【感想・ネタバレ】ドーナツ経済のレビュー

あらすじ

経済成長なき未来をどう生きるか? ――環境問題や貧困問題を解決しながら、幸福な社会を提案する〈まったく新しい経済モデル〉!『人新世の「資本論」』の斎藤幸平氏推薦!

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Posted by ブクログ

p280でオフグリッドの話題が取り上げられていた。オフグリッドについて、気になるのは、バックアップ電源。電力会社は、それを再エネで賄えないからこそ、安定供給のために原発やガス火力から手を引けないのだろうし。仮にオフグリッド住宅やオフグリッド農場、工場が多数できたとして、発電できないときはどうするのか。蓄電でどの程度賄えて、蓄電のための環境負荷や国を越えての人的負荷はどの程度なのか。電気が無いなら無い状態で過ごすのがオフグリッドの行きつく先なのだとしたら、よく話に出るが医療では、人工呼吸器が必要な人はそのときどうなる?透析が必要な人はどうなる?農業工業では、不安定な電源でも大丈夫な仕組みをどう作る?ここら辺のカバーについてどういった考えが挙がっているのか、調べたら答えが見つかるだろうか。調べてみよう。
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現在の資本主義の在り方についてもんもんと考えることがある。このもんもんを解消するヒントを得たくて4年前に『オリーブの森で語りあう: ファンタジー・文化・政治』(ミヒャエル・エンデ)を読んだ。そのとき抱いた感想(下記)が、本書『ドーナツ経済』を手に取ることになった今に繋がっている。

↓『オリーブの森で語りあう: ファンタジー・文化・政治』(ミヒャエル・エンデ)の感想↓
「環境問題、エネルギー、格差、平和、教育、政治…、何を考えるにしても、最近、「資本主義」というものの矛盾を感じている。お金は便利だし、お金があるからこそ今の生活がある。しかし、お金を媒介にして社会が成り立ち、かつお金に重きを置いている社会だと、生活者全体がハッピーになるのは難しいんじゃないのか?と感じる。何が「正しい」とは言えないけれど、医療、農水産業、教育、防災、インフラ…、現場で体を動かして働く人の賃金が、低いと思われる今の日本。創造すること、仕組みを作ること、そして資本を回す役割、それらももちろん大切なのだけれど、あまりに現場で体を動かす人の賃金と差があるのではないか。賃金で格差があるのなら、税金を再分配して生活者がハッピーに暮らせるような仕組みが回っている必要があるし、それが政治だと私は思っているのだけれど、生活者を向いた政治がなされているのか疑問を抱く機会が年々増えている。

お金を媒介にするのは便利だけれど、そしてそのお金が広く、生活している人たちや地球のハッピーのために世界を駆け巡っているのならそれは幸せな仕組みだと思うのだけれど、そうなっているか?」
(以上、『オリーブの森で語りあう: ファンタジー・文化・政治』の感想)

『ドーナツ経済』の中で価値が減っていく貨幣の話が取り上げられていたが、どこか他の本でも読んだことある。「腐っていくお金」の仕組みを試した地域があると。どこで読んだのか…思い出せない。この仕組みに惹かれる。

ドーナツ経済の具体的な実現方法や政策提言までは、本書の中では触れられていなかったと思う(私の読み逃しか?)。だけれども、何かこれからの社会づくりのヒントがこの中にあると思った。…と書くととても偉そうだななんだか。私はどうする?何ができる?おこがましくも、学び、考え続けたいと思ってしまうし、できることから行動…。それが私は足りていない…。2024/6/20(木)

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その他、読書メモ欄に引用メモした。

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2024年06月20日

Posted by ブクログ

河出文庫 ケイトラワース 「 ドーナツ経済 」

経済学の役割を 経済成長でなく、貧困根絶と環境保全に求めた本。

経済成長に 全人類の幸せはなく、貧困根絶と環境保全がなされた「人類にとって安全で公正な範囲」を バランスのとれた繁栄の道であるとしている

経済学者に求められる思考
*目標を変える〜成長をめざすのでなく、バランスのとれた繁栄の道を探る
*全体を見る〜市場の効率性でなく、家計、市場、国家、コモンズ(共の役割を考える
*人間性を育む〜合理的経済人でなく、社会的適応人へ人間像を変える
*システムに精通する〜ストック、フロー、フィードバックグループ
*分配を設計する〜所得と富を再分配する
*環境再生を創造する〜循環型経済へ
*成長にこだわらない〜成長しなくても繁栄をもたらす経済へ

目標を変える=GDP成長からドーナツ部のバランスのとれた繁栄へ
*人間の生活の場である経済を豊かにするのでなく、人間の生活そのものを豊かにする
*人間の生活そのもの=ドーナツ部〜人類にとって安全で公正な範囲であり、バランスのとれた繁栄の道
*人類の繁栄は地球そのものの繁栄の上に初めて成り立つ

全体を見る
*市場の効率性を高めるのでなく、家計、市場、国家、コモンズ(共有する自然や社会の資源)の役割を考える
*地球〜許容限界に配慮する〜空きのある世界は終わり、いっぱいに詰まった世界に生きている
*市場〜自由市場でなく、誰がリスクとコストを負い、恩恵を受けるかから再規制を見直す
*コモンズ〜国や市場に頼ることなく、自発的な秩序形成を通して行う
*企業〜株主価値の最大化より魅力的な企業目的が必要

人間性を育む
*合理的経済人(利己的、孤独、計算高く、好みが一定、自然の征服者)でなく
*社会的適応人(社会的、互いに頼り合い、価値観が変わりやすい)へ
*わたしたちは条件つきの協力者(他者が協力するかぎり自分も協力する)が同時に利他的な処罰者(裏切り者やただ乗りする者を罰する)
*ハンナアレント「野良犬は名前をつけてもらうと長生きする」

システムに精通する
*システム(特徴的な行動パターンを生み出す仕方で互いに繋がりあっている仕組み)
*ストック、フロー、フィードバックグループが複雑に絡み合う
*フィードバックグループがストックとフローを結ぶ
*フィードバックグループには、自己強化(正)とバランス(負)がある
*自己強化型は、増大がさらなる増大を呼ぶ
*バランス型は、システムの暴走や内部崩壊を防ぐ
*全人類をドーナツの中に入れるには、「成功を呼ぶ成功」のフィードバックグループを弱める必要がある

分配を設計する
所得と富の再分配をめざし、そのために市場、コモンズ、国家を活用する

西洋の経済は危険なレベルの不平等に向かっている〜資本から生まれる利益の成長が経済全体の成長スピードを上回り、富の集中が起こる

再分配政策
*累進課税と所得移転
*最低賃金など労働市場の保護
*医療、教育、公営住宅など公共サービスの提供

幸せを増進する行動
*周囲の人々とつながる
*体を動かす
*世界に関心を持つ
*新しい技能を身につける
*他者に与える
















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2023年02月11日

Posted by ブクログ

 これはすごい本だ!経済学の本は古臭くて小難しい算式が載っていて、どうも読めない。何か誤魔化されていると思っていました。この本はそんな経済学を、当たり前の、普通の人が考えることのできる角度で取り上げています。
 算式は一つも出てきません。トマ・ピケティの21世紀の資本でも、算式は一つしか出てきませんでしたが、この本には一つも出てきません。その代わりドーナツ状の図が出ているのですが、これはSDGsそのものの図であり、この著者がSDGsに大きな影響を与えたことがわかります。
 現代の経済人の必読の書です。

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2021年10月06日

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