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〔競馬シリーズ〕騎手デリックは急死した兄から宝石輸入会社を受け継いだが、大量のダイヤが行方不明になっていることが判明する。デリックは慣れない宝石業界で模索しながらダイヤの行方を追うが、こんどは彼自身に危険が迫ってきた。兄への熱い惜別の思いを胸に、悪辣な敵に挑む青年の闘い。
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Posted by ブクログ
競馬を知らなくても、普通にミステリものとして楽しめると思います。 ただ、体を痛めるシーンが多くて自分も痛かったです。
ずいぶん久し振りに読んだけれど、思った以上に充実した傑作で実は驚いてしまった。初読の時にあまり印象に残らなかったのはなぜだろう。 急死した兄の事業の整理(それだけではないのだけれど)を心ならずもすることになった騎手の物語である。騎手自身は仕事上の事故で足を骨折していて、それが物語としても大きな...続きを読む陰影を与える。行動上のハンディであったり肉体的な弱点になると同時に、精神的な面でも印象的である。 多くの謎が主人公の騎手の前に立ちふさがる。知っているはずのものが急に死んだことで結果的に謎になってしまったこともあれば(今僕が急死したら例えば僕のPCの起動はできなくなる)、犯罪に関係した謎もある。そういう点では、多くの事件が平行して進行するタイプのミステリといえなくもない。 人間というのは多かれ少なかれ謎をはらんでいる。騎手は次第に自分の兄の人間像を詳しく知っていくのだけど、その人間像がなかなか魅力的で、「もっと早くからたくさん知り合っておけばよかったのに、もう取り返しがつかない」と騎手が嘆くのが切ない。前半部分では特に、生と死についてさまざまなことが心に浮かんできて、作品としての深みを感じさせる。 ミステリとしてはやや小品で、初期の作品の変奏曲のような印象を持った。しかし、この作品の持ち味は、犯罪がありその犯人を捜すということではなく、もっともっと普通小説に近いものだと思う。ただ、サスペンスはさすがで、手に汗を握るようにして読み進められる。主人公に与えられる肉体的な苦痛も、シリーズ中屈指かもしれない。彼が感じる恐怖も。 ただ残念なのはタイトル。直訳の日本語タイトルだけど、この単語の意味を「直線」といってしまうのは間違いといってもいいくらいだと思う。この単語は主人公の形容として使われていて、「まとも」とかいうような意味合いに、かなり深いニュアンスを込めているのだと思う。もう少しうまい二字熟語がほしかったなぁと残念に思うのである。
競馬シリーズ28作目。 障害競馬の騎手であるデリックは、 年が離れていて一緒に生活したことのない兄と偶然街で再開し、 その後はほどほどにつきあっていたが、 突然の事故でその兄を失う。 そして、もっと生前に親しくすればよかったと後悔するところは良かったが、 経営していた宝石会社や持ち馬とともに、恋人...続きを読むも相続するとは。 宝石会社の仕事をだんだんと覚え、 従業員の信頼を得て行き、 それぞれに新しい仕事と昇進をあたえて軌道に乗せるところが印象的。 取り扱っていなかったはずだが、 購入したはずのダイヤモンドを探してはいたが、 多分彼の家に侵入したり襲ったりしたのは馬関係なのだろうなとは思っていた。 話の最初から最後まで足を怪我をしていたデリックだったが、 運転手役をしてくれていた失業中の溶接工ブラッドが良かった。 無口で運転手としての腕は確かで、デリックの危機を救ってくれる。 しかもデリックの「頭のいい」お母さんのおかげでダイヤモンドの一部は無事だった。 素晴らしい。
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