武藤陽生のレビュー一覧

  • コールド・コールド・グラウンド

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    刑事ショーン・ダフィーシリーズの第1作です

    何故かは忘れましたがこのシリーズは4作目から読み始め、次に3作目を読みすごく面白かったんです
    そして5作目もすごく面白そうだったので、さすがにここらで1作目を読んでおこうかと思い今日に至ります
    次は2作目を読む予定

    4→3→1→2→5
    うーん、変なの
    何かの暗号か?

    で、こんな変な読み方をすると、「あ、あれってそういうことだったんか!」というのが随所に出てきてそれはそれで面白い

    そしてシリーズを読んですごく思うこと
    この日本語訳すごすぎない?訳者の武藤陽生さんは控えめに言って天才だと思う

    今回ダフィーのチームはダフィー本人とクラビーとマティの3人で、この3人のやり取りが凄まじく面白いんだが(物凄いざっくり言うとクラビーがツッコミでマティが大ボケでダフィーが小ボケ)それぞれがかなり特徴的な背景を持ってるんですよね
    その背景と喋り方が物凄いしっくりするんですよね
    出身地それぞれに訛りがあって地名とか全然わからないんだけどすごい説得力があるんですよ
    それを日本語でさらっと表現しちゃってるんです
    あーなんか上手く説明できない

    とにかく彼らが(日本語で)そんな喋り方をするのが全く違和感なく受け入れられちゃうんですよね

    長身痩躯で、念入りに整えられたひげを生やしていて、髪はストレートの赤毛、肌は青味がかった白
    実家は代々農家で、保守的、バリミーナ訛りがあるクラビーはそういう喋り方
    なんの違和感も感じない

    うーん凄い

    うーんすごくたくさん書いたのに全然言いたいことが言えてない気がするw
    (諦めたな)

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    2022年08月06日
  • ポリス・アット・ザ・ステーション

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    今回も文句なしにすばらしくおもしろい。

    年表と法月倫太郎氏の解説がまたいい。
    成長著しい金剛…じゃなくてローソン笑

    これで終わりじゃないとわかってホッとしました。

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    2022年08月06日
  • ポリス・アット・ザ・ステーション

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     ショーン・ダフィのシリーズも6作目を数える。宗教対立と内戦下の北アイルランド、キャリックファーガスの田舎警察を舞台にした毎作のストーリーも凄いが、プロテスタントとカトリックの対立、政治思想の対立で分裂する世界一危険な国家に生きる状況を背景にして、この主人公の個性を描出する作家の書きっぷりも凄い。

     それでいながらこのシリーズでは食っていけなくなり、ウーバーの運転手で生活を凌いできたという現実の作家の生活っぷりも信じ難い。でも『ザ・チェーン連鎖誘拐』という独立作品で作家に戻った。その作品も実に出来が良い。これだけの作家が食っていけなくなる国というのは何なのだろうか。

     さて、本書。そしてダフィー。彼は、「くそ」を連発する乱暴なセリフの裏で、家に帰りつくと、ショパンのレコードに耳を傾けながら、レビ・ストロースの『悲しき熱帯』を読むというインテリゲンチャである。

     車底に爆弾がないことを必ず確認してBMWに乗る。車内では古いブルースやロックをかける。新しい音楽傾向にはげんなりしている。そのくせ音楽が凄く好きで、おまけに評論家なみに詳しい。そんな暇がありそうにない多忙な日々であれ、いつも音楽を、しかもレコードに針を落として聴いている。大抵いつも。

     それがショーン・ダフィ。乱暴でワイルドなイメージはあっても腕利きの殺人課刑事。多感で感情の浮き沈みが激しいが、とにかくインテリなのだ。音楽、文学、美術なんでもござれ。

     そのダフィが、拉致され捕縛され原始林の中を処刑場所に向かって曳かれてゆくシーンのこの本は始まる。のっけからクリフハンガー状況。そして物語は遡って始まる。

     そもそものスタート地点となるのは、クロスボウでの殺人という珍しい事件。捜査シーン。なぜクロスボウなのか? しかも異様な殺人現場。警察官が引き上げてしまっており、多くの見物人に荒らされている。死体の上には煙草の灰さえ落ちている殺人現場。鑑識もまだ来ていない。何時間も放置されている死体。そんな殺人現場はミステリー作品で見たこともないが、ダフィの時代には存在するのだ。

     殺されたのは麻薬密売人。その妻は拘留中。小さなきっかけに見えるが、物語は末広がりにスケールを増してゆく。

     ダフィの一人称による語りで展開するこのシリーズだが、そのリズム、テンポがいつもながら乗り乗りなので、多少分厚い本書でも苦には感じない。乗せられてしまう作品。ダフィの音楽性やリズム感は、きっと作者の内にあるものなのだろう。そして1980年代。北アイルランドが燃えていた時代。IRA対アルスター警察の内戦状態と言えた時代。テロリストがプロとして食っていけた時代。その時代の文化である音楽や文学を語りながらの捜査こそがダフィという主人公の個性である。

     前半は、ダフィの現在の生活っぷりと乱れた捜査陣系の立て直し。後半はアクション、またアクション。ジャック・ヒギンズの世界に舞い降りた新しい才能。それがエイドリアン・マッキンティだ。この後、彼と言う作家がどうなってゆくか心配だが、このシリーズは次の三作までが予定されており、その一作目、他に単独作品も今年同時に上梓されている。その合間は作品が発表されていないので多分ウーバー。

     苦労の中で書き続けて欲しい。この作家の才能は確かなものなのだから。

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    2022年07月24日
  • ポリス・アット・ザ・ステーション

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    ネタバレ

    ショーン・ダフィシリーズ六作目。

    正直に言って、最も衝撃的だったのは「解説」だった。
    このシリーズは三作ごとの三部作、
    つまりあと三作、書かれる予定らしい。

    いやー、もういいでしょ。
    一匹オオカミだったダフィが、
    娘とその母(結婚していないので妻ではない)と住み、
    チームで大事件を解決して、
    都合の良い人事を受け入れさせ、
    半ば引退する予備巡査の道をつかみ取り、
    幸せなラストで自分としてはとても満足していたのに。

    今まで登場していなかった父母が登場したり、
    警察署で体力テストがあってジョギングしたり、
    ダフィが娘のおむつを替えたりと、
    いろいろ面白かったが、
    やはり圧巻はIRAの暗殺部隊に襲われた場面。
    一作目で助けてもらったテロ組織の幹部が、
    また、軽機関銃で追っ払ってくれた。

    その前にIRA実行部隊にハニートラップにかけられたのに、
    そのハニー役だった女性の命を助けるために、
    警察に連絡せず、
    IRAのメンバーの家に行くところは良かった。

    それと、アイルランドとの国境で追い詰めた犯人を、
    撃ち殺すでもなく、逮捕し裁判を受けさせるわけでもなく、
    警察にとって都合よく使うとは、それも面白かった。

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    2022年07月23日
  • ポリス・アット・ザ・ステーション

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    〈ショーン・ダフィ〉シリーズ第六弾。麻薬密売人が殺害されダフィたちの捜査が進むにつれて事件の背後にあるものが見えて難しい捜査になっていく。シリーズお馴染みのクラビーとローソン二人の巡査部長とダフィの三人での捜査とその会話が今回も良くてとても良いトリオ。家族ができてダフィも少しずつ変わってきていてそれが今後どうなっていくのかも楽しみだし、今作の結末を経ての次作が待ち遠しい。前作と今作はシリーズの中でも特に読み応えがある作品だと思う。

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    2022年07月09日
  • ポリス・アット・ザ・ステーション

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    キャリックファーガスの団地で麻薬密売人の男が射殺された。自警団の犯行として捜査が行われるが、ショーン・ダフィ警部補は、事件がそう単純なものではないことを直感する。事件当夜に被害者と会っていた不審な男、何かを隠す被害者の妻……。さらに捜査中、ショーンは何者かに命を狙われてしまう。そして事件は北アイルランドの闇へとつながっていき――。

    シリーズ第6作。守るべき家族のために、仲間と共にダフィ警部補が奔走する。一筋縄では終わらないのが、作者の真骨頂。

    しかし、定価が1800円超え。どうしたものか。ポケミスも高くなったし。

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    2022年07月04日
  • ガン・ストリート・ガール

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    ネタバレ

    正直前作までを読んでいて主人公のショーン・ダフィがあまり好きになれませんでした。
    しかし、役者が後書きで述べた通り本作を読み終わったあとショーンの幸せを願わずにはいられなくなるくらい好きになりました。
    ショーンの人間臭さや話の展開が面白くあっという間に読み終えてしまいます。このシリーズの転換期の作品。

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    2022年07月04日
  • アイル・ビー・ゴーン

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    北アイルランド問題の根深さは人種や領土問題に宗教が絡んでるところですよね
    まあどこもそうか
    宗教が絡むとややこしい
    でもややこしいと思うのは無宗教だからなんでしょうな

    今回はテロの話が軸ではあるんですが密室殺人なんかも出てきて多彩な面白さです
    そして北アイルランドの独特な雰囲気が良く出ている気がするんですよね
    もちろん実際に知ってるわけではないので比較してるわけじゃないんですがそうなんだろうなって思わせます
    物語も二転三転してハラハラしました
    良作!

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    2022年07月03日
  • 駆逐艦キーリング〔新訳版〕

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    『潜水艦モノに外れなし』というのは、映画に関する有名な格言(?)です。

    この作品は、潜水艦を狩って・狩られる駆逐艦側からの視点ですが、『潜水艦モノ』と言ってもいいかもしれません。外れていません。

    なんで映画の『潜水艦モノ』は外れないのか?と思ったのですが、潜水艦の場合、視野がないので相手を音で“見て”狩る必要があるのですが、それが物語に緊張感を与えるので、見る人を魅了するのかと思います。

    この作品も、潜水艦の気配は感じるものの、目で見ることはできず、音で“見て”いるので、逆の立場ではありますが、制限のある中での狩って・狩られるところが、物語に緊迫感を与え、読んでいる人を魅了するのかなぁと思いました。

    面白かったです。

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    2022年03月25日
  • レイン・ドッグズ

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     ノワールの系譜を正当に継ぐのが、このエイドリアン・マッキンティだとぼくは固く信じている。リズミカルに並べられる名詞の山。体言止めで綴られる小気味よい文体。舞台は、ジャック・ヒギンズの作品でもおなじみのテロの嵐吹き荒れる80年代の北アイルランド、ベルファストとその近郊。

     主人公は、すっかりお馴染みになったいい味の一匹狼、汚れた街をゆくショーン・ダフィ。頑固で、タフで、それでいて弱くて、心優しい詩人で、デカダンスな酒呑みで、頭が切れる上に、ピアノも上手い、古いレコードのマニアである。シリーズ作品のタイトルはすべて、酔いどれピアノ弾き語りの天才トム・ウェイツの曲名からなっている。

     信頼できる常連キャラである相棒クラビーに、新人ローソンを加えた三輪体制となって、本作で迎えるは『アイル・ビー・ゴーン』に続く密室殺人事件。舞台は、お馴染みのキャリックファーガスと、その古城。しかも物語のスタートは、驚くべきゲストをベルファストに迎える。モハメド・アリ! 彼をガードするチャンスを得たショーンは舞い上がる。サービス満点の虚実織り交ぜたプロットをも運ぶマッキンティのペンの冴えは想像力を暴走させては、ますます加速する。

     エルロイのようだ。エルロイを師と仰ぐ馳星周のようでもある。リズミカルで、踊るような文体。リズムは緩急を変え、読者を世界の果て、閉ざされた時代へといざなってゆく。ある種の酩酊感を自覚させられる読書感覚。

     それでいながら本格推理的トリックにもこだわる。今回は、同じ刑事が、二度も密室殺人に出くわす確率への疑問を、主人公ショーン自身があり得ない確率と意識してやまない。二重三重の罠への疑惑。標的はショーンであるのかもしれない。ショーンの懐疑にはきちんと決着がつく。いつもながらの練りに練られたプロット。

     当時の国際事情。南北に分かれたアイルランドのそれぞれに違う法律という罠。フィンランドからの異邦人たち。過去からの使者。ショーンの捜査に引っかかる様々なファクター。さらに少年たちの収容施設の存在と、収容者たちの性被害疑惑が事件に引っかかってくる。史実、事実に絡ませた題材を取り込んでいる。作品の厚み。世界との繋がり。アイルランド史という深海に下ろされた作品という名の錨のようだ。

     ショーンにとっては、彼のプライベイト・ストーリーでサンドイッチされた作品であるという点も、注目すべきである。粋な構成。心を打つリズム。やはり最後まで音楽性豊かな作品であるかのような。次作への焦がれるような期待に心が焼かれる。不良青年のような風貌の作者と、不良そのものである刑事ショーン。

     本書は、アメリカ探偵作家クラブ賞最優秀ペーパーバック賞受賞作。本格ミステリの謎解きをノワールの闇で包み込んで仕上げた唯一無二の世界観と言える本シリーズ。つくづく、はまったら抜けられない世界。この個性をいつまでも!

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    2022年01月16日
  • レイン・ドッグズ

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    ネタバレ

    あい。
    今回も文句なし。
    阿津川辰海さんの解説に挙げられている(主に警察)小説もマイベスト級に好きなものばかりで、いかにこのシリーズがわたしのどストライクであるかを再確認した次第。

    今回ローソンが大活躍。クラビーは控えめ。
    次作が本当に楽しみ。

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    2022年01月16日
  • レイン・ドッグズ

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    「ショーン・ダフィ」シリーズ第5弾。80年代の北アイルランドの暴動や紛争のなか古城で起きた事件を追うダフィたち。ひとつの事件から大きく広がっていく展開や上手く進まない捜査と警察小説の面白さがたっぷりあるけれど個人的にはダフィの魅力的な造形が一番の楽しみでもある。北アイルランドの情勢、車の下に爆弾がないことを確認するような日々。シリーズを通して、ダフィを通して描かれるこれらの日々と警察小説、ミステリーとしての魅力が存分に楽しめる。これまでのシリーズの中でも上位にくる面白さだと思う。

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    2022年01月11日
  • スーパーベターになろう!──ゲームの科学で作る「強く勇敢な自分」

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    ストレスをポジティブに活かしたお姉さん。対して妹さんはゲームをライフスタイルに適応させた第一人者です。

    自分の苦しい生活を「ゲームっぽく」することで、活力を取り戻す。そのくだりに、救われた気持ちを味わいます。

    余暇の時間を楽しむだけと考えていた娯楽も、その楽しいエッセンスを抽出し、生活に注入すると、受け止め方がガラリと変わる。ゲーミフィケーションを学び実践できる良書の1つです。

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    2021年04月18日
  • DX実行戦略 デジタルで稼ぐ組織をつくる

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    2019年出版の本だけど、これまで読んだDX系の本の中では一番よかった。
    英語ができると、この本をもっともっと前に読めたんだろうなとか思う。
    何度か読み返したり、手元に置いて見返したりしたい一冊。
    #DX

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    2021年04月03日
  • ガン・ストリート・ガール

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     今年初に出版された『ザ・チェーン 連鎖誘拐』には驚いた。この素晴らしい現代のハードボイルドのショーン・ダフィ・シリーズ三作を味わった後では、まるで異なる作家によって書かれたとしか思えないさサービス満点のハリウッド映画みたいなスーパー・エンターテインメントに度肝を抜かれた形だったのだ。それもそのはず、作品が売れず生活に困窮し、作家という仕事を放り出してウーパーの運転手に身を落とそうとしていたマッキンティが、新たに売れ、そして稼げるための創作に鞍替えして、完全イメチェンを図った上の作品が、当該作品であったのだ。なるほど、この面白さ、スピード感なら売れる。それはわかる。

     でも思えば、『ザ・チェーン』のおかげで、こちらショーン・ダフィ・シリーズの続編邦訳も刊行もきっと無事潮流に乗ったのだ。ぼくとしては、こちらのほうがマッキンティの実物大作品として大のお気に入りなので、ほっとさせられる話でもある。

     ショーン・ダフィは役職などには興味がない代わりに、実力派の警察官であり、そして何よりも世界に対して突っ張っている。その気高きハードボイルド精神と野良犬のような生存感覚が何とも頼もしく、ぼくは今やこのシリーズを大のお気に入りに入れている。

     本書の作者あとがきにある通り、背景には歴史的事実とされる事件がちりばめられており、シリーズ中最も北アイルランドと英国との関係が重要なファクターとなっている作品となっている。前作『アイル・ビー・ゴーン』では、密室ミステリーとして島田総司の影響をマッキンティが受けているとして、別種の脚光を浴びたみたいだが、本書はより国際冒険小説の色合いを濃くし、スケールの大きさを見せている。

     しかし何よりもショーン・ダフィという人間の生きざまそのものが、昨今失われているように感じるハードボイルド精神の気高さや底なしの意地というものを感じさせて、この武骨で喧嘩っ早い主人公刑事を応援する側につい回ってしまう、というのがシリーズの最たる魅力となっているのだ。

     是非、作中で、様々な政治的葛藤のるつぼに足掻く、プロ根性の警察官ショーンの生き様、彼の背景に鳴り響くメロディに耳を傾けて頂きたいと思う。 

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    2020年12月15日
  • アイル・ビー・ゴーン

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    エンタメ小説のすべての要素をぶっ込んだハラハラドキドキ!島田荘司が一気読みしたと言うのはどれほどのものか?いや確かに凄い。舞台は1983年北アイルランド。独立運動激しく要人を狙い警察署やホテルが急に爆発して同僚や一般人が死ぬシーンが日常のように描かれる。戦場のようだ。有能が故に本部長に睨まれたショーン・ダフィ刑事は警察をクビになるが、IRAの大物で幼なじみのダーモットを探し出して欲しいというMI5の依頼を、復職を交換条件に受ける。ダフィはダーモットの義母から4年前の娘の死の謎が解けたらダーモットの居場所を教えると取引を持ち出される。しかし4年前の事件は完全なる密室だった。殺人なのか事故なのか。ファミリーを裏切れば殺されるマフィアのような北アイルランド独立運動家達のテロによる死者続出の緊迫感の中で、密室という本格謎解きが味わえる上にハードボイルドでありスパイ小説であり警察小説なのだ。アイルランドはこんなに怖いのか?情況証拠しかない密室殺人は犯人を見つけ手を汚さず法に頼らず落とし前を付けるも、張り込んだダフィはダーモットらに手錠をはめられ殺されようとしていた。さらにIRAはサッチャー首相宿泊ホテルに時限爆弾をセットしていた。爆発まで残りわずか。もう絶対間に合わない!ここから何が起きるんだ!やめてー!

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    2020年11月15日
  • 対デジタル・ディスラプター戦略 既存企業の戦い方

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    ネタバレ

    VUCA時代の重要なキーワードである「Disrupt」と「Digital Transformation」を融合した、まさに”Disrupt, or to be disrupted, that's the question.”という問いへの回答の一助になる一冊。
    デジタルトランスフォーメーションの本質は、単なるコスト削減ではなく、顧客への提供価値を高めることを目的としている(その上でコストも下がる)。3つのバリューはその方向性を検討する上で重要。
    そのために、データドリブンな組織の構築(ビジネスアジリティ)は必須。

    カタカナの造語が理解にしにくく、訳が頭に入ってこないの等の欠点はあるものの、デジタルを理解した経営戦略を体系的に学べる。


    以下、本書からの学び

    【「破壊者」ではなく「破壊の力学」に注目する】
    重要なのは「ディスラプター」ではなく、「ディスラプション」。

    【デジタル・ディスラプションの破壊力】
    デジタル・ディスラプションと従来の競争力学とのちがいは、「変化の速度」と「利害の大きさ」。
    業界ごとのデジタル・ディスラプション(p.338、表A4)
    製薬業界ではデジタル・ディスラプションの可能性は低いが、影響を免れるというわけではない(パーソナライズ、デジタル・マーケットプレイス等)。
    既存企業の強み(資金調達力、ブランド力、顧客基盤)は「規模」頼み。デジタルによって規模は容易に突破可能。ディスラプターは規模の不経済から利益を得ている(小規模の方が良い)。
    ディスラプターはバリューチェーンの構築なしにバリューを創出。重要なのは、「バリュー」そのもの。
    「自らをディスラプト」は、会社が顧客に価値を提供してきた方法がどれだけ強固かを疑うところからはじめる。

    【デジタルが可能にしたビジネスモデル】
    デジタル技術が新ビジネスモデルを可能に。
    デジタルがもたらす3つの「カスタマーバリュー」
    ①コストバリュー(p.52、表1):競争におよぼす効果が最も強い。製品・サービスの非物質化。解析を駆使した情報優位、また情報優位による業務最適化。
    中間業者として商取引に介入。
    ②エクスペリエンスバリュー(p.58、表2):製品・サービスをアンバンドルし、安価に提供。
    ③プラットフォームバリュー(p.66、表3):ネットワーク効果(メトカーフの法則)。
    組合せ型ディスラプション:ビジネスモデルが組み合わさり、3つのバリューの破壊的な組合せが顧客にもたらされる。

    【バリューバンパイアが市場の利益を飲み干す】
    自らの競争優位により市場の売上・利益を縮小させるディスラプター。既存企業のマージンを枯渇、時代遅れの存在にさせる。市場の急激な変化を促進。
    大きなイノベーションを経験していない市場では、多くの顧客が既存サービスに不満。
    デジタル化可能なあらゆるものがデジタル化される。製品そのものではなく、「チャネルや消費行動のあるステップ」がデジタル化の可能性。
    事例:ナップスター(p.91、表4)
    顧客はデジタル・ディスラプションには大きな価値があると理解。
    デジタル・ディスラプションによって、新たな市場機会生じる。一時的な空白地帯。『ホワイトスペース戦略』参考。
    既存企業が3つのバリューを創出し、攻勢にまわれるチャンス。
    『ブルーオーシャン戦略』の「市場の境界線」「模倣を防ぐ壁」は無意味に。
    事例:アップル(p.111、表5)

    【ディスラプターとどう戦うか―4つの対応戦略】
    防衛的戦略:収穫戦略、撤退戦略
    攻撃的戦略:破壊戦略、拠点戦略
    ①収穫戦略:ディスラプティブな脅威を遮断。顧客、提携業者、規制機関、世論形成者、資本提供者との関係を利用。法的措置、マーケティング活動、料金引き下げ等。低迷期間中に引き出せるだけのマージンを引き出す。デジタルで効率性を向上。収穫戦略が唯一の対策ではない。(p.124)
    ②撤退戦略:今の市場から離脱しニッチな市場に逃げる。事業維持コスト>利益 の場合。
    ③破壊戦略:デジタル技術とデジタル・ビジネスモデルを駆使して3つのバリューの創出に専念。
    提供業者としての自らの役割から離れ、顧客の気持ちになって考える。
    コストバリューとエクスペリエンスバリューは一般的には相容れない選択肢だが、デジタル・ディスラプターは違う。
    ④拠点戦略:ディスラプションにおける競争上の利益を維持。
    ディスラプションをもたらした企業が最終的な勝者になるとは限らない。
    「新設」「買収」「提携」のいずれを採るべきか?
    戦略ごとのカスタマーバリューの形態(p.145、図13)
    技術コストは指数関数的に減少していく(ムーアの法則)が、既存企業は高い技術コストを負わされている。コスト曲線の自らの立ち位置を「リセット」することが課題。

    【アジリティを高める3つの組織能力】
    ディスラプターのスピード、柔軟性、有効性に対応できる能力(p.304、図18)
    「察知力」「情報に基づく意思決定力」「迅速な実行力」
    3つの能力には連続性がある。
    時には、ディスラプターのデジタル技術が必要な能力獲得を助けてくれる。

    【これまで手に入らなかった情報を集める―ハイパーアウェアネス】
    察知力:関連するデータ・洞察を収集し、自社が置かれた環境の変化を察知し、監視する能力。
    どんな洞察を得たいか?何を監視するか?そのためにどんなITインフラ・人的資源が必要か?

    【解析力を高めてバリューを見抜く―情報にもとづく意思決定力】
    情報に基づく意思決定力:データを解析して知見を吸収し、適切な人材を引き込みつつ、一貫して正確な意思決定をするための能力。
    良い意思決定ができるかは、良いデータ解析ができるか、社内外の専門家たちが必要なデータにアクセスし、適切な段階で意思決定プロセスに関与できるか。

    【リソースとプロセスを動的にする―迅速な実行力】
    迅速な実行力:うまくいっていない、時代遅れのアプローチを捨てて迅速かつ効果的に実行する能力。

    【いかにして競争力を高めるか】

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    2020年11月04日
  • スーパーベターになろう!──ゲームの科学で作る「強く勇敢な自分」

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    コンピューターゲームの問題点ばかりがメディアで取り上げられがちですが、この本はゲームがもたらす良い点について、実際に行った研究をもとにして解説し、うまくゲームを利用すること、ゲーム的な考えを実生活に取り込むことの方法を紹介しています。
    ゲーム好きな私としては、自分の子供たちには適度にゲームを楽しんでもらいたかったので、どうやってゲームと付き合っていくかを教えていく参考になりました。
    本の内容をもとに、子供たちと一緒にゲームをするようになったら、子供たちの情緒が安定するようになり、良いコミュニケーションツールにもなっています。
    とはいえ、本の中にも書かれていますが、コンピューターゲームに関しては時間はほどほどに。

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    2020年01月18日
  • 対デジタル・ディスラプター戦略 既存企業の戦い方

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    ー デジタル・ディスラプターが狙っているのは「バリューチェーン」ではなく「バリュー」そのものだ。そのためB2B企業は価値がどこで生み出されているのかを理解しておかなければならない。残念ながら私たちが調査してきたB2B企業の多くは、高いハイパーアウェアネスを持っていなかった。

    これはおそらく、生み出された価値が最終顧客(すなわち消費者)によってどう消費されるかという観点から数歩離れたところにいるからだろう。 ー

    体系的で分析的で現実的で面白い。

    ディスラプターが重要なのではなく、ディスラプトという事象そのものの方が重要。ディスラプターの成功や失敗が重要なのではなく、ディスラプトそのものの当社への影響を考えることの方が重要。
    本質を見誤らない議論が重要なんだなぁ〜。

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    2019年07月07日
  • アイル・ビー・ゴーン

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    元刑事のショーンに保安部が依頼したのは、IRAの大物テロリストにしてショーンの旧友であるダーモットの捜索だった。復職を条件に依頼を引受けたショーンは任務の途中で、ダーモットの元妻の母に取引を迫られる。4年前の娘の死の謎を解けば、彼の居場所を教えるというのだ。だがその現場は完全な“密室”だった…オーストラリア推理作家協会賞受賞作の本格ミステリ。大型警察小説シリーズ第三弾!

    密室∔警察小説+冒険サスペンスのてんこ盛り。気になる次回作も密室が登場とは…。

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    2019年06月30日