深木章子のレビュー一覧
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Posted by ブクログ
ネタバレタイトル、帯の煽り文、見取り図。満点です。ミステリスキーにレジに持って行かせるだけの卓越した一冊に出会えた時の喜びと言ったら、、、、。
というわけで、初めましてな作家さんです。深木章子先生。60歳を過ぎてから作家デビューされたようです。ビックリ。それでこういう古式ゆかしくも挑戦的な一本が書けるって凄いなァ。
作品のトリック自体は非常にシンプル。
明治時代に官憲の包囲の中、20名余りが忽然と姿を消した武家屋敷が舞台です。
謎の招待状で集められた5人の関係者が、折悪しくも襲来した嵐に足止めを食い、やがて2人の人間が土砂崩れに巻き込まれた直後、第1の人間消失事件が発生する。そして、疑心暗鬼の面々が解散した直後、深夜の屋敷内で一人、また一人と姿が消えていく、、、、。
ザ・シンプル〜〜〜〜〜!
登場人物も少ない上に、見えない殺人者の姿や暗闇に怯えるキャラの描写なんて、なかなか上手い。
普通その発想しちゃう、、、?みたいな箇所は複数あったけど(電線切られた=殺される!な発想にすぐ飛びつくか?とか)、まあその辺は嵐の山荘もののお約束なんで許します(誰)。
とにかく、衝撃なのは事件編の章のラスト一行と、解決編冒頭の一行ですね。十角館のあの一行には比べるべくもないですが、薄々予想はできてたラスト一行からのあの冒頭一行のカタルシスは得難いものでした。
惜しむらくは、視点の変化が分かりづらいことかな。ちょっと答え合わせするのに苦労したから、できれば各章に振られた番号毎に××が変わるとか分かりやすければ良かったな〜(わがまま)。
あと、最大の残念ポイントは最後の最後、突然の赤川次郎オチを持ってきちゃったことかな、、、、作品の雰囲気をガラッと変えたのは作家ご本人の意思なんでしょうか。だとしたら、編集の方は止めた方が良かったような、、、、。
何だかんだ言いましたが、久しぶりに謎解きや解明後の回収読み直しも楽しめた作品でした。熟れたミステリが読みたい方にオススメ。ビギナー向けではないかな。 -
Posted by ブクログ
今、秘かに応援している推理作家、深木章子さん。
秘かにする必要などないけれど。何故もっと注目されないのかわからない。
遺産目的での義父殺害の嫌疑がかかる峰岸諒一は、頑なに無罪を主張していた。諒一に依頼された弁護士衣田は、肝心なところで言葉を濁す依頼人に翻弄される。
しかし、ようやくアリバイの証明がされ、諒一の無罪が確定し釈放される。
ところが、間もなく諒一の遺体が発見される。
今回の作品では、冤罪が描かれる。
弁護士ならではの思いが窺える記述もある。
また、裁判に伴う拘留の様子や、被告人と弁護人との面会の様子などにも弁護人ならではの記述があり興味深く読める。
こういった難しくなりがちな内容が、法律などの知識の乏しい読者にもわかりやすく書かれて読みやすい。
こういう作品を読むときは、わたしは事件の謎解きをしながら読む。
今回は半分まではすぐにわかったが、共犯は誰かというところがわからなかった。遺産を独り占めするために事故に見せかけて云々と色々推理していたのだが、この作品を未読のかたのために記述は控える。
残念ながら、完全推理に至らなかった。
今作は深木章子さんのデビュー作「鬼畜の家」で登場する私立探偵榊原シリーズ三部作の完結編に当たる。
作品相互の関係はないので、どれから読んでも問題はない。
正直に言うと、「鬼畜の家」での榊原の描写には、それ程魅力もなくシリーズにするほどなのかと思った。
しかし、この作品では榊原の背景がよく描かれている。
エピローグを読むと、そうだったんだと胸が熱くなる。
副題に「探偵の依頼人」とわざわざ付いていることの理由がわかり、深木章子さんのタイトルの付け方に納得する。
深木章子さんは、もっともっと世間の話題になって良い作家さんだと思う。
わたしの周りに深木章子さんを知るひとが増え、面白かったねと話せるようになればいいのにと願いながら、次の作品を待ちたい。 -
Posted by ブクログ
気に入りの深木さんの新しい文庫本が発売されたので早速購入。
今回ははじめての海外、フランスが舞台。
交通事故で妻は亡くなり、生き残った夫は心を病む。セラピストによって心を癒し再婚する。新妻を伴い自身の領地へ戻る。
螺旋階段の底、地下に閉ざされた墓所のある邸で暮らすふたり。
都会から離れ思うところのある妻と、同じ頃、村では次々と少年が行方不明になる。
こういった物語。
サスペンスなので少年の行方不明事件の犯人はわかっている。
この作品の肝はそこではない。
物語全体をしっかり注意して読めばわかる仕掛けがある。
わたしは仕掛け自体には気づいていたのだけれど、読みが浅く混乱してしまった。
舞台がヨーロッパで、設定が現代ではなく、邸にいる使用人の女性の雰囲気描写などが「レベッカ」を髣髴とさせる。
いかにもミステリアスな雰囲気に包まれており、深木さんはこういった作品も書くのだなと作家深木章子の底しれなさを窺わせる。
読んだとき、フランスで愛しいひとをシェリーと呼ぶことを知らず、名前がおかしなことになっていると混乱してしまった。
ダーリンみたいな感じで読めば良かったのを、シェリーを人名と捉えてしまい、これ誤植じゃないのと頭を疑問符で一杯にしてしまった。
無知なので仕掛けでないところで勝手に混乱してしまう。
深木章子さんは何故かまだそれ程話題にもならず評価も十分ではないと感じるが、わたしは深木章子さんはもっと評価されて然るべき作家さんだと思う。
今回も面白く読める、深木さんでははじめてのゴシックな魅力のある一冊だった。 -
Posted by ブクログ
ネタバレ登場人物が多くて、初めのうちは何度もメンバー一覧を見返しながら読みました。昭和41年、地元の名家の和洋折衷なお屋敷での殺人事件。
治重と燈子の書簡は、読んでるこちらが照れてしまうようなやり取りで。私にはとても文字にできそうにない甘~い愛や、直球の愛の表現。この年代の方たちは、若い頃もこういう文をやり取りしていたのかな。
それが、まさか全て治重の描いた道筋通りだったなんて。途中で「まさか燈子が犯人?」と思ったもののすぐにその可能性を打ち消してしまった私は、推理小説の読み込みが治重に到底及びませんわ。
岸上弁護士の生涯に渡る友情からも治重の人となりが読み取れ、それ故に燈子と想いを通わせてしまったことを残念に思いました。人生の歯車が狂うポイントは後になってみないと分からないものですね。
治重の白鳥の歌は悲しく、虚しく、やるせない達成感と愛が込められていました。