戸部良一のレビュー一覧

  • 決定版 日中戦争(新潮新書)

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    有識者5人により日中戦争について書かれた本。3部10章から成り、5人で各章を担当している。特に、戸部先生と庄司氏の内容が素晴らしく、勉強になった。

    「(日中専門家による共同研究)太平洋戦争の勃発によって中国は、世界大の「反ファシズム統一戦線」の重要局面である中国戦線を一手に担い、日本軍を消耗させたがゆえに、連合国の「世界反ファシズム戦争」の勝利も実現した、という第二次世界大戦像は動かしがたいことを確認することになった。中国以外の連合国が抗日戦争の勝利に貢献したという側面が入る余地は少ないのである。以上のような傾向は、現在の習近平政権になって、さらに強まりつつある」p5
    「(リットン報告書)報告書は、中国の主権と領土保全という普遍的な原則を前提としながら、軍閥を排し、満州における日本の権益と歴史的関わりなど、特殊な地域情勢にも配慮した妥当な解決方法であった。しかし、もはや日本ではほとんど見向きもされなかったのである。日本は独立国家・満州国の承認をすべてに優先させ、それ以外の事変解決の代案には目を向けなくなっていた」p30
    「満州事変はほぼ石原らのプランどおりに進行した。軍事的には、中国側が武力抵抗しなかったことが、それを可能にした主な理由である。事変勃発時に北平(北京)にいた張学良は10万の兵を擁し、満州にも20万を超える東北軍があったが、関東軍の兵力は1万余に過ぎなかった。しかし張学良は、日本側を刺激しないよう命じる蒋介石の指示を受け、奉天の部下に日本との衝突を避けるよう命じた」p30
    「リットン調査団の現地派遣は、公平な現地調査に基づいて国際連盟の最終的な判断を下そうとする試みであったが、日本はこの連盟の苦肉の試みを無視したのであった」p31
    「日中戦争は、おそらくは偶発的に発生した盧溝橋事件が、その後の日中両国の対応によって拡大した典型的なエスカレーションであった。日本側は、これまで同様の事件が発生したときに採用されてきた現地解決方式によって処理を図ろうとした」p48
    「中国への出兵に反対する石原らは「不拡大派」と呼ばれた。彼らは、当面、対ソ戦備充実のため満州国育成に専念すべきであり、中国との衝突は避けなければならないと主張した。また、中国の抗戦力は侮りがたいとし、中国と武力衝突すれば紛争は長期化・泥沼化すると予想するとともに、その間ソ連が軍事介入してくるかもしれないと憂慮した。これに対して拡大派は、中国の抗戦力を軽視し、一撃によって中国を屈服させれば、事変はかえって早期に解決されると主張した。ただし、拡大派も中国との全面戦争を考えていたわけではない。拡大派は戦場を華北に限定することが可能であるとし、そこで中国に一撃を与え屈服に追い込むことができると楽観していたのである」p50
    「上海戦には多くのドイツ軍事顧問団が参加、中国の中央軍が彼らの指導を受け、ドイツ製の武器を装備しており、「上海地区での日中戦争は、一面、日独戦争である」とまで言われた」p63
    「当時、参謀本部第一部長であった石原は、「今次の上海出兵は海軍が陸軍を引摺って行ったものと云って差し支えないと思う」と回想していたのであった」p66
    「(昭和天皇)戦争はやる迄は深重に、始めたら徹底してやらねばならぬ、又、行わざるを得ぬと云うことを確信した」p72
    「(海軍航空隊の活躍)杭州など中国空軍の中枢飛行場を空襲、使用不能とし、上海近辺の制空権を一気に制圧したのであった。上海において、圧倒的な勢力の中国軍の猛攻に、海軍特別陸戦隊が陸軍の到着まで持ちこたえることができた要因として、日本側が制空権及び制海権を掌握していた点は大きかったのである」p73
    「(南京での戦闘)一般的に大都市において市街戦に至った場合、兵士のみならず多くの民間人の犠牲が生じることは避けがたい」p89
    「(重慶への遷都)物資や資源の総動員体制も困難を極めた。そもそも、中国経済の中心は基本的に上海あるいは沿岸部であり、「大後方」と言われた四川省など内陸部は、特に工業生産からみれば決して抗戦を支えるだけの生産力を有していなかった」p108
    「日中戦争では多様なメディアによる宣伝戦も見られた。満州をはじめ華北、江南、沿岸部などを占領した日本は、中国大陸や世界に向けてラジオ、ポスター、ビラなどさまざまなメディアを用いた宣伝をおこない、自らの中国統治を正当化しようとした。中国側も其れに応じ、中波、短波放送を利用して、重慶から中国内部また海外にする放送をおこなったり、日本軍に降伏を促すビラを撒いたりした。また、1938年には中国側飛行機が熊本県でビラを撒いたことが知られている」p113
    「(ニューヨークタイムス(1937.8.31))上海の開戦に関しては、記録は唯一の事実を実証している。日本軍は、上海での戦闘が繰り返されることを欲しておらず、我慢と忍耐を示しながら、事態の悪化を避けるために、なし得べきすべてのことを行った。しかし、外国の租界や権益をこの衝突に巻き込もうという意図があるように思われる中国軍によって、日本軍は文字通り衝突へと追い込まれていったのである」p120
    「(空襲後に一人泣き叫ぶ赤ん坊の写真(ニューヨークタイムスから世界へ繰り返し発信))「此の写真は点火されたマッチの役目」を果たした。多年に亘る辛抱強い仕事の結果築き上げられた所の米国大衆の反日感情の火薬庫を爆発させた。此の爆発の恐るべき効果が明白になって来た時、ルーズベルトは、突如「廻れ右」をした。シカゴ演説を行い、ハルは其の後を承けて、日本を条約違反者とし、又侵略者として非難した」p131
    「第二次上海事変勃発直前のアメリカの世論調査(1937.8)では、日中戦争に際して中国支持が43%、日本支持がわずか2%、中立が55%であり、すでに中国への支持が日本を圧倒していたのである」p134
    「中国は、上海戦に象徴されるように、国際世論を味方につけるために、積極的に宣伝を活用した。馬淵大本営報道部長は、「白髪三千丈式の宣伝は、三国志以来の伝統であり、支那はすぐれた宣伝の国である。特に蒋介石は、「政治は軍事より重し、宣伝は政治より重し」と倣し、支那軍は戦争に負けても宣伝で勝てばよい、という信条を持っている」と述べていた」p136
    「アメリカ側も、こうした中国の宣伝を政治的目的のために、積極的に受容、活用していった。(アメリカ顧問団セオドア・ホワイト)「アメリカの言論界に対して嘘をつくこと、騙すこと、中国と合衆国は共に日本に対抗していくのだということをアメリカに納得させるためなら、どんなことをしてもいい、それは必要なことだと考えられていた」p137
    「(馬淵大本営報道部長)「由来「ことあげ」せぬのは軍人の美徳とされ、国民性が淡白で、執拗に反覆したり、宣伝することを好まない。あくまで武力的勝利を重視するから、列強の嫉視、反感を買う恐れがある。他国の世論を有利に沸騰させるため、火のないところに煙を立てる寸法のデマ宣伝や嘘や法螺や弁明は、苟(いやしく)も士の採るべき手段ではないと教育されていた日本人には、由来潔癖症があり、宣伝や広告をしないのが普通である」さらには、石原莞爾は、「宣伝下手は寧ろ日本人の名誉」とまで述べていたのである」p138
    「マス・メディアの特性に対する理解不足である。日本側の報道は、日本政府検閲済みの情報による公的かつ形式的なもので、極めて無味乾燥で時宜を失していた。一方、中国は、情報の出所は曖昧ではあるものの、内容はセンセーショナルなもので、大衆を強く魅了したのであった。さらに、日本側は、情報を極力制限したのに対して、中国側は積極的に情報の提供に努めたため、外国メディアは自ずと中国の発表を重用、情報を得るようになっていった」p139
    「1940年2月時点の世論調査では、中国支持77%、日本支持2%、中立13%と、中立から中国支持へと大きく変化していた」p143

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    2022年05月08日
  • 決定版 大東亜戦争(上)(新潮新書)

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    冒頭が太平洋戦争ではなく大東亜戦争というのでイデオロギー色の強いものかと思えばさにあらず。太平洋という米軍相手のものではなく、英米中ソとのそれぞれにある程度独立したものが重なった複合戦争で広域で行われたことと、戦争目的が開戦時の自存自衛から大東亜新秩序建設に変容していったことを主な理由としている。

    その前提の下、各章は別々の著者の下、オムニバス的に展開されるが、英米の戦争指導を概観した2章、中国国民党・共産党の戦争観や指導方針についての3章、財政金融面からの6章が、自分にとっては大東亜戦争を見る新たな視点として、特に面白かった。

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    2022年04月10日
  • 決定版 大東亜戦争(下)(新潮新書)

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    特に第7章戦争指導体制、第9章戦争終結、第11章賠償問題が勉強になる。個人的には下巻の方が面白かった。
    ・日本は統帥権を実務レベルで調整する仕組みを最後まで持たず、大本営会議は報告の場に過ぎなかった。これは、デモクラシーのイギリスが戦時独裁を許容したこととの対比で興味深い。
    ・日米間に存在した信頼関係のためポツダム宣言を受諾することができた。

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    2022年01月10日
  • 決定版 大東亜戦争(下)(新潮新書)

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    上巻に続いて、下巻では大東亜戦争や太平洋戦争と言う名前付けや、戦後の皇族のアジア諸国に対する慰霊の旅や戦争終結に向けての動きなどが書かれています。
    大本営と言う存在が上手く機能せず、軍部が勝手に動いて、中国での戦争の場を広めていく。政治家である民が軍をコントロールしないといけないが、それが出来ない国は滅びていく。

    今回印象的だったのが、外交の大切さではないかと思いました。長い目で見て、譲るべき所は譲り、機が熟したら、果敢に攻める。しかし、軍隊は短期的な視点でしか見れない、目の前の利益を手に入れないといけないから、譲ることはないという。人の本能の様なものかもしれませんが、戦争ほど非効率的なものはないですね。

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    2021年10月27日
  • 失敗の本質 戦場のリーダーシップ篇

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    これだけ日本の欠点と言うか日本の弱体化の要因を俯瞰的に正確に指摘出来る日本人がいるんだなと素直に驚き。同じような考えを持つ日本人は一定数いるはず。それでも日本が衰退国として甘んじているのは分かっていても変えられない何かが多々あるからだと思う。自分もそうだけど。

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    2021年10月20日
  • 知略の本質 戦史に学ぶ逆転と勝利

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    独ソ戦やバトルオブブリテンにおける趨勢の転換、ベトナムのフランスからの独立やアメリカとの戦争におけるベトナムの戦い方、イラク戦争におけるアメリカ軍の戦い方の変遷といった実例を通じ、戦略、そして知略やリーダーシップについて分析している。野中氏が35年生まれで、一番若い麻田氏が80年生まれと、かなり年代にバラエティのある4人の著者が章別に分担執筆しているが、内容・文体はよく統一されている。
    内容は多岐にわたるが、ヒトラーも気まぐれなだけでなく戦争経済を考えて戦略を練っていたこと、スターリンも兵站や補給の重要性をよく理解していたこと、米軍は正規軍どうしの戦闘ではベトナムでもイラクでも常に強力であったこと、トランプ政権を(一時的に)支えたマティスやマクマスターといった軍人が湾岸戦争や対イラク戦争の前線で活躍していたことなどが印象に残った。
    知略の本質を考察する終章は、事例を展開するそれまでの記述に比べると抽象的かつ難解であるが、「失敗の本質」の出版以降、戦略に関する数々の考察を繰り返してきた著者たちの現在の到達点と思えば、繰り返し読んで理解に努めることは意義があると思われる。

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    2021年03月04日
  • 失敗の本質

    ネタバレ

    決断と責任と空気

    この本を読みながら感じたことは、決断と責任と空気について、自分も慎重に考える習慣をつけたほうが良いということだ。

    特に忖度というか、場の雰囲気(空気)との付き合い方について、自分はどう向き合うべきかを考えさせられた。

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    2021年01月16日
  • 知略の本質 戦史に学ぶ逆転と勝利

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    成功経験も失敗経験も、その経緯を言語化しておくことは大切なんだということを、改めて感じさせられた。
    ただ、多くのケースは、目的の不明瞭さが、失敗を導くこともわかっているのにね。
    わかっていてもできないのが、人間の性なのか。

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    2021年01月04日
  • 知略の本質 戦史に学ぶ逆転と勝利

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    知略の本質を知るため、読みました。知略とは、情況と文脈に応じて具体的戦略を実践していくことです。知略の4つの要件は①共通善(共通する目的意識)②共感(相互主観性)③本質直感④自律分散系(実践知の組織化)でふ。知略の本質を洞察し理解すれば、どんな場面でも戦略を賢く実践できます。

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    2020年10月31日
  • 国家戦略の本質 世界を変えたリーダーの知略

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    20世紀に国家の首脳を務めた人物の実績から、国家主導者としてのリーダーシップに共通項を見出そうとする。リーダーシップ論としては勿論、当時を生きていない、記憶に無い世代には歴史の勉強にもなる。内容の濃い一冊。

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    2020年10月30日
  • 国家戦略の本質 世界を変えたリーダーの知略

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    私にとって『失敗の本質』は、最も影響を受けた書籍であり、それに繋がるその他の本質本も読み続け、今回、本書を読んだ。私自身が備えたいリーダーシップ論とは、スケール始め合うべきものではないが、ここに出てくるリーダー達の成功、失敗事例に対する分析は改めて気づかされるところも多い。私のような小ちゃい人間の生き様にも生かして行きたいと思った。

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    2020年08月15日
  • 知略の本質 戦史に学ぶ逆転と勝利

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    レニングラード攻防戦、バトル・オブ・ブリテンをはじめ、おそらく戦史オタクでないとなかなか知らないであろう内容をこの本で読むことができた。しかし、これだけ詳細に書いてあるのはさすがでした。

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    2020年08月02日
  • 国家戦略の本質 世界を変えたリーダーの知略

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    政治家の伝記もどきによくある、ぐだぐだノンフィクション(人となりを伝えるとして、新聞記者系がよく書いているのだったか・・)とは、はっきり一線を画した本だ。1980年代以降の世界の代表的政治家が、どういう資質とプリンシプルの持ち主であって、どういう時代背景の下で、どういう判断を下してどういう成果をあげ(そして失敗したか)を、整然と並べて読ませてくれる。最後の総括の2つの章は、政治学が倫理学や哲学と地続きだといわんばかりに、ややペダンティックだが、我々一般読者の知的虚栄心も満足させてくれるスグレモノかもしれない。

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    2020年06月10日
  • 知略の本質 戦史に学ぶ逆転と勝利

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    野中郁次郎先生の"本質"シリーズの4冊目です。

    "戦略の本質への答えは「知略」である。これは日々変化する状況下のもとで組織員一人一人の実践知によって「いま・ここ」に相応しい行動を取らせる唯一の方法である。"

    知略とは、マネジメント・リーダーシップ領域の概念だと言う説明が冒頭になされている事からもわかる通り、焦点の当て方がスターリン、チャーチル、ホー・チ・ミンのリーダーシップ論に比重を置いているように思えました。『戦略の本質』でも取り上げられていた独ソ戦、バトル・オブ・ブリテンベトナム戦争が題材です。
    以下、章別の気付きのサマリーです。
    ■独ソ戦
    国防軍のモスクワに迫る戦いが加筆されています。カフカス攻略と二面作戦である大戦中最も過酷な戦いであるスターリングラード攻防戦、最大の戦車戦であるクルスクの戦いを描きます。二正面作戦の前に東部戦線がそもそも二正面作戦なので、四正面作戦と言えなくもありません(北アフリカ戦線を入れたら戦線はもっと増える)。

    何とあのスターリンが敗戦から学び謙虚になっていくと言う点が意外だった。試行錯誤を繰り返した者にのみ運(無傷の補給や冬将軍など)は味方すると言う点も納得。
    ■バトル・オブ・ブリテン
    航空戦であるバトルオブブリテンに加えて、大西洋の戦いが記載されているが、新たな発見をしたとは言い難いと感じました。

    チャーチルとダウディングの"戦いの本質"を見抜く選球眼とそれによる、戦略的持久、テクノロジーの採用が、1941年までの英国の優れた行動と言う理解です。
    ■ベトナム戦争
    ホー・チ・ミン率いる北ベトナム軍が、開放戦線及び米国に毛沢東の遊撃戦論を下敷きに戦った方法を解説しています。

    『戦略の本質』を読み返してみましたが、加筆修正されていたのは、対仏国のインドシナ戦争の部分です。ベトナム戦争は、インドシナ戦争の蓄積があったが故に勝利できたと言う事です。
    ■イラク戦争
    これは全くの新章です。ベトナム戦争の反省から確立されたドクトリンの元で完勝した湾岸戦争とイラク戦争までを描きます。

    イラク戦争序盤が、純軍事的動機から行われていたのに対し、COINドクトリンを現地住民に融和的なものに改版して行った成功事例が説明されていますが、些か"何が成功要因だったのか"の踏み込みが甘いと思いました。結局、マッカーサーが日本を統治した時代に戻ってきたと言う事でしょうか。

    シリーズ全般を通じて、純粋に読んでいて面白かったのは、2冊目の"戦略の本質"なので星4つ。

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    2020年05月02日
  • 知略の本質 戦史に学ぶ逆転と勝利

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    知略とリーダーシップの本質に迫る失敗の本質シリーズの最終章。構成は前著群と変わらず、時系列かつ叙事的に戦闘展開を述べた後に、アナリシスを導出するというもの。

    失敗の本質以上に、企業経営その他あらゆる勝負事に援用しやすいフレームワークにまとめてある点で、その有用性はシリーズ最終作に相応しいものと言える。

    冒頭p7より引用。この部分こそが核心となる。
    "軍事戦略をめぐっては従来、攻撃と防御、機動戦と消耗戦、直接アプローチと間接アプローチといったような二項対立的なとらえ方があるが、われわれは、そうしたとらえ方よりも「二項動態」的なとらえ方こそ、戦略の本質を洞察していると理解している。戦略現象を「二項動態」的に把握したうえで、情況と文脈の変化に応じて具体的な戦略を実践していくことが重要なのである。そのような戦略を、本書では「知略」と呼ぶ。" 

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    2020年02月25日
  • 失敗の本質 戦場のリーダーシップ篇

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    ネタバレ

    失敗から学ぶことは多々あり、それが戦時のことであれば、生死をかけた戦略や行動であるために、更に学ぶべきことは多いと考える。ただし、完ぺきな人間などいるはずもなく、限られた情報の中で、限定合理的に行動した結果であることを念頭に置く必要がある。

    ・ウェーバーの価値自由原理である、ヒト/モノ/カネを効率的に利用できているかという効率性の問題と、価値の問題は分けて考えるべきというのはなるほど。そして、効率的なものが常に正当であるということにはならないというのも納得である。

    ・戦時において、成功した体験は、なかなか否定できない。実績が一度伴うと、それに寄りかかってしまう。必要な時には自己否定ができることが良いリーダーであり、その場合でもスピード感を持って判断できるようになるべきである。この判断のためには、大局観を持ち、真実に目を向け、新しいことを生み出そうとする思考が重要である。

    ・部下たちの面倒をこまめに見ることが、指揮官への信頼と親近感を増幅させる。

    ・これらを成すのは、体力と健康である。

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    2020年01月01日
  • 失敗の本質 戦場のリーダーシップ篇

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    戦時の話しをしているはずなのに、なんかすごくしっくりくる。いまも同じような状況に陥っているからなのかな。

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    2019年10月21日
  • 失敗の本質 戦場のリーダーシップ篇

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    2012年7月に書かれた本で、1984年に書かれた「失敗の本質」に対して多面的な検証とさらなる考察が実施された本、「失敗の本質」はずっと読みたかった本なのですが、まだ読めておらず、先に新しい版を読むことになりました。

    相応の歴史知識や、太平洋戦争時代の人物像に関する情報がもともとないと、やはり難解であるとは思うが、それなりに長い間勉強してきてから読んだので、僕にはさらに造詣が深まったと思う。

    『戦場のリーダーシップ』という観点では、僕もこれまでいくつか勉強してきてましたが、「キスカ撤退の木村」や「組織人になれなかった天才参謀 石原莞爾」、「独断専行はなぜ止められなかったのか 辻 政信」など、これまで知らなかったことも新たに知ることができました。


    後半には、大和特攻の伊藤長官の
    「我々(大和)は死に場所を与えられたのだ」の名言による戦艦大和特攻作戦における意思決定プロセスに関しても記載あり、大変興味深い。 山本七平の『空気論』という部分も大変勉強になった。
    (山本七平:『「空気」の研究』1977年)

    → 伊藤長官の論理的思考は空気で説明できない
    → 「空気」の本質を科学的に分析する
      2009年度ノーベル経済学賞を受賞した、
    オリバー・E・ウィリアムソンの取引コスト理論に従って分析

    → いかにして、空気に水を差すか
    カントの人間学的道徳哲学を引用して「自律的な意思を実践できる人間:啓蒙された人」と

    以下、引用 P277
    ====================
    日本軍は、設立当初はメンバー同士が自由闊達に議論する組織であった。 ところが時間の経過とともに制度が完備され、特に人事制度が明確になると、制度上、どうすれば昇進できるのかが明確になった。 こうした状況で、昇進制度に忠実な他律的エリートたちが育成され、実権を握っていった。 (中略)

    こういう他律的エリートが統率する組織では、メンバーは容易に取引コストを計算し、合理的計算のもとに全員一致で「空気」を読み取ることになる。 そして、合理的に非効率で不正な結論に導かれることなる。

    この意味で、海軍は、不条理に陥ったエリート集団の典型であった。 取引コストにとらわれた人々の、他律的な意思決定に対し、一石を投じることのできる人物、それが自律的な意思を実践する「啓蒙された人」である。このようなリーダーが帝国海軍に数人いれば、組織の不条理から救われたはずである。
    ====================

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    2019年03月25日
  • 決定版 日中戦争(新潮新書)

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    日中戦争は、本当によくわからないものだったので、一つの理解の筋を得られたように思った。はじめてしまったら、なかなか終われない。なんでとそうだが、難しい。終結の難しさ。御前会議での陸軍の頑固さは何かと思っていたが、中国での戦いを考えると、確かに理解出来る面がある。目の前の相手に、全く負けていないのに、降伏せざるを得ない。それは出来ないなぁ、と。でも、全体を見渡すと、降伏せざるを得ない。

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    2019年11月29日
  • 決定版 日中戦争(新潮新書)

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    229頁2行目で、
    カイロ会談当時、「中華民国国民政府主席」であったはずの蒋介石の肩書きは「総統」と書かれる。
    専門者にとっては、とんでもないミスではないか...

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    2018年12月19日