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原油価格はなぜ激しく変動するのか?
米中関係はどうなるのか?
地政学とエネルギー分野の劇的な変化によって、どのような新しい世界地図が形作られようとしているのか?
地政学リスクから第一人者が読み解く『ウォール・ストリート・ジャーナル』ベストセラー
エネルギー問題の世界的権威で、ピューリッツァー賞受賞者の著者が、エネルギー革命と気候変動との闘い、ダイナミックに変化し続ける国際政治の地図を読み解く衝撃の書。最新情報が満載!
日本人が知らない資源戦争の裏側とは?
米国vsロシア・中国の新冷戦、エネルギー転換の未来を描く!
[米国]「シェール革命」で中東と距離を置く
[ロシア]市場を求めて中国と急接近
[中国]「一帯一路」で中東・欧州にも影響大
[中東]石油需要枯渇への危機感が増す
[自動車]石油の地位を脅かす自動運転車と電気自動車
[気候変動]再生可能エネルギーや政策の役割の比重が増大
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新しい世界の資源地図
エネルギー・気候変動・国家の衝突
著:ダニエル・ヤーギン
訳:黒輪 篤嗣
米国で最も影響力のあるエネルギー問題の専門家である、筆者が地政学的見地から、超大国の動向を解説した大書
20,21世紀は、エネルギーという軸で、世界は動いていて、気候変動や、国家間の衝突を誘発している
本書は二つの軸から語られている
国家(経済力、軍事力、地理的条件、戦略、野心、偶発的出来事と不足の時代)
エネルギー資源(石油、天然ガス、石炭、風力、太陽光、書く)
この二つの要素が絡まる地図は、絶えずダイナミックに変化し続けていて、バンデミックなどの不測な事態を含めて、世界に深刻な混乱をもたらしている。
この新しい地図を読み解くのが本書の目的です
世界を支配しているエネルギー大国、米国、サウジ、ロシアが今後どのようにかわっていくのか
■米国
シェールガス
天然ガスの可採埋蔵量は、急増している
電力の天然ガスに占める割合は、17%⇒24%に変化
いまや米国には、有り余るほどの天然ガスがある
2014⑫には世界5位の埋蔵量を誇り、米国は世界の主要な石油プレイヤーに返りざきを図った。
北アフリカ、英国東方沖でも天然ガスが発見されたために、欧州は米国の潜在的輸出先ではなくなった
米国は膨大な貿易赤字を理由として、韓国にLNGを多量購入させるための長期契約を結ばせた
化石燃料に反対する人々は、まず、パイプラインの設営に反対している
米国のエネルギー問題は、シェール革命と環境保護活動と衝突である
米国はシェールを確保してからも、原油の輸入を止めていない
中東のひんしつの低い重質油を生成するような設備を保持しつつ、軽くて品質の高いシェールで外貨を稼いでいるのだ
パワーバランスの変容、ロシアは米国のシェールガスを批判し、欧州市場に与える影響を憂慮した。
現在余剰生産能力の大半はサウジにあり、生産量の調整弁の役割をになっている。サウジは、世界の石油の「中央銀行」とよばれている
シェールガスの地政学的影響
・イランの2015年の核合意
・欧州の天然ガス市場の多様化
・中国への天然ガスの輸出
・エネルギー分野は、米国、サウジ、ロシアの3者のうごきが地政学の中心となる
・シェール革命がもたらした、バジェノフ層の石油採掘技術は早晩世界に広がることとなり、ロシアをはじめ世界各国が注目している
■ロシア
ロシアは世界三大産油国の1つ
歳入の40%以上が、エネルギ関連から得られている
ロシア政府が、ガスプロムをはじめ、大半のエネルギー企業の株を保有している
ウクライナは、ロシアに天然ガスのパイプラインの通過料を課していてそれが、大きな収入源になっていた。当時80%の天然ガスがウクライナを経由して、欧州に輸出されていた
ウクライナへの西側への接近が、ロシアにとって、エネルギー問題を含めた直接の脅威と映った。しかもウクライナにとってロシアに未払いの代金が、数十憶ドルもあり、ロシア政府はこれ以上の譲歩ができなくなっていた。ロシアは、ウクライナを経由するパイプラインの管理を、自ら実行すること、パイプラインは、重要の資産なのである
ロシアは、ウクライナ以外にポーランド経由でドイツに天然ガスを輸出するパイプラインを敷設した
ドイツのエネルギーに占めるロシアの割り合いは、33%に達していた。
米国はロシアから欧州へのエネルギー供給については、神経質に反応し、輸出と止めようとしたが、欧州の反発をまねいた。
米国とロシアの不幸、ウクライナ問題が浮上したときに、スノーデンのロシアへの亡命が判明し、オバマ政権は、急遽プーチンとの首脳会談を中止した。
ロシアは、ウクライナに対して、保有していた核兵器の返還と引き換えに領土保全を確約していた。が、それもウクライナ政府がロシア寄りであるという条件下であった。ウクライナの西側への接近は、エネルギー問題にせよ、軍事的な問題にせよ、ロシアが容認できるものではなかった。
ロシアで、ガスプロムの競合会社が出現した。サハリンのLNGがそれである
東方シフト、欧州から基軸を中国に移すというロシアの戦略である。
ハートランド、ロシアの中央アジアへの進出をいう。もともとソ連邦であった、中央アジア諸国のうち、アジェルバイジャンとカザフスタンは、産油国である。
ハートランドは、米中露のバランス外交を行っている
■中国
中国の外貨準備は、3兆ドルにおよび、うち1兆ドルは、米国債が占めている
2014年に米国を抜いて、中国がGDPでトップに立っている
軍事費は、米国6340億ドルに対して、2400億ドルで世界2位、サウジ、ロシア650億ドルであり大きく隔たる
中国の台湾問題には、軍の投入も辞さない姿勢を懸命にしている
南沙諸島、南シナ海は危険は海と認識されている。水産物資源が集中しているからだ。
その問題は3つ
①南シナ海にうかぶ小さな地形はだれのものなのか
②南シナ海の海域は公海なのか、中国領の一部なのか
③EEZとは、航行を規制する権利があるのかないのか
マラッカ海峡を通過するリスクを中国も感じていて、それをマラッカ・ジレンマという
南シナ海には、石油天然ガスが眠っていると想定され、中国は高性能のリグで調査をしているが、米国と衝突している
中国は、イラク、クウェートと同様の1250億バレルを予想しちえるが、掘ってみないとわからない
中国にとって、コンテナ船は、鄭和の大船団以来、宝の船である
中国がグローバル経済と、世界貿易の地位を獲得できたのは、コンテナ船があってこそであった
米中対決は南シナ海でおきている、相互の駆逐艦が40mまで接近する事故がおきていて、以来、日豪、欧州諸国が加わった海のパトロールが続いていて、上空でも、米中の哨戒機が飛び交っている
加えて、台湾だ。米国の台湾への傾斜は、両者の戦略的対立を読んでいる
米中ともに、西太平洋からは退場しないため、危険海域は不安定になりつつある
一帯一路は、現代の絹の道、海の道である。中央アジアのエネルギー資源へのアクセスに関する高速道路の役割を担っている
また、中国北西部の安全保障に面でも重要である
一帯一路は、外側から見ると、中国の西進膨張であり、ユーラシア大陸橋と呼ばれている
■中東
サイクス・ピコ協定 列強のオスマントルコの分割
ケマルがトルコ領をアレッポの近くまで押し戻した
油田の発見、イラク等
エジプト ナセルは、サイクス・ピコ協定を破棄して、中東に新たな地図を描くという野望があったが、イスラエル戦争でついえた
中東の基軸は、サウジと、イランの戦い
湾岸戦争の真のねらいは、イラクがねらっている、サウジ、クウェートの石油権益を保護することであって、イラクを民主化することではない
アラブの春は、湾岸協力会議の各諸国に脅威をもたらした
サウジアラビアはイエメンを含めた出兵を行い、事態の鎮静に努めた
イランの革命防衛隊の目的は東地中海まで安全保障の領域を拡大する、だ
イスラエルは、沖合に巨大ガス田があるのを発見した(⇒ガザの紛争と直結)
サウジの石油価格政策に対して、米国は、イランの石油輸出一次解禁を含めた処置でゆすぶった。再度の禁止の際、イランは反発して、核武装にいたっている
2019年サウジ東部の石油精製説設備に火災が発生、当初は事故かと思われたが、ドローンと巡航ミサイルによる破壊攻撃だった。イエメンの過激派の行為とされたが、背後にはイランか、イラクのシーア派の地域からである疑いもあった。このことにより石油は急騰した。
サウジは中東の盟友であり、それは、聖地メッカの保有とともに、膨大な石油による収入を基礎にしている
石油価格が高いうちはよかったが、低迷をはじめてから収入は減少に転じ、世界の石油離れの可能性に直面している。
サウジをはじめ、湾岸協力会議諸国は、石油からの依存の脱却と経済の多様性、民間部門の成長などをめざしている
■自動車
電気自動車の登場は、石油産業に対する大きな脅威だ。石油需要の35%は、車によって占められている。
電気自動車のコア技術は、電池である、いかに効率のよい、電池を開発できるかにかかっている
電気自動車については、中国がその先頭を走っている
自動運転技術
段階的に自動運転化を図る方法、衝突回避、加速制御、などの要素を一つ一つ順番に導入していくというものだ
■気候
エネルギー転換による排出量の増加と、脱炭素
温室効果ガスの排出量は史上最高となっていて、いかに抑えるか、COP21にての調整が行われているが、先進国の現状維持に加えて、成長している国々の排出量の増加もあり調整が進んでいない
ゆえに、気候変動リスクは増大する一方だ
CO2の排出国は、中国、そして、米国で、全体の41%を占める
グリーンディール、緑の党などの運動が起きている
再生可能エネルギー、風力、太陽光、いずれも中国のウエイトが高い
現状を打開する技術、小型原子炉、炭素回収、水素
石炭の火力発電所は減少、新規はない(米国)
石油と天然ガスはプラの材料、こちらも減少している
結論
世界経済の規模は拡大しているが、多くの課題がある
グローバル化の潮流はナショナリズム、ポピュリズムの再燃で逆風にさらされている
今後、人工知能と、機械学習、自動化のイノベーションにより、全職種の仕事に変化が生じる
世界のサプライチェーンのネットワークは、変化を迫られている
エネルギーを支配しているのは、米国、ロシア、サウジの3国だ
気候をめぐる困難な課題で、緊張が高まり、分裂が進む国際秩序においては、国家間の衝突も備えることができる妨げである
エピローグ
水素を基軸においた循環型
風力や電気自動車に使用するレアアースは、95%が中国が占める
コバルト、ニッケル、リチウム、銅なども循環型経済に不可欠である。
4人の亡霊
鄭和 歴史的な権利
フーゴー・グロディウス 海洋の自由
アルフレッド・セイヤー・マハン 米中の軍拡競争
ノーマン・エンジェル 米中衝突のコスト
紹介されている書
・砕かれた平和 ヤーギン
・石油の世紀ー支配者たちの攻防 上下 ヤーギン
・市場対国家ー世界を作り変える歴史的攻防 ヤーギン共著
・キッシンジャー回想録中国 上下
目次
序論
第1部 米国の新しい地図
第1章 天然ガスを信じた男
第2章 シェールガスオイルの「発見」
第3章 製造業ルネサンス
第4章 天然ガスの新たな輸出国
第5章 閉鎖と解放 -メキシコとブラジル
第6章 パイプラインの戦い
第7章 シェール時代
第8章 地政学の再均衡
第2部 ロシアの地図
第9章 プーチンの大計画
第10章 天然ガスをめぐる機器
第11章 エネルギー安全保障をめぐる衝突
第12章 ウクライナと新たな制裁
第13章 経済的苦境と国家の役割
第14章 反発 -第2のパイプライン
第15章 東方シフト
第16章 ハートランド -中央アジアへの進出
第3部 中国の地図
第17章 G2
第18章 「危険海域」
第19章 南シナ海をめぐる3つの問い
第20章 「次の世代の知恵に解決を託す」
第21章 歴史の役割
第22章 南シナ海に眠る資源
第23章 中国の新たな宝の船
第24章 米中問題 -賢明さが試される
第25章 一帯一路
第4部 中東の地図
第26章 砂上の線
第27章 イラン革命
第28章 湾岸戦争
第29章 地域内の冷戦
第30章 イラクをめぐる戦い
第31章 対決の弧
第32章 「東地中海」の台頭
第33章 「答えはイスラムにある」 ーISISの誕生
第34章 オイルショック
第35章 改革への道 ―悩めるサウジアラビア
第36章 新型ウイルスの出現
第5部 自動車の地図
第37章 電気自動車
第38章 自動運転車
第39章 ライドヘイリング
第40章 新しい移動の形
第6部 気候の地図
第41章 エネルギー展開
第42章 グリーン・ディール
第43章 再生可能エネルギーの風景
第44章 現状を打開する技術
第45章 途上国の「エネルギー展開」
第46章 電源構成の変化
結論 -妨げられる未来
エピローグ -実質ゼロ
付録 ー南シナ海に潜む4人の亡霊
謝辞
用語一覧
ISBN:9784492444665
出版社:東洋経済新報社
判型:4-6
ページ数:600ページ
定価:3200円(本体)
2022年02月10日
Posted by ブクログ
原油、天然ガス、レアアース…資源の地政学を知らずして世界情勢を語るべからず。歴史や経緯を含めた全体を本書で俯瞰できるため、新聞やテレビなどの媒体よりも深い理解を得ることができる。
そもそも産油国ってほとんど中東中心だと思っていたが、中央アジアから北中南米、アフリカまでかなり広い範囲に渡っていると改めて認識させられた。それに対してコベルトやリチウムなどは中国とコンゴに産地が限定されているのが不気味で、代替材料の実用化が喫緊の問題に感じさせる。
フラッキング技術によるシェール革命で米国がエネルギー自給自足になったことはザックリ知っていたが、ギリシア出身の移民が事業的なリスクを背負いながら突破口を開いた経緯などは知らなかった。しかし従来型と違ってコストがかかることと、大手メジャーのような資本金が少ないプレーヤーが多かったことから価格下落で壊滅的な打撃を受け、業界再編が進んだとのこと。気候変動への対策でフラッキング禁止の勢力もあるがエネルギー安全保障や経済優先の観点からシェールオイル採掘は継続しそう。
ロシアへの制裁でノルドストリーム2が対象になったが、ロシアによる設備の自給を促しただけで供給量全体を見れば米国の制裁は政策ミスだったのではないか。
中国の覇権姿勢によってWTOコンセンサスが終焉した、とは非常に厳しい時代に到達してしまった。日本も安全保障をしっかり見直して東南アジア諸国やインド、米韓との連携を強化する必要がある。
中東ではイスラエルとハマスの戦闘やシリア内戦が騒がれているが、イラン革命の攻勢やトルコによる影響など、まだまだ懸念材料が多く、地域の安定化はまだまだ実現できそうにない印象。イラン革命の思想はいかにも革命的だが、国民国家を否定して中世的なイスラム国家を広めるために他国に部隊や武器を送り込むとは、ただのテロ国家そのものに思わせた。ソレイマニ殺害の事件は大きなニュースになったが、本書を読んでどういう人物か改めて認識を深めることができた。
南シナ海に潜む4人の亡霊が付録としてあるが、非常に面白かった。鄭和ってもともと明朝のムスリム捕虜だったとは…ほかに「海洋の自由」のグラティウス(オランダ)、「海上権力史論」のマハン、戦争は無益と主張したジャーナリストのノーマン・エンジェルが挙げられている
Posted by ブクログ
近年の地政学とエネルギー分野の激変に関して、米露中、さらに中東、気候変動ごとに読み解いていく。
アメリカの項ではシェール革命の経緯、ロシアの項ではソ連崩壊後エネルギー大国として欧州に影響を与えてきたが天然ガス市場の変化等によりそれが変わってきたこと、中国の項では経済や軍事の成長とともに拡大したエネルギー需要や一帯一路構想、中東では石油と天然ガスによる富と権力と石油需要ピーク後への関心の移動、気候変動の項ではパリ前とパリ後のエネルギーの地図の変化などを主に扱っている。
シェール革命がガソリンの値段だけでなく、2015年イランの核合意や欧州のロシア依存の軽減など、地政学的に大きな影響を与えていたことを具に知ることができた。ソ連崩壊にあたってソ連財政の命綱を断ち切ったのは原油価格の急落だったこと、ノルドストリーム2を巡るヨーロッパでの意見対立、イランが中東地域で行使している影響力、電気自動車や自動運転、Uberの発展、気候変動を巡る国際世論の形成などについても新たに知ることが多かった。
Posted by ブクログ
新しい世界の資源の地図を読んで
第一部 米国の新しい地図
・マクロを見ることは大切
→シェールガスで天然ガスの供給量が急激に増えて、天然ガスが下落することを悟ったEOGは、シェールオイルに舵をきった。
・シェールオイルによって、アメリカは世界の主要な石油プレイヤーになった。これは、経済的にも地政学的にも重要。
→各国との貿易で赤字を減らす要因になる。自国でエネルギーを賄えるようになったことで、地政学的にも優位な立場になった。国際的な安全保障を実現しようとした時、強硬策に出られる余地が出てきた。
・メタンガス流出問題
→シェールオイルに限った話ではないが、設備やパイプラインから漏れ出るメタンガスが問題になっている。回収すればお金にもなる。
・今や2000億円以上がアメリカ国内の化学関連設備の拡張に投じられている。
→天然ガスは燃料としても、化学製品の原材料としても使われる。安価なエネルギーが唯一の理由ではないが、中国等の人件費の安い国から再びアメリカ国内に投資が戻る結果となった。
・今もなお続くエネルギー投資
→メキシコやブラジルなど技術を持たない国は今なお世界から注目されている。ただし、他国を受け入れるかはその国次第。技術を海外に持ち出すことができれば、高い利益を上げられそう。
・パイプライン建設は容易ではない
→ 環境保護団体の反対を食らったり、大統領によって意見が変わったり、大変そう。
第二部 ロシアの地図
・ロシアの強さ
→広大な国土。莫大な量の核兵器とミサイル。サイバースキルも高い。世界に出ていこうとする意志もある。とりわけ天然資源もある。
・ウクライナにあるもの
→天然ガスの欧州向けのパイプラインがある。そこにウクライナが関税をかけている。なお、パイプラインはロシアの所有になっている。
そこで、ノルドストリームなどウクライナを回避するパイプラインが建設された。
・欧州のエネルギー政策
→①天然ガスのシステムのレジリエンスを高め、長期契約ではなく需要と供給で価格が決まる市場を形成すること。②脱炭素と高効率化、再エネ化
・2014年ロシアはクリミア併合
→軍を派遣し、住民投票で再統一を発表。欧州諸国の民間機を撃ち落とすこともし、EUからも反感を買う。アメリカは経済措置を取るが、これが長期化すると、他国はアメリカに依存しなくなり、経済措置の意味が薄れる可能性もある。
・ロシアは、まだまだ石油のポテンシャルがある。
→北極海やシベリア盆地など。
・近年、ロシアは東シフト
→特に中国との結びつきを強めている。
中国もロシアが重要なパートナーとしているが、エネルギー比率で言うと2%程度で、輸出額も米国の1/10である。クリミアの時の米国の制裁にも従っている。
・中国とロシアの一致
→西洋の普遍的な価値観や規範に対する拒絶。国家主権の経済運営の一致。米国の覇権的地位への反発。
第三部 中国の地図
・中国はアメリカと並ぶ大国
2008年の金融危機を脱したのは中国のおかげ。それにより存在感が強まった。軍事力等もある。しかし、エネルギーと人口動態に課題を抱えている。
・中国とアメリカの火種
→台湾、最も大きいのが南シナ海。
貿易戦争もある。アメリカは、中国を米国の利益と価値観に相入れない世界を築こうとする大国とみなした。略奪的な経済力で近隣国を威嚇する一方、南シナ海で島々の軍事拠点化を進める中国は、戦略的競争相手。
・南シナ海
豊富な海洋資源があり、また貿易の要衝にもなっている。中国の原油輸入の80%がここを通る。そして、中国は自国の海域であることを主張している。国際法では認められなかったが、中国はそれを無視。(9段線と言われる国境線を見ると言ってることのヤバさがわかる。)海軍にも力を入れている。
・中国のエネルギー事情。
現在、中国は世界一のエネルギー消費国。エネルギーの構成比率は、石炭6割、石油2割、天然ガス6%、残り再エネ。よって、エネルギーの地政学が中国政府の最優先事項になる。
・中国とASEAN
東南アジアは、安全保障面では米国と統合されているが、経済面では中国と統合されている。
・一帯一路
中国とユーラシア全土とをインフラ、エネルギー、投資、通信、政治、文化を通じて繋ごうとしている。新しいシルクロード。西側とは特に思想の違いはあれど、大規模な資金能力(投資、貸出)を武器としている。しかし、借り手が債務不履行になれば、中国に優位を許すため、注意が要る。
・各国の動き(予想)
多くの国は、中国の新しいグローバル経済に加わりたいと考えている。しかし、同時に自国の行動の独立も確保したいので、ロシアや米国の関係を使って、中国影響力の増大とのバランスを取ろうとするだろう。ただ、最近米国は世界の問題から手を引きつつあると多くの国に見られている。インドという大国は一帯一路に不信感を持っており、動きが気になる。
第四部 中東アジアの地図
・イラン革命
ホメイニ師は、シーア派の聖職者が支配するイスラム共和国を作ろうとした。そして、この革命を他国にも広げようとした。
・アメリカの中東関与のきっかけ
イラン革命や、ロシアなどからペルシャ湾地域の支配権を守るために深入りすることに。
・イランとサウジアラビアの対立
シーア派とスンニ派の争いに期限。現在、イランは「単一の世界的な共同体」の建設を目指して革命を広げようとしている。(イラン革命)
・シーア派とスンニ派
イスラム教の9割はスンニ派。シーア派国家のイラン。スンニ派国家のサウジアラビア。
・イラクを巡る争い
イラクはシーア派が多数を占める国であった。フセイン時代にはイラン革命の道が閉ざされていたが、フセイン打倒後、再びイラン革命の標的に。しかし、アメリカもシーア派の騒擾に対抗するため介入。さらに近年ではISISとの戦いもある。現状、主にイランにより、イラクはかなり弱体化している。
・イラクのランドブリッジ
現在、イランからイラク、シリア、レバノンに至る。イラン革命の波及地域。
・イエメンの現状
カオス国家になっている。もはや国家として機能していない。イラン系のフーシ派が力をつけており、サウジアラビアと戦争にもなっている。アラビア半島の南端だけに地理的に重要な意味を持つ。
・東地中海の資源
近年、イスラエルやキプロス付近で大規模な天然ガス田が見つかった。しかし、今のままでは争いの海になりかねない。
・ISISの誕生と発展、衰退。
世界を支配するカリフ制の復活が目標。ゆえに、国民国家への拒絶がある。イスラエルの建国には断じて反対であり、世俗化の脅威である米国にも抵抗。ムスリム同胞団からアルカイダが生まれ、イラクとシリアのアルカイダからISISが生まれた。ISISは、石油関連施設なども支配し収入を得た。またSNSを使って戦員を集めた。しかし、2019年には米国の参戦もあり、シリアも奪還。トップも討ち取った。ただ、戦闘員が未だ残されているのは事実である。
・アルカイダの作戦方針
アラブ諸国の政権や米国、世界経済を攻撃する手法として石油に重点が置かれた。
・石油の価格について
石油は生産しようと思えば供給過多にでき、現に2014年には急落した。しかし、その後OPECプラスによる減産の合意が取られ、2016年に上昇に転じた。しかし、2018年トランプが石油価格の上昇を拒んだり、米中の貿易戦争により石油価格は下落に転ずる。
・中東とロシアの関係
ロシアはサウジアラビアやイラン、シリアなどと対話ができた。サウジアラビアにとっては、ロシアは米国との関係悪化に対する防衛手段になったり、イランとの対立でも利がある可能性があった。OPECプラスにより2016年には石油価格の下落を防げた。
・新型コロナウイルスと石油生産量
自国が減産し、他国が減産しないとシェアを奪われる可能性がある。また新型コロナウイルス蔓延当初、ロシアなどは米国のシェールのシェアを取るいい機会だと考えていた。しかし、マイナス価格などの懸念もあり、皆の減産で合意した。
第五部 自動車の地図
・電気自動車
・自動運転車
安全・安心・プライバシーをめぐる議論に加え、連邦政府と州政府の役割分担を決める議論もある。
・ライドヘイリング
・目指す世界は、事故ゼロ、排出ゼロ、渋滞ゼロ
第六部 気候の地図
・太陽光発電のシェアについて
現在7割が中国で生産され、原料のポリシリコンの生産に関しても6割を占める。
・将来のエネルギー構成
→太陽光、風力、水力などが増えるだろう。安定供給の観点から蓄電池も気になるところ。
・現状を打開する技術
→現時点では、実質炭素ゼロへのエネルギー転換を進められる技術はない。しかし、可能性が高いものはある。
貯蔵とバッテリーの技術、改良型原子炉・小型原子炉、水素、3Dプリンター、建築技術、送電網の近代化、CCUS技術、DAC。
・途上国の現状
電気のない暮らしを送る人が10億人。近代的な調理用器具が使えない家に住む人が30億人。この30億人は薪や炭などを家で燃やし室内大気汚染に晒されている。
・インドのエネルギー革命
LNGを増やしたり、太陽光の開発を行なっている。目指しているのは、「天然ガスを基盤にした経済の先駆けになること」
・温室効果ガス対策の影響
エネルギーの生産や輸送や消費のあり方、戦略や投資も、技術もインフラも国家間の関係も変わり続けるだろう。異業種の企業間で提携や競争が顕著になる。
・途上国の成長
ここ20年の石油消費量の増大は、途上国によるもの。人口と所得が増加している。
・石油の将来の需要について
コロナ前に1億バレルだった消費量は、2030年代半ばにピークを迎え、2050年には1億3000バレルになると予想されている。思い切った施策が実施されても6000万〜8000万バレルにしか下がらないとされている。
・鉱物資源に関して
太陽光発電わ電気自動車が普及するほど、必要な鉱物資源を確保する必要が生まれるだろう。需要の増大に伴っては、鉱物安全保障とでも呼ぶべき、サプライチェーンの構築が大事になる。
Posted by ブクログ
ー 以来、技術とイノベーションはエネルギー転換の要因になってきた。そのためには着想や発案から技術やイノベーションが生まれ、さらにそれらが最終的に市場へといたる必要がある。これは必ずしも短期間で起こるわけではない。エネルギーはソフトウェアとは違う。現に、リチウムバッテリーが1970年代半ばに発明されてから、路上を走る車に使われ始めるまでには、30年以上かかった。近代的な太陽光や風力の産業は1970年代初めに誕生したが、規模が拡大し始めたのは2010年以降だ。しかし、デジタルから新素材や人工知能、機械学習、さらにはビジネスモデルなどまで、イノベーションのペースは、関心の高まりとともに加速している。背景には、気候対策や政府の支援もあれば、投資家の判断、異分野の企業やイノベーター間の協力、技術や能力の収斂もある。
何がいつ起こるかは、関わる者の才能や、開発を支える資力、真剣さ、困難に負けない気力、創造性の豊かさにも左右される。イノベーションからは、破壊的なものであれそうでないものであれ、新しい技術が生まれ、それによってエネルギーと地政学の新しい地図が形成されることになるだろう。しかし地図は直線的に進む未来を保証するわけではない。ある程度の頻度で、思いもよらぬ妨げに見舞われ、そのつど進路変更を余儀なくされることは間違いないだろう。シェール革命も、2008年の金融危機も、アラブの春も、2011年の福島の原発事故も、電気自動車の復活も、太陽光のコストの急落も、世界的な大流行を引き起こす感染力の恐ろしく強いウイルスの出現と経済の暗黒時代も、米国の政治を揺るがした2020年の大規模な抗議行動も、予期せざるものだった。
しかし、予期でき、備えられる妨げもある。わたしたちがそれによって具体的にどういう道を進むことになるかまでは描けないとしても、はっきり「見えている」ものもある。1つには気候をめぐる困難の数々がそうだ。しかしそれだけではない。緊張が高まり、分裂が進む世界秩序においては、国家間の衝突もそうだと言える。 ー
ウクライナ侵攻の前に出版された作品だが、世界で起きている資源戦争の今が分かる作品。
僕たちアラフォー世代は10代の頃に『沈黙の春』を読み、環境問題に向き合わなければならないと教育を受けてきた。にも関わらず、その後の30年間、ほとんど何もして来なかった罪は重たい。
そして僕たちは来年40歳になる。次の25年で何を実現出来るのか、それが2050年の未来の姿を決める。そう考えると、僕たちの年代の責任が非常に重たいのがよく分かる。
僕たちは本来は、世界を変えなければならないのに、日々の小さな仕事に振り回されているのはいったい何故なんだい???
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