川本三郎のレビュー一覧
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Posted by ブクログ
・・・『男はつらいよ』が好きだというのは、実は評論家として勇気がいる。『あんな、なまぬるい映画のどこがいい』と批評する評論家がいまだに多いから。
いっときは「隠れ寅さんファン」と自嘲していたが、年齢を重ねるにつれ「カミングアウト」出来るようになった・・・
これを読んで、評論家とは粋がっている職業いうか、映画ファンとは別次元の異人種だなと思う。
シリーズ第5作の「望郷編」(1970年)あたりから寅さんが本格的に地方へ旅をするようになり、以後「ロードムービー」の色彩が俄然強くなってくる。
そして山田洋次監督は後世に残して置きたいような日本の風景、特に廃れてしまいそうなローカル鉄道が走っている懐か -
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Posted by ブクログ
淡々と奥さんとの日々、そしてお別れのときが綴られている。微笑ましく、うらやましく夫婦の姿を思い浮かべて、こうやって夫婦って作り上げられていくものなんだなあとうれしく思った。
決して、古風な奥さんではなかったけれど、川本さんをそっと支え、引っ張ってゆく姿は、私にはまったくないもので、なんだかとても憧れる。子どもがいない夫婦だからか、恋愛要素の強い2人のようにも感じられて素敵なんだ。
まだまだ先だと思って、想像すらしたことのないだんなさんとの別れを想像してみて、そわそわと落ち着かなくなる。もっと優しくしておけばよかった、なんて思わないよう、日々生きて行けたらいいな。だけど、それでもきっと最後はそう -
Posted by ブクログ
兄は、職業上のモラルが重要なことはわかるが、今度の事件の場合、その政治グループは、君がジャーナリストのモラルを持ち出してでも守らなければならないことをしているのか、自分にはただの殺人事件にしか見えないが、といった。
それから兄は、私の顔を見てゆっくりといった。「だって君、人がひとり死んでいるんだよ。何の罪もない人間が殺されたんだよ」
(略)兄は最後に「あの事件はなんだかとてもいやな事件だ。信条の違いはあっても、安田講堂事件やベトナム反戦運動、三里塚の農民たちの空港建設反対は、いやな感じはしない。しかしあの事件はなんだかいやな気分がする」といった。(p178-p179)
この兄の言葉は、映 -
Posted by ブクログ
ノンフィクションの読み物としては興味深かったが、引き込まれるような文章力は感じなかった。自分は団塊の世代の子供世代だが、60年代のことは「団塊の世代が語らない青春時代」として、直接関係者や肉親などから聞くことがないので、各事件が繋がらない年表にはなっても、包括的なイメージは持てなかった。
その「語らない理由」、「命を懸けた青春」、「無言で働く父親たち」をなんとなく理解できた気がした。
いい時代なんかじゃなかった。死があり無数の敗北があった。だが、かけがえのない“われらの時代”だった。だれもが他者のことを考えようとした。ベトナム反戦は真剣だったが、平和で安全な地域にいることの後ろめたさが拭え -
Posted by ブクログ
実は「マイ・バック・ページ」は妻夫木聡&松山ケンイチ出演でちょうど映画化されている。
映画も先日観てみたのだが、この原作本の幾つかの章をエピソードとして散りばめながらストーリーを展開。
そして映画の幹となるのは、「逮捕まで」という章になっている。
全体を通しての「どんより感」・・・これは60年代には仕方の無いことか。
川本三郎氏は「週刊朝日」の記者であるが、映画では「週刊東都」という設定になっている。
この時代のジャーナリストというのは、ホントに命かけて果敢に取り組んでいたのだろうな・・。
原作本自体は、ドラマティックという感じでなく、川本氏の全くの回想録。
そして回想録だからこそ、話せる本