戸部良一のレビュー一覧
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満州事変後の外務省革新派とよばれる外交官の派閥について書かれたもの。緻密な調査研究に基づき論理的かつ学術的に話が進められており、説得力がある。太平洋戦争に至る我が国の政策決定に与えた影響についてよくわかった。印象に残る箇所を記す。
「政党は政争に明け暮れ、党利党略にかまけて国民の要望に応えず、最も重大な国防を軽視しているように、少壮軍人たちの目には映った」
「利潤本意の資本主義経済や政党主体の議会政治は、既得権擁護に傾きがちで国民の要望に応えないばかりでなく、時代の要請つまり「世界史的大変動」にも対応できない、と彼らは批判し、経済の計画化と効率化、国民の経済的・社会的平等の実現、それを基盤とした国民の再統合を図る革新的な政策案を提示する」
「併しながら今日既に欧羅巴連邦といふ事が提唱され、東洋に於ても東亜連盟乃至共同体の主張を見るのであって、世界史は今後必然的にその方向に進展せざるを得ないものと信ずる」(文藝春秋1940.1)
「自給自足を営むのには、その圏内に於ける各国の間に、従来の如く小さい国も大きい国も絶対主権を主張し、国境を設け、税関を設け、貨幣を別々に持つ、さうして小さな国までが軍備を持つ、さういふことであってはならぬのであって、その間には言はば国境は殆ど撤去されねばならぬ」(白鳥敏夫、1940.10講演) -
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日本が大東亜戦争で敗戦したことは知っていても,なぜ負けたのかということまでは,なかなか歴史の授業で学ぶことはないと思います。
敗戦の原因はどこにあるのか,将来にいかすべき教訓は何かということを研究したのが本書です。
文章が読みにくいということはありませんが,出来事や人物に馴染みがないので,やや読み進めるのに苦労しました。
私は自分の仕事や生活にどう活かしていくかということを考えながら読みました。
本書を読んでの私なりに得た教訓ですが,
・成功体験ばかりでもそのことだけに囚われて,視野が狭くなってしまい,そのことが大きな失敗を招く。それゆえ,失敗も貴重な経験。
・帰納的思考を大切に。経験から知識を得,それを実践しながら知識を修正していく。トライアル&エラーが重要。
失敗を取り上げることは,ともすれば当事者を非難するように受け止められ,取り上げること自体をやめさせようとすることもあるようです。しかし,責任追及という視点ではなく,何が起こったのか,その何が良くなかったのか,今後どうすべきかということは,たとえ失敗に目を向けることに気が進まないとしても,臭い物に蓋をするという姿勢ではいけないと思いました。
この本を読んでいる最中に,身近にそのような話を聞き,歴史を学ぶ姿勢は重要だと改めて認識した次第です。
本著の先駆けとなる「失敗の本質」も読んでみる予定です。 -
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太平洋戦争における日本軍という組織の問題点をターニングポイントとなった戦い毎に解析し、問題を振り返るもの。
全般に、ほぼ「組織内融和」、「二重目的」という2つの要因に集約している。
① 「組織内融和」とは、是非の判断を行う際、人間の感情(特に「面目」や「恥」)を使用して実施する「優先度判定」である、ととらえた。例えば、ある進軍の是非をとらえる際、「あいつは関係が深い後輩だから『無条件に』後押ししてやろう」とか、そういうものであろう。
それが組織を運営する上で問題だったか、というと、「根拠なく後押ししたらいけない」、ということなのだと思う。信頼関係が構築できていれば、後押しすることはよくある。
② 「二重目的」とは、例えば、ある戦いにおいて「空母を減らす」、「基地を奪還する」のいずれを優先するかを明確にせず、「空母をへらし、基地を奪還する」と併記することである。どちらかは一方を達成するためのプロセスだと思われるが、これも①の「組織内融和」の弊害だと思う。
本の中には、これにより「空母を攻める」武器にするのか、「基地を奪還する」武器にするのか、武器の選択が徹底せず、作成が失敗した、とあった。
「組織内融和」を重視するか否か、これがある組織や団体の方向性を決定すると思われる。「組織内融和」を排除せよ、という訳ではなく、重視する性質をもった組織と、重視してはいけない組織がある、ということなのでしょう。 -
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学術的な本なので難しい部分はあったけど、組織論に少しでも関心のある人は読むべきだと思う。組織論のバイブル的な扱いも受けているし、日経でもこの本を解説するコーナーがある。
日本軍がなぜ大東亜戦争(第二次世界大戦)で敗北したのかを組織論的な観点から論じている。読み進めていると、「こりゃあ、酷いな」と日本軍の実態に驚くはずだ。陸軍では奇妙な人情主義がまかり通り、作戦で大失敗した指揮官が「かたき討ちさせてくれ」と懇願すれば、重要な作戦に再び起用する。海軍は日露戦争での日本海海戦の大勝利の経験が忘れられず、古くなってしまった決戦思想に執着する。
単に日本軍を批判する本ではない。日本軍の失敗から、組織のあり方を問い、組織運営の失敗による悲劇を繰り返さないための示唆に富んだ非常に良質な本だと思う。 -
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ネタバレ[ 内容 ]
一九三八年七月、時の外相宇垣一成の私邸を八人の青年外交官が訪れ、所信を披瀝するとともに、彼らがリーダーと仰ぐ白鳥敏夫の外務次官起用を強く訴えた―ときに軍部以上の強硬論を吐き、軍部と密着して外交刷新を実現しようと行動した外務省革新派。
彼らが主張した「皇道外交」は、満洲事変後の「世界史的大変動」の中で大衆に受け入れられ、世論を先導していく。
戦争へ向かう時代を新たな角度で切り取る意欲作。
[ 目次 ]
プロローグ 八人の青年外交官
第1章 外務省革新同志会
第2章 満洲事変の衝撃
第3章 皇道外交
第4章 「人民戦線諸国」対「全体主義諸国」
第5章 現状維持派との対決
第6章 新秩序を目指して
第7章 その後の革新派
エピローグ 外務省革新派の歴史的役割
[ POP ]
[ おすすめ度 ]
☆☆☆☆☆☆☆ おすすめ度
☆☆☆☆☆☆☆ 文章
☆☆☆☆☆☆☆ ストーリー
☆☆☆☆☆☆☆ メッセージ性
☆☆☆☆☆☆☆ 冒険性
☆☆☆☆☆☆☆ 読後の個人的な満足度
共感度(空振り三振・一部・参った!)
読書の速度(時間がかかった・普通・一気に読んだ)
[ 関連図書 ]
[ 参考となる書評 ] -
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ネタバレ本書は多くのビジネスパーソンに愛されている野中郁次郎の代表作「失敗の本質」の続編にあたる。前作がいわば状況の
分析を通じて、日本軍という組織の特徴を洗い出し、その延長線上として日本式の組織と米系組織の退避を行うといった構造だったのに対し、本作はより直接的に、その組織でリーダーシップを振るっていた人間の分析を行おうとしている。これは野中の興味関心が組織そのものから、後年になるにつれてよりリーダーシップに移っていたことを反映しているだろう。
ただし本書の場合、野中一人で書いているのではなく実質者が複数にいるということで、ややテーマがぼんやりしてしまっているところがあるのは否めない。また、前作はかなりの時間をかけられて執筆されたことが伝わってきていたが、今作については出版社の企画ありきだったと思えるようなところもあり、完成度としては世の中の本の中では低い方に入るだろう。
特に第三章「リーダー像の研究」は、著者の思い入れがある人物を対象としたのか、取り上げられている石原莞爾も山口多聞も、神聖化されすぎている嫌いがある。
これでは研究というよりもむしろファンブックという感じで、かなり強引だったというのが本音だ。
もし、野中の後期の他の本を手にしていないのであれば、本作も読む価値はあると思うが、この代表作を既に手に取っているのであれば、無理して読む必要はないと感じてしまった。 -
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日米戦争への道を敷いたのは日本陸軍だけではなく、それを支える国民の声があったというところまでは認識していたのだが、さらに外務省革新派という人たちもいて、積極的に全体主義への流れを作っていったとのこと。
まずは、このことだけで驚くわけだが、それが省内でのディスカッションにとどまらず、国の外交方針に対する批判を含むさまざまま論文などを発表し、世論の形成にも寄与したという。
日本て、まったく「全体主義」ではないと思う。これだけの意見の多様性があるわけなので。。。。
とはいえ、外務省革新派の政策は直接的に外交政策に影響したところは少ないという。その影響は過大視されているのかもしれないが、暗黙のプレッシャーにはなっていたようだ。
戦後、革新派の何人かに戦犯になり、公職をパージされたりしたわけだが、結局、大使になったり、重要な役職についていたりしたらしい。
きっと頭の良い実務的に優秀な人たちだったんだろうな。
そういう優秀な人たちも、時流のなかでは、意味不明の右翼的、精神論的な言説を繰り広げていたということで、なんだかな〜と思う。 -
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最初は「失敗の本質」のような戦略面からの日本の失敗を書いたものかと思いましたが、日本という立場だけでなく、アメリカやイギリス、そして中国から見た太平洋戦争と言うのが興味深かったです。
先進的なアメリカでも、海軍や陸軍で利益が異なり、一枚岩てなかったと言うのも始めてしりました。ヨーロッパと太平洋の2面同時に動けるのはアメリカぐらいかもしれませんが。ドイツこそが本丸と言うのも、納得出来ます。
中国もまた終戦間際に、日本からの和平を持ち込まれたりとした話もあったのですね。
今の政治家と、戦中の政治家は、そんなに変わらないのかなと想います。他人事のようですからね。 -
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ネタバレフランスが犯した失敗の本質を的確にした指摘した上で、物は、祖国フランスの救済策を次のように書いている
強くなること
敏捷に行動すること
世論を指導すること
国の統一を保つこと
外国の政治から世論を守ること
祖国の統一を撹乱しようとする思想から青年を守ること
治めるものは高潔のある生活をすること
汝の本来の思想と生活方法を情熱的に信じること
戦時体制のアメリカ政府は、統合参謀本部を始め、軍のポストに多くの民間人を起用した。それが知のバラエティーを豊かにし、組織にバランス感覚を植え付けたのだ
学校での成績が重視される10日システムに象徴されるように、日本軍の組織人事は極めて硬直的なものであった
羽を和ませ、気分を一新させる場合、ジョークやユーモアも必要だ。いざと言う時、こうした知の潤滑油を使うことができるかどうか。
失敗からいかに学ぶかこれは軍隊に限った課題ではない。贈収賄や談合、粉飾決算、個人情報流出問題等と、今なお企業不祥事が後を絶たないのは、組織の失敗の拡大再生産と言う負の連鎖に陥っているからだ -
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太平洋戦争の日本軍の失敗に学ぶ本
組織論などで現代にもじゅうぶん通じる、ということは普遍的、本質的な話なんだろう
日本企業の組織あるあるではあった
作戦が失敗した
アメリカ→原因を分析、次の作戦に反映
日本→「気合が足りない」「次は勝てる」
無謀な意見が出た
アメリカ→ロジカルに考えて判断
日本→「あいつは本気だ、やらせてやろう」
第一陣が敗退したら、、、
アメリカ→コンティンジェンシープランを持っている
日本→「失敗するわけない」「失敗を考えるのは異端だ」
今時こんな古い考えの組織もなかなかないとは思うが、
ゼロではないだろうと思う。
少なくともうちの会社も忖度とかあるし、「あいつがあそこまで本気なんだから、一度やらせてみよう」みたいなのはあると思う。
ただ企業であれば、最悪倒産で済むけど、
こと戦争では、そのしょうもない判断で、何千男万の人間を殺すことになる点は忘れてはいけないと思った。
戦史の勉強にもなってとても良い本だと思います。
ただ、かなり難解な文章も含むので眠くはなる。