武藤陽生のレビュー一覧

  • 駆逐艦キーリング〔新訳版〕

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    第二次大戦中の北大西洋での駆逐艦とUボートとの戦いは、いろいろな物語が生み出されている。
    映画「眼下の敵」では米駆逐艦艦長をロバート・ミッチャム、Uボート艦長をクルト・ユンゲルスが演じて、日曜洋画劇場などでおなじみのタイトルであった。

    この本も半世紀以上前の作品であるが、2020年6月トム・ハンクス主演の映画公開に伴い再び日の目を見た。映画は日本ではコロナの影響もあり?Netflixでの上映になってしまったのが残念。

    物語は、三人称ではあるがほぼクラウス艦長の視点と思考の一点で時系列に進む。それはまるで艦長の公開日誌をもとにしたドキュメンタリーのように映像化される。
    輸送船の護衛という任務と敵を撃破するという軍人としての使命、護衛艦隊の指揮官としてや艦長としての部下の扱いなどで葛藤する、主人公クラウス中佐の様子(トム・ハンクスの仏頂面)がとてもリアルに描かれている。

    作者セシル・スコット・フォレスターには私の古い思い入れがある。
    数十年前、フジ出版社から刊行された『決断―ビスマルク号最後の9日間』(作者C.S.フォリスター?)がとても好きで、このあと「ティルピッツ」や「シャルンホルスト」などのドイツ海軍の読み物を漁った覚えがある。今でもその本は私の実家の本棚に黄色に変色しても残っている。

    読みだしから最後まで、緊張感の続く読書でした。

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    2022年08月03日
  • レイン・ドッグズ

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    ネタバレ

    ショーン・ダフィシリーズ五作目。

    車に乗り込むたびに、爆弾を仕掛けられていないことを確認するために、
    車の下を覗き込むダフィ。
    とうとう、車に爆弾を仕掛けられた。
    カウンセリングを受けるように、休みをとらされる。
    しかし、IRAの爆弾と、
    友だと思っていた男に裏切られるのと、
    どちらが精神的ショックが大きいのだろう。

    フィンランドからの電話会社の一行が工場用地の視察が訪れる。
    同行していた経済誌の女性記者が観光スポットでもある古城で、
    転落死した。
    城は密室状態で、ダフィは刑事人生二度目の密室事件を捜査することになる。
    その最中、警視正がIRAの爆弾で殺される…。

    まさか、被害者の飼っていた猫をロンドンから飛行機で連れて帰り、
    ダフィが飼うことになるとは思わなかった。
    それに、家を出て行った若い恋人が、
    妊娠して戻ってくることも。

    部下のローソンが優秀なせいか、
    前より読みやすくて面白かった。
    フィンランドでの雪の中の対決も、
    キャリックファーガスの雨の中の対決も、
    緊迫感よりも期待感が勝っていた。

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    2022年06月26日
  • サイレンズ・イン・ザ・ストリート

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    紛争真っ只中の北アイルランドの刑事ショーン・ダフィ警部補シリーズ第2作。相変わらずの軽口と音楽ジョークが笑えるけど、北アイルランドの80年代ってこんなにデンジャラスなのね。映画ベルファストがそのまま少し時代が進んだ感じ。
    デロリアン含めて魅力的なストーリーと登場人物たち。事件解決の進み具合がとってもスローなのが、少したるかったかな。次はどうするか、迷うところ。3.6

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    2022年06月23日
  • ガン・ストリート・ガール

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    管轄、域を超える事件
    事件は富豪家族の不可解な殺害で大胆に素早く動くダフィー刑事らが捜査する。原因は「主犯格3人の分配金問題で仲間割れ」、一人の男が兵器密約計画を立てた男の両親、その男、その恋人、友人を殺害、さらに兵器製造工場のもう一人の主犯格管理専任者へと証拠隠滅を図り殺害計画。事件は国家機密と警察の域を超えるまでに発展する。「仲間割れ」ほど後味が悪いものは無い。共同経営など企業でもそうだが、些細なことで分裂始めると派閥になり、会社が倒産するような事態にもなりかねない。そこにはこの小説にある「欲に絡んだ分配」だ。 人は貪欲になると必ず問題を起こすのだ。

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    2022年06月05日
  • ガン・ストリート・ガール

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    ネタバレ

    ショーン・ダフィシリーズ四作目。

    裏表紙には「第四弾にして最高潮」とあったし、
    訳者もぜひここまで翻訳したいと力を入れていたけど、
    ちょっと肩透かしに遭ったような感じ。

    金持ちの夫婦が殺され、息子が行方不明と単純な事件だと、
    部下のクラビーにまかせるダフィ。
    だが、息子は自殺で見つかり、その恋人も後を追う。
    なにか裏があると事件を追っていく。

    意外と使えることが次第にわかってくる新人刑事の存在が
    面白かったが、
    事件よりもダフィがMI5に誘われたことの方が気になってしょうがない。

    ちなみに、
    武満徹という日本人の作曲家の曲が出てきて「隠れた宝石」と書かれていたが、
    全然理解できなかった。

    結局、事件解決は不完全燃焼だし、
    (このシリーズは犯人がわかっても逮捕できないらしい)
    悲しい結末になってしまい残念だった。

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    2022年05月18日
  • アイル・ビー・ゴーン

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    ネタバレ

    ショーン・ダフィシリーズ三作目。

    ただの巡査部長に降格されていたダフィは、
    さらに一般人をひいて怪我をさせた罪を着せられ、
    退職に追い込まれる。
    そこへ、MI5が助け舟を出してくる。
    幼なじみのIRAメンバーを探し出すことを条件に、
    復職したダフィ。
    捜査をはじめると、今度は幼なじみの元妻の母から取引を持ちかけられる。
    元妻の妹の事故死の真相を突き止めれば、居場所を教えると。

    今回は、密室トリック。
    暴力がうずまく北アイルランドのミステリーとしては、
    唐突な感じが否めないが、面白かった。
    そして密室トリックが解けた後、
    あっさり片づけられるかと思った幼なじみとの対決も、
    サッチャーの命を助ける大活躍。
    確か一作目で、
    IRAに入ろうとしたダフィに大学に行くことを勧めた友人として、
    幼なじみのことを覚えていたので感慨深かった。

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    2022年05月15日
  • レイン・ドッグズ

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    ネタバレ

    『アイル・ビー・ゴーン』から『ガン・ストリート・ガール』を一作飛ばしてのエイドリアン・マッキンティ。

    1980年代の北アイルランドを舞台に宗教対立、国内紛争を下地にしつつ、仲間思いで義理深く、それでいて大きな力にも汲みしないショーン・ダフィ警部補を主役に置いたハードボイルド風味の効いた警察もの。

    『アイル・ビー・ゴーン』は島田荘司が解説を書くほど、いわゆる新本格めいた密室殺人事件を扱っていたのだが、またしてもと言うべきか、なんと今度はと言うべきか、本作で扱うのは密”城”殺人事件。

    おもしろいと思ったのは、唯一的な容疑者がいる状況下での事件だということ。
    自殺でないのなら、犯人はあいつしかいない!
    でも、そんなはずはない、という設定。

    実に惜しい。
    ハードボイルドと人情の調和だったり、ひと捻り効いた密室事件といったプラス要素がありながら、余計に風呂敷を広げてしまったと感じる国際的陰謀説やら、アドバンテージを活かしきれていない収束やら。

    でも、おもしろさは抜群に上がってきている。
    これは次作も読みたいかも。

    どうでもいいけど、謎の「あい」は健在でした。
    何なのだろう。

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    2022年05月14日
  • サイレンズ・イン・ザ・ストリート

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    ネタバレ

    ショーン・ダフィシリーズ二作目。

    フィンランド紛争が発生し、
    不景気は相変わらず、
    ダフィも車の下を覗き込んで爆弾がないこを確認するのは
    相変わらずだが、
    前作ほど緊迫感漂う感じではない。

    またもや切断された死体が
    工場の跡地から発見され、アメリカ人だと判明。
    死体が運ばれたスーツケースの持ち主も死んでいたが、
    そのずさんな捜査に疑問を持つダフィ。
    捜査を行った刑事がテロリストに殺されたが、
    事件とは無関係なのか…。

    アメリカまで飛んで事件を解決しようとしたのに、
    刑事を辞めさせられてしまって気の毒。
    前作で一緒に住居侵入までしたローラとも別れたし。
    もっとも、
    同僚に事件関係者と女性には事欠かないので、
    さみしくはないかも。

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    2022年05月07日
  • 駆逐艦キーリング〔新訳版〕

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    帆船小説といえば必ず題名が上がる「ホーンブロワー」シリーズの作者であるセシル・スコット・フォレスターが第二次世界大戦の海戦を描いた作品。

    第二次世界大戦の大西洋は、ドイツUボートが跳梁跋扈する恐るべき海域であった。
    Uボート同士が連携して獲物を駆り立てるウルフパック(群狼)戦術により膨大な数の輸送船が撃沈され、英国の命運は風前の灯火であった。
    物語は、まさにこの大西洋での厳しい戦いを扱っている。
    37隻の輸送船団を護衛する僅か2隻の駆逐艦と2隻のコルベット艦が、Uボートの昼夜のない攻撃から船団を守り抜く三日間の死闘(まさに字義通り死闘という言葉がふさわしい)を描いている。
    前頁が緊迫感に満ちており、どこから攻撃を仕掛けてくるかわからないUボートの恐怖感や、絶望感と極度の疲労の中においても勇敢に任務遂行をする男たちの戦いが、迫真の描写力で綴られる。

    主人公である駆逐艦キーリング艦長ジョージ・クラウスの人物造形も興味深い、牧師の父を持ち、敬虔なキリスト教徒として育つ中で身に着けた厳しい義務と名誉に関する考え方や、いっぽうで私生活ではうまくいっていないなど。
    作品世界に深みを与えるのは、登場人物の背景の複雑さとそこからくる独特の人生哲学だと思った。

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    2022年04月25日
  • コールド・コールド・グラウンド

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    ネタバレ

    「パードレはもいない」の後ろの広告で見て。

    最近読んだ同じ様な暴動の話よりも、
    北アイルランドの暴動のこの話の方が面白かった。
    社会背景の配分量が多すぎないのが良いのだと思う。
    プロテスタントのエリアで、
    主人公の巡査部長ショーンがカトリックだというのも。

    死体の切り取られた右手は別人のものだった。
    体内からは楽譜が発見され、警察には犯人から手紙が届く。
    異常者による同性愛者の連続殺人なのか。

    全体的には悪くないのだが、
    謎解きがちょっとやっつけ仕事。
    法律で罰せられない犯人への私刑も気に入らない。

    ショーンが家で襲われた時に、
    六軒隣に住んでいるテロ集団の管区将校が、
    俺のシマだと言って相手を撃ち殺したのが印象的だった。

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    2022年04月22日
  • ガン・ストリート・ガール

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    久しぶりにハードボイルドを読んだ
    ミステリーでもサスペンスでもなくハードボイルドだ
    フォローしている誰かのレビューを読んでエイドリアン・マッキンティに興味をもったのだが誰かは忘れた
    くそったれ

    ハードボイルドを構成する要素は4つある
    ドラッグとセックスと暴力、そして能書きだ
    こいつには全て詰まっている
    そしてハードボイルドの主人公つまりこの場合はショーン・ダフィの野郎は決して幸せにはなれない
    それがハードボイルドだからだ

    文章がハードボイルドになっている
    影響を受けたということだ
    つまりは面白かったということだ
    高倉健の映画を見たあとに無口になるように(例えが古い)寅さんを見たあとに「お兄ちゃんやめて!」と言ってしまうように(そっち?!)

    北アイルランドの特殊な状況下は残念ながらハードボイルドの舞台にぴったりだった
    今は多少なりともまともになっているといい

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    2022年02月25日
  • レイン・ドッグズ

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    北アイルランドにある古城の中庭で女性の転落死体が発見された。事件当時の現場は、城門は固く閉ざされ、城壁を乗り越えない限りは中に入ることは出来ない完全な密室状態だった。さらに、事件の捜査に臨むショーン・ダフィの元に警察高官が爆殺されたという連絡が入る。彼はIRAの手によって殺されたというが……。

    シリーズ第5作。パズラーだけでなく、警察小説、ハードボイルド、国際謀略ものなど、いろいろな要素がてんこ盛り。次回作も楽しみ。

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    2022年02月22日
  • ガン・ストリート・ガール

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    富豪の夫妻が射殺される事件が発生した。当初は家庭内の争いによる単純な事件かと思われたが、容疑者と目されていた息子が崖下で死体となって発見される。現場には遺書も残されていたが、彼の過去に不審な点を感じたショーン・ダフィ警部補は、新米の部下と真相を追う。だが、事件の関係者がまたも自殺と思しき死を遂げ……。

    シリーズ第4作。ジャック・ヒギンズの作品で言えば、「嵐の眼」と同時期ぐらいか。
    中盤まではやや中だるみかなと思っていたが、見事な着地であった。
    当時のポップス以外に武満徹の作品が登場。

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    2022年02月17日
  • DX実行戦略 デジタルで稼ぐ組織をつくる

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    DX実行戦略 デジタルで稼ぐ組織をつくる

    読者想定は大企業、イメージ員数500名以上のイメージです。
    ヒアリング、調査対象がグローバル企業であるため、中小企業に置き換えると対岸の風景に見えてしまう可能性ありです。

    一方で、大企業ですら、DXなるものが未完成でありつづけている現状は、DXがビジョンを含めた戦略であることと理解できます。


    1.定義
    DXとは、ビジネスモデルと組織を環境に適応。変化させて、業績を向上させることです。

    2.ビジネスモデル。3つの方向性
    ①コスト削減。
    ②顧客体験向上
    ③プラットフォーム価値向上
    欧米スタートアップは、この1.2.3.の合算で既存市場の破壊を行なっています。
    大企業、歴史ある企業の方向性も同じく1.2.3.の合算が望ましいです。

    3.DXを組織で実行する。2つの要素。
    どの企業にも下記の2つの要素が存在します。
    時間は要しますが、DX実行にあたっては、この全てを明らかにすることとあります。
    アドビは、それを行ったうえで、プロジェクトベースで①②含めた可視化のしくみ/コックピットを作りました。
    ①ノード/リソース 
     ひと、データ、システム
    ②①のリンク/関係性 
     強い、弱い

    4.ネスレ グローバル企業の取り組み
    カスタマー(推察/小売、個人そして企業内個人)の体験をさらに適切なものにするため、毎週寄せられる苦情、要望を集計、分析そして活用しています。
    大企業かつブランド浸透企業ですらこの水準までやっていることは、驚異であり、かつ脅威です。

    5.わたしの実務に置きかえて
    2.の顧客への提供価値。コスト、体験、プラットフォーム。
    そして、3.のノードとリンク。
    3.リンクを強く、太くするために、外部から教えてもらう/ヒアリングする機会を増やしていきます。

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    2021年11月23日
  • DX実行戦略 デジタルで稼ぐ組織をつくる

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    なぜDXなのかを紐解きながら、オーケストレーション(結びつきのアプローチ)で経営層としての意思決定者は全体で推進させる力となることの重要性がよく分かった。そのうえで、各組織がデジタル化プロジェクトを推進する責任を追うという分担は理にかなっていると思った。ただ、なかなかこれを伝えることの難しさ、特に各組織・更にはその所属員たる社員にどのようにミッションを追わせていくのか、難しい問題に思った。会社の方針としてDXやデジタル化などが言われているが、実際の自分の業務として捉えてもらって、社員がデジタルの協力者や推進者になってもらうにはどうしたらよいのか、そのメッセージや進め方は更に考える必要がありそうだ(会社の風土にもよるだろうが、どのようなパターンが考えられるのだろうか)。

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    2021年07月05日
  • スーパーベターになろう!──ゲームの科学で作る「強く勇敢な自分」

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    ◾️概要
    ゲームによる自己啓発の手法を知るため、読みました。最も印象的だったのは「大きなストレスとチャレンジを生み出す有意義なプロジェクトやミッションを進んで引き受ければ、いつでもポストエクスタティック・グロースを獲得でき、トラウマなしにPTGを享受できる。」です。科学的根拠に基づき、修羅場経験によらずとも、楽しいゲームでPTGが得られるとする主張は驚きでした。

    ◾️所感
    ゲームを通じて、自己を客観視するのがポイントと感じました。誤解を恐れずに言えば、人生をRPGゲーム、自身をその主人公と捉えれば、客観的・正しい判断ができ、結果として前向き・有意義に過ごせるということと理解しました。直面する脅威を、自分がレベルアップするための敵と見なすことができれば、楽観的に対応できそうです。

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    2021年05月02日
  • 駆逐艦キーリング〔新訳版〕

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    これぞ究極のお仕事小説。敵の潜水艦の攻撃を躱し撃退する戦闘シーンもさることながら、多国籍・官民寄せ集めの部隊(艦隊)を率いる中間管理職の苦悩がこれでもかと実感できる。熱々のコーヒーとたまごサンドをお供に是非。

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    2021年04月08日
  • コールド・コールド・グラウンド

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    北アイルランド ベルファスト都市圏の片隅にあるキャリックファーガスの王立アルスター警察巡査部長ショーン・ダフィが主人公。Stiff little fingers やラモーンズを好んで聴いたりキャッチ22を愛読するなど魅力的な人物で周囲の刑事たちも「あい」と土地訛りで返事したりしてて小気味良い感じ。物語は最近にありがちな、なかなか犯人探しが進まず、枝葉の物語だけがどんどん伸びてくパターン(の気がする)。
    それにしても80年代のベルファストはまるで紛争地帯。ヨーロッパもいろいろあったし、今もあるんだろうなぁ。
    このシリーズ、書評では絶賛なんだけど、次はどうするかな。
    たとえばボッシュやピケットのシリーズなら余計な背景や装飾なしでも主人公の魅力と物語の推進力だけでグイグイと直線的にドライブしていけるのだけど。最近続いている「物語が進んでいかない感じ」は後発の小説作品の宿命なのだろうか。そして新しい物語に挑む読者にとっても、それは必然なのだろうか。3.6

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    2021年03月07日
  • アイル・ビー・ゴーン

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    ネタバレ

    舞台は北アイルランド。
    凶悪犯を収監する刑務所から大規模脱獄が発生した。

    かねてからの素行の悪さが仇となり、警部補から巡査部長へ降格され、国境付近で死と隣り合わせのパトロールを続ける日々を苦々しく耐え忍んでいるダフィは、脱獄班の一人であるIRAの大物テロリストであり旧友であるダーモットの捜索を秘密裏に命ぜられる。
    捜査の過程でダーモットの親族から過去の密室事件を解決すれば、彼の居所を教えると持ち掛けられ事件をほじくり返すことに。

    こてこてのハードボイルド調からの密室事件というなんとも異色な組み合わせ。
    また、北アイルランドというなかな稀有な舞台の政治的背景の興味深さ、骨太で奔放な行動をしつつ時に細やかな気配りを見せるダフィの魅力が相まってリーダビリティ高し。

    ときどき会話の合間に挟まれる「あい」という応答が無性に気になる。
    本筋とは全く関係ないけど、「ええ」とか「はい」とかの応答とは別で、上司から部下へ、部下から上司へのどちらの場面でも使われている。
    お国柄なのか不思議な訳だった。

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    2021年01月17日
  • ガン・ストリート・ガール

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    北アイルランド問題がピークだった頃のアイルランドを舞台とした警察小説の邦訳最新。すごく大雑把に背景事情を説明すると...プロテスタントのイギリスに領有されていたカトリックのアイルランドが独立した時にアイルランドのプロテスタント住民が多い北部だけがイギリス領として残った、そこの領土問題。北アイルランドの警察はいわば支配国家イギリスの出先機関でそこに勤務するカトリックの刑事である主人公は警察内でも異分子とされ、カトリック内部では例えばテロ組織として有名なIRAからも裏切者として狙われる、そういう立場にある。本作では富裕な夫婦が射殺されその息子が行方不明となりやがて自殺と思われる状況で息子の遺体も発見される、という話。こういう社会情勢なので殺人事件も普通の捜査とは別にテロ組織などとの関わりも調べなければならない、という特殊な状況にある。物語では息子が武器の密輸に関わっていた、という疑いが浮上して、という話。シリーズ四作目の本作ではこれまで陰鬱さが目立った主人公が軽妙さを身に着けており読みやすさが増した印象。史実を巧みに盛り込んだストーリーも素晴らしくシリーズ最高の出来だったのでは、という印象でした。

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    2021年01月13日