ディック・フランシスのレビュー一覧

  • 利腕
    シッド・ハレー物第2作。
    フランシスの作品は競馬シリーズといっても基本的には単発で、すべて一作ごとに完結しています。主人公の中で、3作描かれているのは彼だけ。
    それだけ登場した時の印象が強く、意志の強さや勘の良さは典型的でもあります。性格は冷静なようでも内面は激しく、孤独がちなほうで、それだけにヒー...続きを読む
  • 混戦
    主人公はパイロットのマット・ショア。
    かってはエリートだったのが、妻のために忙しい国際線を辞めたところからケチがつきだし、現在は落ちぶれかけたデリイダウン社でチャーター仕事を始めたばかりで、離婚手当にも苦労する毎日。
    イギリスで大人気の騎手コリン・ロスを含めた数人を競馬場へ運ぶ仕事を引き受けたところ...続きを読む
  • 黄金
    フランシスの作品の中でもお気に入りの一冊。
    フランシスには珍しく、大家族の中の殺人という古典的ミステリを思わせる設定になっていて、円熟した味わい。
    父のマルカムは大金持ちで5回も結婚したいう、エネルギッシュで人を惹きつけるオーラのある男性。
    主人公のイアンはアマチュア騎手で、気楽な独身生活を楽しむ物...続きを読む
  • 不屈
    タイトル通り、不屈な主人公!
    フランシスの主人公は皆、そういう性格とも言えるけど…
    画家という職業で、髪が長くカジュアルな服装、特に身体を鍛えてもいないという、一見やわなタイプ。
    実際には子供の頃から山歩きをしているのだが。
    母が再婚した相手が心臓発作で倒れたとの知らせに、スコットランドからロンドン...続きを読む
  • 興奮
    初期の代表作。
    長らくベストワンの位置を占めていました。
    オーストラリアの若き牧場主・ダニエル・ロークが、イングランドの競馬界の重鎮から、潜入捜査を依頼される。
    両親亡き後に弟妹を育てあげることに献身してきたダニエルだったが…?
    フランシスの主人公の中で、もっともハンサムで、おのずと自信があり、自己...続きを読む
  • 重賞
    読みやすいので、ディック・フランシスの作品を初めて読む方にオススメ。
    主人公はオモチャの発明家で、ひっそり暮らしているがじつは大金持ち。
    持ち馬を巡って、とんでもないトラブルに巻き込まれますが、周りの協力を得て解決に向かうのが軽快に描かれます。
    ヒロインはイギリスを訪問していたアメリカ女性で、感じの...続きを読む
  • 度胸
    初期の作品で一番好きな作品です。
    音楽一家の中でただ一人音楽の才能がなく、競馬騎手になった主人公。
    原因のわからない不調に苦しみ、マスコミにも度胸をなくしたと叩かれますが、ついにその理由を突き止め…
    競馬界をめぐる意外な陰謀を解決します。
    謙虚で観察力と思いやりとユーモアがあり、意志の強い主人公の性...続きを読む
  • 反射
    中期の傑作。
    母の友達に次々に預けられて点々としながら育ち、出自もよくわからなかった天涯孤独な主人公。
    淡々と生きてきた彼が祖母が生きていることを弁護士に知らされて次第に家族のいきさつを知り、幼い日の記憶の意味も知り、才能を生かして生きる道を見つけていきます。
    好感度の高い作品です。
  • 侵入
    キット・フィールディングを主人公とする連作の一冊目。
    双子の妹に振りかかった苦難を固い意志で取り除いていくキット。
    まだ若く、競馬騎手としても頂点にさしかかる頃で、エネルギッシュで存在感のある主人公のため、爽快感が強い作品。
  • 連闘
    キットを主人公とする連作の2冊目。
    尊敬する馬主で恋人の伯母でもある王女一家に降りかかった無理難題を解決するために奔走するキット。
    若々しく、トップに上り詰めるヒーローなのだが。
    意外な苦労と弱点が…
  • 大穴
    とうとうディック・フランシスに手をつけてしまいました。絶対おもしろいはずだと判っていながら手を出し損ねていたシリーズ。初期作品でこの完成度。素晴しい。
    あまり大きな声では言いにくいが、読み終えての第一の感想は、これって、天下御免のSM小説……?いや、シッドハーレーは確かにヒーローなんだけど、周囲は敵...続きを読む
  • 骨折
    フランシスを初めて読む方にもお薦めの一冊。
    競馬厩舎を営む厳格な父の元を出奔した主人公が、骨董商として成功し、大人になってから戻ってきます。
    病に倒れた父に代わって、厩舎を任され、不安顔の従業員を何とか取り仕切りますが、そこへ難題が!
    マフィアの首領が溺愛する息子の願いを叶えるために、最高の馬で最高...続きを読む
  • 罰金
     あらすじ:「絶対に自分の魂は売るな、、、自分の記事を金にするな、、、」そういい残してベテラン記者バートは7階のオフィスから転落した。ジェイムズは彼の言葉の真意を掴めずにいたが、バートが大々的に買いを勧めていた馬がレース直前に出走を取りやめていたことを知る、、、。
     たぶん、女性には受けが悪いのでは...続きを読む
  • 大穴
    4―2 シッド・ハレー初登場。
     元チャンピオンジョッキー。左手を失っている。
     義理の父親との交流がいい。
     別居中の妻との会話がいい。

     知り合った顔にやけどの跡のある女事務員との交流がいい。

    「「おわかりになったの」
     うなづいた。「家具の置きぐあいでね…きてくれますか…」
    「これでもまだ...続きを読む
  • 煙幕
    11−12
    大好きです。
    主人公は、精神発達障害の子どもを持つ、冒険映画主役の、映画俳優です。だから競馬メインじゃないんだって…。

     監督と反発した主人公は、主人公が苦悩するシーンで、最高の演技を見せてやろうとします。
     
     友人のコンラッドが言います。
    「仕上がったフィルムは、君の気に入...続きを読む
  • 利腕
    18
    シッド・ハレー再登場
    アメリカ探偵作家クラブ賞
    英国推理作家協会賞受賞作
    傑作です。

    詐欺に巻き込まれた元妻を救うために頑張るシッドに、ジョッキイ倶楽部の保安部長からも依頼が入る。
    襲われ、傷つけられたシッドとその傷に気がついた元妻の会話が白眉です。

    「…あなたの自分本位な考え方、頑固さ。...続きを読む
  • 反射
    19

    シリーズ中最愛の作品。

     母親に捨てられ、父親は不明で、あちこちの家を転々として育ち、成り行きで騎手になった主人公の独白。

    「長い年月、自分にとって生存とは、与えられたものを甘んじて受け、なにかの役に立つこと、物静かで好感を与え、問題を起こさないこと、抑圧的、内向的で自制すること、であ...続きを読む
  • 度胸
    2―5
    音楽一家に生まれながら、音楽の才能をもたなかったロバート・フィンが選んだのは、別の道で自分の才能を示すことだった。
    そしてもう一人、フィンと同じ立場ながら、失ったものを認められない男がいた。
    そして事件はおきる。

    ラストのフィンの独白が印象的でした。
    「ある意味では、自分は彼を理解すること...続きを読む
  • 大穴
    細部の描写を表現する圧倒的な筆力、スピーディーな展開と、主人公のリアルさが素晴しい、映画ならばもっとヒーローっぽく扱うものだろうが、主人公のシッドハレーは頭の回転がいいだけで、武術はおろか、背は低く、片腕は不自由である。そんな主人公がある事件を捜査していくんだけど、もう読み始めたら止まらない!

    ...続きを読む
  • 利腕
    片腕探偵シッド・ハレーが競馬界の不正に立ち向かう中で恐怖に打ち勝とうと奮闘する様にやられる。特に最後の一行!自分にとってすべての小説で最高のラストシーン!!