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Posted by ブクログ
競馬シリーズ37作目と言ってよいのか、短編集。
競馬×ミステリーを短編にすると、
詐欺や盗みばかりのかなり殺伐とした感じになるらしい。
なんといっても、
いつもの信念と正義感を持ち合わせた紳士的な主人公たちがいないので、
登場人物にはかなり悪人が多い。
とはいえ面白かった。
例えば「悪夢」は、
馬に関する知識を武器にトップセールスマンとして三年働いていた男の話だが、
実は馬泥棒で車の事故で死んだ父親の代わりになる相棒を探していたとか、
見ていた「悪夢」は
実は警察から逃れるために父親をひき殺してしまった事故だとか、
相棒にした財布泥棒のヒッチハイカーが
実は警官で、と面白かった。
「春の憂鬱」は五十歳の未亡人の馬主が二十四歳の騎手に恋をして、
それに気が付いた調教師に駄馬を高額で買わされるお話。
騎手が怪我をしたことから騙されていたことを知り、
同時に初めて自分の恋心に気づき、
夫がいなくて広すぎる家の台所に入ってお茶を入れ始めて泣く場面は、
最低限とも言ってよい字数で切ない気持ちにさせられた。
でも一週間で立ち直り、
騎手を見舞って自分の中の恋が終わったことを確認し、
さらに調教師をソフトに脅して馬を調教させ、
高額の懸賞金を手に入れたところはさすが。
それでも、愛していた他の馬も売って遠洋クルーズにでかけるラストは、
やはり切ない。
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