あらすじ
『ぼくらの』の俊英・鬼頭莫宏の軌跡がここに!幻のデビュー作『残暑』から短編『ポチの居場所』まで、珠玉の7編を収録!!妹思いの少年と、お兄ちゃんっ子の妹・あきこ。妹は先ごろ交通事故で死んでしまったが、彼女の部屋は、ただ机の上に一輪差しの花が飾られているほかは何も変わっていない。そんな折り、誰もいないはずの自室に帰ってきた少年は、思いがけずあきこの幽霊と出会ってしまう。「思い残すことがあって」帰ってきたあきこは、兄妹でデートに行こうとお願いして…。
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むっちゃいい。短編集だけど、そこに冷たさや温かさがいっぱい詰まってる。だんだん今の画風に近づいていく様子もわかって楽しい。あんまり意識しなかったけど、コマ割り面白いよねこの人……
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ほとんどスッキリしない短編集。もやもや感が残るが、それが儚さとなり切なさとなり懐郷になる。一応テーマ的にはシリアスではあるが、それ以外の要素に青春や煌びやかさを感じるから読みやすい。モヤッとする暑さが残る「残暑」という題にセンスを感じる。
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未レビュー消化。大人の考えができるようになった瞬間、子供時代の自分が亡くなるというワケではないが一種の消失感があるのは確か。失ったものを後悔するのは良くないことと今でも思ってますが、忘れてもいけないことなんだなとこの短篇集みて思いました。
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材質が悪いのか、この単行本、紙の臭いがキツいです。
そんな鬼頭先生の作品集です。
「パパの歌」に出てくるお父さんのキャラが素敵です。(のりりんに通じますね)
あとは「ポチの場所」のキメ細やかさなんかは、この方の作品の好きなところです。
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鬼頭先生の初期作品を収めた短編集です。
読後爽やかな気持ちになったり、思わず唸ってしまう話が多いです。
長期連載している作品が先生の全てではなく、爽やかな作風も書くのかと
見方が変わるのでお勧めしたい一冊。表紙も爽やかで好きです。
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【キスは、 それが僕の知ってた高田科子とは違うことを教えてくれた。】
【ここでまた一人、 女の子が亡くなった。】
【その花束は、まるで高田科子のために供えられているように思えた。】
(第3話 華精荘に花を持って)
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あー「いい話」だよ。ずるいくらいに。
毎度引きがさわやか、そんでなんか残る。
小学館おなじみの、フキダシの中の句読点の何たるかを知ることができた気がする。
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初期の鬼頭莫宏作品が読める貴重な短編集。
しかも内容がいつもの鬼頭作品よりもライトで、読みやすいです。
人にも勧めやすいです。
その反面いつもの鬼頭作品を期待して読むと、ちょっぴり物足りなさを感じます。
でも鬼頭さん特有の消化不良な感じや淡白な雰囲気はそのままなので、読んで損はないと思います。
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7作が収録されている短編集
はじめの数作は幽霊の少女を共通のモチーフとしており、女性(少女)を官能的かつ妖艶でミステリアスな理想的対象として客体化していくヘテロ男性(男子)のミソジニーな欲望がごろんと曝け出されている。
ヘキに素直すぎて笑ってしまいもするが、鬼頭莫宏の細い線で描かれる華奢な体躯と、緊迫感のある画面構成によって、どこかカラッとした質感のある物語に仕上がっている。とはいえ、その渇いた具合が余計に欲望の鋭さといやらしさを引き立てているようにも思える。
ヘテロ男性の独りよがりなヒロイズムという本質は一貫していながらも、後半からは物語のトーンが変わる。ラスト三編「AとR」「パパの歌」「ポチの場所」はなかなか好き。
「AとR」 カワサキのバイク(男のロマンの権化)を、同じくロマンの権化である学生時代の少女が引き継いで乗ってくれるという構造にはやはり気持ち悪さを覚えるものの、さすがに好きです。
「パパの歌」 妊娠した女性の実家まで車でゆく道行きの夫婦の会話が良い。男のロマン(良い車)要素は継続
「ポチの場所」 老いさらばえた男(牡犬)の生き様を若い男たちが継ぐ。クラスの真面目女子には分からないだろうけど……というヒロイズム
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のりりんなどで知られる筆者の短編集。
繊細な線に一見淡く見える語り口でありながら、きちんと読むとかなり染み入る作品が多い。最後の作品、とても素敵です。
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「残」暑。
残されてしまった諸々がテーマの短編集。黒い・怖い・重い・辛いといった話がなく、表紙の印象ままの漫画ばかりで安心してご覧いただけます。
ラスト2編が特に良い。
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鬼頭といったら「ぼくらの」のイメージがあって、暗いというか、救われないイメージがあるんだけれど、この短編集には割と明るい。デビュー昨の「残暑」に始まり、2004年までに描かれた短編が六つ載せられている。
でも1994年の作品から既に鬼頭氏らしい雰囲気が出ているような気がした。
好きなのは「AとR」と「ポチの場所」。どっちもオチの付け方がいい。