ディック・フランシスのレビュー一覧

  • 決着

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    ネタバレ

    競馬シリーズ32作目。

    絶対的なハッピーエンド好きとしては、
    登場人物たちの恋愛や結婚生活がうまく行ってほしいと常に願いながら、
    読み進んでいる。

    だが、この著者の場合、事件は解決したとしても、
    ハッピーエンドになるとは限らない。
    それどころか、尻切れトンボな「エンド」になってしまうことすらある。
    それがエンターテイメントではなく芸術なのだと言われればその通りなのだが。
    そんな消化不良を起こしながらも、
    このシリーズを読んでしまうのは作品が面白いからなのだと思う。

    という訳で今回の主人公の恋愛は上手く行かないものの、
    結婚生活はかろうじて平和的結末になったのが判って良かった。

    その主人公モリスは適切なあばら家を見つけ、
    その家に住みながら、必要な許可をとり、
    大工や左官の仕事を一人でやりとげて売ると言う建築家。
    その建築家としての教育を受けられたのは、
    母の元夫の父である男爵が費用を負担してくれたから。
    競馬場を経営していた男爵が亡くなり、
    その経営のゴタゴタに力を貸すことになる。

    男爵の孫の一人が、禿げかかっていることを気にしていて、
    可笑しかった。

    0
    2024年03月30日
  • 密輸

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    ネタバレ

    競馬シリーズ31作目。

    元騎手で現在は競走馬の運送業を営んでいる男の話で、
    タイトルが密輸とくれば
    馬の輸送で何かを運ぶ話だと何となく見えてくるが、
    それでもありきたりな麻薬とか盗品とか宝石とかではなく、
    面白いのはさすが。

    小さな村だというのに、
    実の父親と、自分の娘として育てている父親がいる緊張状態が、
    事件を引き起こすのかと思ったら違った。

    ジョッキイ・クラブの保安部から送り込まれてきた、
    8歳半年上の女性調査員との恋愛が
    宙ぶらりんで終わったしまったのは残念。

    0
    2024年02月01日
  • 標的

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    ネタバレ

    競馬シリーズ29作目。

    この競馬シリーズの面白さのひとつは、
    何かのできごとによって(殺人とは限らない)、
    人生が変わっていく瞬間を目撃できることだろう。

    今回の主人公ジョンは旅行社に勤めていて、
    サバイバルの技術が必要になるよう名旅行を手配していたが、
    衝動的に仕事を辞めて作家を目指していた。
    当然お金はなく、友人のおばの屋根裏部屋に格安で住まわせてもらっていたが、
    セントラル・ヒーティングがきかなくなって家を閉めることになり、
    いたしかたなく、ある調教師の伝記を書くことを引き受けることにする。
    賄いつきで屋敷に泊めてもらえるので。
    といっても賄いは冷凍ピザのことだったらしく、
    ジョンがトーストを焼いたり、料理をすることになってしまうが。

    調教師の第一印象は良くなかったし、
    バス乗り場で待っていた出迎えの車内の雰囲気は険悪で、
    なにをもめているのかわからないところからはじまり、
    ジョンがサヴァイヴァルの技術を生かして、
    自動車事故から皆を救い、
    調教師の家族になじんでいく過程が心温まる。

    とくに、調教師の若い息子とその友人にサヴァイヴァルを教え、
    自信をつけさせ、今の生活の幸せを学ぶのを助けたのは、良かった。

    全体的に、
    ジョンが調教師家族と過ごす「緩」の部分と、
    危機的状況に陥る「急」の部分が絶妙なバランスで配分されていて、
    とても面白かった。

    謎解きについては、
    最初から妻に対する過剰な独占欲を示していた夫が、
    怪しい、というか不自然さがあって、
    これは作者の意図があるんだろうな、と思っていたら案の定だった。

    ジョンにはアマチュア騎手にでもなって、
    このまま屋敷に留まってほしかったが、
    どうも孤独な作家生活にもどるようだ。
    残念。

    0
    2023年12月23日
  • 直線

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    ネタバレ

    競馬シリーズ28作目。

    障害競馬の騎手であるデリックは、
    年が離れていて一緒に生活したことのない兄と偶然街で再開し、
    その後はほどほどにつきあっていたが、
    突然の事故でその兄を失う。
    そして、もっと生前に親しくすればよかったと後悔するところは良かったが、
    経営していた宝石会社や持ち馬とともに、恋人も相続するとは。

    宝石会社の仕事をだんだんと覚え、
    従業員の信頼を得て行き、
    それぞれに新しい仕事と昇進をあたえて軌道に乗せるところが印象的。
    取り扱っていなかったはずだが、
    購入したはずのダイヤモンドを探してはいたが、
    多分彼の家に侵入したり襲ったりしたのは馬関係なのだろうなとは思っていた。

    話の最初から最後まで足を怪我をしていたデリックだったが、
    運転手役をしてくれていた失業中の溶接工ブラッドが良かった。
    無口で運転手としての腕は確かで、デリックの危機を救ってくれる。
    しかもデリックの「頭のいい」お母さんのおかげでダイヤモンドの一部は無事だった。
    素晴らしい。

    0
    2023年12月12日
  • 横断

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    ネタバレ

    競馬シリーズ27作目。

    今回のテーマはカナダを横断する豪華列車。
    カナダの競馬界を盛り上げるため企画された列車の旅で、
    馬主と馬を乗せ、途中の競馬場でレースをする。
    しかも、ミステリーのお芝居つき。

    主人公は英国ジョッキークラブの陰の保安部員。
    幼少時に母と父を続けて亡くし競馬好きの叔母に育てられ、
    その叔母の死後は7年ほど世界を放浪し、
    イギリスに戻って叔母や父の遺産を相続した。
    競馬に詳しく、誰にも顔を知られず、しかも目立たない風貌ということで、
    競馬場で不正行為を見はったり、
    不審人物を尾行したりする保安部員として働いている。

    その仕事の一環で、恐喝や殺人の疑いのある男を追って、
    カナダ横断列車に乗り込むことになる。
    最初は馬主を装うつもりが、部屋が近すぎてウエイターに化けることにし、
    制服を着て働きながら、列車や馬の安全を守るべく奔走する。

    列車ミステリーと言えば「オリエント急行殺人事件」なので、
    誰かが殺されると思い込んでいたが、
    プライベート車両が切り離されたり、
    列車が故障させられ後続列車に追突されそうになったりと、
    MIPに近いかも。
    それにしても、列車の旅はいいねぇ。

    列車で移動する主人公の連絡係として、電話の内容を取り次いでいた、
    保安部長の寝たきりの母親との交流が良かった。
    主人公にとって、亡き叔母を思わせる存在だったのに、
    亡くなってしまって残念だった。

    0
    2023年11月18日
  • 連闘

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    ネタバレ

    競馬シリーズ25作目。

    珍しく続編だった。
    もちろん前作「侵入」も読んでいるので、
    冒頭で主人公キットと婚約者ダニエルとうまくいっていないのに、
    心が痛んだ。

    今回はキットが騎乗する馬の馬主、カシリア王女が事件に巻き込まれる。
    夫の共同経営者が、銃の製造に乗り出すべく、
    夫を、カシリア王女を脅迫してくる。
    その状況の中で馬が殺されたのはかわいそうだった。

    ダニエルと趣味が合い、
    カシリア王女の甥という高貴な生まれの恋敵が現れ、
    心穏やかではいられないにも関わらず、
    脅迫者に対しては共闘せざるを得ない。
    その過程で彼を好ましく思ってしまうキットは、
    その度量の深さ、公平さが素晴らしい。

    面白かったのは、王女の家の「竹の間」、
    貴人を泊めるのにふさわしい中国趣味の部屋をめぐって、
    王女の夫の妹が噛みついてくるところ。
    しかも彼女は意外にキーパーソンだった。

    最後には、長年の宿敵を排除することができて、
    ダニエルとはハッピーエンドになって良かった。

    0
    2023年10月20日
  • 侵入

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    ネタバレ

    競馬シリーズ24作目。

    普段、解説は軽く読み流していて
    誰が書いているのかなんて気にしたことがないのだが、
    大河ドラマのロケのために乗馬訓練をしたとあっては、
    誰なのかと読み返した。
    俳優児玉清。
    アタック25の司会者でもあり、ミステリー好き、いや本好きとして有名な方だ。
    川中島決戦の本番で落馬し、
    馬や乗馬、騎手を描くディック・フランシスの偉大さがわかったということだった。

    今回の主人公キットは障害競馬の騎手。
    「ロミオとジュリエット」のジュリエットの双子の兄だ。
    その妹夫婦が新聞に中傷記事が載ったせいで、
    厩舎の経営が経済的危機に陥る。
    盗聴器とか、ビデオ撮影とか、スタンガンとか新しいものがいろいろ出て来た。

    馬を引き上げに来た馬主との対決や新聞社との争い、
    もちろんレースそのものといろいろ見せ場はあったが、
    個人的ヤマ場は、キットがナイフで脅されていた時に、
    馬主の王女のロールスロイスが通りかかり、
    開けられた後部ドアに転がりこんだところ。
    キットのことがお気に入りとはいえ、
    躊躇なくただの騎手のキットの危機を救う王女がかっこよすぎる。

    王女の姪と買い物に出かけて、
    お互いへの贈り物を別々に買って、
    好みが同じだとわかった場面がかわいらしかった。

    0
    2023年09月21日
  • 名門

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    ネタバレ

    競馬シリーズ21作目。

    この競馬シリーズ、
    氷の海に投げ出されたり、レースで優勝したとたん誘拐されたりと、
    劇的な幕開けは数多いが、
    今回は銀行の幹部が噴水の池の中で立ち、
    水を嫌う白い顔の男たちから逃げるためだよと語るという、
    別方向で驚きの幕開けだった。
    パーキンソン病の薬を変えたために見た幻覚だったが。

    主人公ティムは幹部の部下。
    銀行の名と同じ姓で創業者の孫にあたるが、
    父母共に浪費家のため金持ちではなく、
    父の死後、伯父に言われて銀行に入ったが、
    逆になかなか出世できないでいた。

    アスコット競馬場で、偶然、馬の治癒師の命を助けたり、
    アニメーションへの投資に成功して取締役に出世したり、
    種馬を対象にした投資をきっかけに牧場主と知り合ったりと、
    治癒師の友人の獣医が殺されたし、幹部の妻に恋をしてはいるが、
    今回は危険度が低いなと思っていた矢先、
    牧場主の16歳になったばかりの娘が殺された。
    ティムと兄妹のような関係になっていたので、衝撃的だった。

    全体的には、ティムのサクセスストーリーのようで面白かった。
    自分が死ぬ気がしないと言っていた割には、
    最後に薬を盛られた馬と厩舎に閉じ込めれて大けがをしてしまったが。
    そして、
    退職して妻と世界旅行にでかけた幹部が旅先で亡くなってしまった、
    というラストも衝撃的だった。

    0
    2023年07月22日
  • 配当

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    ネタバレ

    競馬シリーズ20作目。

    前半と後半で主人公が変わる、という珍しい構成。
    前半が物理教師の兄、後半が競馬関係の支配人の弟。
    ある男が開発した競馬に勝つコンピューターシステムをめぐって、
    脅したり、殴ったり、閉じ込めたり。

    兄の話の方が面白かったかな。
    オリンピック選手の腕前で電話の接続箱を狙撃したり、
    システムを作った男の未亡人から話を聞き出したり、
    殺人犯を逮捕させたり、
    妻が監禁されたことから、仲が回復したり。
    物理の授業のために銃をとりに行って教室に戻ったら、
    生徒の一人がリンゴを頭にのせて黒板の前で待っていた場面も面白かった。

    弟の話の方は、
    復讐の鬼になった殺人犯が主人公になってしまったような感じ。

    あとは、コンピューター関係の話がついていけなかったが、
    勝ち続けていると賭け屋が引き受けてくれなくなるので、
    あちこちにでかけていって賭けをしないといけないとか、
    賭け屋が相手によってオッズを変えても良いとか面白かった。

    0
    2023年06月27日
  • 試走

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    ネタバレ

    競馬シリーズ17作目。

    とうとう、でました。
    イギリスならではの王室メンバー。
    チャールズ国王の戴冠式と見たばかりだったので、
    「王子」の登場にも違和感なく読めた。

    眼鏡使用が禁止されたため騎手をやめざるを得なかったランドルは、
    王子みずから、
    義弟である伯爵がモスクワでのオリンピックに無事出場できるよう、
    調査してほしいと頼まれてしまい、断れず引き受けてしまう。

    伯爵と騎手仲間のドイツ人の男が心臓まひで亡くなる間際で残した
    「アリョシャ」という謎の言葉を手掛かりに、
    モスクワに向かうランドル。

    尾行、監視、盗聴といかにも冷戦中のモスクワらしいモスクワで、
    新聞記者や競馬関係の人々に話を聞き始める…。

    ミステリー小説というよりかはスパイ小説かも。
    何度も襲われたし、
    探偵でもないのにかなり危険な橋をわたっていた。
    しかも、伯爵一人の問題を解決するだけではなく、
    テロの計画をつきとめるとは、かなりスパイっぽい。

    耳おおいのついた毛皮帽のひもはあごの下で結ぶと、
    弱虫と思われる、というのは知らなかった。

    0
    2023年05月08日
  • 重賞

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    ネタバレ

    競馬シリーズ14作目。

    おもちゃの特許で財を得て、馬主となったスコットは、
    自分が調教師と賭け屋にだまされて、
    大金をとられていたことに気が付く。
    だが、調教師の厩舎から馬を引き上げようとして、
    妨害され、違う馬をつかまされ、悪評を流される。

    恋人に会いに行ったアメリカで、
    そっくりの馬を見つけたことから、
    自分の馬を取り戻し、復讐することを考えつく。

    友人と友人の幼なじみ、助手と恋人と、
    復讐の計画を立てて実行していたのが、
    とても楽しそうだった。
    ハリウッドで映画化されないのが不思議なくらい。

    スコットと調教師の妻が、
    お互いに身代わりの馬を見破られないように、
    丁々発止で相手を馬に近づけないようにする場面が面白かった。

    エピローグでは、スコットは取り戻した馬を仲間4人に譲渡し、
    チャンピオン・ハードルに出場するが、二着だった。
    ハリウッドの映画なら、優勝で終わるはず。

    0
    2023年04月08日
  • 転倒

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    ネタバレ

    競馬シリーズ13作目。

    仲介業者のジョウナは、
    不正を働く同業者に仲間に入れと脅される。
    競り落としたばかりの馬を奪われたり、
    預かっていた馬を放たれたり、
    家に放火されたりと。
    彼らを操っている黒幕は誰なのか。

    ジョウナの口笛に応えた引退した障害馬に乗って、
    逃げた馬を追いかける場面が良かった。
    ジョウナの不安と焦る気持ちに応えて激走し、
    若い平地競走馬に追いつき、無事捕まえることができた。
    昔のレースを思い出して、誇らしげにいななく老馬がかわいらしかった。

    正直、仲介がらみの詐欺は難しすぎて
    そのすべてを理解できたわけではないが、興味深かった。
    ジョウナが自らの知識と誠実さで、
    強欲な同業者と戦っていくのが面白かった。
    ついにアルコール依存症と戦うことにした兄が、
    殺されてしまったのは残念だった。

    0
    2023年04月02日
  • 暴走

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    ネタバレ

    競馬シリーズ12作目。

    今回も危機的なオープニング。
    ジョッキークラブの調査員ディヴィットは、
    ノルウェーにイギリス人騎手が起こした売上金盗難事件を調査に行く。
    盗聴を避けるために、現地の調査員とボートで話し合っていると、
    船にぶつかられ極寒の海にほりだされてしまう。
    なんとか、二人とも助かるが、
    騎手の死体が見つかった後に、乗っていた車が爆発する。

    皆が騎手が金をもって逃走したと思っているところに、
    死体を探すべきだと爆弾発言をするところや、
    現地調査員を罠にはめるところ、
    子供の目撃者から犯人の情報を聞き出すところと、
    かなり探偵っぽい。

    でも、かなり命を狙われていることにビビっていたので、
    危険を覚悟で事件の目撃者であり、犯人の息子である青年を助けに行く
    展開になるとは思ってなかった。
    たんたんとした感じではあったが、面白かったかな。

    0
    2023年03月26日
  • 骨折

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    ネタバレ

    競馬シリーズ10作目。

    二組の父と息子の話。
    息子をコントロールしようとする父親たちと、
    父のもとから逃れた息子とその影響下にあることもよくわかっていない息子。

    車の事故で骨折をした父の代わりに、
    厩舎を管理することになったニールは、突然誘拐される。
    経験のない若者を騎手として優勝馬に乗せてダービーに出せ、と脅される。
    厩舎を守るために受け入れたニールだったが、
    若者は生意気で鼻持ちならず馬丁頭や馬丁たちともめる。
    もちろん、そう簡単に実績のない騎手を優勝場に乗せるわけにはいかず…。

    ミステリーというよりは、
    若者の父との葛藤、そして成長物語だろう。
    父親たちが二人とも死んでしまう、という最後は少し残念だが、
    若者が騎手として、自分の足で歩いて行けるようで良かった。

    他の小説に出て来たポストオフィスタワーの回転レストランのことが、
    ちらっと出て来たのがチャームポイント。

    0
    2023年03月06日
  • 査問

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    ネタバレ

    競馬シリーズ8作目。

    騎手のケリイは調教師と共に査問委員会に呼ばれ、
    八百長レースをしたとして、免許をはく奪される。
    調教師の娘が、意気消沈している父親を助けてほしいと言いにきて、
    身に覚えのないケリイは、
    査問委員や召喚された証人たちを調べ始める。

    イギリスの競馬は上流階級からはじまったため、
    階級社会を色濃く映し出している。
    馬主や調教師にとって、騎手や馬丁はまともに相手にする人間ではない。
    それゆえ、ケリイが馬主や調教師に嫌われないように、
    自分が大学を卒業したことは秘密にしていた。
    興味深い。

    女性が狂人になってしまったり、
    鞭打ちクラブが脅迫のネタだったりと、
    ちょっとミステリーとしてはいまひとつ。
    鞭を入れると足をとめてしまう馬がいるとは、知らなかった。

    0
    2023年02月07日
  • 興奮

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    イギリスの作家「ディック・フランシス」の長篇ミステリ作品『興奮(原題:For Kicks)』を読みました。

    「ディック・フランシス」作品は今年4月に読んだ『勝利』以来ですね。

    -----story-------------
    〔競馬シリーズ〕
    最近イギリスの障害レースでは思いがけない大穴が十回以上も続出した。
    番狂わせを演じた馬には興奮剤投与の形跡が明白であったが、証拠が発見されなかった。そこにはどんなからくりがあるのか? 
    事件の解明を依頼された牧場経営者「ローク」は、厩務員に身をやつして、黒い霧の調査に乗り出した!
    -----------------------

    競馬シリーズの第3作目で1965年(昭和40年)に発表され、同年に英国推理作家協会賞(CWA賞)を受賞した作品… 『東西ミステリーベスト100』で海外篇の35位として紹介されていた作品です、、、

    初期の作品は初めて読みましたね… 作品自体は現代にも通じる面白さでしたが、「オーストラリヤ」、「シドニイ」、「バア」、「ウイスキイ」、「ランド・ロウヴァー」、「スエター」等々、外来語の表記方法が時代を感じさせましたね。


    本作の主人公はオーストラリアで種馬牧場を経営する「ダニエル・ローク」… 「ダニエル」は、両親を早くを亡くし弟や妹たちの親代わりとして、経営の苦しい牧場で休む間もなく働き続けていた、、、

    そんな彼の牧場を、イギリスの障害レース理事会メンバー「オクトーバー卿」が訪ねてきて、障害レースの不正を調査するための潜入捜査を依頼する。

    イギリスでは障害レースで思いがけない大穴が続いており、番狂わせを演じた馬は、その時の状況から推して、明らかに興奮剤を与えられていたが、いくら検査をしても興奮剤を投与した証拠がでないという… 「ダニエル」は、迷った末に協力することを決断し、渡英する、、、

    複数の牧場で厩務員を装い調査を行ううちに、大穴をだした馬の多くが、短期間ではあるがハンパー牧場に在籍していたことが判明したことから、「ダニエル」はハンパー牧場に厩務員として潜り込む… ハンパー牧場の厳しい労働条件に耐えながら、「ダニエル」は牧場主の「ヘドレイ・ハンバー」と馬主の「ポール・ジェイムズ・アダムズ」が組んで、人間にはほとんど聞こえない犬笛を使って、馬に恐怖体験をすり込んでいる事実を突き止めた… 大穴を出したレースは全て最後の直線が長いコースで、最後の直線にかかった瞬間に犬笛を吹くと、馬は恐怖心にあおられ、一気にゴールにむかって突っ走るという仕掛けだった。

    「ダニエル」は、「ハンバー」と「アダムズ」が、犬笛と火炎放射器を使って馬に恐怖体験すり込む現場を確認… 悪だくみの証拠を掴むが、そこに「オクトーバー卿」の娘「エリナー・タレン」が現われ、事態は思わぬ方向へ、、、

    「ハンバー」と「アダムズ」に潜入捜査をしていたことを暴かれた「ダニエル」は悪党どもとの争いとなる… そして、クルマで去った「エリナー」は、「アダムズ」から渡されたジン・アンド・カンパリの中に入れられた毒(可溶性フェノバービドン)を飲んでおり、二人は生命の危険に晒される。

    終盤の展開はスリリングかつスピーディーで愉しめましたね… そして、正義感が強く、汚名・屈辱・暴力に耐えながら謎を探る「ダニエル」の真摯な姿勢には共感できたし、懲悪勧善のハッピーエンドも良かったな、、、

    古書店に程度の良いモノがなかなかないのですが… 機会があれば、他の競馬シリーズも読んでみたいです。


    以下、主な登場人物です。

    「ダニエル・ローク」
     種馬牧場の経営者

    「オクトーバー卿」
     障害レースの理事会のメンバー

    「ロデリック・ベケット大佐」
     障害レースの理事会のメンバー

    「スチュアート・マクレスフィールド」
     障害レースの理事会のメンバー

    「ヘドレイ・ハンパー」
     調教師

    「ポール・ジェイムズ・アダムズ」
     馬主

    「エリナー・タレン」
     オクトーバー卿の娘

    「パトリシア・タレン」
     オクトーバー卿の娘

    「ウォリィ」
     厩務長

    「ジャッド・ウィルソン」
     厩務長

    「スーピィ・ターレトン」
     厩務員

    「バディ」
     厩務員

    「チャーリイ」
     厩務員

    「セシル」
     厩務員

    「グリッツ」
     厩務員

    「ジェリィ」
     厩務員

    0
    2023年01月27日
  • 飛越

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    ネタバレ

    競馬シリーズ5作目。

    ヘンリィは伯爵の跡継ぎでありながら、
    金持ちの娘と結婚させようとする家族への反骨心からか、
    馬と飛行機を愛する気持ちからか、
    周りの反対を振り切って競走馬の空輸に同乗し馬を引き渡す仕事につく。

    貴族階級を敵視し、暴力をふるってくる同僚とやりあいながら、
    仕事を続けているうちに、
    ミラノで恋に落ち、また、友人の不正に気が付く。

    ハッピーエンド好きでバッドエンドが好きではないが、
    この話は「エンド」すらない。
    ヘンリィはどうにか大型飛行機を操縦して無事着陸したが、
    銃で撃たれた恋人の生死もわからぬまま、話が終わってしまった。
    ひどすぎる。

    競走馬をヨーロッパへ、南米へ、アメリカへ飛行機で運ぶとは、
    おそるべし競馬業界。

    0
    2023年01月11日
  • 興奮

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    競馬ミステリー小説と言えば…
    この方…………!元競馬騎手でもある!

    巨匠ディッッック・フランシス!!

    はいよ〜!シルバぁぁぁぁ〜!!


    あらすじ


    最近イギリスの障害レースでは思いがけない大穴が十回以上も続出した。番狂わせを演じた馬には興奮剤投与の形跡が明白であったが、証拠が発見されなかった。そこにはどんなからくりがあるのか? 事件の解明を依頼された牧場経営者ロークは、厩務員に身をやつして、黒い霧の調査に乗り出した!

    ………読み終えてひと言!
    面白い!!男心をくすぐる!ハードボイルド臭!
    題名どおり興奮したじゃあ〜ないか!!

    内容は競馬の話になっているのですが!
    しかも!レースがメインではなく
    あくまでも裏側でストーリーが進んでいくのですが!
    私〜競馬なんて知らな〜いもんって思っている
    あなた!大丈夫!
    私だって最初…競馬か……知らん!
    賭けた事もなければ!見た事ない!
    唯一の知識としては『みどりのマキバオー!』
    ぐらいしか知らない〜もはや知識ゼロ!!笑
    そんな自分でも……
    読み始めはそう思っていました。
    けれど……
    全然大丈夫!知識ゼロでも全然楽しめたぁ〜

    ストーリーも潜入捜査もので
    かなりハラハラドキドキするシーンが多々
    そんな中で主人公のロークが作中で
    ほんっとに色々嫌な思いをするシーンがあり
    もう〜辞めて帰れって何度思った事か……
    それでも!!
    決して折れない不屈の闘志ローク
    う〜ん!めちゃかっこいい〜
    その他に出てくる登場人物も
    いい味出して物語を盛り上げてくれた事もあり
    後半からはイッキ読みしてしまいました!
    そしてラストのロークのひと言に
    思わず!!
    「くぅ〜〜〜っ」と唸ってしまいました!笑笑
    とても面白かったです!



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    2022年12月26日
  • 勝利

    Posted by ブクログ

    イギリスの作家「ディック・フランシス」の長篇ミステリ作品『勝利(原題:Shattered)』を読みました。

    「ディック・フランシス」と「フェリックス・フランシス」の父子共著の作品『祝宴』に続き、競馬シリーズの作品です。

    -----story-------------
    真冬の寒い日、レース場で起きた惨劇に観客たちは凍りついた。
    目の前で騎手が落馬し、馬に押しつぶされて死亡したのだ。
    友の突然の死に、哀しみにくれるガラス職人の「ローガン」だったが、まもなく彼のもとに一本のビデオテープが届く。
    それは友が命を賭して彼に遺したものだった。
    が、中身をたしかめる間もなく、押し入った何者かにより、テープが強奪されてしまう。
    謎を秘めたテープをめぐり、熾烈な争奪戦が今はじまる。
    -----------------------

    競馬シリーズの第39作目で2000年(平成12年)に発表された作品… 2007年(平成19年)に発表された第41作目の『祝宴』以降は次男の「フェリックス・フランシス」との父子共著ですし、本作の6年後の2006年(平成18年)に発表された第40作目の『再起』は「ディック・フランシス」単独名義とはなっているものの「フェリックス・フランシス」の協力を得て執筆されたことになっているので、「ディック・フランシス」単独の作品としては、『勝利』が最後の作品になるようですね、、、

    本作の主人公はガラス工芸作家の「ジェラード・ローガン」、彼の親友で騎手の「マーティン・ステュークリイ」から託されたビデオテープが原因で、ある事件に巻き込まれてしまいますが、ビデオテープを入手しようとする「ローズ・ロビンズ」の一味等から生命を狙われながらも、刑事の「キャザリン・ドット」や、「マーティン」の義母「マリゴールド」の運転手「ワージングトン」、ガラス工房の隣人「トム・ビジョン」と彼の愛犬3匹(ドーベルマン・ピンシャー)、運転手の「ジム」の協力を得ながら、難局を乗り越えて事件を解決する… というスリルたっぷりの作品で、感情移入しながら愉しめました。

    1999年(平成11年)の大晦日に騎手の「マーティン・ステュークリイ」が大障害レースの事故で死亡… ガラス工芸作家の「ジェラード・ローガン」は、「マーティン」の介添人「エディ・ペイン」から、「誰かが、あんたに渡してくれ、と言ってこれを「マーティン」に渡したんだ」と、一本のビデオテープを託される、、、

    新年を迎えた、その夜、「ローガン」の工房に賊が押し入り、訪問中の馬主「ロイド・バクスター」がてんかんで倒れるという事件が発生し、大晦日の売り上げである大金の入ったバッグとビデオテープが盗まれていた… 「マーティン」が「百万ポンドの価値がある」と語っていたビデオテープには何が写っていたのか?その内容も行方もわからないまま、「ローガン」は、ビデオテープを狙う競馬場の賭け屋「ノーマン・オスプレイ」と「ローズ・ロビンズ」等の一味からの襲撃に晒される。

    ビデオテープの謎を追い、真相を探る「ローガン」だったが、調査を進めるうちに、医師の「アダム・フォース」や、呼吸器科教授の「ジョージ・ローソン・ヤング」もビデオテープを探していることを知り、調査は混迷を極める… 古代のネックレスの制作過程を記録したビデオテープとガンの研究成果を記録したビデオテープの二つのビデオテープが存在していたことや、ビデオテープの内容を誤解していた人物のせいで、読者の方も「ローガン」と同じように混乱させられちゃいますが、最後はパズルのピースが嵌るようにスッキリと整理できて納得できました、、、

    クライマックスのガラス工房での悪党一味と入り乱れた対決は、なかなかの迫力でした… でも、ガラス加工のことを知り尽くした「ローガン」の方が一枚も二枚も上手でしたね。

    巻き込まれ型のスリラーで、ハッピーエンドは、本シリーズのパターンなのかな… 面白いですよねぇ、、、

    古書店になかなか置いてないのですが… 機会があれば、他の競馬シリーズも読んでみたいです。


    以下、主な登場人物です。

    「ジェラード・ローガン」
     ガラス工芸作家

    「ヒッコリイ」
     ローガンの助手

    「アイリッシュ」
     ローガンの助手

    「パメラ・ジェイン」
     ローガンの助手

    「マーティン・ステュークリイ」
     騎手

    「ボン・ボン」
     マーティンの妻

    「マリゴールド」
     ボン・ボンの母親

    「ワージングトン」
     マリゴールドの運転手

    「エディ・ペイン」
     マーティンの介添人

    「ローズ・ロビンズ」
     エディの娘

    「ヴィクター・ヴェリティ」
     ローズの甥

    「ジナ」
     ヴィクターの母親、ローズの姉

    「アダム・フォース」
     医師

    「ノーマン・オスプレイ」
     賭け屋

    「ブライアム・ジョーンズ」
     調教師

    「ロイド・バクスター」
     馬主

    「ケネス・トラブショウ」
     チェルトナム競馬場のトロフィ委員

    「ジョージ・ローソン・ヤング」
     呼吸器科教授

    「トム・ビジョン」
     ローガンの隣人

    「ジム」
     運転手

    「キャザリン・ドット」
     刑事

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    2022年12月26日
  • 興奮

    Posted by ブクログ

    大穴が続出する障害レース。
    興奮剤投与の疑いが!
    はたしてその方法とは?!

    ディック・フランシスの『競馬シリーズ』初読みですヽ(´▽`)ノ

    ーーーーー

    こちらの作品、なぜ手に取ったかと申しますと、フレンドのお兄様一推しの本。

    フレンド本人は読まないとの事なので、私と別のフレンドが読んで感想文を書くという事に。

    なんだか面白い展開になっております( -᷄֊-᷅ )

    著者のディック・フランシスはかなり有名な方のようです。
    初めて読みました(*´˘`*)

    『競馬』と聞くと、少し抵抗がありまして「ギャンブルやん」「競馬知らないと意味分からないのでは?」と懸念するも、全く問題ありませんでした。

    ハヤカワミステリ文庫ですが、ミステリと言うよりもサスペンスかなという印象。

    犯人云々よりむしろ「興奮剤投与の方法」を推理する流れ。

    主人公ダニエル・ロークは馬丁となり潜入捜査をします。
    潜入先の厩舎で過酷な労働を強いられ、華やかな競馬の世界の裏側を垣間見た感じがしました…(›´-`‹ )
    じ…実際は違うよね?

    話が盛り上がる中盤までは、登場人物の多さと競馬の世界観について行くのにメモしましたが、半分を過ぎると面白くって一気読み!

    この『興奮』というタイトルは興奮剤という意味だけではなく、ロークの意思・希望・性格のようなものも含まれているのかなぁという印象がありました。
    あと、読者が興奮するよ( ≖ᴗ≖​)ニヤッという意味。

    ダニエル・ロークシリーズがあるのかと思いましたが、彼は『興奮』にしか出てこないようです。

    競馬が分からなくても楽しめる作品でした。

    もちろんお馬さん好きならもっと興奮する作品だと思いますヽ(´▽`)/♡

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    2022年12月26日