【感想・ネタバレ】アイル・ビー・ゴーンのレビュー

ユーザーレビュー

感情タグBEST3

感情タグはまだありません

Posted by ブクログ 2020年11月15日

エンタメ小説のすべての要素をぶっ込んだハラハラドキドキ!島田荘司が一気読みしたと言うのはどれほどのものか?いや確かに凄い。舞台は1983年北アイルランド。独立運動激しく要人を狙い警察署やホテルが急に爆発して同僚や一般人が死ぬシーンが日常のように描かれる。戦場のようだ。有能が故に本部長に睨まれたショー...続きを読むン・ダフィ刑事は警察をクビになるが、IRAの大物で幼なじみのダーモットを探し出して欲しいというMI5の依頼を、復職を交換条件に受ける。ダフィはダーモットの義母から4年前の娘の死の謎が解けたらダーモットの居場所を教えると取引を持ち出される。しかし4年前の事件は完全なる密室だった。殺人なのか事故なのか。ファミリーを裏切れば殺されるマフィアのような北アイルランド独立運動家達のテロによる死者続出の緊迫感の中で、密室という本格謎解きが味わえる上にハードボイルドでありスパイ小説であり警察小説なのだ。アイルランドはこんなに怖いのか?情況証拠しかない密室殺人は犯人を見つけ手を汚さず法に頼らず落とし前を付けるも、張り込んだダフィはダーモットらに手錠をはめられ殺されようとしていた。さらにIRAはサッチャー首相宿泊ホテルに時限爆弾をセットしていた。爆発まで残りわずか。もう絶対間に合わない!ここから何が起きるんだ!やめてー!

このレビューは参考になりましたか?

Posted by ブクログ 2019年06月30日

元刑事のショーンに保安部が依頼したのは、IRAの大物テロリストにしてショーンの旧友であるダーモットの捜索だった。復職を条件に依頼を引受けたショーンは任務の途中で、ダーモットの元妻の母に取引を迫られる。4年前の娘の死の謎を解けば、彼の居場所を教えるというのだ。だがその現場は完全な“密室”だった…オース...続きを読むトラリア推理作家協会賞受賞作の本格ミステリ。大型警察小説シリーズ第三弾!

密室∔警察小説+冒険サスペンスのてんこ盛り。気になる次回作も密室が登場とは…。

このレビューは参考になりましたか?

Posted by ブクログ 2019年06月07日

 ショーン・ダフィのシリーズ第三作。難事件を解決する腕は誰もが認めるものの、独断専行の行動によってお偉いさんたちの覚えが悪く、仕事も資格も取り上げられ、自らを追い込まれることが多い主人公。IRAによって荒廃した1980年代前半の北アイルランドの不穏な情勢を背景に、サバイバリストのように自分の規範で行...続きを読む動する故に、警察ミステリと言うよりもノワールの面が強く感じさせられる点はとても魅力である。

 本書では、お偉いさんから組織を放り出されたショーンが、前作では名無しで謎の女性として登場していたケイトなど現場畑の指揮官の求めに応じて、脱獄したIRAのリーダーでありかつての親友でもあったダーモット・マッカンを追うという設定。

 何の情報もなく行方をくらましているダーモットが何を企んでいるのか、そしてそれを阻止するには? という国家的課題にショーンは挑むのだが、元妻の血縁者の未解決事件を解決すればダーモットの行方を教えようという条件を出されて、ショーンは不可解な密室殺人に挑むことになる。

 ノワールの中に本格ミステリが入れ子構造で入り込んだ、世にも珍しいジャンルまたがりの意欲作品として知られるのが本書である。密室ミステリで名高い島田荘司の巻末解説も含め、全体がフルサービス・エンターテインメントとなっているお買い得の一冊と言ってよい。

 本格ミステリとかトリックとかそういったものは中学時代までで卒業してしまい、むしろ毛嫌いしているくらいのぼくにこの本が楽しめるかどうか果たして疑問であったのだが、前二作からの流れを踏襲したハードな展開を前面に出した、過激でワイルドな展開の中で、密室殺人の謎ときは材料の一部でしかなく、それにこだわるあまり人間を軽視するトリック重視傾向の本格ミステリにありがちな軟弱性など、この作品にはこれっぽっちも見られなかった。さすがに北アイルランドの荒々しい自然と、危険極まりない政治情勢を背景に、単独で闘い抜く若きタフな警察官ノワールは、本格ミステリとのバランスをも上手く牛耳れているのだ。

 シリーズを順に読んでゆくと主人公を取り巻く脇役たちも魅力的だが、異動・転居・死亡・出国などにより出入りが激しく、一刻も眼が離せない落ち着きのなさは、この時代の北アイルランド情勢をそのまま反映させているかに見える。いくつも喜劇や悲劇にもさわってゆくので、シリーズ読者はそういう人間的かつ現実的側面からも、主人公ショーンの心の移り様を、深く味わってゆくことができる。

 そういった書き込みの深さ、繊細さも、主人公の読み聴きする文学や音楽とあいまって読書子の多様な要望に応えていると思う。一作毎に複雑精緻な世界の深みを増してゆく世界背景と、その中を生きるショーンという人間の複雑極まる想いの行方を想像しつつ、次作を待ち焦がれたくなる良質の一作がここにある。

このレビューは参考になりましたか?

Posted by ブクログ 2019年04月04日

「ショーン・ダフィ」シリーズ第3弾。相変わらず車に乗る前に爆弾がないか下を覗かないといけない日々。80年代の北アイルランド。宗教的対立があり、カソリックの刑事ダフィは裏切り者と呼ばれている。職を追われ、復帰のために受けたある捜査。そして密室事件。本格推理ものとしても面白い。対立が激化して命を、警察を...続きを読む狙われているなかでの捜査。過去との対峙、北アイルランドの情勢と不安、不満が渦巻いているなか命がけの毎日。密室事件のあとの大きなうねり、緊張をはらんだ展開はすごい。そしてラストのダフィの迷いと決断。それが次作にどうなるのか今から楽しみ。

このレビューは参考になりましたか?
ネタバレ

Posted by ブクログ 2021年01月17日

舞台は北アイルランド。
凶悪犯を収監する刑務所から大規模脱獄が発生した。

かねてからの素行の悪さが仇となり、警部補から巡査部長へ降格され、国境付近で死と隣り合わせのパトロールを続ける日々を苦々しく耐え忍んでいるダフィは、脱獄班の一人であるIRAの大物テロリストであり旧友であるダーモットの捜索を秘密...続きを読む裏に命ぜられる。
捜査の過程でダーモットの親族から過去の密室事件を解決すれば、彼の居所を教えると持ち掛けられ事件をほじくり返すことに。

こてこてのハードボイルド調からの密室事件というなんとも異色な組み合わせ。
また、北アイルランドというなかな稀有な舞台の政治的背景の興味深さ、骨太で奔放な行動をしつつ時に細やかな気配りを見せるダフィの魅力が相まってリーダビリティ高し。

ときどき会話の合間に挟まれる「あい」という応答が無性に気になる。
本筋とは全く関係ないけど、「ええ」とか「はい」とかの応答とは別で、上司から部下へ、部下から上司へのどちらの場面でも使われている。
お国柄なのか不思議な訳だった。

このレビューは参考になりましたか?
ネタバレ

Posted by ブクログ 2020年05月16日

前作で刑事から巡査に格下げされたダフィは、北アイルランドの常に生死が交差する現場で神経をすり減らす日々。そこに脱走した幼馴染でもあるIRAの大物、ダーモット・マッカンを逮捕するため、MI5から刑事復帰を条件に捜査の依頼を受ける。

北アイルランド紛争を時代背景に、そこで生きていく人たちの重苦しさが根...続きを読む底にあるが、ストーリーのテコに密室殺人を配置することにより、エンタテインメント性も盛り込まれ、帯のコピーの通り、一気に読ませてくれる。

苦しい時代に奮闘するダフィにとって、警察に入ることは自らの正義感があってのことだが、マッカンへの憧れからくる一種の嫉妬が原動力にもなっている。そんなに人生きれいに語れるものではない。
でも人は正しい回答が欲しくて仕事に打ち込む。答えは得られるかどうかはわからない。でも打ち込む。それしかない。

ダフィは北アイルランドから逃げなかった。
これからも自分の答えを見つけるために仕事に打ち込むしかない。

このレビューは参考になりましたか?

Posted by ブクログ 2019年12月04日

密室殺人の「脱線」が素晴らしいですね。
全編に鳴り響くロックミュージックに陶酔しながら(最後を締めるのは、他でもなくアイツらのアノ曲!)、この内紛が行き着く「未来」に、知的好奇心を満たしました。

このレビューは参考になりましたか?

Posted by ブクログ 2019年06月06日

サッチャー政権下の北アイルランド、動乱の世の中で元刑事のショーン・ダフィが暗躍する話。

まず題名が良い。歌詞からの引用なのだが、In the afternoonでもIn the nightでもなくIn the morning I'll be goneである。エモい。
作詞者もさることなが...続きを読むらこれを引用してタイトルにした作者もすごい。小説の最後にピッタリのタイトルだった。

内容は歴史書とミステリーを掛け合わせたようなものだった。時代小説でミステリー、ならあるかもしれないが、近代を舞台にしているのが斬新に感じる。
ミステリーとはいえ、作中でダフィ本人が言うようにトリックなんてくそくだらないものではあるのだが。

ダフィはじめ、登場人物がみな活き活きしていて読んでいて楽しかった。斜に構えつつ、誰より他人を犠牲にすることを厭うダフィは好感の持てる主人公だった。
何よりフィッツパトリック家の女性が全員魅力的。気が強くてセクシー。
ケイトも捨てがたい。

このレビューは参考になりましたか?