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長期停滞を余儀なくされたアメリカの自動車産業。小型車開発の後れや金融子会社の不振により、2009年にはGMが国有化されるに至った。しかし、新生GMは改革を推し進め、2011年には世界最大の自動車会社に返り咲いた。電気自動車の開発やシェールガス革命も追い風である。この強さは本物なのか。競争力の源泉である工場現場を調査し、品質管理や意識改革の成功と限界を明かす。企業人必読の書。
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Posted by ブクログ
京都産業大学経営学部教授の篠原健一(1967-)による、労使関係を軸にしたアメリカ自動車業界論。 【構成】 第1章アメリカ自動車産業 国際競争力と労使関係 1 アメリカ自動車産業復活の足音 2 世界自動車産業のなかでのアメリカ・ビッグ3 第2章アメリカの非能力主義・日本の能力主義 1 アメリ...続きを読むカにおける職務給の実態 2 アメリカにおける変動給の具体的形態 3 日本の賃金制度の概要 第3章アメリカにも年功制がある? 先任権の及ぶ領域 1 アメリカにも年功制がある? 2 先任権の発展史 3 改革と先任権 第4章チーム・コンセプトという日本化 トップダウン経営の限界 1 チーム・コンセプトという組織改革 2 能率管理 第5章新生GMにおける経営改革の課題 国際競争力・労使関係・職長の役割 1 アメリカの労働組合と能力主義 2 職長の役割の変遷 3 新生GMと労使関係 4 新生GMにおける現場品質管理体制 第6章新生GMと日本への示唆 1 アメリカ型職務主義の困難 2 日本への示唆 リーマン・ショック以後、急激に業績を悪化させ、破綻かその寸前まで落ち込んだアメリカのビッグ3。本書はビッグ3が日本メーカーに対して競争力を失った要因を現場の賃金制度・労使関係に求め、労使協定と現場の品質管理体制の沿革と現状を紹介するものである。 一般に、「年功序列」(本書では年功制としている)は日本の雇用慣行の中核とされている。またアメリカは年功にとらわれない登用・抜擢が行われ、業務範囲を明確化した職務給であるというのが世間一般の理解ではなかろうか。 本書の分析対象は製造現場であるから、ブルーカラー労働者の賃金制度についての言及が大半であり、彼らは米国屈指の産別組合であるUAWの組合員である。 2章・3章で紹介されるアメリカの現場の姿は、上に記した世間一般の理解とは大きく異なる。つまり、アメリカの製造現場にあっては日本以上に年功制が貫徹されており、レイオフ、職場間移動、昇格いずれも「先任権」を有する勤続年数の長い社員が優遇される仕組みとなっている。 先任権の歴史の本格化は大恐慌の後に制定されたワグナー法である。1937年の時点ですでにビッグ3とUAWの間には、レイオフとリコール(解雇後の再雇用)についての先任権を認める協約が締結されていた。1937年にあっては移動に関する権限は、経営に属するとされていたが、ここから組合側の先任権適用拡大がはじまる。 1940年には移動にあたって「考慮」されるようになり、1941年には昇進にあたっても同一能力の従業員であれば、先任権を持つ者が優先されるようになった。しかも同年の暮れに出された仲裁基準により、この協約が強化される。そこでは、先任権を持たない者を昇進させようとする際には従業員の能力が他のどの候補者よりも「ずば抜けている」ことを経営側が証明する義務を負うことになった。これで事実上経営側は昇進に関しての権限を組合に奪われる。 さらに、移動に関しても適用が拡大される。1946年には新規ポジション、空席補充に関しては職務遂行能力のある者が希望すれば、先任権を持つものから順に移動希望が叶えられることになった。移動は他の部門への転出・転入を意味する言葉であるが、製造現場にあっては職場内のローテーションや配置転換が日常的に行われる。労使協定上はそれを「持ち場の変更」と表現していたが、組合側はこれも切り崩しにかかる。 組合側は、「持ち場の変更」が許容される範囲である「職種」を細分化するという方法で会社管理者の裁量をせばめ、組合員の希望・先任権が適用される「移動」を拡大することに成功した。その結果一つの工場の中に200もの職種が乱立するという異常な事態にまでなった。これが1970年代まで拡大の一途を辿った先任権である。 ことここに及んで、会社は従業員に対して、有能な若手従業員を抜擢することもできず、生産性を上げる努力をしないベテラン従業員の希望するがままの配置を受け入れていくしかなくなる。労働生産性はオイルショックを経験した日本メーカーに溝をあけられ、1980年代の異常な貿易摩擦につながっていくのは当然の帰結であったろう。 本書の後半は、ビッグ3がそのような状態から何とか日本メーカーの職場管理を学ぼうとする姿が紹介されている。その代表的な事例が、トヨタとGMの合弁であるNUMMIである。カイゼン活動による生産性向上、品質管理体制の強化が主な内容である。なかでも従来は職長(非組合員)の下に位置づけられていた現場のチームリーダー(組亜員)を、職長の代行として抜擢することで、現場と経営者との摺り合わせを図っていこうという姿は日本的で面白い。ただ、いずれにせよ過去の負の遺産が莫大であり、職務給が貫徹されているアメリカの労使関係・賃金制度の中で日本的な要素を輸入することの難しさも指摘されている。 本書は労使関係に特化した内容であり、自動車産業の分析に必須のサプライチェーン、販売網、新製品開発、環境規制などの要素が一切触れられないのは特色と言えるだろう。タイトルだけ見て総論を期待した人には、全くの期待はずれという評価をつけられても仕方ないだろう。 しかし、こと労使関係については、非常に示唆的である。アメリカの代表であり、世界の製造業の象徴であった、ビッグ3が約半世紀にわたって凋落し続けてきた一因が過剰な労務コストにあったのは疑いがない。アメリカ屈指の労働組合であるUAWが堅持し勝ち取ってきた方針が、会社を、国を食い潰し、リーマン後の大量解雇、退職年金カットにつながったのは皮肉という他はない。 本書を読んでいて気になる点を指摘しておきたい。 著者は日本の労使関係についても当然調査・研究はしているのであろうが、職能資格制度を「能力主義」と言い切ってしまうのは無理がある。職能資格制度には、多くの場合昇進に必要な滞留年数が定められており、導入当初から組合側は勤続年数・年齢に応じて相応の職能資格まで無条件に昇進させることを求めてきた。日本の製造現場において、導入後半世紀が経過する能力主義が真っ当に機能しているかどうか、これは別途検討すべき重要な問題である。もちろんそれが本書の目的ではないのは明白であるが。 また、UAWの労働協約の改定史は理解できたが、会社側がどのような意図・背景で譲歩に応じてきたのか、見返りに何を組合に求めたのかという点について記載がない。指摘が鋭い分、多角的に歴史を叙述する必要があっただろう。 全体を通じて、評者には非常に示唆に富んだ内容であり、アメリカのビッグ3の事例を通して日本の能力主義管理を考察するきっかけを与えてくれる良書である
アメリカの自動車産業がどのような経営改革をしたのか?と言うよりも、ほぼ全編に渡り人事賃金制度や労使関係に焦点が当てられており、個人的には望外に勉強になった。
アメリカ合衆国の現代労働史。『アメリカ自動車産業』というタイトルに偽りがないわけではないが、「アメリカ合衆国の自動車産業で働く近代的産業労働者(プロレタリアート=ブルーカラー労働者)の労働動態」が主題であり、本書では経営についてはそれに付随する範囲内で述べられている印象を受けた。 1952年に「ア...続きを読むメリカにとって良いことは、GMにとっても良いことだ」と述べたのはGM会長にして国防長官のチャールズ・ウィルソンであった(本書13頁)。1914年のフォード主義誕生以来、アメリカ合衆国は自動車と、自動車を使わずには生活できない現代社会を築き上げてきたのである。 その自動車産業で働くアメリカ合衆国のプロレタリア階級の姿は、本書では労働組合と労組の掲げる同一労働・同一賃金の原則によって守られた、極めて平等主義的なあり方であり、同盟系の労組が中心となって成果主義を受け入れて来た戦後日本のプロレタリア階級の姿(本書62-71頁に記載あり)よりも遥かに働きやすそうだと、本書を読んで私は感じた。 “……日本における一般通念では、アメリカ起業においては厳しい競争主義が職場を貫いていると思われがちである。しかし実際のところ、ビッグ3では長い間、いかに職場労働から競争を排除するかについて、労使間で交渉がなされてきた。 意外にもアメリカでは労働組合員であるブルーカラーはもちろん、一般にホワイトカラーでも中層以下なら厳しい能力主義で処遇されているわけではない。むろん例外はあろうし、すべてのケースで同様なわけではない。”(本書44頁より引用) 無論、この労使関係の悪さが1960年代まで世界をリードしていた合衆国の自動車産業のビッグ3が、70年代に日本車や欧州車に追いつかれ、80年代には日本の自動車産業に追い抜かれてしまい、必死になってトヨタから「カイゼン」を取り入れるも、結局は経営改革に失敗し、リーマン・ショック後を受けた2009年にビッグ3がそれぞれなりにあり方を変えざることを得なくなったことは周知の事実であり、著者もその点で合衆国の労働組合のあり方や同一労働・同一賃金の原則を批判する立場から本書を書いている。また、アメリカ合衆国の労働運動の主流には、組合による反移民主義といった問題や、経済史の立場から “……ソ連消滅前の日本などから見ると,アメリカの労働組合は「意識が低い」のであって,AFLもCIOも冷戦の中で共産主義に反対し,朝鮮戦争やヴェトナム戦争を支持した。さらには保守的な共和党大統領候補ロナルド・レーガンを応援したりもした。いったい,こうした特徴はなぜ生まれたのか。” (岡田泰男『アメリカ経済史』慶應義塾大学出版会、2000年5月1日発行、155頁より引用) といった保守的・民族主義的な発想についての指摘が存在する。私も合衆国の労働運動排外主義的なあり方はどうかと思うものの、昨日一昨日と2日連続13時間以上の労働を行わざるを得なかった日本のホワイトカラーとしては、本書で描かれたしっかりと労働組合が労働者を守る姿について、正直なところ羨ましいとも感じるのである。
アメリカの自動車会社の労働者の働き方や価値観がうかがわれて、非常に勉強になった。と同時に日本人の「働き方」についても考えさせられた。昨今の「働き方改革」は改悪であって改善ではない。特に「同一労働同一賃金」の導入が本当の改善になるのかは、はなはだ疑問である。結局は、社会保障制度維持のための「働かせ改悪...続きを読む」に過ぎない。そこそこ充実感をもって各自それぞれの幸福感を維持できるように社会のベクトルを向けるようになる日はいつ来るのだろうか。
自動車産業から見た労使関係の日米比較論。一般的に「実力社会」「競争社会」のイメージが強いアメリカだが、それはホワイトカラーの話。組み立て工場などで働くブルーカラーの世界では「平等主義」「年功序列」が徹底されており、それがアメリカ自動車産業の復活を阻害しているという。即ち、労働者間の格差をなくすため...続きを読む、組合側は「同一労働、同一賃金」の原則に固執し、成果による賃金の差異化を拒否してきた。また労使対立の結果、管理職である職長の権限を規制するため、移動や昇進は「年功」(先任権)に拠ることが協約で定められた。その結果、現場のモチベーションは上がらず、柔軟な人事配置も難しい状況に陥っているという。こうした現状を打破する鍵として著者は「日本的能力主義」=「査定付き定期昇給制度」の有効性を説く。 本書は、アメリカの一般的な労働者の実情を知ることができ、それは我々がイメージするものとは大きく異なっていることが分かる。一方で、普段はネガティブな文脈で言及されることが多い「日本型経営」の意義も理解できるようになっている。今後の労働問題を考える上で、まず前提となる知識を整理・理解するのに最適な一冊である。
GMなどアメリカの自動車産業の、現在の経営課題を概観する。 一般に日本は年功、アメリカは能力主義と思い込んでいるが、製造業など、実際に職務給が明確な分野の労働者では、職場内の能力開発や昇進があまり想定されておらず平等であることが公平という認識があるらしい。また、むしろレイオフの順位を納得性の高いもの...続きを読むとするには、年功で決めるしかないという考えが多いとも。
2006年におけるダイムラー・クライセラーの工場労働者が一律時給75.86ドル貰っていたなんて!年間総支給額約1600万円。それでもっていくら頑張っても、怠けてもお給料は変わらない。そりゃあ破綻するわ。職長になるとさらにお給料が跳ね上がるとのこと。いくら貰っているんだ、あいつら。ここのところアメリカ...続きを読む製造業の国内回帰が話題になっているけれど、どのようにして競争力を保っているのかを知りたくて読んだけれど、自動車産業に関してはまだまだ課題が山積していて、日本企業の後塵を拝しているという様相のようだ。
現在のアメリカにおける自動車産業が 抱える構造的な問題点について、 工場の製造現場に焦点を当てて解説する。 日本との比較もあり参考になるが、 内容の特性上どうしても盛り上がりに欠けるのは確か。 とはいえあまり馴染みのないアメリカの人事制度や 改善への取り組みに触れられたのは意義深い。
GMを中心に、アメリカ自動車産業の工場現場の改革を人事制度面から解説した本。80年代以降、日本式のカイゼン活動を取り入れる試みが繰り返し失敗したのは、上司による査定を拒み賃金に能力差を反映しない「同一職務同一賃金」制度やアメリカ式年功序列制度「先任権」を重視する労働組合と、労働組合と経営側との間の労...続きを読む使協調の欠如である事を明らかにしている。日本式の、査定により昇進や賃金に差をつける”ゆるい競争”や失業を気にせず工数削減に取り組める長期雇用、労使協調は製造業にとって有効であり評価されるべきと論じている。 しかし近年製造業の現場では派遣を始めとする非正規労働者の割合が大きくなっており、ブルーカラーの職場の”米国化”が進むのではないか。著者の評価する日本式の人事制度も時代に合わせて変わる必要がある。
アメリカの年功的側面や平等主義に注目した視点はあまりなく興味を惹かれたが、その視点にこだわるあまり、アメリカの自動車産業それ自体への洞察は深いものではなかった。残念
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アメリカ自動車産業 競争力復活をもたらした現場改革
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