あらすじ
戦前の松竹では「小津は二人いらない」と言われ、戦後の東宝では名作を連打しながら、黒澤作品の添え物も撮った寡黙な名匠・成瀬。「浮雲」の高峰秀子、「めし」の原節子、「流れる」の山田五十鈴、「鰯雲」の淡島千景、「おかあさん」の香川京子……なぜ彼の撮った女優はかくも美しく、懐かしいのか? 映画と昭和を刻む感動的評論。※新潮選書に掲載の写真は、電子版には収録しておりません。
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Posted by ブクログ
偶然とある映画館で成瀬巳喜男監督特集を開催していたので試しに観てみたらハマってしまい、時間の許す限り何本も観たのがきっかけ。なんの予備知識もなかったのだけれど、撮影内容や演出に類似性があることに気づき、もっと知りたくなって取り急ぎ手にしたのがこの本。難しい評論よりも、こちらから読むほうが頭に入りやすいかも。
Posted by ブクログ
良い本。成瀬巳喜男という映画監督は知らなかったが、是非とも作品を観賞してみたくなった。
“成瀬は真正面から戦争を描く映画は作らなかったが、「お母さん」といい「浮雲」といい「乱れる」といい、どこかに戦争の影が落ちている。自分たちは戦争に生き残った。国は敗れた。自分の暮しの背後には、無数の死者がいる。その思いがあるから、成瀬映画に慎ましさがあるのではないか。”