最初読んだときの感想は「うわ、戦闘長!」だった。カンジ、頑張るなあ、とか、関さーん!!とか、衝撃的な印象が強い巻でした。
後から読み直したときの感想もやっぱり衝撃的、って印象があいかわらず強いのだが、ちょっと注目したいのが鬼頭氏の20年計画について。
<以下、若干ネタバレ気味の妄想>
戦闘中に人の魂の光が見えると気づいたカンジが「人の命の光は人だとわかる」とか「あのもさっとしたのが木だな」とか「植物が複製可能なのは一部分からでも育つことに関係あるのか」とか言ってましたが、この辺りは鬼頭氏の言う「作品の下地になっている物理法則は全部一緒」っていうのに一枚噛んでそうですな。
ジアースのパイロットが見ることのできる命の光というのは魂のことなんだそうな。で、人の魂の光はおそらく植物の一つ一つのそれより強い。だからそれが人間だって分かる。(知っている人の光が他の人の光に比べて強いっていうのはまだ仕組みが良く分からないけど。)たぶん、植物には全体に魂が宿っていて、人にはある一箇所に集中しているためなんだろう(この辺は前作の『なるたる』を読めば何となく勘付いたりできるかも)。だから基本的に、超越的な存在(コエムシや竜骸みたいなもの)が生物を複製する場合は、魂が物体に乗る必要があるため、様々な箇所に魂のある植物は複製できても、一箇所にしかそれがない人間は複製できないってことになるんじゃなかろうか。
(人間が複製できない例についてはやっぱり『なるたる』参照。ただし特殊なケースと、推論でしかないが人の魂の場所ついては『なるたる』の11巻を参照)
<この辺でネタバレ終了>
『ぼくらの』自体にはこの物理法則はあまり深く関わってきそうにない気がする(本編で魂を使った操作や複製が行われていない以上、少なくとも私にはこれが、あくまで人探しができる方法と、地球全体の命の重みを感じるためのエグい仕組み、ぐらいにしか感じられない)が、「魂の構造」と「生物の複製」については、きっと鬼頭氏の20年計画の中心となるであろう要素なのでしっかり読み込んでおく必要がありそう。
同レベルで物理法則を考えるならば、もう一度6巻のコモ編?、コエムシが瞬間移動の説明をしてるシーンを見直してみるのもいいかもしれない。つか『ぼくらの』だけで大分物理の法則が明らかになってきていますな。今後の展開も楽しみだあ!