武藤陽生のレビュー一覧

  • エージェント17

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    ネタバレ

    主人公語り手系のスパイ小説。17と呼ばれるスパイ(エージェント)が主人公(タイトル)、数字は歴代の最高実力者スパイの意味、初代から15代目までは他のスパイに殺されている。16代目は突如行方不明になって消息が分からない状態。
    序盤17のスパイとしての活躍が描かれた後、ハンドラー(スパイの斡旋担当者)から16を見つけて殺害するよう依頼される。

    17と16の戦いが中盤から後半のメイン。そしてこういう小説ではお決まりの、中盤でのライバルが結託して真の敵に挑むクライマックスでボルテージあがりまくり。

    独特の個性が溢れた登場人物たち、女性陣のたくましさとしたたかさ、下品でガラの悪い語り口調、スパイ活動

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    2025年08月17日
  • 駆逐艦キーリング〔新訳版〕

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    パンデミックに世界が慄いたころに映画化されて公開間近だった。劇場公開はあきらめストリーム配信での公開となってしまったわく付き作品の原作。
    第二次大戦時のUボートから通商船団を護衛する駆逐艦船長の2日間の戦いを描く。

    まずはマネジメントの人みんな読め!自分の夢の実現のために従業員を会社資産の消耗品扱いしている経営者の人みんな読め!
    これは戦争文学であると同時にすぐれたマネジメントの書でもある。
    常に戦闘配置においたら、兵員は緊張状態を維持できず消耗してしまう。消耗してしまっては戦いに負ける。こういうシフト管理をきちんと行えるか、価値観の異なる多国籍船団の船員に感情を配して意図を正しく伝えられる

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    2025年06月27日
  • エージェント17

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    ネタバレ

    イギリスの作家、ジョン・ブロウンロウのデビュー作。脚本家や映画監督らしい。

    暗殺専門のエージェント17。彼の前には16人のエージェントがいたが、そのうち15人は既に死んでいる。前のエージェントを殺すことで代替わりを行うからだ。ただ、16だけは姿を眩ましており、行方不明のはずだったが…

    ハヤカワ文庫の白背表紙からわかるように、バリバリのアクション小説。中身半分以上、戦闘描写だったような。キャラクター描写も良く、主人公の17はもちろん、16やモーテルの女主人も非常に魅力的。その点だけでも読ませるのに、展開も良く飽きさせない。
    続編があるとのことで、ぜひ続けて翻訳してほしい。

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    2025年04月16日
  • エージェント17

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    軽く読み始めたものの、エージェント17の立ち向かう相手が誰なのか、微妙な角度で相手が変わりついつい先が気になり夢中になった。とても短い章立ても、小説にいいリズムを与えている。CWA賞スティール・ダガー賞を受賞しているのも納得。

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    2025年03月16日
  • エージェント17

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    ★5 殺やるか殺られるか! 軽々しい語り口にニヤリとしちゃうサバイブアクション #エージェント17

    ■あらすじ
    スパイとして活躍しているエージェント17。彼は依頼があれば粛々と任務を遂行し、必要があれば暗殺も行う。これまでNo15までは次のエージェントによって殺されてきたが、No16だけは殺害されることなく姿を消していたのだ。

    ある日、エージェント17に暗殺の依頼がなされる。スパイ作家ということだったが、その正体はエージェント16。彼らの生存競争の末にある、隠された陰謀とは何だったのか…

    ■きっと読みたくなるレビュー
    ★5 おもろいっ! アメリカ諜報機関のエージェントたちによるサバイブア

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    2025年03月08日
  • ガラム・マサラ!

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    書店で見た時は、インドの受験事情知りたい!と思って買ったんですが、それどころではなかったです。
    すごくおもしろいです。主人公ラメッシュの人間性がよく書かれています。帯にはミステリーとあったんですが、犯罪小説というか、ノワールというジャンルかなと思います。川上未映子さんの、『黄色い家』を思い出しました。若者が、そんなつもりじゃないのに犯罪に巻き込まれてしまうような。
    インドの受験についてはあまりよくわからなかったです。大学受験は、どこの国も大変ですね。

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    2024年06月04日
  • 父親たちにまつわる疑問

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    私立探偵アルバート・サムスンの事務所に訪れた男は、自らを“エイリアンと人とのハーフ”だと言い、自宅が空き巣に入られたから調査して欲しいと依頼した。エイリアンの父が残した手形を取り返したいとのことだが……連作短編集→

    自称エイリアンの息子である依頼人がいいやつで、アルバート・サムスンもいいやつで、でも事件の関係者はそうでもなくて。その、バランスがすごくいい、そんな探偵小説。サムスンの語り口調がいいんだよなぁ。好きな話は最終話の表題作。じんわり、ラストは目の前がぼやけた。→

    3話目も面白い。妻に痩せろと言われて、でもダイエットしたくない夫がサムスンに助けを求める話。なかなか怖い話やった。そうい

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    2023年03月21日
  • ポリス・アット・ザ・ステーション

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    クソ面白い

    もちろんクソ原文ではshitですわな
    クソ作中クソ700回くらいクソクソ言う(ほんとはそんなには言わない)

    ショーンが目出し帽の男とその仲間たちに森の中を歩かされて、自分を埋めるための穴を掘らされた上に、拳銃を向けられる絶体絶命のピンチを迎えるプロローグから物語はスタート

    しかし、ギャリックファーガス署の管内で発生したのは麻薬の密売人が殺されるという北アイルランドでは特段珍しくない事件(それはそれでどうかと)
    唯一珍しいのは兇器がボウガンというところ

    「薬の売人が背中を矢で撃たれて殺された」
    「犯人は地元の法執行機関の手をさんざんに煩わせてる、シャーウッドの森のあの悪党か?

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    2022年12月03日
  • 父親たちにまつわる疑問

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    私立探偵アルバート・サムスンの事務所にやってきた奇妙な青年。話によると彼は「地球外生命体と人間のハーフ」で、最近部屋に空き巣に入られ、宇宙人の父から贈られた貴重な石を盗まれたのだという。その調査を頼まれたサムスンは渋々ながら引き受けるが――新米警察官として奮闘中の愛娘サムの力を時には借りつつ、ユニークな事件の数々を探偵サムスンが解き明かす。

    シリーズ第9作だが、前作と前々作は確か未読のはず。今回は、泣かせます。

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    2022年10月09日
  • 父親たちにまつわる疑問

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    〈アルバート・サムスン〉シリーズ最新作。今作は連作短編集。自分のことをエイリアンだと言う依頼人。この依頼人とサムスンのやりとりの面白さ。謎と調査、真相ととても読み応えがある。派手な物語ではないのに印象に残り、サムスンと依頼人、娘のサムとの関係性と本当に楽しい。長編も好きだけれど今回のような連作も味わいがありまた読んでみたい。

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    2022年10月06日
  • ガン・ストリート・ガール

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    4作目も凄かった。ショーンのメンタルが心配になるラストの衝撃の余韻がなくならない。そこに至るまでの、よくある殺人事件から話がどんどん大きくなり国際スケールな陰謀に繋がっていく様は圧巻だった。ショーンは話が進むごとに勘が冴え渡り、さらに元来の行動力が話をどんどん前に進めるので、長い作品なのに停滞感がほとんど感じられなかった。昔の男性なので時代錯誤な価値観もあるが、ショーンの語りが面白く癖になる。美女にうつつを抜かすが長続きしないのは定番になってきた。巨悪に対峙する一匹狼、ベタだけどやっぱりカッコいいなぁ。

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    2022年10月02日
  • ポリス・アット・ザ・ステーション

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    シリーズを通して血で血を洗う政治闘争と腐敗した警察権力とに挟まれた絶望的な状況に置かれてきた主人公が遂に自分のみならず家族や友人までも失いかねない窮地に追い込まれる中で、果たして事件を解明し状況を好転させることができるのだろうか。三部作の中締めにふさわしいラストが待っている。

    引用 〜 悲劇と幸運と】銃で撃たれなきゃならないとしたら、ベルファストは最高の場所のひとつだ。二十年の紛争の末、何千という暗殺未遂と銃による制裁の末、ベルファストは世界有数の銃創外科医を多数輩出してきた。

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    2022年09月22日
  • アイル・ビー・ゴーン

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    3作目も面白かった!北アイルランドに暴力が吹き荒れる中、過去の密室殺人事件を調査するダフィ。IRAのリーダーが脱獄し、今にもテロが起こりそうな中、過去の事件に取り組むことになる。古典的な密室ミステリと、北アイルランドの戦争状態とも言える緊迫感。これが、上手く説得力を持って融合され、密室ミステリを解く余韻を味わう間もなく、本題のテロ阻止スリラーに移行するテンポの良さは1冊で2度美味しいお得感を得た。ある人物の死や、IRAとの対峙、事件解決後の関係者の描写はやや淡白に感じだが、勢いで持って行かれてしまった。

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    2022年09月19日
  • サイレンズ・イン・ザ・ストリート

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    本作を読んで一番に思ったことは、やはりシリーズ物は順番に読むべきだということだ

    とりあえず興味をそそられたので評価点の高い4作目から読んでみよう(なぜ4作目から読み始めたか思い出した)というのはFBIが仕掛けた罠なので気をつけたほうがよろしい

    それにしても本当にハードボイルドらしいハードボイルドといえるシリーズで、バーボンウイスキーはショットグラスで飲むという方には是非お勧めしたい

    ハードボイルドといえばひねくれ者で頑固なタフガイが主人公と相場は決まっていて、本作の主人公ショーン・ダフィもまさにその通りの人物であり、実は自分はそのタイプの主人公はあまり好きではないのだ本来は
    しかしながら

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    2022年08月31日
  • コールド・コールド・グラウンド

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    刑事ショーン・ダフィーシリーズの第1作です

    何故かは忘れましたがこのシリーズは4作目から読み始め、次に3作目を読みすごく面白かったんです
    そして5作目もすごく面白そうだったので、さすがにここらで1作目を読んでおこうかと思い今日に至ります
    次は2作目を読む予定

    4→3→1→2→5
    うーん、変なの
    何かの暗号か?

    で、こんな変な読み方をすると、「あ、あれってそういうことだったんか!」というのが随所に出てきてそれはそれで面白い

    そしてシリーズを読んですごく思うこと
    この日本語訳すごすぎない?訳者の武藤陽生さんは控えめに言って天才だと思う

    今回ダフィーのチームはダフィー本人とクラビーとマティ

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    2022年08月06日
  • ポリス・アット・ザ・ステーション

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    今回も文句なしにすばらしくおもしろい。

    年表と法月倫太郎氏の解説がまたいい。
    成長著しい金剛…じゃなくてローソン笑

    これで終わりじゃないとわかってホッとしました。

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    2022年08月06日
  • ポリス・アット・ザ・ステーション

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     ショーン・ダフィのシリーズも6作目を数える。宗教対立と内戦下の北アイルランド、キャリックファーガスの田舎警察を舞台にした毎作のストーリーも凄いが、プロテスタントとカトリックの対立、政治思想の対立で分裂する世界一危険な国家に生きる状況を背景にして、この主人公の個性を描出する作家の書きっぷりも凄い。

     それでいながらこのシリーズでは食っていけなくなり、ウーバーの運転手で生活を凌いできたという現実の作家の生活っぷりも信じ難い。でも『ザ・チェーン連鎖誘拐』という独立作品で作家に戻った。その作品も実に出来が良い。これだけの作家が食っていけなくなる国というのは何なのだろうか。

     さて、本書。そしてダ

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    2022年07月24日
  • ポリス・アット・ザ・ステーション

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    ネタバレ

    ショーン・ダフィシリーズ六作目。

    正直に言って、最も衝撃的だったのは「解説」だった。
    このシリーズは三作ごとの三部作、
    つまりあと三作、書かれる予定らしい。

    いやー、もういいでしょ。
    一匹オオカミだったダフィが、
    娘とその母(結婚していないので妻ではない)と住み、
    チームで大事件を解決して、
    都合の良い人事を受け入れさせ、
    半ば引退する予備巡査の道をつかみ取り、
    幸せなラストで自分としてはとても満足していたのに。

    今まで登場していなかった父母が登場したり、
    警察署で体力テストがあってジョギングしたり、
    ダフィが娘のおむつを替えたりと、
    いろいろ面白かったが、
    やはり圧巻はIRAの暗殺部隊

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    2022年07月23日
  • ポリス・アット・ザ・ステーション

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    〈ショーン・ダフィ〉シリーズ第六弾。麻薬密売人が殺害されダフィたちの捜査が進むにつれて事件の背後にあるものが見えて難しい捜査になっていく。シリーズお馴染みのクラビーとローソン二人の巡査部長とダフィの三人での捜査とその会話が今回も良くてとても良いトリオ。家族ができてダフィも少しずつ変わってきていてそれが今後どうなっていくのかも楽しみだし、今作の結末を経ての次作が待ち遠しい。前作と今作はシリーズの中でも特に読み応えがある作品だと思う。

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    2022年07月09日
  • ポリス・アット・ザ・ステーション

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    キャリックファーガスの団地で麻薬密売人の男が射殺された。自警団の犯行として捜査が行われるが、ショーン・ダフィ警部補は、事件がそう単純なものではないことを直感する。事件当夜に被害者と会っていた不審な男、何かを隠す被害者の妻……。さらに捜査中、ショーンは何者かに命を狙われてしまう。そして事件は北アイルランドの闇へとつながっていき――。

    シリーズ第6作。守るべき家族のために、仲間と共にダフィ警部補が奔走する。一筋縄では終わらないのが、作者の真骨頂。

    しかし、定価が1800円超え。どうしたものか。ポケミスも高くなったし。

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    2022年07月04日