ディック・フランシスのレビュー一覧

  • 証拠

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    23

     最愛の妻を急病でなくして以来、半ば死んだように生きている主人公が立ち直る話。

     親から、疎まれはしなかったものの失望され、見放され、妻といる間だけが生きている実感だったワイン商。

    「 妻の急死の前兆に全く気付かなかったことに罪悪感を覚え、抜け出したはずの、過去の見捨てられた子供時代の呪縛に取り付かれ、砂を食むような毎日を送っている。
     その彼が、ゆっくりと歩き出して語る最後の独白。

    「エマ…エマ…エマ…」と叫びながら家の中を通っていった。声が壁にぶつかって反響している。
     彼女を求めて叫んでいるのではなく、彼女に告げたくて叫んでいた…彼女に聞いてもらいたかった…自分がは

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    2009年10月04日
  • 名門

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    21
    主人公は名門銀行の一族の若者。
    馬に出資を渡河、アニメーションに出資を、とかいろいろと融資の話を受けながら、出資した馬の不正を暴く話。
    冒頭のパーキンソン病の上司の幻覚がリアルでした。
    筆が乗っています。

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    2009年10月04日
  • 配当

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    20
    「中学校の物理の教師で射撃の名手でもあるジョナサンは、ある日、友人のコンピュータ・プログラマー、ピーターからひそかに3本のテープを渡された。競馬のハンディキャップ決定のプログラムらしいのだが、数日後、ピーターはクルーザーの上で事故死し、ジョナサンも何者かに命を狙われた。ピーターはあのテープに何を入れていたのか?コンピュータに詳しい同僚に頼んで調べてみたところそこに組込まれていたのは、3回に1回は当るという驚くべき確率の勝馬予想システムだった!テープをめぐる血みどろの争奪戦を新機軸の構成で描く意欲作。」書評より

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    2009年10月04日
  • 転倒

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    13―14
    主人公の兄がアルコール依存症です。というわけで、個人的にこの話はものすごく感動しました。
    立ち直ろうとする兄。信じきれないけど、支え続ける弟。
    兄は最後に、弟を助けて命を失います。その直後にかかってきた電話。

    「お兄さんとお話がしたいのですが」
    「申し訳ありませんが……」私が言った。「兄は……いまいないのです」
    「困りました」暖かい同情を含んでいた。「とにかく……こちらはアルコール中毒自主治療協会です。きょうの夕方、お兄さんから、助力をうけたい、というお電話があって、後でこちらから電話して、よくお話を伺う、と約束したのです……」
     私たちは、その後もしばらく話を続けたが、私は相手

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    2009年10月04日
  • 混戦

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    9―10
    大好きです。主人公は元国際線パイロットのマット・ショア。さまざまな事情から転落して、今は小さな航空会社で働いている。
    あるチャンピオンジョッキィとその家族と知り合ったことから、新しい人生が開けてくる。

    言い訳をしない主人公です。
    フランシス節炸裂。

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    2009年10月04日
  • 興奮

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    3―1
    傑作と評判の作品。
    「〔競馬シリーズ〕最近イギリスの障害レースでは思いがけない大穴が十回以上も続出した。番狂わせを演じた馬には興奮剤投与の形跡が明白であったが、証拠が発見されなかった。そこにはどんなからくりがあるのか? 事件の解明を依頼された牧場経営者ロークは、厩務員に身をやつして、黒い霧の調査に乗り出した!」書評より

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    2009年10月04日
  • 本命

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    競馬シリーズ1(刊行順)4(翻訳順)以後1―4と略す。
    元チャンピオンジョッキィの処女作!!
    処女作でこの完成度はいったい何?
    アドミラル号の美しさ。
    人間観察の深さ。
    感動です。

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    2009年10月04日
  • 興奮

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    障害レースで思いがけない大穴が続いていた。番狂わせを演じた馬は、その時の状況から推して明らかに興奮剤を与えられていた。ところがいくら検査をしても興奮剤を投与した証拠が出ない。どんなからくりで不正が行われているのか? 事件の解明を急ぐ障害レースの理事はオーストラリアに飛び、種馬牧場を経営するロークに黒い霧の真相究明を依頼した。元全英チャンピョン・ジョッキーが描く競馬ミステリの白眉!―――――ジャンルはミステリというよりもハードボイルドになるでしょうか。あらすじの通り、主人公が潜入捜査するお話です。案外つまづかずに読めました。潜入捜査のため偽りの自分を演じる主人公なんですが、そこがカッコ良くて、正

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    2009年10月04日
  • 騎乗

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    緑色の背表紙のハヤカワ文庫。これがうちにはとてもたくさんあります…
    ディック・フランシスの36作目。文庫では2003年発行、原著は97年の作品です。
    もう何度読んだのか、わかりません。
    フランシスをまだ読んだことのない人はとても幸せだという言葉があります。まったく、その通り〜これから40冊も読める楽しみが残っているのですから!(^^)

    フランシスの作品は一作ずつ独立していますが、主人公の男性の一人称で語られるのは共通しています。
    職業年齢は様々ですが、意志が強く、思いやりがあり、何らかの専門知識がある所も共通点なのです。30歳前後が一番多いでしょうか。

    さて、この作品は主人公のベンが17歳

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    2009年10月15日
  • 利腕

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    ディック・フランシスでハードボイルドと言えるのはこの小説だけでは。別にハードボイルドの人じゃないけど。

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    2009年10月04日
  • 勝利

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    真冬の寒い日、レース場で起きた惨劇に観客たちは凍りついた。目の前で騎手が落馬し、馬に押しつぶされて死亡したのだ。友の突然の死に、哀しみにくれるガラス職人のローガンだったが、まもなく彼のもとに一本のビデオテープが届く。それは友が命を賭して彼に遺したものだった。が、中身をたしかめる間もなく、押し入った何者かにより、テープが強奪されてしまう。謎を秘めたテープをめぐり、熾烈な争奪戦が今はじまる。

    シリーズ第39作。19年ぶりに再読。ストーリー展開がややギクシャクしているように感じた。ジャケット写真のVHSテープ、そのうちに何なのかわからなくなる日が来るかもしれない。

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    2025年07月24日
  • 烈風

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    気象予報士のペリイは、同僚とカリブ海でハリケーンの“目”の中を飛行する冒険に挑んだ。だが、“目”から出る時、強風に揉まれて飛行機は海上に不時着、ペリイは嵐の海に投げ出された。漂流の末、彼は無人島にたどり着くが、廃屋の金庫の中で奇妙な物を発見する。しかも、やがて銃を携え奇妙な服に身を包んだ一団がやってきた。九死に一生を得てイギリスに戻った彼は、真相を解明すべく陰謀の渦中へと踏み込んでいく。

    シリーズ第38作。約20年ぶりに再読。ハリケーンの目の中を飛ぶシーンは覚えていたものの、ストーリーの展開は忘却の彼方。

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    2025年07月12日
  • 騎乗

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    17歳の障害騎手ベンが突然厩舎を解雇されたのは、父親ジョージの策略だった。ジョージは下院議員選に勝利するため、唯一の家族であるベンを必要としていたのだ。激しい反発を覚えながらも、やがて父親に説得されたベンは選挙活動への協力を誓う。しかし、選挙区では、ジョージに対するスキャンダル攻撃と暗殺工作が待ちかまえていた!十代の少年を主人公に据え、生きることの厳しさと真の男の勇気を描くシリーズ第36作。

    22年ぶりに再読。こんな大人の17歳は、さすがにありえない。

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    2025年07月09日
  • 烈風

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    競馬と飛行機と裏取引と様々なテーマが盛り込まれたミステリー
    それにしても台風の目を飛ぶとはなかなかスリリング…

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    2025年04月22日
  • 罰金

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    ディック・フランシスの競馬シリーズの最大の魅力は競馬関連の漢字二文字の邦題にある(おい!)

    『重賞』や『大穴』のように直接的な競馬用語のときもあれば『興奮』や本作『罰金』のような競馬を連想させるようなものもありと様々だ

    もうこんなことされたら全作集めたくなるよね!
    もちろん原題が漢字二文字のはずがないので(おそらくイギリスには漢字文化はないと思われる)これはもう早川書房の商売がうまいということだ!馬だけに

    『罰金』取られてもおかしないオチ

    そして本作も『罰金』とられてもおかしくない結末でした
    もう大昔の男尊女卑の考え方がどスレートに出てる男にとってだけのハッピーエンド
    昔はそれを表現し

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    2022年08月14日
  • 興奮

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    ポアロシリーズを集中的に貸してくれた知人に、お返し?としてフランシス(競馬ミステリ)を薦めたんだけど、はてどんな話だったかすっかり忘れてしまったので(読んだの30年近く前だもん)、自分でも再読してみた。面白かった。

    ラストは現在の自分的には落ち着かなかったが、30年近く前(まだ若い頃)にはどう思ったんだっけな?

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    2019年06月27日
  • 告解

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     物語が始まってしばらくの間は、作品の方向性がよく分からず楽しめなかった。主人公が映画監督というのは面白いし、彼が撮影している映画が昔の事件を題材としていて、その映画化が過去になったはずの事件を再起動させてしまうという趣向は、なかなか良くできていると思う。

     ただ、全体としてごちゃごちゃしてしまっているし、過去の事件そのものが後味があまり良くない出来事なので、なんか読んでいてスッキリしないのだ。主人公が過去の事件に首を突っ込んでいくあたりも、なんとなく動機が曖昧で、探求型としても巻き込まれ型としてもピンとこない。そのために、「良い映画=売れる映画を作る」ためにあれこれ動いているだけのようで、

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    2018年10月20日
  • 奪回

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    1983年発表の競馬シリーズ第22弾。後にフォーサイスが「ネゴシエイター」でも題材とした誘拐交渉人を主人公とする。
    犠牲/被害を最小限に抑えるべく、如何に行動し解決へと導くか。その心理的な駆け引きが最大の読みどころとなるが、本作のミソは交渉人が誘拐対策企業に勤める派遣スタッフの一人に過ぎないという点にある。通常は防衛策を施すサポートに徹し、不幸にも誘拐となった場合には犯人との交渉、奪回まで責任を負う。要人を対象とする誘拐事件は国内外問わず発生する恐れがあるため、ネットワークを駆使できる専門企業の創出は、リアリティを持たせる上でも不可欠だったのだろう。
    当然、警察や関係者らとの連携/折衝など、瞬

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    2018年10月18日
  • 興奮

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    ネタバレ

    少し前の時代のイギリス競馬界での不正を暴いていくストーリー。イギリス文化の中の競馬文化が興味深く、ヒヤリとするストーリー展開の中で用意周到に真犯人を突き止めていく主人公の執念が印象深かった。その仕事に集中すること、準備すること、想像すること、情熱を傾ける姿勢に共感した。

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    2017年03月04日
  • 骨折

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    派手さはないが、渋い秀作。
    一行目からの刺激的独白による開幕は、全シリーズ通しての馴染みのものだが、その後の展開は、一人の甘ったれたガキが、誇り高き主人公との関わり合いの中で、人間として成長していくさまをじっくりと描いていくもので、虚飾を剥ぎ取ることでようやく大人への一歩を踏み出すところで小説は終わっている。
    やはりフランシスは巧い。

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    2014年12月25日