あらすじ
昭和20年、3月10日深夜――。東京で大規模な空襲と同じ頃、ペリリュー島で生き残った田丸たちは食糧調達に成功。“水”と“食糧”を手に入れた彼らは再び“徹底持久”という目標を掲げ、集団生活を始める。飢えと渇きから解放された日々。それは、死と隣り合わせの戦場で、ほんのひと時の平穏。しかし、わずかな“余裕”を得るまで、気づかなかった戦争の一面を田丸らは知る――。極限状況下で、他者と常に行動を共にし、生活をする困難。明日をも知れぬ戦場で、懸命に日々を生きた若者の真実の記録。
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第二次世界大戦時、ペリリュー島は日本軍にとって大切な軍事基地だったそう。「楽園のような南の島が昔は戦場であった」そのことは史実として知っていましたが…。
主人公は漫画家志望でありながら、兵士になってしまった気の弱い青年。 武田一義先生のホッコリとした絵柄はとても親しみやすいのですが、それが戦場という悲惨な場所とのコントラストを強めている感じがしました。
日を追うごとに減っていく食糧、日本とは違う温度と湿度。なんとしても敵を攻撃しようとする上官、そして戦友たち…極限の中での人間関係の描写が胸に刺さります。
読後は「あ~、現代日本に住んでてよかった…」と思うこと間違いなし!ホント平和が一番!!
感情タグBEST3
Posted by ブクログ
泉くんのエピソードで不覚にも泣いてしまった。時代が時代なだけに今まで苦しい人生を歩んできたかと思うとちょっぴり切ない……。何事にも柔軟に対応する姿から元々好感を抱いていた島田少尉だったが、泉くんのことも一人の人間として認めていた事実を知って益々好きになった。こういう人には、生き残ってほしいと思う。
Posted by ブクログ
平和だったのは、たった数日だけだった。
日本人だって酷いことをしている。
わかってはいるけど、何て狂っているんだろう。
生き埋め
火炎放射器での攻撃
たった今息を引き取ったばかりの死体の口を裂いて金歯を取り出し、喜ぶ
本当に酷い…
Posted by ブクログ
ひとつ、上手くいくようになったと思ったのもつかの間、米軍陣地への侵入に失敗した部隊から潜伏場所がバレ、襲撃をうけます。
なす術もなく殺されてゆく日本兵たち。
いい奴かどうかは関係なく、無慈悲に命が奪われてゆく様は、改めて戦争な悲惨さを感じさせます。
米軍指揮官の「敵も見方も狂っている」という言葉には、例え優勢だとしても、狂っていないといられない、戦争という過酷な環境を示しているように思います。
Posted by ブクログ
片倉兵長、あの状態から早々の完全復活。怖い。
米軍の英語が、わかる単語以外めっちゃ読みにくいのとか、本当によくできた漫画で感心する。「なにを話してるんだ?」って聞きにくい声を一生懸命聞くキャラクターと同じ気持ちになる。
あと、どうしても言いたいことがあるんだけど。
「高木ってなに?サイコパス??」
もう高木こえぇよ。いなくなってくれよ、マジで。そう思いながら読んでた。泉くんとのやりとりとか、もうホント怖いわ。何か欠落してるキャラをこの頭身で描かれると本当に怖いわ。干からびててくれ。頼む。
以下ネタバレ。
泉くんのところ、泣いた。少尉の影を追い、想い、生きてきた。それが憧れが尊敬か恋か愛かわからないけど。彼にとって少尉ははじめて自分を一人間として認めてくれた人だったんだろう。死に際に彼が最後の最後まで握った紅は「隠したいもの」だったのか「手放したくないもの」だったのか。
Posted by ブクログ
ペリリュー島でのサバイバル。日本軍の敗残兵は、米軍の倉庫から食糧を盗んで、何とか食いつないできたが、潜伏先の洞窟を米兵に見つけられてしまう。ついには味方の死体を食うか食わないかというところまで追い詰められていき…