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Posted by ブクログ
本書の結論は、企業の収益性を向上させるためには先人が積み重ねた理論を自社に適用できるようにカスタマイズする必要があり、そのために統計リテラシーを身につけようということである。本書では抜本的な幹となる活動の改善を最終目的とし、経営戦略、人的資源、マーケティング、オペレーションの4つの領域について理論と具体的な分析手順が詳しく解説されている。本感想では、なぜ先人の理論に加えて統計解析が必要となるのか、どのように統計解析をするのかという2点について述べる。
1. なぜ先人の理論に加えて統計解析が必要となるのか
どのような状況にも適用できる万能な理論は発見されていないからである。例えば、経営戦略を考える際に有名なフレームワークとして外部環境に着目するSCP理論、内部環境に着目するRBVがあるが、これらはどちらかが間違っているのではなく、「状況次第」で使い分ける必要がある。そしてそのヒントは企業のデータを用いた統計解析によって得られるのである。
2.どのように統計解析をするのか
統計解析の手順は、分析対象の設定→説明変数とアウトカムの決定→データ収集→データ分析→分析結果の解釈とアクションである。各手順の詳細は本書に任せるが、最も重要なポイントは最終目的に沿ったアクションを起こせるように解析を行うことである。
企業の収益性を高めることはすべてのビジネスマンに求められる課題である。経営学の理論、データ分析の両方に精通することで、ビジネスマンとしての市場価値をより高めることができると感じた。
Posted by ブクログ
センスと事例で分析をするなとして、先人がどこまでのことを明らかにしていて、どこまでのことか分かっていないかを把握して、まだ分かっていない重要なことを減らすためにはどのようにデータを集めて分析するかを考える「リサーチデザイン」の紹介を導入に、経営戦略、人事、マーケティング、オペレーションとリサーチデザインのひな形を挙げて説明する。
それぞれに分かり易い事例などと合わせて陥り易い間違えなどにも言及されていて、理解が容易な構成になってます。
とにかく小さくでも分析を始めて、その結果を元に、実際に試してみる。そこから何をどう分析するかを増やし、更に試行を行う。その繰り返しで大きな分析と実践に繋げていくのが良さそうです。
Posted by ブクログ
統計的な手法抜きにビジネスでデータによるととか、数字を見るとという話は浅い
リサーチデザイン:何を研究課題にするか、どうアプローチをするか、過去の研究成果と調査して設計すること
一般の人が思いつくようなことは既に過去の研究者が思いついて研究済み。過去の研究者が積上げた知識を使う(巨人の肩にのせてもらう)
クラスター分析:分析対象を類似性の高い集団でセグメントに分ける
素晴らしい製品:重視すべきところは大胆に増やし、そうでないところは誰もがためらうくらいに減らすかなくした製品
・軸には恣意が入る。そもそもその軸での分析が正しいとは限らない
空いている場所は過去に他者が失敗したり、撤退したりした死の海の可能性もある
データの分類が不適切だった可能性もあるが、経験や直感に反するデータは成果につながる新しい視点の可能性がある
・SPIが高い人はどこでもある程度の成果を出せるが、それよりも大きく影響するのは本人の特性と状況の相性
→全てが駄目な人はいない。この状況には合っていないだけ
・サイコロで1を出せないことに対して、やる気がないからと言っても意味がない
1しか出ないサイコロを作ったり、1以外が出ても問題がない仕組みを考えたりした方が合理的
もったいないと思っている人に買わせる→もったいないと思わせないようにするorもったいないと思っても買いたくなるようにする
Posted by ブクログ
経営戦略、人的資本管理、マーケティング、オペレーションの順にデータ分析と活用の手法を具体的に解説した良書。
共通するのは、適切なデータ分析対象範囲を決め、適切なアウトカム(=目的変数)を設定し、これに関係しそうな説明変数候補を決め(この時、先行研究で使えるものがあれば大いに参考にする)、ステップワイズ法などで説明変数を適度な数に縮約し、重回帰分析やロジスティクス分析により有意な説明変数を特定し、これを変えることでアウトカムに良い効果が出るかをランダム化テストで検証して改善に繋げる、という流れ。
そのうえで、それぞれのデータ活用におけるポイントもしっかり解説されていた。
経営戦略に関するデータ活用では、アウトカムは総資本利益率が望ましい。必要な説明変数データを収集するのに、帝国データバンクのようなデータ会社のデータのほか、業界団体や、顧客からの評価が知りたければマクロミルなどの調査会社の活用や、営業マンの資質などであれば業界記者や取引先などが使えるとのこと。
人的資本管理については、パフォーマンスの3割程度はIQやSPIで明らかになる汎用的な知能で説明できるが、残りの7割は個別の特性が効いてくるということ。人事情報はアウトカムについても、適宜補正可能な指標を選んでおくことが大事。
マーケティングでは、ターゲットセグメントを決める段階では、重回帰分析やロジスティクス分析ではなく、クラスタリングを用いて有意なグループを見出だして選ぶべき。これは、マーケティングのターゲットセグメント選択は、すなわち他のセグメントを捨てるということであるため、少なくともその変数を満たせば良いという経営戦略や人的資本管理における重視すべき変数の特定とは異なるアプローチが必要であるということである。セグメントが決まれば、当該セグメントの顧客のデータを集め、何がアウトカムである購買行動に繋がっているのか、繋がっていないのかを特定し、どこを強化すべきかを見抜く。
オペレーションでは、どの工程がボトルネックであるかを見抜いたうえで、そこを重点的に強化するべきである。そして、当該ボトルネックのアウトカムと説明変数を明らかにして何を強化すればアウトカムが向上するのかを明らかにする分析とともに、適正な在庫や仕入れやリソース投下を行うための「予測」も必要になる。予測では、他の説明変数だけでなく、過去の目的変数の実績値(例えば過去の売上)を自己回帰的に説明変数として予測する手法も有効である。
経営の戦略や戦術への深い理解と洞察力を併せ持った統計学の専門家の著書として、非常に読みごたえがあった。
Posted by ブクログ
ただでさえ統計学のビジネス利用を主軸としたシリーズの「ビジネス編」ということで、どこまでビジネスに特化した内容なのかと期待と疑問を同時に抱きながらも手に取る。
前回までの内容と同じく統計学に関する前提知識はほとんど仮定されていないと言える。結果的にビジネスでどのように分析するのかの詳細な具体的な例があるわけではないので実際に手を動かして勉強することを期待するとがっかりするかもしれない。
しかし、統計学をビジネスの場面で活用する上で「著者はここまで広範な知識を持っているのか」と驚かされる一冊だった。
「AI・データ分析プロジェクトのすべて[ビジネス力×技術力=価値創出]」などのデータ分析系の書籍ではよく述べられることだが、
データサイエンスや統計をビジネスに活用していくには統計知識・エンジニアリング知識・ビジネス知識のすべてが必要だといわれる。
少なくともビジネス知識に関しては、この著者はかなり広範で実践的な知識を有していると感じさせる一冊だった。
すなわち、実際にビジネスで統計を生かす人物の、
統計力 × ビジネス力
がどのようにして力を発揮するのかを知ることのできる本だと言える。
本気で統計を仕事に生かそうと思うのならば統計以外にどのような知識を学ぶべきかの指針を示してくれる一冊だった。
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ビジネス・実用
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