黒輪篤嗣のレビュー一覧
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本書で論じられるのは、「地政学とエネルギー分野の劇的な変化によってどのような新しい世界地図が形作られようとしているのか、またその地図にどのような世界の行方が示されているか」である(序論より)。
第1部では、アメリカにおけるシェール革命の進展とその影響が説明される。シェール革命によってアメリカは石油と天然ガスの世界最大の生産国になり、輸出国にもなった。世界のエネルギー地図を激変させ、世界の地政学を塗り替え、新たな影響力、強化されたエネルギー安全保障、選択の幅が広がった外交政策など、米国の立ち位置を変えた。
第2部では、エネルギー大国であるロシアについて、その強さと共に、石油と天然ガスの輸 -
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p280でオフグリッドの話題が取り上げられていた。オフグリッドについて、気になるのは、バックアップ電源。電力会社は、それを再エネで賄えないからこそ、安定供給のために原発やガス火力から手を引けないのだろうし。仮にオフグリッド住宅やオフグリッド農場、工場が多数できたとして、発電できないときはどうするのか。蓄電でどの程度賄えて、蓄電のための環境負荷や国を越えての人的負荷はどの程度なのか。電気が無いなら無い状態で過ごすのがオフグリッドの行きつく先なのだとしたら、よく話に出るが医療では、人工呼吸器が必要な人はそのときどうなる?透析が必要な人はどうなる?農業工業では、不安定な電源でも大丈夫な仕組みをどう作
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経済学を料理と絡めて多面的に語ろうというところが野心的でステキ。
経済といえばアメリカ(何せノーベル経済学賞受賞してるのは、ほとんどアメリカ)のところ、序章は「にんにく」、にんにくで経済を語ろうなんて突拍子な発想、読まずにはいられない、まずここにこの本の多くのエッセンスが詰め込まれていると思う。
いろいろ全体バランスを考えながら補充した項目かな?と思うところもあり、章毎に面白さにバラツキがあるのもご愛嬌?
一番驚いたのは、保育介護看護等アンペイドワークが「唐辛子」、当たり前すぎて認識されないものの代表が唐辛子だなんて、(書いてあることは馴染み深く納得ながらも)私にとって馴染みの薄い文化圏の人が -
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ネタバレ1980年以降、経済学は新古典派だけになってしまった。イノベーションや行動経済学も組み込まれた付け足しでしかない。
アメリカでは奴隷は財産であり、貸付対象、担保にもなった。
1791年ハイチ革命で、フランスに反乱を起こし1804年に独立国となった。ルイ14世はルイジアナから撤退し、アメリカがこれを購入して領土が広がった。ハイチ革命がなかったら、ルイジアナはフランス領のまま。
資本主義と自由との関係は複雑、ときに両立しない。
労働参加率は貧しい国の方が高い。タンザニアが87%、ドイツは60%。児童の労働率が高い。
生産性の高さは環境によるもの。富裕国に移り住めば生産性が高まる。生産設備、高いイ -
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河出文庫 ケイトラワース 「 ドーナツ経済 」
経済学の役割を 経済成長でなく、貧困根絶と環境保全に求めた本。
経済成長に 全人類の幸せはなく、貧困根絶と環境保全がなされた「人類にとって安全で公正な範囲」を バランスのとれた繁栄の道であるとしている
経済学者に求められる思考
*目標を変える〜成長をめざすのでなく、バランスのとれた繁栄の道を探る
*全体を見る〜市場の効率性でなく、家計、市場、国家、コモンズ(共の役割を考える
*人間性を育む〜合理的経済人でなく、社会的適応人へ人間像を変える
*システムに精通する〜ストック、フロー、フィードバックグループ
*分配を設計する〜所得と富を再分配する -
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エネルギー安全保障を軸にアメリカ、ロシア、中国、中東のキープレイヤーたちの思惑が見て取れた。
アメリカでのシェール革命はそれまでの石油市場のパワーバランスを大きく変え、経済力に圧倒的な影響を与えている。
ロシアは天然ガスを人質に取っている。
中国はシーパワーを手に入れるべく南シナ海を改造し一帯一路を張り巡らす。
中東はオイルマネーを持て余し発展に活かせていない。
そのような中、地球環境の持続性が喫緊の課題となり化石燃料の扱いを巡る先進国と発展途上国に大きな溝が生じている。
クリーンエネルギーへの傾斜が一時的であれ高負担を強いることに世界はどこまで耐えられるのか。
コロナやウクライナ