甲田学人のレビュー一覧

  • 断章のグリムIII 人魚姫・上
    薄汚れた洗面台で、老女はいつものようにひび割れた石鹸を取り上げて、掌で揉み始める。乾いた石鹸はすぐにぬめりを取り戻し、白く濁った水がぬるぬると手にまとわりついて泡となって嵩を増やしていく。最後に一通り両手の表面を泡で拭いた瞬間、それまでとは違う異様な感触が掌に伝わり、そして――。
    泡禍解決の要請を受...続きを読む
  • 断章のグリムVI 赤ずきん・下
    街灯の明かりも届かない細くて暗い袋小路。暗闇の中から流れ出すのは、鼻の奥を突き、口から胸へと流れ込む生臭い湿った鉄の臭い。そして、墨に沈んだような暗い路地に浮かび上がるように、真っ白な裸の手足が無造作に転がっていた。その前にしゃがみこんでいたのは、小柄な少女の影――。
    〈泡禍〉解決の途中で怪我を負い...続きを読む
  • 断章のグリムI 灰かぶり
    曰く、この世界に存在する怪現象は、全ての〈神の悪夢〉の欠片である。この悪夢の泡は人間の意識に浮かび上がること、急速に人間の恐怖や悪意や狂気と混ざり合う。そして、現実世界を変質させながら溢れ出し、悪夢の物語を作り上げる。
    だが、浮かび上がった悪夢の泡が非常に大きかった時、個性が希釈されて物語の『元型』...続きを読む
  • 断章のグリムV 赤ずきん・上
    小さな森の中。小さな神社へと続く、石と根だらけの細くて狭い、暗い道。前を行く友人び律子に追いつこうと、危なっかしい歩みで必死に足を進める愛。そして彼女は、神社を目前にした石段の上、律子の頭上にかかる朽ちた赤色をした鳥居から、死体の色をした真っ白な“腕”が垂れ下がるのを目撃した……。
    田上颯姫の妹が住...続きを読む
  • 断章のグリムIV 人魚姫・下
    じりりりりりん!
    寺の敷地内にある住職一家の住居に、不意に電話のベルが鳴り響いた。くぐもった遠い電話の音は、音が夜に食い尽くされたかのような静寂の中を虚ろに繰り返して、響き続けた。誰も決して出ることなどなく、血と、腐った磯と、そして石鹸の匂いが混じったような、異様極る臭いがただよう住居の中に――。
    ...続きを読む
  • 断章のグリムVII 金の卵をうむめんどり
    時槻風乃は、知っている。この世界と全ての存在は、常に『痛み』という火によって、焼かれ続けている。幼い頃に火傷した時、火という物の本質は『痛み』であると学んだ。―――火は『痛い』もの。そして、彼女に燻り続けていた『火』と『痛み』への思索は熟成され、一つの結論へと――。
    時槻雪乃のクラスメイトの古我翔花...続きを読む
  • 断章のグリムIII 人魚姫・上
    やっぱり上下巻になりましたね。(笑)Missingの時も長編多かったですし。早速グリムじゃないお話。でも、全然違和感無いかも。(ぇ
  • 断章のグリムVI 赤ずきん・下
    赤ずきんの見方が変わる話でした。
    上巻に比べ、ホラーとグロさが多く深いですね!その辺りはやはり怖かったですが、解釈も含め面白かったです。
  • 断章のグリムII ヘンゼルとグレーテル
    ヘンゼルとグレーテルは森の中へー
    それは本当であって本当の話じゃない
    もし迷っていたら?
    どうなってたのかなぁ
  • 断章のグリムV 赤ずきん・上
    森と白い腕。どう赤ずきんと関わるのか、そこも怖くて楽しみです。
    新キャラも登場して、どんな風に展開していくのか楽しみです!
  • 断章のグリムIV 人魚姫・下
    甲田学人さんの断章シリーズ。
    皆さんも幼い頃読んだことのある童話の真実。それに隠された神の悪夢。
    新たな恐怖が生まれる!
  • 断章のグリムIV 人魚姫・下
    恐怖系小説もついに4巻目。
    泡の泡渦。相変わらず描写がグロイです。
    今回一番人が亡くなるお話かと。
    (前作Missing時代から含めて)
    食事中に読むのはお勧めできません。
    お魚が食べれなくなっちゃうよ?
  • 断章のグリムIV 人魚姫・下
    この物語の主人公は誰なのか?
    次々と泡に溶かされていく町の人々。
    人魚姫と王子の話が悪夢を生み出した。
  • 断章のグリムIII 人魚姫・上
    今回は人魚姫の話でした。
    その上巻。

    怖かったです。
    グロかったです。

    でも先が気になる!
    雪乃の戦い方はいつもかっこいい☆
  • 断章のグリムIV 人魚姫・下
    じりじりと発売を待っていました!
    始まったばかりの悪夢の続き。予想を上回る恐怖と狂気と凶器の物語。
    …この韻を踏む語りがすっと入ってくるのが好き。
    描写される狂気の逼迫間にふと周囲を見回してみたり。
    しばらくは泡が怖くなりそう。
  • 断章のグリムIII 人魚姫・上
    ライトノベルだとなめてはいけません!
    文字を追っているだけなのに背筋に寒気が走ります。こわいです。
    でも、ページを捲る手を止められません。
  • 断章のグリムIII 人魚姫・上
    今回の童話は「人魚姫」 泡を中心とした泡禍がまた恐怖を煽りました。下巻へと続いているので気になります!
  • ほうかごがかり3
    甲田さんの作品は登場人物が容赦なく死んでいくことが多いので覚悟していたが、予想通りの結果になった。
    小嶋留希の最期は何とも味が悪い。絵を描き上げた瞬間屋上から落ちなければ助かっていたのではと思ってしまった…。
    狐の窓で学校全体を見たときに森が見えたが、前作のMissingでは山が学校と重なって見える...続きを読む
  • ほうかごがかり2
    ほうかごで自身の担当した「まっかっかさん」を沈静化させた啓。だが担当の「赤いマント」を無視し続けた見上真絢が死んだ。衝撃が走る中、啓は瀬戸イルマから頼み事をされる。
    真夜中のメルヘンのうたい文句で当初からそこに疑問を持っていたが、2巻でメルヘンは何か他の言葉の裏返しなんだと感じた。そうでないと説明が...続きを読む
  • ほうかごがかり2
    イルマの啓に仕事を押し付ける行動や押し付けたくせにまだ達成しないのかと急かす言動は、こうして小説として第三者から見れば不快に思うものだが、いざ自分がその立場になったとき同じ行動を取らないと言えないのがつらいところ。

    イルマも、いじめにあってどこにも逃げ場がないなか怪異に救いを求めた留希も、どんな形...続きを読む