あらすじ
●名著『失敗の本質』の著者による昭和陸軍論
本書は、『失敗の本質』『戦略の本質』のメンバー戸部良一氏による本格的昭和陸軍論。
「戦前の陸軍は権力をほしいままにして対英米戦争に突入した」というステレオタイプな歴史記述に異議を申し立て、歴史家としての事実に基づいた分析を行う。「東條英機は縦割り組織に縛られリーダーシップは発揮していなかった」「大正期の肩身の狭さの反動が昭和陸軍暴走の遠因だった」「陸軍が主導した日独同盟は英米戦を視野に入れていなかった」など、従来の歴史書では得られなかった発見が得られる知的興奮の書です。
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Posted by ブクログ
「失敗の本質」のシリーズ本 当初の作戦レベルから国家レベルへ深化しつつある
一方で、読後感は嫌悪感を増している
この国に「国家の負託」を自覚しているリーダーは存在するのだろうか
ことごとくが「小手先」グランドデザインを構想している者はいない
⇒「現実を直視しないこの国」本質は全く変わっていない 芹川洋一(日経)
日華事変の顛末ストーリーだが、最悪 国家としての意思も算段も欠いて
石原莞爾の満州事変をパクろうとして、本人は同じようなつもりで起こした事変だが
事は全く別で、中国固有の領土で起こした事変は、中国全域を征服しなければ終息しない
東條英機を典型例として、オペーレーションのエクセレンシーは見いだせるが
国家全体を見据えた戦略家は全く見当たらない
これはどういうことか?
一体誰が、戦争を意思決定し、終息条件のイメージを持っていたのか?
恐ろしいことだが、その当事者は存在しない
陸軍は、リーダー不在のままで、政治に横車、政治的責任は負わない(28)
特定の分野で有能でも、大局観や政治的英知を具備しているわけでは無い
戦争目的 自存自衛論か、アジア解放論か
多くは前者だが、後者の理念が大事「重光葵」
この理念があると、隊の規律は守られる
東條英機もオペレーションの人
イニシアティブを取らなかったのは、ヴィジョンが無かったから
ヴィジョンがなければ、精神論を語り、部下の意見具申を待つ