黒輪篤嗣のレビュー一覧

  • ハイパーインフレの悪夢―ドイツ「国家破綻の歴史」は警告する―

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    新政権による財政支出の方針が固まり、10年、20年、30年の国債金利がヒストリカルなターニングポイントを超える水準まで上昇し始めたことは、日本のデフレがついに収束し、インフレの扉が開いたことを意味する。

    現在の日本の財務官僚や政治家たちは、ドイツのハイパーインフレの推移を知り尽くしているはずだろうし、自国通貨の価値を保全することの重要性は承知しているはず。一方で、インフレは巨額の債務価値を一気に減少させることも事実であり、「コントロールした形のインフレ」は望んでいるのかもしれない。

    今後の日本の数十年間という時間軸では、デフレに戻る可能性よりも、インフレが恒常化する可能性のほうが高く思える

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    2025年11月22日
  • 読みだしたら止まらない 超凝縮 人類と経済学全史

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    タイトルに惹かれて。
    もっと人気が出てもおかしくない本だと思いました。
    歴史は政治史から語られることが多いですが、経済史から語られるとこんなに面白いんだー!と新たな発見です。
    私はとても面白く読みましたが、夫にも読んでもらったところ、難しいとか、わからないことが多いとか言われてしまったので、とっつきにくさはあるかもしれません。
    ケインズとハイエクの比較にはニヤリとしてしまいました。
    タイトルの通り、「超凝縮」ではありますが、ざっくりと全体像を知ることができ、有益な1冊でした。

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    2025年10月04日
  • ワイズカンパニー―知識創造から知識実践への新しいモデル

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    SECIモデルをアップデートして、より深く暗黙知→形式知のプロセスについて論考したもの。
    論考と言いながらシマノ、ホンダ、トヨタ、JAL、エーザイといった実例を下にSECIモデルの有効性を立証していて、血の通った理論が展開されている。

    机上の空論ではない。血が通っている。

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    2025年08月05日
  • 読みだしたら止まらない 超凝縮 人類と経済学全史

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    世界の事象について超のレベルで博識であるが、日本にありがちな「知っている知識量」ではなく、深く体系化されている点で稀有な経済学者。経済学が面白くなるし、社会への現実的な理解が深まる。
    1.「比較優位の法則」リカード→サムエルソン
    現代経済学の根幹を支える考え方。一人・一国が全てを作るより、分業をすることで生産性は圧倒的に高まる。この考えで、関税障壁を小さくする努力より世界経済は発展を遂げてきた。
    自国の強みに特化する政策が最重要。
    (1)成熟すると、引き揚げるべき産業にも補助金で維持する要求が強くなる
    (2)トランプ関税は明らかにこの理論に反する
    2.格差を放置しない
    自然に任せると、資本利回

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    2025年08月03日
  • 世界最高の質問術―一流のビジネスリーダー45人が実践する人を動かす「問いかけ」の極意―

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    パワハラ上司が読むべき本。パワハラ防止に躍起になっている人事担当者も読むべき本。自殺など事件があったから、パワハラ防止は心理的安全性のため、と考えがちだが、実は業績向上に必要。会社の業績のために、質問力のある上司を採用してパワハラ上司を解任。パワハラ上司は根本的にポストに固執して自分のやり方に固執する。一度解任されないと反省しない。

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    2025年06月23日
  • 経済学レシピ―食いしん坊経済学者がオクラを食べながら資本主義と自由を考えた

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    著者の教養の高さがうかがえる。
    食べ物のエピソードと経済学の歴史や主張をわかりやすくまとめていて、読みやすかった。

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    2025年04月19日
  • 問いこそが答えだ!~正しく問う力が仕事と人生の視界を開く~

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    答えではなく、優れた問いをたてらるかどうか。
    コーチングでも、相手の注意をコントロールできるのは問いである。どんな問いを投げかけるかで相手は変わってくる。

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    2025年04月01日
  • 新しい世界の資源地図―エネルギー・気候変動・国家の衝突

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    歴史から紐解かれているので、エネルギーの地政学リスクがよくわかった。地政学リスクを把握するには、現在のマクロ要因だけでなく、歴史も知らないとダメやね…
    しかしまあ分厚い割にはスラスラ読める。

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    2025年03月01日
  • ハイパーインフレの悪夢―ドイツ「国家破綻の歴史」は警告する―

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    継続的に増税をしても、根本的な解決には結びつかない。新たに税率を上げるたび、自動的に物価は上がり、通貨の購買力は下がるので、その結果一層のインフレと財政の不安定化がもたらされる/インフレのせいで、あらゆる悪が助長された。急進主義者によって対立があおられやすくなった。インフレには差別意識を駆り立てる性質があり、そのせいで誰もが自分の最も悪い部分を引き出された。インフレによって外国人を毛嫌いする感情も芽生えた。法と秩序を破壊しようとする行為も増えた。インフレは大恐慌とそのあとの最悪の展開の前触れでもあった

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    2025年02月06日
  • 新しい世界の資源地図―エネルギー・気候変動・国家の衝突

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    新しい世界の資源地図
    エネルギー・気候変動・国家の衝突
    著:ダニエル・ヤーギン
    訳:黒輪 篤嗣

    米国で最も影響力のあるエネルギー問題の専門家である、筆者が地政学的見地から、超大国の動向を解説した大書
    20,21世紀は、エネルギーという軸で、世界は動いていて、気候変動や、国家間の衝突を誘発している

    本書は二つの軸から語られている
     国家(経済力、軍事力、地理的条件、戦略、野心、偶発的出来事と不足の時代)
     エネルギー資源(石油、天然ガス、石炭、風力、太陽光、書く)
    この二つの要素が絡まる地図は、絶えずダイナミックに変化し続けていて、バンデミックなどの不測な事態を含めて、世界に深刻な混乱を

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    2024年09月23日
  • 経済学レシピ―食いしん坊経済学者がオクラを食べながら資本主義と自由を考えた

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    結論の章から引っ張ったアドバイスは
    以下のとおり。

    その1 いろいろなものを幅広く食べよう。
    その2 こころを開き、新しいものを試そう。
    その3 材料の出所を確かめよう
    その4 想像力を働かせよう

    これ、食べ物や料理の話ですが、
    経済学についても上記なんだってさ。

    おもしろかったです。
    本筋よりも、ところどころの蘊蓄が。とっても!

    経済学は自分にとって、全然面白くないですが、
    この本のお誘いによって、
    少し態度が変わるかもしれません。

    この本は特に面白いので、
    2周目読みます。

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    2024年03月15日
  • 新しい世界の資源地図―エネルギー・気候変動・国家の衝突

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    原油、天然ガス、レアアース…資源の地政学を知らずして世界情勢を語るべからず。歴史や経緯を含めた全体を本書で俯瞰できるため、新聞やテレビなどの媒体よりも深い理解を得ることができる。
    そもそも産油国ってほとんど中東中心だと思っていたが、中央アジアから北中南米、アフリカまでかなり広い範囲に渡っていると改めて認識させられた。それに対してコベルトやリチウムなどは中国とコンゴに産地が限定されているのが不気味で、代替材料の実用化が喫緊の問題に感じさせる。
    フラッキング技術によるシェール革命で米国がエネルギー自給自足になったことはザックリ知っていたが、ギリシア出身の移民が事業的なリスクを背負いながら突破口を開

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    2024年02月23日
  • 新しい世界の資源地図―エネルギー・気候変動・国家の衝突

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    この一冊を頭に入れるだけで、世界を見る目が変わる気がする。高レベルで広範囲のエネルギー事情が解説される。国防においても経済においても重要な課題であり、教科書にすべきほどの決定版ではないだろうか。あまりに密度が濃過ぎて、年跨ぎで読む事になった。メモ書きの抜粋に書評を添えて以下に記す。

    アメリカはシェール革命の結果、石油と天然ガスのどちらにおいても、ロシアとサウジアラビアを一気に抜いて、世界最大の生産国になった。現在では、世界屈指の石油と天然ガスの輸出国でもある。アメリカは、エネルギーをほぼ自給できるようになった。

    何十年にもわたって、世界の石油市場を規定してきたOPEC加盟国対非加盟国と言う

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    2024年01月07日
  • 新しい世界の資源地図―エネルギー・気候変動・国家の衝突

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    近年の地政学とエネルギー分野の激変に関して、米露中、さらに中東、気候変動ごとに読み解いていく。
    アメリカの項ではシェール革命の経緯、ロシアの項ではソ連崩壊後エネルギー大国として欧州に影響を与えてきたが天然ガス市場の変化等によりそれが変わってきたこと、中国の項では経済や軍事の成長とともに拡大したエネルギー需要や一帯一路構想、中東では石油と天然ガスによる富と権力と石油需要ピーク後への関心の移動、気候変動の項ではパリ前とパリ後のエネルギーの地図の変化などを主に扱っている。
    シェール革命がガソリンの値段だけでなく、2015年イランの核合意や欧州のロシア依存の軽減など、地政学的に大きな影響を与えていたこ

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    2023年12月30日
  • ワイズカンパニー―知識創造から知識実践への新しいモデル

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    前著である「知識創造企業」の続編。25年を経てのアップデートとして、個人的には期待に応える内容だった。
    前著ではサイクルを回すところまでを提示していたが、こちらではサイクルを回しながら発展させていくこともモデルの中に追加している。
    前著は理論先行で実践に移しづらいところがあったところの反省からか、事例を紹介しながらその点を解消しようと試みている。(それでも実践に移すには難しいところはあるが…)
    前著を読んだ上で、そちらが好きであれば続編としてこちらもオススメ。約500ページと長いので前著がハマらなければ辞めておいたほうが良いだろう。

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    2023年12月17日
  • 新しい世界の資源地図―エネルギー・気候変動・国家の衝突

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    ネタバレ

    いやー、難しい…。哲学系以外で理解に時間をかけたのはホント久々かも。まぁその難しさが面白いわけなんだけど。

    エネルギーを生み出すのに必要な石油/天然ガスが大国アメリカから採れるようになった「シェール革命」から本書は始まる。ロシアやサウジアラビアからの輸入を必要としなくなる上、色々な国へエネルギー源を輸出することが出来るというのは、各国の関係性を変えるのに十分だったわけだ。
    ロシアや中国、中東の危うさも同様に、このエネルギー源に由来している部分もある。エネルギー源は金になるからこそ、それを手に入れようと誰もが争うのだな。

    一方でコロナや再生可能エネルギーにより、石油/天然ガスの価値というもの

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    2023年11月25日
  • ワイズカンパニー―知識創造から知識実践への新しいモデル

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    前著「知識創造企業」の続きで、前著で紹介したSECIモデルを発展させたSECIスパイラルについて、その軸となる共通善と実践を抽象化したフロネシスを中心に解説し、SECI行き詰まり症候群を打破するための6つのリーダーシップ実践について提案している。
    事例が豊富でかつ25年前に出版された前著と比べて新しくなっているのでより腹落ちしやすいのではないかと思う(JALの再建や東日本大地震のときの企業の実践などが事例として挙げられている)。
    メインテーマでもあるワイズリーダーの理想が高すぎる気がするが、9章で述べられている自律分散型リーダーシップをもって相互補完するというのであれば納得できる。
    一つ残念な

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    2023年10月07日
  • 新しい世界の資源地図―エネルギー・気候変動・国家の衝突

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    ネタバレ

    500ページを超える読み応えのある本。この一冊で現在のエネルギー資源と世界の勢力地図を総覧しようとしている。近年、エネルギーと地政学にまつわる世界地図がどのように塗り替えられたかを、石油・天然ガスの主要な生産あるいは消費国・地域である米国、ロシア、中国、中東と、エネルギー問題に関する二つのテーマ、電気自動車、気候変動問題を中心に詳細に描き出している。
    米国で2000年代初めにシェールオイル、シェールガスが採掘され、増産が軌道に乗ると、世界的な政治・経済のバランスが大きく変化した。経済的には、2008年のサブプライムローンによる金融危機で疲弊した米国の経済が復活した。安価な石油が生産できることで

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    2023年07月02日
  • アッテンボロー 生命・地球・未来―私の目撃証言と持続可能な世界へのヴィジョン

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    人類がいかに厄介な生き物か非常にわかりやすく分析されてて、面白かったです。
    今の右肩上がりの成長をコントロールされたものにしていかないと生き残っていけないのは、よーく分かりました。
    しかし、強欲な人達が自制できるかなあ。利権が絡んでいるので、ルール作りも大事ですねえ。

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    2023年06月11日
  • 新しい世界の資源地図―エネルギー・気候変動・国家の衝突

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    新しい世界の資源の地図を読んで

    第一部 米国の新しい地図

    ・マクロを見ることは大切
    →シェールガスで天然ガスの供給量が急激に増えて、天然ガスが下落することを悟ったEOGは、シェールオイルに舵をきった。

    ・シェールオイルによって、アメリカは世界の主要な石油プレイヤーになった。これは、経済的にも地政学的にも重要。
    →各国との貿易で赤字を減らす要因になる。自国でエネルギーを賄えるようになったことで、地政学的にも優位な立場になった。国際的な安全保障を実現しようとした時、強硬策に出られる余地が出てきた。

    ・メタンガス流出問題
    →シェールオイルに限った話ではないが、設備やパイプラインから漏れ出るメ

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    2023年04月03日