イギリスの作家「ディック・フランシス」の長篇ミステリ作品『興奮(原題:For Kicks)』を読みました。
「ディック・フランシス」作品は今年4月に読んだ『勝利』以来ですね。
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〔競馬シリーズ〕
最近イギリスの障害レースでは思いがけない大穴が十回以上
...続きを読むも続出した。
番狂わせを演じた馬には興奮剤投与の形跡が明白であったが、証拠が発見されなかった。そこにはどんなからくりがあるのか?
事件の解明を依頼された牧場経営者「ローク」は、厩務員に身をやつして、黒い霧の調査に乗り出した!
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競馬シリーズの第3作目で1965年(昭和40年)に発表され、同年に英国推理作家協会賞(CWA賞)を受賞した作品… 『東西ミステリーベスト100』で海外篇の35位として紹介されていた作品です、、、
初期の作品は初めて読みましたね… 作品自体は現代にも通じる面白さでしたが、「オーストラリヤ」、「シドニイ」、「バア」、「ウイスキイ」、「ランド・ロウヴァー」、「スエター」等々、外来語の表記方法が時代を感じさせましたね。
本作の主人公はオーストラリアで種馬牧場を経営する「ダニエル・ローク」… 「ダニエル」は、両親を早くを亡くし弟や妹たちの親代わりとして、経営の苦しい牧場で休む間もなく働き続けていた、、、
そんな彼の牧場を、イギリスの障害レース理事会メンバー「オクトーバー卿」が訪ねてきて、障害レースの不正を調査するための潜入捜査を依頼する。
イギリスでは障害レースで思いがけない大穴が続いており、番狂わせを演じた馬は、その時の状況から推して、明らかに興奮剤を与えられていたが、いくら検査をしても興奮剤を投与した証拠がでないという… 「ダニエル」は、迷った末に協力することを決断し、渡英する、、、
複数の牧場で厩務員を装い調査を行ううちに、大穴をだした馬の多くが、短期間ではあるがハンパー牧場に在籍していたことが判明したことから、「ダニエル」はハンパー牧場に厩務員として潜り込む… ハンパー牧場の厳しい労働条件に耐えながら、「ダニエル」は牧場主の「ヘドレイ・ハンバー」と馬主の「ポール・ジェイムズ・アダムズ」が組んで、人間にはほとんど聞こえない犬笛を使って、馬に恐怖体験をすり込んでいる事実を突き止めた… 大穴を出したレースは全て最後の直線が長いコースで、最後の直線にかかった瞬間に犬笛を吹くと、馬は恐怖心にあおられ、一気にゴールにむかって突っ走るという仕掛けだった。
「ダニエル」は、「ハンバー」と「アダムズ」が、犬笛と火炎放射器を使って馬に恐怖体験すり込む現場を確認… 悪だくみの証拠を掴むが、そこに「オクトーバー卿」の娘「エリナー・タレン」が現われ、事態は思わぬ方向へ、、、
「ハンバー」と「アダムズ」に潜入捜査をしていたことを暴かれた「ダニエル」は悪党どもとの争いとなる… そして、クルマで去った「エリナー」は、「アダムズ」から渡されたジン・アンド・カンパリの中に入れられた毒(可溶性フェノバービドン)を飲んでおり、二人は生命の危険に晒される。
終盤の展開はスリリングかつスピーディーで愉しめましたね… そして、正義感が強く、汚名・屈辱・暴力に耐えながら謎を探る「ダニエル」の真摯な姿勢には共感できたし、懲悪勧善のハッピーエンドも良かったな、、、
古書店に程度の良いモノがなかなかないのですが… 機会があれば、他の競馬シリーズも読んでみたいです。
以下、主な登場人物です。
「ダニエル・ローク」
種馬牧場の経営者
「オクトーバー卿」
障害レースの理事会のメンバー
「ロデリック・ベケット大佐」
障害レースの理事会のメンバー
「スチュアート・マクレスフィールド」
障害レースの理事会のメンバー
「ヘドレイ・ハンパー」
調教師
「ポール・ジェイムズ・アダムズ」
馬主
「エリナー・タレン」
オクトーバー卿の娘
「パトリシア・タレン」
オクトーバー卿の娘
「ウォリィ」
厩務長
「ジャッド・ウィルソン」
厩務長
「スーピィ・ターレトン」
厩務員
「バディ」
厩務員
「チャーリイ」
厩務員
「セシル」
厩務員
「グリッツ」
厩務員
「ジェリィ」
厩務員