で働いている。
    あるチャンピオンジョッキィとその家族と知り合ったことから、新しい人生が開けてくる。

    言い訳をしない主人公です。
    フランシス節炸裂。
  • 名門
    21
    主人公は名門銀行の一族の若者。
    馬に出資を渡河、アニメーションに出資を、とかいろいろと融資の話を受けながら、出資した馬の不正を暴く話。
    冒頭のパーキンソン病の上司の幻覚がリアルでした。
    筆が乗っています。

  • 本命
    競馬シリーズ1(刊行順)4(翻訳順)以後1―4と略す。
    元チャンピオンジョッキィの処女作!!
    処女作でこの完成度はいったい何?
    アドミラル号の美しさ。
    人間観察の深さ。
    感動です。
  • 興奮
    障害レースで思いがけない大穴が続いていた。番狂わせを演じた馬は、その時の状況から推して明らかに興奮剤を与えられていた。ところがいくら検査をしても興奮剤を投与した証拠が出ない。どんなからくりで不正が行われているのか? 事件の解明を急ぐ障害レースの理事はオーストラリアに飛び、種馬牧場を経営するロークに黒...続きを読む
  • 騎乗
    緑色の背表紙のハヤカワ文庫。これがうちにはとてもたくさんあります…
    ディック・フランシスの36作目。文庫では2003年発行、原著は97年の作品です。
    もう何度読んだのか、わかりません。
    フランシスをまだ読んだことのない人はとても幸せだという言葉があります。まったく、その通り〜これから40冊も読める楽...続きを読む
  • 利腕
    ディック・フランシスでハードボイルドと言えるのはこの小説だけでは。別にハードボイルドの人じゃないけど。
  • 罰金
    ディック・フランシスの競馬シリーズの最大の魅力は競馬関連の漢字二文字の邦題にある(おい!)

    『重賞』や『大穴』のように直接的な競馬用語のときもあれば『興奮』や本作『罰金』のような競馬を連想させるようなものもありと様々だ

    もうこんなことされたら全作集めたくなるよね!
    もちろん原題が漢字二文字のはず...続きを読む
  • 興奮
    ポアロシリーズを集中的に貸してくれた知人に、お返し?としてフランシス(競馬ミステリ)を薦めたんだけど、はてどんな話だったかすっかり忘れてしまったので(読んだの30年近く前だもん)、自分でも再読してみた。面白かった。

    ラストは現在の自分的には落ち着かなかったが、30年近く前(まだ若い頃)にはどう思っ...続きを読む
  • 告解
     物語が始まってしばらくの間は、作品の方向性がよく分からず楽しめなかった。主人公が映画監督というのは面白いし、彼が撮影している映画が昔の事件を題材としていて、その映画化が過去になったはずの事件を再起動させてしまうという趣向は、なかなか良くできていると思う。

     ただ、全体としてごちゃごちゃしてしまっ...続きを読む
  • 奪回
    1983年発表の競馬シリーズ第22弾。後にフォーサイスが「ネゴシエイター」でも題材とした誘拐交渉人を主人公とする。
    犠牲/被害を最小限に抑えるべく、如何に行動し解決へと導くか。その心理的な駆け引きが最大の読みどころとなるが、本作のミソは交渉人が誘拐対策企業に勤める派遣スタッフの一人に過ぎないという点...続きを読む
  • 興奮
    少し前の時代のイギリス競馬界での不正を暴いていくストーリー。イギリス文化の中の競馬文化が興味深く、ヒヤリとするストーリー展開の中で用意周到に真犯人を突き止めていく主人公の執念が印象深かった。その仕事に集中すること、準備すること、想像すること、情熱を傾ける姿勢に共感した。
  • 骨折
    派手さはないが、渋い秀作。
    一行目からの刺激的独白による開幕は、全シリーズ通しての馴染みのものだが、その後の展開は、一人の甘ったれたガキが、誇り高き主人公との関わり合いの中で、人間として成長していくさまをじっくりと描いていくもので、虚飾を剥ぎ取ることでようやく大人への一歩を踏み出すところで小説は終わ...続きを読む
  • 興奮
    謎解きの面ではもう少し楽しませてほしかった気がするけれども、それは欲張りというものか。読み応え十分。ただし再読したくなるほどではない。