かわいくてゆるい絵柄に反し、内容はとてもリアルでシビア。
ペリリュー等での戦いを史実を土台にしながら、あくまでフィクションとして、マンガ作品として完成させたもの。
ペリリュー島での戦いは、兵の数も物資の数も勝る米軍に圧倒的有利があり、すでに日本軍は壊滅状態、散り散りに生き延びた兵たちが集まり、潜伏し、ゲリラ戦をこなしていく。
だが、補給もなければ情報も届かない中、主たる戦いは食糧の調達となり、飢餓と病に苦しめられていく。
そんな、ずっとジリ貧の中、敵に対してだけではなく、味方同士でも疑心暗鬼となる様は、本当に苦しいものであった。
かつて、「バトル・ロワイアル」という小説が流行った。藤原竜也主演で映画化もされたあの作品だ。
訳もなく突然命懸けの戦いに放り込まれる中学生たちの多くが、些細なことでお互いを疑い、殺し合ってしまうストーリーだ。
現実の戦争と比較するのには弊害もあろうが、ペリリューを読み終わった後、わたしは「バトル・ロワイアル」を思い出した。人と人の理解と信頼が崩れ、殺し合いが止められなくなる様が重複したからだ。
考えや価値観が違う、人種が違う。
それでも多くの人は、本当は、自分や自分の大切な人を守りたい、平和に暮らしたいと思っている。
同じ思いなのに、分かり合えずに戦争をする愚かさと虚しさが、とにかく悲しかった。
吉敷くんがとてもいいキャラクターで、一番魅力的であっただけに、想定しうる結末を覚悟していたが、やはり悲しかった。
彼の姿が最後消えてしまうのは、作者も彼の結末を絵として決定づけることが辛かったからなのではとつい思ってしまった。
最終巻の表紙は、美しい南の島にみんなが揃っていて、現実でも無念のままあの地に眠る若い彼らを弔っているようだった。