あらすじ
刑事〈ショーン・ダフィ〉シリーズ最高傑作 クロスボウで射殺された麻薬密売人。事件の裏には北アイルランドを揺るがす秘密があった。ショーンは捜査中、IRAに襲われ……
...続きを読む感情タグBEST3
Posted by ブクログ
クソ面白い
もちろんクソ原文ではshitですわな
クソ作中クソ700回くらいクソクソ言う(ほんとはそんなには言わない)
ショーンが目出し帽の男とその仲間たちに森の中を歩かされて、自分を埋めるための穴を掘らされた上に、拳銃を向けられる絶体絶命のピンチを迎えるプロローグから物語はスタート
しかし、ギャリックファーガス署の管内で発生したのは麻薬の密売人が殺されるという北アイルランドでは特段珍しくない事件(それはそれでどうかと)
唯一珍しいのは兇器がボウガンというところ
「薬の売人が背中を矢で撃たれて殺された」
「犯人は地元の法執行機関の手をさんざんに煩わせてる、シャーウッドの森のあの悪党か?」
クラビーとショーンのこんなのんきなやり取り
緊迫の場面から一転していつもの二人いや新米刑事のローソンを加えていつもの三人
事件の捜査はなかなか進展せず、ショーンの恋人ベスと娘エマの日常が描かれていく
あれれ?このスローペースから、どうやってあの場面に?と思わせながら物語はあくまでのんびり進みます
でもこののんびりのところもぜんぜん退屈じゃなくてすんごい面白いのよ
そして、もちろんこののんびりペースは作者の手の内で後々効いてくることばっかり、良く出来てるの
一気にペースが上がる後半から最後までハラハラさせての、いい感じのラスト
すんばらしい大傑作でした!
ショーン・ダフィシリーズ
もっと読まれてもいいと思うんだけどなぁ〜
ノワールはやっぱり一般受けしないのかなぁ〜
★5じゃクソ足りない!
Posted by ブクログ
シリーズを通して血で血を洗う政治闘争と腐敗した警察権力とに挟まれた絶望的な状況に置かれてきた主人公が遂に自分のみならず家族や友人までも失いかねない窮地に追い込まれる中で、果たして事件を解明し状況を好転させることができるのだろうか。三部作の中締めにふさわしいラストが待っている。
引用 〜 悲劇と幸運と】銃で撃たれなきゃならないとしたら、ベルファストは最高の場所のひとつだ。二十年の紛争の末、何千という暗殺未遂と銃による制裁の末、ベルファストは世界有数の銃創外科医を多数輩出してきた。
Posted by ブクログ
今回も文句なしにすばらしくおもしろい。
年表と法月倫太郎氏の解説がまたいい。
成長著しい金剛…じゃなくてローソン笑
これで終わりじゃないとわかってホッとしました。
Posted by ブクログ
ショーン・ダフィのシリーズも6作目を数える。宗教対立と内戦下の北アイルランド、キャリックファーガスの田舎警察を舞台にした毎作のストーリーも凄いが、プロテスタントとカトリックの対立、政治思想の対立で分裂する世界一危険な国家に生きる状況を背景にして、この主人公の個性を描出する作家の書きっぷりも凄い。
それでいながらこのシリーズでは食っていけなくなり、ウーバーの運転手で生活を凌いできたという現実の作家の生活っぷりも信じ難い。でも『ザ・チェーン連鎖誘拐』という独立作品で作家に戻った。その作品も実に出来が良い。これだけの作家が食っていけなくなる国というのは何なのだろうか。
さて、本書。そしてダフィー。彼は、「くそ」を連発する乱暴なセリフの裏で、家に帰りつくと、ショパンのレコードに耳を傾けながら、レビ・ストロースの『悲しき熱帯』を読むというインテリゲンチャである。
車底に爆弾がないことを必ず確認してBMWに乗る。車内では古いブルースやロックをかける。新しい音楽傾向にはげんなりしている。そのくせ音楽が凄く好きで、おまけに評論家なみに詳しい。そんな暇がありそうにない多忙な日々であれ、いつも音楽を、しかもレコードに針を落として聴いている。大抵いつも。
それがショーン・ダフィ。乱暴でワイルドなイメージはあっても腕利きの殺人課刑事。多感で感情の浮き沈みが激しいが、とにかくインテリなのだ。音楽、文学、美術なんでもござれ。
そのダフィが、拉致され捕縛され原始林の中を処刑場所に向かって曳かれてゆくシーンのこの本は始まる。のっけからクリフハンガー状況。そして物語は遡って始まる。
そもそものスタート地点となるのは、クロスボウでの殺人という珍しい事件。捜査シーン。なぜクロスボウなのか? しかも異様な殺人現場。警察官が引き上げてしまっており、多くの見物人に荒らされている。死体の上には煙草の灰さえ落ちている殺人現場。鑑識もまだ来ていない。何時間も放置されている死体。そんな殺人現場はミステリー作品で見たこともないが、ダフィの時代には存在するのだ。
殺されたのは麻薬密売人。その妻は拘留中。小さなきっかけに見えるが、物語は末広がりにスケールを増してゆく。
ダフィの一人称による語りで展開するこのシリーズだが、そのリズム、テンポがいつもながら乗り乗りなので、多少分厚い本書でも苦には感じない。乗せられてしまう作品。ダフィの音楽性やリズム感は、きっと作者の内にあるものなのだろう。そして1980年代。北アイルランドが燃えていた時代。IRA対アルスター警察の内戦状態と言えた時代。テロリストがプロとして食っていけた時代。その時代の文化である音楽や文学を語りながらの捜査こそがダフィという主人公の個性である。
前半は、ダフィの現在の生活っぷりと乱れた捜査陣系の立て直し。後半はアクション、またアクション。ジャック・ヒギンズの世界に舞い降りた新しい才能。それがエイドリアン・マッキンティだ。この後、彼と言う作家がどうなってゆくか心配だが、このシリーズは次の三作までが予定されており、その一作目、他に単独作品も今年同時に上梓されている。その合間は作品が発表されていないので多分ウーバー。
苦労の中で書き続けて欲しい。この作家の才能は確かなものなのだから。
Posted by ブクログ
ショーン・ダフィシリーズ六作目。
正直に言って、最も衝撃的だったのは「解説」だった。
このシリーズは三作ごとの三部作、
つまりあと三作、書かれる予定らしい。
いやー、もういいでしょ。
一匹オオカミだったダフィが、
娘とその母(結婚していないので妻ではない)と住み、
チームで大事件を解決して、
都合の良い人事を受け入れさせ、
半ば引退する予備巡査の道をつかみ取り、
幸せなラストで自分としてはとても満足していたのに。
今まで登場していなかった父母が登場したり、
警察署で体力テストがあってジョギングしたり、
ダフィが娘のおむつを替えたりと、
いろいろ面白かったが、
やはり圧巻はIRAの暗殺部隊に襲われた場面。
一作目で助けてもらったテロ組織の幹部が、
また、軽機関銃で追っ払ってくれた。
その前にIRA実行部隊にハニートラップにかけられたのに、
そのハニー役だった女性の命を助けるために、
警察に連絡せず、
IRAのメンバーの家に行くところは良かった。
それと、アイルランドとの国境で追い詰めた犯人を、
撃ち殺すでもなく、逮捕し裁判を受けさせるわけでもなく、
警察にとって都合よく使うとは、それも面白かった。
Posted by ブクログ
〈ショーン・ダフィ〉シリーズ第六弾。麻薬密売人が殺害されダフィたちの捜査が進むにつれて事件の背後にあるものが見えて難しい捜査になっていく。シリーズお馴染みのクラビーとローソン二人の巡査部長とダフィの三人での捜査とその会話が今回も良くてとても良いトリオ。家族ができてダフィも少しずつ変わってきていてそれが今後どうなっていくのかも楽しみだし、今作の結末を経ての次作が待ち遠しい。前作と今作はシリーズの中でも特に読み応えがある作品だと思う。