感情タグBEST3
Posted by ブクログ
主人公はパイロットのマット・ショア。
かってはエリートだったのが、妻のために忙しい国際線を辞めたところからケチがつきだし、現在は落ちぶれかけたデリイダウン社でチャーター仕事を始めたばかりで、離婚手当にも苦労する毎日。
イギリスで大人気の騎手コリン・ロスを含めた数人を競馬場へ運ぶ仕事を引き受けたところ、飛行機に不審なきしみを感じて乗客の抗議を押して臨時に着陸。降り立った途端、その機が爆発炎上…
競馬界を知らなかったマットがコリンとの友情とその妹との出会いによって、事件に巻き込まれると同時に、新たな人生を見つけていきます。
もとチャンピオン騎手で、パイロットとして従軍したフランシスの経歴が生かされた、臨場感溢れる展開になっています。
日本での発行当時は誰でも知っている超有名騎手というのは存在しなかったので〜王選手みたいなもの?って感じでしたが、今なら武豊でしょうね。
文庫では10冊目で、昭和52年の発行になっています。
原著は1970年! それほどの古さは感じられませんが〜決まり過ぎなぐらいカッコイイ文章に、作家として自信を持ってノリノリになっていくフランシスの初期の勢いが感じられますね。
ファッションは当時流行のものを想像した方が楽しいかな。
Posted by ブクログ
再読シリーズである。
今ひとつ印象が強くないのは、フランシスにはまったばかりで1日1冊ペースで既刊本を読んでいた頃に読んだからだろう。飛行機の話、というくらいの印象しかなかった。
再読して、思いがけないほど派手な話であることにびっくりした。最初の爆破事件、中盤の山場である迷子の飛行機を探すエピソード、そしてラストの見せ場。すごい。
傷心から心の閉ざしてしまった主人公が再生する物語、というのは、まあ、王道パターンだ。そしてこの小説は、絵に描いたようにそのパターンをなぞっている。ただし、その傷心の原因がわりあい(客観的には)それほど大きなことに見えないので(僕だけだろうか)、なんだか物足りない(いじわるかな)感じがする。
その割に、主人公のスーパーマンぶりはものすごいので、結局復活劇にもうひとつ共感できなくて、つまり「すごい人はやっぱりすごくて、途中いろいろあっても、最後はいいとこさらってくんだよね」って印象を持ってしまった。(それは僕は小市民でひがみっぽいからだろうか)
劇画的な派手さがすごくあるにもかかわらず、もうひとつ心にしみてこないのはそのあたりのような気がする。
が、純愛小説として読めば、なんだか心を締め付けられるようなところがたくさんある。主人公が、かわいいのだ。
実際に飛行機を操縦していた人にしか書けないのだろうな、と思う中盤のエピソード。主人公の思いにしっかりと共感できるのは、これが恋愛ドラマだからだ。正義のためならこうはいかないはず。
ただし、このエピソードで僕の涙腺が一番やばかったのは、裏方さん達の頑張りに主人公がちょっと触れた部分であるのだが。
それもまた、フランシスならではの味である。