あらすじ
富豪宅で起きた二重殺人。関係者が次々と不審な死を遂げ、ショーン・ダフィは錯綜する事件の渦中に身を投じる。シリーズ第四弾!
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4作目も凄かった。ショーンのメンタルが心配になるラストの衝撃の余韻がなくならない。そこに至るまでの、よくある殺人事件から話がどんどん大きくなり国際スケールな陰謀に繋がっていく様は圧巻だった。ショーンは話が進むごとに勘が冴え渡り、さらに元来の行動力が話をどんどん前に進めるので、長い作品なのに停滞感がほとんど感じられなかった。昔の男性なので時代錯誤な価値観もあるが、ショーンの語りが面白く癖になる。美女にうつつを抜かすが長続きしないのは定番になってきた。巨悪に対峙する一匹狼、ベタだけどやっぱりカッコいいなぁ。
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正直前作までを読んでいて主人公のショーン・ダフィがあまり好きになれませんでした。
しかし、役者が後書きで述べた通り本作を読み終わったあとショーンの幸せを願わずにはいられなくなるくらい好きになりました。
ショーンの人間臭さや話の展開が面白くあっという間に読み終えてしまいます。このシリーズの転換期の作品。
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今年初に出版された『ザ・チェーン 連鎖誘拐』には驚いた。この素晴らしい現代のハードボイルドのショーン・ダフィ・シリーズ三作を味わった後では、まるで異なる作家によって書かれたとしか思えないさサービス満点のハリウッド映画みたいなスーパー・エンターテインメントに度肝を抜かれた形だったのだ。それもそのはず、作品が売れず生活に困窮し、作家という仕事を放り出してウーパーの運転手に身を落とそうとしていたマッキンティが、新たに売れ、そして稼げるための創作に鞍替えして、完全イメチェンを図った上の作品が、当該作品であったのだ。なるほど、この面白さ、スピード感なら売れる。それはわかる。
でも思えば、『ザ・チェーン』のおかげで、こちらショーン・ダフィ・シリーズの続編邦訳も刊行もきっと無事潮流に乗ったのだ。ぼくとしては、こちらのほうがマッキンティの実物大作品として大のお気に入りなので、ほっとさせられる話でもある。
ショーン・ダフィは役職などには興味がない代わりに、実力派の警察官であり、そして何よりも世界に対して突っ張っている。その気高きハードボイルド精神と野良犬のような生存感覚が何とも頼もしく、ぼくは今やこのシリーズを大のお気に入りに入れている。
本書の作者あとがきにある通り、背景には歴史的事実とされる事件がちりばめられており、シリーズ中最も北アイルランドと英国との関係が重要なファクターとなっている作品となっている。前作『アイル・ビー・ゴーン』では、密室ミステリーとして島田総司の影響をマッキンティが受けているとして、別種の脚光を浴びたみたいだが、本書はより国際冒険小説の色合いを濃くし、スケールの大きさを見せている。
しかし何よりもショーン・ダフィという人間の生きざまそのものが、昨今失われているように感じるハードボイルド精神の気高さや底なしの意地というものを感じさせて、この武骨で喧嘩っ早い主人公刑事を応援する側につい回ってしまう、というのがシリーズの最たる魅力となっているのだ。
是非、作中で、様々な政治的葛藤のるつぼに足掻く、プロ根性の警察官ショーンの生き様、彼の背景に鳴り響くメロディに耳を傾けて頂きたいと思う。
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管轄、域を超える事件
事件は富豪家族の不可解な殺害で大胆に素早く動くダフィー刑事らが捜査する。原因は「主犯格3人の分配金問題で仲間割れ」、一人の男が兵器密約計画を立てた男の両親、その男、その恋人、友人を殺害、さらに兵器製造工場のもう一人の主犯格管理専任者へと証拠隠滅を図り殺害計画。事件は国家機密と警察の域を超えるまでに発展する。「仲間割れ」ほど後味が悪いものは無い。共同経営など企業でもそうだが、些細なことで分裂始めると派閥になり、会社が倒産するような事態にもなりかねない。そこにはこの小説にある「欲に絡んだ分配」だ。 人は貪欲になると必ず問題を起こすのだ。
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ショーン・ダフィシリーズ四作目。
裏表紙には「第四弾にして最高潮」とあったし、
訳者もぜひここまで翻訳したいと力を入れていたけど、
ちょっと肩透かしに遭ったような感じ。
金持ちの夫婦が殺され、息子が行方不明と単純な事件だと、
部下のクラビーにまかせるダフィ。
だが、息子は自殺で見つかり、その恋人も後を追う。
なにか裏があると事件を追っていく。
意外と使えることが次第にわかってくる新人刑事の存在が
面白かったが、
事件よりもダフィがMI5に誘われたことの方が気になってしょうがない。
ちなみに、
武満徹という日本人の作曲家の曲が出てきて「隠れた宝石」と書かれていたが、
全然理解できなかった。
結局、事件解決は不完全燃焼だし、
(このシリーズは犯人がわかっても逮捕できないらしい)
悲しい結末になってしまい残念だった。
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久しぶりにハードボイルドを読んだ
ミステリーでもサスペンスでもなくハードボイルドだ
フォローしている誰かのレビューを読んでエイドリアン・マッキンティに興味をもったのだが誰かは忘れた
くそったれ
ハードボイルドを構成する要素は4つある
ドラッグとセックスと暴力、そして能書きだ
こいつには全て詰まっている
そしてハードボイルドの主人公つまりこの場合はショーン・ダフィの野郎は決して幸せにはなれない
それがハードボイルドだからだ
文章がハードボイルドになっている
影響を受けたということだ
つまりは面白かったということだ
高倉健の映画を見たあとに無口になるように(例えが古い)寅さんを見たあとに「お兄ちゃんやめて!」と言ってしまうように(そっち?!)
北アイルランドの特殊な状況下は残念ながらハードボイルドの舞台にぴったりだった
今は多少なりともまともになっているといい
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富豪の夫妻が射殺される事件が発生した。当初は家庭内の争いによる単純な事件かと思われたが、容疑者と目されていた息子が崖下で死体となって発見される。現場には遺書も残されていたが、彼の過去に不審な点を感じたショーン・ダフィ警部補は、新米の部下と真相を追う。だが、事件の関係者がまたも自殺と思しき死を遂げ……。
シリーズ第4作。ジャック・ヒギンズの作品で言えば、「嵐の眼」と同時期ぐらいか。
中盤まではやや中だるみかなと思っていたが、見事な着地であった。
当時のポップス以外に武満徹の作品が登場。
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北アイルランド問題がピークだった頃のアイルランドを舞台とした警察小説の邦訳最新。すごく大雑把に背景事情を説明すると...プロテスタントのイギリスに領有されていたカトリックのアイルランドが独立した時にアイルランドのプロテスタント住民が多い北部だけがイギリス領として残った、そこの領土問題。北アイルランドの警察はいわば支配国家イギリスの出先機関でそこに勤務するカトリックの刑事である主人公は警察内でも異分子とされ、カトリック内部では例えばテロ組織として有名なIRAからも裏切者として狙われる、そういう立場にある。本作では富裕な夫婦が射殺されその息子が行方不明となりやがて自殺と思われる状況で息子の遺体も発見される、という話。こういう社会情勢なので殺人事件も普通の捜査とは別にテロ組織などとの関わりも調べなければならない、という特殊な状況にある。物語では息子が武器の密輸に関わっていた、という疑いが浮上して、という話。シリーズ四作目の本作ではこれまで陰鬱さが目立った主人公が軽妙さを身に着けており読みやすさが増した印象。史実を巧みに盛り込んだストーリーも素晴らしくシリーズ最高の出来だったのでは、という印象でした。
Posted by ブクログ
1作目の段階で翻訳者の方から「4作目を読んでほしい」とお聞きしていたので、読めてほんとうによかった。
そして5作目がすごいらしいので、絶対にそこまでは読みたいと願っていましたが、読めそうですね。うれしいです。え、6作目はもっとすごい⁈
1作目からショーンも『あい』も偏愛しています。
はまる人はどハマりします。
実際に起きたあの事件のことだとわかった時は震えました。
ショーン・ダフィを史実に乗せてしまうとは。
恐るべきマッキンティにもっと原稿料あげてください。
今回、レッド・ツェッペリンは一箇所しかでてきませんでした…