川本三郎のレビュー一覧

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    最初はつらつらと60年代当時の著者の記者としての日常が綴られていくだけだったのだが、いつのまにか「ジャーナリズムとは」と考えさせられる展開になっていく。自分が3年間学んできたもの、それは実際自分がその場にいたらどうするか?という類のものではなかった。単なる学術である。いざこの本を読んでみて、自分が著者の立場だったらどうしたか?答えがでない。

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    2011年06月04日
  • 荷風の昭和 前篇―関東大震災から日米開戦まで―(新潮選書)

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    カフェの日本史から女給が気になり、女給を主人公にした永井荷風の『つゆのあとさき』を読んでみたところ、そこに書かれた昭和初期の銀座をはじめ、市ヶ谷、神楽坂など東京の描写が良かったので、ガイド本的にこちらを読んでみました。

    荷風の日記『断腸亭日乗』と彼の作品をベースにたどる昭和史。
    今年の小林秀雄賞を受賞。

    前篇だけで500ページを超えてるので読み終えるのに時間がかかりましたが、めちゃくちゃおもしろいです。

    たとえば、私も気になった『つゆのあとさき』で主人公・君江が数寄屋橋の朝日新聞社にあがるアドバルーンを見上げる場面。
    アドバルーンが広告に使われるようになったのが大正時代で、朝日新聞

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    2025年11月06日
  • 成瀬巳喜男 映画の面影

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    偶然とある映画館で成瀬巳喜男監督特集を開催していたので試しに観てみたらハマってしまい、時間の許す限り何本も観たのがきっかけ。なんの予備知識もなかったのだけれど、撮影内容や演出に類似性があることに気づき、もっと知りたくなって取り急ぎ手にしたのがこの本。難しい評論よりも、こちらから読むほうが頭に入りやすいかも。

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    2025年07月28日
  • 「男はつらいよ」を旅する(新潮選書)

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    ネタバレ

    場所を横串にした視点が良い。
    柴又は下町ではなく本来は田舎だという認識が改めて明記されているのも良かった。

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    2024年07月30日
  • ひとり遊びぞ 我はまされる

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    雑誌「東京人」連載のエッセイ「東京つれづれ日誌」。2018年から2021年まで。コロナ禍で外出もままならぬ日々を思い出す。

    本書でも何度も言及されているが、池内紀氏が亡くなったいま、これだけのクオリティの高い紀行文を書ける作家は唯一だろう。

    関東近郊や都内など、永井荷風ほか作家の足跡を辿る小旅行。

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    2023年11月26日
  • いまも、君を想う(新潮文庫)

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    単行本刊行時以来、13年ぶりに再読。
    映画「赤ひげ」の二木てるみの井戸の底に向かって叫ぶシーンの引用で、泣けてしまった。

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    2023年11月05日
  • ひとり遊びぞ 我はまされる

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    映画を見ること、本を読むこと、音楽を聴くこと、町を歩くこと、ローカル線の旅に出ること―。ひとり迎えた老年の日々は、今日も続いてゆく。2018‐21年の日記。

    東京人の連載は終わっていたのか。知らなかった。

    と思ったら、継続中。

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    2022年10月01日
  • すごいトシヨリ散歩

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     タイトルは、もう少しどうにかならなかったのかと思う。内容の良さとは全く乖離している。
     味わいを感じられることは、まだまだいくらもある。そう感じさせる。

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    2022年07月22日
  • 映画のメリーゴーラウンド

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    「映画」って いいですねぇ
    その言葉を
    何度もつぶやいてしまう
    映画好きには至福の一冊です

    それにしても
    その「数珠つながり」への博覧強記には
    全く脱帽です

    やっぱり
    「映画」っていいですねぇ

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    2022年04月28日
  • きのふの東京、けふの東京

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    ネタバレ

     川本三郎「きのふの東京、けふの東京」、2009.11発行。けふの町を歩く、きのふの盛り場、作家たちの東京の3部構成です。①著者は昭和44年に朝日新聞社に入社。昭和40年代まで、有楽町には朝日、毎日、読売の3大新聞社があった。はい、確かに。私は新聞少年として広島県代表になり東京旅行をさせていただき、有楽町の朝日新聞社を訪問しました。②菊は栄える。葵は枯れる。勝者には「維新」、敗者には「幕府の瓦解」。上野は敗者に優しい町。高校時代の友人が日本には革命がないと憂いていたのを思い出します。明治維新は国民が不参加と

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    2021年07月22日
  • いまも、君を想う(新潮文庫)

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    長年連れ添った糟糠の妻が先立つ。妻と過ごした月日を綴った本です。葬儀は、静かに送りたいと書中にありました。その気持ちに似た想いで読み終えた気がします。

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    2021年02月03日
  • 東京は遠かった 改めて読む松本清張

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    時々無闇と松本清張が読みたくなるのはなぜなんだろうか。多作なので、中には結構トホホな物もあったり、小道具が古くなっているのはどうしようもないのだけれど、それらを差し引いても余りある、何か人の変わらない部分を差し貫いているのだろう。

    いろいろ読み返したくなり、もう家にはないかなあと思いながらも探したらあったあった。宮部みゆきが「名作中の名作。これを読まずしてミステリを語るまじ」とまで言う『一年半待て』も再読してみた。唸った。

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    2021年01月02日
  • 「男はつらいよ」を旅する(新潮選書)

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    旅が好きで、寅さんが好きな人なら、誰でも「男はつらいよを旅」してみたいと思うのではないか?
    それを、川本三郎は実際に行い、本まで書いている。羨ましい限り。
    映画の場面を思い出したりして、面白くは読んだが、でも、自分で旅するのが正解だろう。

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    2020年05月10日
  • 「男はつらいよ」を旅する(新潮選書)

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    これを読むと寅さんを観たくなるし、旅がしたくなる。あの『新潮45』がこんな連載もしていたのか。こういうのだけでは雑誌は売れないんですかね。

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    2019年03月23日
  • 「男はつらいよ」を旅する(新潮選書)

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    寅さんを旅する、という企画。寅さんの映画には、なんとも懐かしい日本の様々な風景が、そのまま、残されているという、作者の指摘には、納得。また、寅さんが旅をする先々を楽しみに、ビデオを見直し始めました。

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    2017年09月12日
  • 「男はつらいよ」を旅する(新潮選書)

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    少なくとも劇場では一本も観ていない。テレビで観たのも数えられるほど。こんなに鉄道ネタが豊富だったとは。改めて観てみようと思う。

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    2017年06月05日
  • 成瀬巳喜男 映画の面影

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    良い本。成瀬巳喜男という映画監督は知らなかったが、是非とも作品を観賞してみたくなった。

    “成瀬は真正面から戦争を描く映画は作らなかったが、「お母さん」といい「浮雲」といい「乱れる」といい、どこかに戦争の影が落ちている。自分たちは戦争に生き残った。国は敗れた。自分の暮しの背後には、無数の死者がいる。その思いがあるから、成瀬映画に慎ましさがあるのではないか。”

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    2015年03月26日
  • 君のいない食卓

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    愛妻を亡くされた筆者の食べ歩き? 一人で呑む燗酒は、寂しく美味しくないと
    そうだろうなと納得。行間から素敵な奥様だった事が偲ばれた。

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    2015年02月01日
  • いまも、君を想う(新潮文庫)

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    映画評論家・文藝評論家の川本三郎の愛妻喪失の記。

    さりげない過去の妻との日常を書き綴っているが、淡々としたその文面から、亡き妻への愛情が、ヒシヒシと伝わってくる。
    特に著者は、全共闘関連の取材で逮捕留置され、朝日新聞を懲戒免職されており、その直後の結婚から、影で支えてくれた妻への想いが行間から滲み出ている。

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    2013年07月21日
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    ネタバレ

    「日本でも革命が起きると信じていた。」と、青春時代に、デモ参加などの、当時の一般的な若者程度の市民運動をしていた私の母は言っていました。
    この本から、そういう時代の雰囲気が伝わってきます。
    しかし、当時から、地道に市民運動をしたい人たちは、過激派の人たちのことを、わざわざ事を揉めさせる、足を引っ張るような存在と感じていたようです。
    本を読んでも、私には自衛官を殺害したKの動機がわかりません。
    そして、この事件が、著者がジャーナリスト生命をかけてまで犯人であるKを秘匿しなくてはならないような、大義のある事件には思えないのです。(過激派の活動家が政府機関のスパイを行ったとか、政府の要人を殺害したと

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    2013年06月11日