深木章子のレビュー一覧

  • 敗者の告白

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    「敗者の告白」
    転落死した妻子 残った夫。その妻が残した夫に対する告発文。「私が死んだらそれは夫の仕業です」と、息子が死する前におばあちゃんに送った一通のメール。「僕はお父さんとお母さんに殺される」
    そして「妻は自分を殺そうとしていた。正当防衛だ」と無罪を主張する夫。果たして何が本当で何が嘘なのか、誰が誰に殺意を持っていたのか。
    一見、視界クリアな道が開かれているように見えて、目的地が見えない不思議な旅だった。

    この家族の「告白」から連なる関係者達の「告白」が、主に夫の担当弁護士に向けて語られ、徐々に真実が明らかになっていく。今となっては珍しくない構築だが、やはりジワジワと全容が見えてくる形

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    2021年03月24日
  • 欺瞞の殺意

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    元弁護士の犯罪者と義妹の手紙のやりとりを主体としたミステリ。
    導入部は過去の毒殺事件。
    そのあとは手紙による推理合戦が続く。真相は?
    手紙の必然性やトリックなどはロジカルで納得がいく。推理が繰り返される様も伏線が次々と回収されていくので小気味良い。
    オチは読めなかった。

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    2021年02月23日
  • 欺瞞の殺意

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    昭和41年の夏、地方の有力者の家庭で起こった毒殺事件。当主の治重が自供し、無期懲役刑が確定。事件は片がついたかに思えたが、40年後、保釈された治重は、ある関係者に手紙を出す。「僕は無実です。本当はあなたもそれをご存知のはずです。」

    本書の中心は、事件の真実を推理する書簡のやり取り。互いの手紙の文面を引用して、相手の推理を否定し、あるいは肯定して、何とか真実を探り当てようとするやり取りである。そして、そのやり取りはタイトルにある通り、「欺瞞」でしかない。物語は二転三転し、最後の最後でまたひっくり返される。お終いまで気の抜けない、秀逸なミステリだ。

    深木章子さんの作品は初めて読んだ。元弁護士に

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    2020年12月31日
  • 消人屋敷の殺人(新潮文庫)

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    ネタバレ

    以下、ネタバレあります!(ぼかして書いているので、読んでいない人は何のことかわからないと思います。)










    初めて読んだ作家だったが、非常によくできた叙述トリックもの。二重の一人二役トリックと言えるだろうか。途中「あの人」「あの人」と連呼し始めた辺りで、ははーんそういうことかと仕掛けを全て見抜いた気になっていたが、文芸評論社の編集者が司だと思い込んでいたことがネックとなって事件の全体像は掴み損ねた。ここら辺、実にうまく仕掛けてあると思う。簡単に言えば「名乗る前だった」ということになるだろうか。
    ただ、叙述トリックが複雑なため、種明かしでもう少し説明して欲しくはあった。特に、一人称

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    2020年11月21日
  • 猫には推理がよく似合う

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    ネタバレ

    猫のスコティ(ひょう太)と花織のお喋りがメインで、読みやすかった。花織が実は統合失調症だった、というところがピークな気がする。

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    2020年11月10日
  • 殺意の構図 探偵の依頼人

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    めちゃくちゃ面白かった。あっ、そっち行くんだ、とグイグイ引っ張られる展開であり、かつ超緻密な構成。見事のひとこと。後味はそんなに良くないけど。

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    2020年10月04日
  • 鬼畜の家

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    ラストまでよどみなく突っ走って鮮やかなもんだなあ。鮮やかすぎて物足りないって思ってしまうくらいラストで鮮やかにトリックが暴かれて痛快は痛快。ただ読者置いてけぼり感もある。しかし幼児期から鬼畜を心に宿してたみたいなのはあんまり救いがないから受け入れがたいオチだった。

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    2020年09月14日
  • 敗者の告白

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    転落死した妻と息子は本当に夫に殺されたのか、それとも妻からの正当防衛だったのか。

    (基本的に)全て関係者の「告白」で構成されている話の流れが面白かった。この流れで純粋に登場人物に持つ印象やイメージが変わっていく。
    そして最後でタイトルの意味が「なるほどね」って分かるのがさすがだな、と思った。

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    2020年09月11日
  • 欺瞞の殺意

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    42年前の毒入りチョコレート事件の真相をめぐり往復書簡で明らかにしていく物語。元弁護士が推理し、事件関係者が否定するを繰り返しながら、お互いの心の内が露わになるさまは無駄がありません。
    そして最終的に真犯人が明らかになるかと思いきや、もう一捻り加えられており脱帽。濃厚で完成度の高い作品です。

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    2020年05月29日
  • 消人屋敷の殺人(新潮文庫)

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    作家志望の兄、勘当のような形で親とは絶縁してしまった。その兄の消息がわからない中、売れっ子作家から滞在先である消人屋敷への招待状が。 
    同じく作家志望の弟が行方不明になっているフリーランスのライターである新城と共に訪れると事にしたのだが、悪天候により土砂崩れに巻き込まれた。
    行方不明の彼らの行方は?そして、売れっ子覆面作家の正体は?

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    2020年05月24日
  • 消人屋敷の殺人(新潮文庫)

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    ネタバレ

    タイトル、帯の煽り文、見取り図。満点です。ミステリスキーにレジに持って行かせるだけの卓越した一冊に出会えた時の喜びと言ったら、、、、。

    というわけで、初めましてな作家さんです。深木章子先生。60歳を過ぎてから作家デビューされたようです。ビックリ。それでこういう古式ゆかしくも挑戦的な一本が書けるって凄いなァ。

    作品のトリック自体は非常にシンプル。
    明治時代に官憲の包囲の中、20名余りが忽然と姿を消した武家屋敷が舞台です。
    謎の招待状で集められた5人の関係者が、折悪しくも襲来した嵐に足止めを食い、やがて2人の人間が土砂崩れに巻き込まれた直後、第1の人間消失事件が発生する。そして、疑心暗鬼の面々

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    2020年05月11日
  • 敗者の告白

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    4章に行くまで、結局何が言いたいのかわからないと思っていたが、そこからまさかの展開で一気に読むスピードが上がった。
    全章にわたって過去の話(供述、書簡)で現在の話が何も出ないこと、作品のタイトルを最後まで覚えれなかったのに最後まで読んだら二度と忘れないぐらい頭に残ってしまった。
    最後まで読んでよかった。

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    2020年03月27日
  • 欺瞞の殺意

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    殺人事件の犯人として自首した男。無期懲役となり40年後に仮釈放。そして事件の関係者であり恋人でもあった女に「私は犯人では無い」と書面を送り、そこから二人の間で推理合戦の往復書簡が交わされる。最終的に二人が導いた結論は?というストーリー。
    相変わらず無駄な描写の無い研ぎ澄まされた大人のミステリであり、文章が重厚であるが故に尚更生きるトリック。お見事です。まんまと引っ掛かった。
    この著者といい、辻真先さんといい、ホント、作家に定年は無いなあ。発想が若いね~(^-^)。

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    2020年03月04日
  • 猫には推理がよく似合う

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    猫が書いたミステリ
    その言葉がよく似合うほど、物語の展開がコロコロ変わる。
    色んな意味で裏切られ、読み終わっても続きを想像してしまう。私は好きです。

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    2019年11月16日
  • 猫には推理がよく似合う

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    妄実入り乱れた物語で、何が本当なのか見極めるのが面白い。単純な猫ミスではなく、なかなかの読み応えです。

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    2019年09月07日
  • 螺旋の底

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    新婚さんが田舎の豪邸で暮らし始めるお話
    旦那と奥さんの視点が章ごとに切り替わり
    話は展開していきました
    エピローグを読み始めたところで
    おや?なんか変だぞとなりそのまま
    読み進めていました
    あ、あのパターンかと思いつつ
    最後の解説のネタバレを読んでなるほど
    という感じでした
    もっと書きたいけどこれから読む人に、我慢します

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    2019年05月31日
  • 交換殺人はいかが?

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    元警察官のじぃじを泊りがけで訪ねてくる孫の小学生。
    ミステリ作家を目指す?孫の求めに応じて、警察官時代に関わった事件を
    話してみると・・・孫が面白いことを言い出す。

    う、名作「退職刑事」を彷彿とさせるアームチェアデテクティブな
    短編集。続編、あるのかな。

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    2018年07月01日
  • 殺意の構図 探偵の依頼人

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    今、秘かに応援している推理作家、深木章子さん。
    秘かにする必要などないけれど。何故もっと注目されないのかわからない。

    遺産目的での義父殺害の嫌疑がかかる峰岸諒一は、頑なに無罪を主張していた。諒一に依頼された弁護士衣田は、肝心なところで言葉を濁す依頼人に翻弄される。
    しかし、ようやくアリバイの証明がされ、諒一の無罪が確定し釈放される。
    ところが、間もなく諒一の遺体が発見される。

    今回の作品では、冤罪が描かれる。
    弁護士ならではの思いが窺える記述もある。
    また、裁判に伴う拘留の様子や、被告人と弁護人との面会の様子などにも弁護人ならではの記述があり興味深く読める。
    こういった難しくなりがちな内容

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    2017年02月09日
  • 衣更月家の一族

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    ネタバレ

    ばらばらに起きたように思えた複数の事件が、実は・・・という、見事に伏線が張り巡らされた作品。

    マンタがひたすら可哀想。
    マンタと麻貴には、幸せに添い遂げて欲しかったなぁ。

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    2016年06月09日
  • 螺旋の底

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    ネタバレ

    久々に、「やられた!」と感じた作品です。
    違う方に注意が向いてしまって、肝心の部分には気付かなかったので、ラストまで読んだ後、最初からまた読み直しました。
    気をつけて読むと、細かい伏線が色々と張られています。とある小道具だとか。

    丁寧に練られた作品だなぁ、と思います。
    全体的に漂う、『レベッカ』のような雰囲気も素敵でした。

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    2016年05月18日