感情タグBEST3
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主人公のフィンもカッコいいし、ヒロインも文句無しにカッコいい。訳してる人の文章も本当にうまい。個人的にフィン家族の音楽の描写も洒落てて好き。
唯一の欠点は後書。余韻ぶち壊し。お前はディックフランシスを読むな、と突っ込んでしまった。
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フランシスの数ある傑作の中でも、個人的にはもっとも好きな作品のひとつ。もしかしたらベスト1かもしれない。
もちろんミステリなのだけど、それ以上に強く感じるのは、若者が戦い、挫折し、困難を乗り越え、そして栄光をつかむ物語としての魅力である。最初から最後まで、僕は主人公を応援しながら読んでいた。口の悪い人なら、ちょっとひねったサクセスストーリィに過ぎないと言うかもしれないけど、それでいいのだ。
恋愛の話や、主人公の置かれた境遇の話も、僕にはすとんと胸に落ちて興味深かった。そしてそれが単なる彩りの話ではなく、犯人と主人公の皮肉な共通点につながっていくあたりのプロットも心憎い。
思いの外早めに犯人も動機もわかるような物語だし、一点大きな疑問点が残ってしまう部分もあるので、ミステリとしては大傑作とは言えないかもしれない。でも、少なくともフーダットにしろホワィダットにしろ、十分に意外性があるし、最後の対決シーンを作るためにもあのタイミングで敵を明確にする必要があるのだろうと思う。少なくとも、ミステリとして水準以下とは思わない。
騎手の生活とそこに生きる者の誇りを生き生きと描き出しているという点において、こういう小説がかけるのはフランシスしかいないと思うし、実に魅力的な小説だと僕は思う。大好きな小説だ。
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初期の作品で一番好きな作品です。
音楽一家の中でただ一人音楽の才能がなく、競馬騎手になった主人公。
原因のわからない不調に苦しみ、マスコミにも度胸をなくしたと叩かれますが、ついにその理由を突き止め…
競馬界をめぐる意外な陰謀を解決します。
謙虚で観察力と思いやりとユーモアがあり、意志の強い主人公の性格が何とも素敵なのです。
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2―5
音楽一家に生まれながら、音楽の才能をもたなかったロバート・フィンが選んだのは、別の道で自分の才能を示すことだった。
そしてもう一人、フィンと同じ立場ながら、失ったものを認められない男がいた。
そして事件はおきる。
ラストのフィンの独白が印象的でした。
「ある意味では、自分は彼を理解することができる、と思った。私自身が不肖の子であるからだ。しかし、父は愛情をもって私を別の世界に住ませてくれた。だから私は音楽家が苦しむのを見る必要を感じない。
…寛容か、と思った。それはまた別のことである。
許すのには長い時間がかかる。」
最高傑作のひとつ。
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そうか、だから「競馬シリーズ」なのか。
障害競馬のお話だが、主人公は全く別人。
歳は行っているが駆け出しの騎手で、
家族はプロの音楽一家のため、いわゆる黒い羊。
いきなり、同僚の騎手が拳銃自殺する。
親切にしてくれた別の同僚は、
持ち主のいない車に道路をふさがれていて、レースに間に合わず、
使ってもらえなくなる。
主人公は、けがをしたトップ騎手の代わりに、
常勤の騎手になるチャンスをつかむが、
急にどの馬に乗っても調子が悪くなる。
思いっきりネタバレだが、
売れっ子のテレビ司会者が犯人とは思い切った設定だった。
しかも、この時代に女装はないだろう、と思っていたのに、
犯人は車を置き去りにするために女装していたし、
直接的暴力には出ないだろう、と思っていたのに、
主人公を拉致して馬具室に吊るしていた。
そういう意味で、予想外のミステリーだった。
幼いころから愛し続けていたが、
恋愛関係を拒否されていた従妹とは、
うまくいきかけていたが、
結局結婚できたのだろうか。
Posted by ブクログ
下積みの障害飛越騎手フィン。
ふとしたきっかけで有力馬の鞍を与えられ頭角を現すが、彼を待っていたのは嫉妬と怨嗟に凝り固まった男の陰謀だった。
しかしフィンは自らの力で真相を探り出していく。
ミステリというよりフィンの冒険譚。
過不足ない文章で削り出されるそのタフな姿。
カッコいいなー。
ラストの同じ境遇でありながら道が別れてしまった相手との対峙もシビれる。
面白いな~。
訳文に関しては読書会でたっぷり語るw