甲田学人のレビュー一覧
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邸に閉じ込められた雪乃。『生まれ変わり』の噂話と『いばら姫』の行方は――。
教室で唐突に始まった怖い話。それは、初めてできた子を両親がボートから池に落として殺し、可愛がっていた二番目の子が同じ場所で『今度は落とさないでね』と語りかける、という内容。一緒に聞いていた真喜多莉緒は、その手の話が苦手だった。なぜなら彼女の名前は、死んだ姉と同じだったから――。
夏休みが始まり、雪乃とできるだけ長く一緒にいようと目論む蒼衣。だが、泡禍解決に赴いた雪乃と颯姫が戻ってこない。雪乃たちは、死なない<異形>を相手に真喜多家に閉じ込められているらしい。邸は異常現象により完全に外界と隔絶されていた。雪乃のためにも -
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『――――お姉ちゃん』
悲嘆と暗闇の中で泣いていた金森梢枝の背後から、突然少女の声が囁かれる。背後の闇から聞こえてきた、小さく、くぐもった、しかし異様にはっきりと聞こえた声。忘れもしない、忘れるわけもない、しかし記憶の中以外ではあってはならない、死んだ妹の、“声”。
金森琴里の自殺を発端に、徐々に悪夢が浸蝕していく海辺の街。だが蒼衣は、ユリと物語の行方が分らぬまま、雪乃を置いて、地元の普通の日常に戻らなくてはいけない。琴里の恋人だった臣と幼馴染みの一真を護るために必死な雪乃。そして悪夢は、雪乃を心配する蒼衣の予想を大きく裏切り、拡散していく――。 -
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童話をモチーフにしたホラー小説のシリーズ。
人間の意識の深層にある神の悪夢が、その人の固有の恐怖と結びついて、普遍的な”童話”に近い形で浮かび上がるという設定。
怪奇現象から与えられる暴力、痛みの場面での、
グロが目的ではないための淡々とした描写が、
童話に感じる仄暗い気持悪さと結びついて、じっとりとした恐ろしさがあります。
また、元の童話が、怪奇現象の中でどうやって使われているかを考えるのも楽しいです。
今回は「赤ずきん」に加えて、「赤マント」という有名な学校怪談の亜種も絡めているので、どう繋がっていくのか更に楽しみ。
あと、今回新しく出てきた断章の保持者(過去のトラウマから、怪奇現 -
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七月初め。金森琴里が自殺した。恋人の石田臣は、その理由について自分を責めていた。琴里の机の上に置かれた花瓶の前で落ち込み悩む臣。やがて、無言のまま乱暴に一本の白いユリを引き抜き、立ち去っていく。机の上にこぼれた水が広がり、その上に人間の足跡が浮かび上がったことに気づくこともなく―――。
人魚姫の<泡禍>事故から二ケ月。一人残された海部野千恵を見舞いに、蒼衣は雪乃と離れ、再び海辺の町を訪れる。そして、蒼衣の目の前で繰り広げられたのは、琴里の母親の惨劇。彼女の死を悼み臣が持ち帰った白いユリは、決して枯れることもなく静かに風に揺れていた―――。 -
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街灯の明かりも届かない細くて暗い袋小路。暗闇の中から流れ出すのは、鼻の奥を突き、口から胸へと流れ込む生臭い湿った鉄の臭い。そして、墨に沈んだような暗い路地に浮かび上がるように、真っ白な裸の手足が無造作に転がっていた。その前にしゃがみこんでいたのは、小柄な少女の影――。
〈泡禍〉解決の途中で怪我を負い、意識不明の重体に陥った雪乃。彼女の重荷をなくすため、蒼衣は単身、未だに手がかりの見えぬ謎へと立ち向かう。徐々に『赤ずきん』の欠片は繋がっていくのだが、この街の狂気は想像を遥かに超えていた。失踪事件を発端とした悪夢の結末に待っているものとは――!? -
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薄汚れた洗面台で、老女はいつものようにひび割れた石鹸を取り上げて、掌で揉み始める。乾いた石鹸はすぐにぬめりを取り戻し、白く濁った水がぬるぬると手にまとわりついて泡となって嵩を増やしていく。最後に一通り両手の表面を泡で拭いた瞬間、それまでとは違う異様な感触が掌に伝わり、そして――。
泡禍解決の要請を受け、蒼衣たちは神狩屋がかつて暮らしていたという海辺の町を訪れた。過去に例をみないほど町中に溢れ出す泡禍の匂いの中、彼らは神狩屋の婚約者だった女性の妹・海部野千恵に出会う。彼女は重度の潔癖症だった。奇しくも婚約者の七回忌を明日に控え、悪夢の泡は静かに浮かび上がる――。 -
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市立第一高校の一年生で時槻雪乃のクラスメイトの媛沢遥火は、通学途中で怪異に巻き込まれた。自身が以前から恐怖症のように苦手としていた駐車場。そこに停まっていた車の窓に、まるで赤ん坊がこちらを覗き込んでいたかのように、白い手形が二つ浮かんでいた。彼女は、学校で腫れ物扱いされている時槻雪乃に話しかける唯一の少女だった。
同じ頃、白野蒼衣も〈グランギョニルの索引ひき〉と名付けられた、童話の形を取るほど大きな〈泡禍〉の予言を受けた。おそらくは雪乃も一緒に巻き込まれるだろう予言を。人喰いの物語の予言を――。
かくして神の悪夢と混じり合った悪夢は、再び〈童話〉の形で現実のモノとなる。 -
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