戸部良一のレビュー一覧

  • 失敗の本質

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    読後はもちろん、2章、3章は読みながら、職場組織のことに思考が飛び、なかなか読み進まなかった。
    「失敗の本質」の要因は、敗戦に至った日本軍・政府から、今も変わらずに日本、私の周辺にはある。

    1章では、ノモンハン事件、ミッドウェー作戦、ガダルカナル作戦、インパール作戦、レイテ海戦、沖縄戦。それぞれ、大部分が知らないことばかり。インパールの「死の行進」は聞いたことがある。沖縄戦も住民の視線からの話も色々読んできた。
    日本軍がどのような体制、思想、作戦で戦っていたのか、初めて知ることばかり。地名が出る度に地図で調べた。

    戦争ものは、そこで亡くなった方々のことを思うと感傷的になるけれど、本著は何故失敗したのかの観点に絞られており、敗戦に至った要因がとてもわかりやすい。

    それは日本軍特有でもない。米軍とはもちろん違うけれど、今の日本社会(民間、政府)にも通じる。だから、特に2章以降は戒めのように読む。

    業績評価としつつ、情緒が根強く残っているような日本企業。
    やる気じゃないんだよ、成果でしょ。日本軍と同じじゃないか。
    やるせなく思いつつも、どうすれば良いのかを考える、気付く良著。

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    2026年09月13日
  • 失敗の本質

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    組織論の名著中の名著

    SESIモデルを発表した、日本の組織論の第一人者の野中郁次郎先生の、鋭いし視点と考察が光る内容かと思います。

    日本の会社をはじめとする組織に、令和のこの世にも通ずる内容だと考えます。
    「日本の組織」を論述する方は必読本だと思います。

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    2026年07月24日
  • 外務省革新派 世界新秩序の幻影

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    戦前の外務官僚は穏健派だと思われがちだが、本書で明かしたように、中には陸軍以上の強硬派がいて、強硬論を主張した外務省革新派とそれを主導した白鳥敏夫について深掘りする。パリ講和会議、ワシントン体制と1920年代は日本の地位は欧米列強、とりわけ英米ほど高くはなかった。加えて、1923年以降の日本経済停滞の影響もあって、組織内に不満を抱く者がいた。それで外務省は人事刷新を推進した。その流れで、外務省革新派が台頭した。ただし、本書で述べられるように、陸軍の統制派と皇道派ほどの強固な組織ではなく、むしろ個人の力に左右されるもので、その一例として軍とどの程度協力するのかが一つの目安であった。また当時の政治状況においても、革新派は無視できない存在であったとはいえ、実際のところ政策にはそれほど影響を及ぼすことはなかった。

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    2026年03月25日
  • 失敗の本質 戦場のリーダーシップ篇

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    リーダーにはフロネシスと実践知が必要であり、「想定外の現象への対応=新感覚への想像的適応」の必要性を謳ってるところにとても共感した!あとは、大きな組織が円滑に進むためにはプライドを捨てた建設的なコミュニケーションが常に求められると思った

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    2025年11月26日
  • 失敗の本質

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    敗戦の分析理由は、そのまま現代の日本企業に当てはまる部分が多い。ビジネスにおける必読書に位置付けられるわけがよくわかる。

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    2025年11月02日
  • 失敗の本質 戦場のリーダーシップ篇

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    「失敗の本質」の続編となる本書は、前作よりも読みやすい内容で、色々と頷きながら読み終えました。
    イスラエルは、組織の戦略的失敗から学習を繰り返したそうです。
    過去の成功事例にとらわれたり、他所の成功事例を真似るだけでは能がないと思っています。
    やはり失敗から学ばないと。

    恐怖心の存在を認めた上で、それをコントロールして任務を遂行するアメリカ兵。一方、恐怖心自体の存在を認めず、否認や抑圧によって受動的に対処した日本兵。
    このあたりは山本七平氏の「日本はなぜ敗れるのか-敗因21ヵ条」とも共通する分析かと思います。
    実践から学んで行動を修正することが出来なかった日本軍の姿も浮き彫りになっており、組織論として学ぶべき点が多い一冊でした。

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    2025年08月04日
  • 失敗の本質

    購入済み

    目的の明確化と共有が大事

    職場研修の参考テキスト。アジア・太平洋戦争における日本の負け戦から、仕事の失敗あるあるを学ぶもの😮‍💨特に学んだことは、何をするにも目的を明確化して皆で共有を図ること、判断ミスは目的不明確の時に生じ易いことである🤔ミッドウェー海戦では、ミッドウェー島確保か米空母撃滅か、レイテ海戦では、敵主力撃滅か敵輸送船団撃滅か、組織内で目的不統一のまま、ぐだぐだで作戦を遂行し、ミスが生じて負けたのだ😰さて、今まで業務の段取りは入念確認しても、目的の共有を図ったことは多くない。今後は気をつけよう🧐

    #タメになる

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    2024年08月14日
  • 失敗の本質 戦場のリーダーシップ篇

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    「失敗の本質」の本を読んだことがあり、その後に久しぶりに野中先生の本が読みたいと思い読んでみた。非常に興味深い内容で、今まで通り日本軍の戦争を研究材料としつつ、戦場でのリーダーシップについて大量の論文とデータを元に分析されて納得感のある内容であった。

    個人的には第8章の辻政信の内容に思うところがあった。幼い頃から文武両道で部下の信頼も厚く飲み会や風俗などが大嫌いで教科書に載るお手本のような軍人であるのにも関わらず、組織として何故上手く立ち回ることができなかったのか?日本人が目指すべき人物に限りなく近いはずなのに何故同世代のエリートには嫌われていたのか?そもそも日本の学問における優秀な人材は何なのかを考えさせられる内容であった。

    最後の菊澤先生の章もおすすめ。非合理的な意思決定プロセスに使われる【空気】という目に見えないものについて、取引コスト理論を用いて説明しているので、現代のビジネスでも応用できる内容であると思う。総じて自身の知的好奇心が満たされる素晴らしい本であった。

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    2023年09月22日
  • 失敗の本質 戦場のリーダーシップ篇

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    リーダーは実践し、賢慮し、垂範せよ
    理想のリーダ像はかくあり、その実現するが難なることを痛感する日々です。

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    2023年06月27日
  • 国家戦略の本質 世界を変えたリーダーの知略

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    権力の「悪魔性」を自覚しながら善用し、「共通善」を実現する「戦略」を物語る。
    失敗の本質シリーズに脈々と流れるテーマですね。
    言うは易しですが、かくありたい。

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    2022年10月23日
  • 失敗の本質

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    名著だというので読んでみましたが、めちゃくちゃよかったです。

    まず大東亜戦争の失敗エピソードが興味深く、日本軍の組織構造がそのまま現代の企業や政治組織のまんまだということに、ゾクゾクとした恐怖や危機感を味わいながら読みました。今もし仮に戦争になったら、また多くの犠牲者が出るような失敗をまさに今現代の組織でも行われていると思うと。。。

    アメリカ軍の合理的行動と対比させていたのもとてもわかりやすかったです。

    失敗エピソードを自身の組織に当てはめて考えてみるのがおすすめです。現場と本部での作戦の目的が共有されていないなど、あるあるですね。

    また、私自身も日本独特の「プロセス重視」「人情論」「人間関係融和」「空気感」に溶けこんでいることに危機感を持つことができ、とても為になりました。何回も読んで、日本軍の失敗を頭に叩き込みたいです。

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    2022年08月24日
  • 失敗の本質

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    先の戦争でどうして負けたか。何が原因なのかを追究した本。
    ノモンハン事件(事件にしていることからして問題)から日本組織の弱点が露呈している。日本人の兵卒が超人的な忍耐力で極限まで戦っていたのに上官が糞では仕方あるまい。
    個人的には以下の3つが失敗の本質だと思う。①都合が悪いと隠す②フワッとした指示で部下に押し付ける③失敗を分析しないでまたやらかす
    クソみたいな組織だと思ったら壊滅したわけだが日本軍に関わらず日本型組織にみられる特徴として記憶しなくてはならない。というかバブルでまた敗戦を味わうわけだが…。

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    2021年04月15日
  • 知略の本質 戦史に学ぶ逆転と勝利

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    201228読み応えある 何度も再読して血肉化したい 失敗の本質シリーズ
    1.失敗の本質=組織の失敗を学んだ
    →「成功の秘訣」は「知の創造」にある
      情報→知識→[本質・直観]→知恵
       暗黙知
       形式知
       実践知
    2.管理過剰を批判 バブル後のつけ
      リスクとる、人材・仕組み・風土を喪失 再構築が必要
    3.独ソ戦 読み応えある
      ヒトラーvsスターリン トップの資質のレベル差
      ソ連の犠牲者は甚大 2,600万人!
    4.組織の価値理念 「人命を守る」
      ゼロ戦は防御が手薄 パイロットの軽視 損耗激しく長期的には劣勢
    5.理念価値観の重要性=本音

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    2020年12月28日
  • 知略の本質 戦史に学ぶ逆転と勝利

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    久しぶりの野中先生の戦略・知略の本。
    頭に汗をかくような、難解な内容ではありますが
    最終章は、読みごたえがあって非常に有用な
    内容でした。内容を絶対に頭に写真としてのこして
    おきない内容です。
    SECIモデル。実践知リーダーの必要な6つの能力
    知略の4つの要件。
    これは覚えておきたい。

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    2020年09月06日
  • 日本陸軍と中国 ──「支那通」にみる夢と蹉跌

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    私は「失敗の本質」は、それまで似たような本を複数読んでいたことから、世間の評判ほどには面白く感じられなかったが、この本には私にとって新鮮な視点が多く、面白かった。

    旧支那通も新支那通も独りよがりなんですな。
    ロマンの悪い面ですな。

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    2020年07月30日
  • 失敗の本質 戦場のリーダーシップ篇

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    戦争状態における戦略的・戦術的判断の理由をリーダーシップを軸にひも解いています。集団の意思決定において、国家レベルの集団であったとしても必ずしも論理的な判断をするとはかぎらないということが改めて理解できました。
    野中郁次郎さんのことはよく知らないまま本書を手に取りましたが、他の著作も読んでみたいと思います。
    最前線での日米の指揮官の比較分析、また「空気を読む」行動を取引コストで解説されていたところが非常に興味深かったです。

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    2020年07月24日
  • 失敗の本質 戦場のリーダーシップ篇

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     時代の流れのなかにいるときは見えてこないことがある。
     見えていても、カタチを伴ったものとして全体を捉えることができないので、時代の片隅にいた自分が見ていたものだけで、無意識にその時代を記憶に留めている。
     自己の記憶はそういったもので、その記憶が己が生きる世のなかを造っていく。だから、人それぞれに見えている世のなかは違う。
     でも、時代というのは、今を通り越すことによってその時間経過とともにカタチを現してくる。そしてそのなかで時を過ごした自分の記憶が、そのカタチのなかに位置付けられると、自分の記憶もまた朧気にカタチを伴ってくるし、違った存在になる。
     
     もうすぐ8月が来る。また今年も日本の大きく道を誤った原点を見つめてみよう。

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    2020年07月16日
  • 知略の本質 戦史に学ぶ逆転と勝利

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    独ソ戦、バトル・オブ・ブリテン、ベトナム戦争、イラク戦争を題材に、勝者に共通する知略について解明した本。『失敗の本質』をはじめとする本質シリーズの最終巻である。分析が精緻で、勉強になった。役立つ記述が多かった。
    「『失敗の本質』の最も主要なメッセージは「過去の成功体験への過剰適応」ということであった。日本陸海軍は戦略の本質を洞察せず、日露戦争で成功した戦い方に固執したために、大東亜戦争という異なる情況では失敗してしまった、ということになろう」p5
    「ドイツ軍は70個の装甲師団を有し、各地で展開している。もはや歩兵師団といえども、多数の機械化部隊を持っていなければならない。ただドイツ軍の弱点は、補給地から前線まで、400キロ近く遠ざかっていることだ。これは機甲師団が先へ先へと行くからだ。補給地と前線の間を防衛するのは至難である。スターリンは、装甲部隊と兵站こそ、この戦争の鍵を握ると分析した」p19
    「(スターリンの見通し)冬の間の戦場は、モスクワ、キエフ、レニングラードの戦線で、現在の地点から100キロも離れていない場所になるだろう。ドイツ軍が疲れ、攻勢に耐えられなくなったときが、ソ連軍には最も有利な時の1つだ」p20
    「ソ連側に幸いしたのは、ドイツ空軍が、モスクワへ向かう鉄道や道路での輸送が活発なのを視認していたにもかかわらず、何の攻撃も加えなかったことだ。ソ連にはすでに予備兵力はない、と信じ切っているドイツ軍首脳部は、偵察飛行の報告を真剣に取り上げなかった。代わりにドイツ空軍は、モスクワ中心部と近郊の飛行場へ、爆撃を集中させる」p30
    「飢えと寒さによる極限状態での戦いを強いられたのは、独ソ両軍とも同じだった」p37
    「ドイツ軍は、対ソ戦の開始から1941年末までの半年間に、戦死者62万1308人、行方不明者3万5875人という、甚大な損害を出した。その合計は、東方に展開したドイツ軍の1/4を上回る。もちろんその損失は、同年末までに死者80万2191人、行方不明者233万5482人を出したといわれるソ連軍より、はるかに少ない。ソ連末期に公表されたこの数字も、少なすぎるという指摘すらある」p47
    「スターリングラード攻防戦の主役を務めた両軍の戦力は、ほぼ互角だ。ドイツのB軍集団が30個師団、ソ連のスターリングラード方面軍は38個師団で、兵力は両軍ともおよそ100万人、戦車・突撃砲はドイツ軍の675に対し、ソ連軍は894だった。航空機はドイツ軍が1216機、ソ連軍が1400機である」p53
    「ソ連兵士たちの正面には、ドイツ軍がいる。後ろには、逃亡を取り締まるソ連内務人民委員部の部隊がいる。双方から銃口を向けられたソ連軍将兵は、遮二無二戦うよりほかなかった。こうした監視は、ロシア革命後の内戦でも見られたもので、軍に対する共産党の不信感を物語っていた」p55
    「チュイコフは、兵士たちを過酷な前線に叩き出す。ただ、自らも最前線で砲火に身をさらし、兵士たちと生死をともにしたので信頼された。戦時中に、彼はこう言っている。「ドイツの砲弾にいちいち首をすくめるくらいなら、頭をすっ飛ばされたほうがましだ。これが指揮官の心得だ。兵隊はそういうことをちゃんと見ている(ビーヴァー『赤軍記者グロースマン』)」また、こうも言っている。「ここでは、いかなる弱さも見せてはならない」「司令官は数千人の部下が死ぬのを見るが、そのことで動揺はしない。涙を見せていいのは、一人の時だけだ。最良の友がここで死んでも、巌のように立ち続けなければ(Hellbeck, Stalingrad)」p60
    「ソ連は勝利した。推計によれば、この攻防戦でのドイツ軍の戦死、病死、餓死者は合わせて14万6000人である。ソ連軍は死者47万4871人、負傷者97万4734人と、さらに多くの犠牲者を出した」p72
    「(米ソで勝敗を分けたもの)1つの答えは、補給である。ドイツ軍を食い止めるには至らなかったものの、ソ連軍は各地でドイツ軍に多大な出血を強いていた。ドイツ軍は損耗が積み重なり、得意の電撃戦を繰り出すごとに弱まっていった。戦争の帰趨は、個々の戦闘でどちらが兵士と武器をより多く投じられるかという、消耗戦に移行する。両軍の戦力差が縮まった結果、国内という地の利を生かして、補給で優位に立ったソ連軍が勝利を収めた。とくに、ソ連軍の補給で大きな役割を果たしたのが、鉄道だ。モスクワとウラル以東を結ぶ鉄道が無傷だったことが、補給を可能にした。大量輸送のインフラに支えられて、シベリアや中央アジアからの援軍や食料が、モスクワの最前線に供給され続けた。圧倒的に優位な敵にも限界があることを見越して、劣勢を耐え忍び、好機を逃さず、予備兵力を一気に投入する。こうした泥臭いソ連の作戦を、過小評価してはならない。そして、その予備兵力を用意したのがスターリンである」p80
    「少数部隊が劣勢を補うのに、都市は戦場として都合がよい。市街戦では、兵力の差よりも地の利を生かしたほうが有利になるからだ。そうした意味で、スターリングラードの戦訓は現代にも生きている」p82
    「ソ連軍に勝利を呼び込んだのは、戦時における戦術と戦略の劇的な「進化」である。具体的には、戦争の推移に合わせ、消耗戦と機動戦を柔軟に使い分けたことだ。一方、スターリングラードまでのドイツ軍は、電撃戦よりほかに戦う術を知らなかった。より戦場に適応したほうが勝ち残る適者生存の法則は、ここでも当てはまる。ただその教訓は、2600万人を超えるソ連国民の血であがなわれた」p83
    「(フランスの戦闘機増援要請)チャーチルの言葉を借りれば、それは「われわれがフランスを苦悩のうちに見殺しにするか、それともわれわれの将来の生存に必要な最期の手段までもここで使い切ってしまうか」という苦しい選択であった」p112
    「1940年9月初旬以来ドイツ空軍がセクター基地への攻撃を止め、ロンドンなど内陸部の大都市攻撃に重点を移してから、イギリス戦闘機軍団は徐々に戦力を回復していった。9月半ばまでには、ハリケーンとスピットファイアの生産がその損失を上回り始めた」p133
    「9月7日から11月13日までロンドンはほぼ連夜、平均160機による爆撃を受けた。こうした夜間爆撃に対する戦闘にイギリス戦闘機軍団が完ぺきな勝利を収めたとはいいがたい。ひいき目にみても、それは引き分けであった。しかし、夜間爆撃の軍事的効果はそれほど大きくなく、これによってイギリスの戦意喪失をねらったドイツ側の目的は達成されなかった。夜間爆撃は、人々を恐怖に陥れたり、眠らせなかったり、またときには、多くの死傷者を出した。1940年末までにイギリスの民間人戦没者は、ブリッツによる犠牲者を含んで2万3000人に上り、重傷を負った者は3万2000人に達した。確かにその人的・物的被害を軽視することはできなかったが、軍事的に見る限り、その効果は重大ではなかった。人々はブリッツに少しづつ慣れ始め、やがてそれは日常生活の一部のようにさえなっていった。夜間爆撃によってもイギリス国民の士気は衰えなかったのである」p135
    「大西洋の戦いにより、最終的に連合国は商船3500隻、艦船175隻を失い、軍人の戦死者3万6200人、商船乗組員死亡者3万6000人という犠牲者を出した。ドイツ側は潜水艦783隻を失い、戦死者は3万人であった。Uボートに関していえば、その乗組員の3/4が戦死した。こうした数字が物語るように、大西洋の戦いは長く続いただけでなく、厳しい戦闘の連続であった」p138
    「1943年3月に大西洋の戦いで連合軍がUボートによって被った被害は、船舶82隻、47万6000トンであったが、同年5月にはそれが34隻、13万4000トンに減少した。より重要だったのは、連合軍が撃沈したUボートの数である。大西洋でドイツが失ったUボートは3月に12隻だったのに、5月には34隻となった。Uボートの建造数がまだ増加していたとはいえ、これはドイツにとって重大な損失であった。その後もUボートの損失は激増する。1943年の1年間だけで、大西洋で258隻のUボートが沈められた。うち141隻は沿岸航空軍団によるものとされているので、航空機の役割が大きかったことがわかる」p165
    「戦略問題は、帝国参謀総長(陸軍)、海軍軍令部長、空軍参謀長からなる三軍幕僚長委員会が担当し、チャーチルは同委員会に、首相の個人代表としてヘイスティングス・イズメイ将軍を常時出席させていた。イズメイは、同委員会の事務局長も兼ねた。要するに、チャーチルはイズメイを介して三軍幕僚長委員会をリードし、陸海空三軍の事実上の最高指揮官となったのである。正式の会議の場以外でも、チャーチルは三軍幕僚長たちとほぼ毎日会い、休日には彼らをチェッカーズ(首相官邸の別邸)に呼びつけることもあった。チャーチルにより、イギリスの戦争指導体制はトップに強力な権力を集中させた。それは、デモクラシーのもとでの戦時「独裁」と呼ぶべき体制であり、しかも、この「独裁」者に対して、戦略問題について補佐するのは三軍幕僚長委員会であった。ただし、トップはシビリアンの首相であり、それによってシビリアン・コントロールが担保された」p173
    「歴史についての理解と洞察が、戦局の見通し、敵の意図や行動、そして戦時指導者としてのあるべき言動などについて、チャーチルのセンスあるいは直観を磨いていたのだろう。彼は青少年期にE・ギボンの『ローマ帝国衰亡史』とT・マコーレーの『イギリス史』を暗唱できるまで読んだという。また、すでに26歳のときには3つの戦争に従軍し、5冊の本を上梓(じょうし)していた。若年の頃から、体験と思索によって戦いの本質を見極めようとしていたのである」p177
    「チャーチルは常に攻勢を重視した。「可能であれば、いつでも、どこでも攻撃せよ」「攻撃されていても、攻撃せよ」というのが彼の口癖でもあった。それゆえ軍人たちの慎重さを臆病、弱気、不決断と批判するきらいがあった。チャーチルは、消極的と見えるものを嫌った。大西洋でのUボートとの戦いにチャーチルが不満であったのは、こうした彼の気質に一因があった」p178
    「イギリスの防空システムは、核兵器以前の時代で最も成功を収めた軍事的イノベーションの1つであると評された」p180
    「自国の存続を図ると同時に、ドイツに対する抗戦の意志と能力を示すことによって、アメリカの全面的支援ないし参戦を勝ち取ることであった。そのためには、当面、敵の上陸作戦が困難になる時期まで、ドイツの攻撃を乗り切ることができればよかった。そしてイギリスは、バトル・オブ・ブリテンを持久消耗戦に持ち込んで、勝利を収めたのである」p184
    「ホー・チ・ミンは、日本が敗北し、連合国軍がベトナムに上陸してくる前の「権力の真空」を逃さなかった」p193
    「(アメリカの北ベトナム爆撃)「ローラーでは蟻は潰せない」」p224
    「テト攻勢は軍事的に完敗した側が、意図せざるメディア作戦で政治的勝利を獲得した、歴史的に稀有な戦闘であった」p237
    「ゲリラ戦の本質は、決して負けないが、決して勝てないという矛盾にある」p247
    「ナポレオン戦争の本質を明らかにしたクラウゼヴィッツは『戦争論』の第6章「戦争の天才」のなかで「coup d'oeil(クー・ドゥイユ)」という文字通り「一瞥」を意味するフランス語が天才ナポレオンの秘密であり、それは「長い試みと熟考の末にのみ得ることのできるような、瞬時に真実を見抜く直観」だと論じた」p248
    「(ダニエル・ボルガー)アメリカ軍の兵力はそもそも「短期決戦の通常戦」に向けて装備を整え、錬成してきたにもかかわらず、二度も「長期にわたる泥沼の対反乱戦」というアメリカ軍兵力に適していない戦争に引きずり込まれてしまったが、ボルガー自信を含む将軍たちは戦争の現実を直視せず、戦略的な誤りを正すことができず、戦略と戦術面の両面で貧弱なリーダーシップしか発揮できなかった」p344
    「軍事組織では、適応と革新を峻別する。適応と革新を分けるのは、有事に軍事組織が両者を同時に行うことが困難だからである。よって、平時に未来の戦闘を想像し、実現するための新たな概念を創造して、それらの実行可能性を演習で評価し、人事を刷新し、実戦に適応することのできた軍事組織が勝利する」p374
    「実践知リーダーの6つの能力:①善い目的を創る能力。②ありのままの現実を直観する能力。③場をタイムリーに創る能力。④直観した本質を物語化する能力。⑤物語を実現する政治力。⑥実践知を組織化する能力」p380
    「いかなる環境変化にも能動的に対応する国家、組織であるためには、リアルタイムで「物語り」を紡ぎ、実践するしぶとさが求められるだろう」p408
    「思い(暗黙知)を言葉(形式知)にし、言葉を実践(実践知)していくダイナミック・プロセスが、危機を打破する創造の世界の扉を開くのである」p411
    「リーダーが選び取ったものは、組織の成員に理解されなければならない。理解されなければ、組織として実践できない。組織成員に理解させるためには、理解してもらうためには、選び取ったものを物語らなければならない。そして、物語るためにはプロット(事実となぜの筋書き)とスクリプト(台本、行動規範、ドクトリン?)が必須である。これが「知略」である」p413

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    2020年04月08日
  • 失敗の本質

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    ノモンハン事件から沖縄戦を通して組織論としての旧日本軍の敗北を分析した名著責任の曖昧さや人間関係・情緒中心主義、失敗を顧みない姿勢は今も改善されていないと感じた単なる歴史本ではなく組織マネジメントの内容であった

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    2019年09月11日
  • 失敗の本質 戦場のリーダーシップ篇

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    「失敗の本質」の続編。太平洋戦争時の日本軍におけるリーダーシップ不在、大きな戦略不在についてが、具体的な事例、人物を取り上げながら説かれている。実用的な知識だけでなく哲学が必要なこと、グランドデザインを持ちつつ現場の細かな様子にも気を配る必要があること、リーダーシップにおいては日常の部下とのコミュニケーションも重要であることなどが印象に残った点です。

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    2019年02月26日