武田一義のレビュー一覧
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Posted by ブクログ
借りたもの。
表紙の桜は最後に玉砕を伝える電文「サクラ」を暗示するものだった。
洞窟で火炎放射器で一掃される負傷兵。
自身の死後、家族に恩給が支払われることを望む。
補給も退路も用意されず(できず)、本部からは玉砕も許されず……
極限状態で死を望む空気が蔓延する。
燃料も食料も、医薬品もあらゆるものが底を突き、万策尽きた机の上。
暗い壕内には他に誰もおらず、黒くシルエットだけになった大佐の姿。目だけが白く浮かび上がって見える。
周りには蝿が飛び交い、描くことができない血と膿と腐臭がすることを感じ取る。
その死が近いことも……
大佐の慟哭は何であろうか……
国のためという大義名分ではなく、 -
Posted by ブクログ
もはや戦略の体をなしていない。
アメリカ軍との戦闘ではなく、最低限のライフラインの確保――水を得るため――に、兵士が命を落としている。制圧された地域へ行かなければ水を得られないという、本末転倒な状態だった。
その虚しさと極限状態に声を上げて泣く主人公。その声も銃声に殆どかき消されている。
人を殺すことに慣れた(あるいは心を閉ざして無感動になった)兵士の姿、死んだ兵士たちの気配を感じ取る兵士……心霊現象というよりはPTSDの可能性もある、
異国の地で散った兵士たちは、洗脳されていたのだろうか……?本音と建て前が去来する。
生還することで自身も家族も後ろ指を指される可能性がある風潮(世間体)が垣間 -
Posted by ブクログ
ネタバレあの「さよならタマちゃん」の作者の、初のストーリー漫画。なんと虐待の連鎖がテーマというか、親子関係がテーマ。絵は相変わらずのほのぼの系だけど、ちょっと泣けた。確かにこの世に生まれ、生きているということは、それまで大切にされてたってことなんだろう。でもうちのT君は妊娠に気付いてなかったって母親だけど。そういう場合はどうなんだ。でも今私がその分愛情を注いでいるからな。うちの親も段々死に近づいていくんだろう。こういう交通事故に遭っちゃったら別だけど、一応順番では彼らの方が先に逝くわけで。父の方が面倒と思ってたけど、母も母でぼけそうだもんな。しかし、お父さん助かって、一緒に暮らせて本当に良かった。最後