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灘校で中学3年間をかけて『銀の匙』1冊を読みこむという授業を続けてきた橋本先生の教育論。「国語はすべての教科の基本であり、学ぶ力の背骨」という伝説の教師が国語の学び方を伝えます。「早急に答えを求めてはいけない、すぐに役立つものはすぐに役立たなくなります」など「学び」の原点に気づかされる1冊。
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Posted by ブクログ
臨時休校中で「何か本を読みたいけど、何を読めばいい?」と悩む中学生に推薦します。 「国語の勉強の役に立つから」とかそういう視点じゃなくて、当たり前にとらわれない物の見方とか、物事を広げて考えるということの実例がいっぱい書いてあるから。 第1章では「土曜講座―27年ぶりに教壇に立つ」と題し99歳にし...続きを読むてかつての勤務校で「銀の匙」の特別授業をした様子が描かれているが、もうこの章だけでも一読の価値あり。 冒頭、橋本先生はこう切り出す。 -「『銀の匙』の授業は、傍観するのではなく、入り込んで一緒にやっていく授業です。それは「遊ぶ感覚」です。見ているだけでは面白くない。自分のその中に関わる、参加して、行動するという遊びの楽しさを、学ぶことに取り入れようと思ったのです」 そして先生はおもむろに黒板に<あそぶ><まなぶ>と書き、こう尋ねた。「あそぶとまなぶ。このふたつに共通するものはなんですか。どんなことでもいいから、言ってみなさい。」 ある生徒が答えた。「あそぶもまなぶも、どちらにも<ぶ>が付いています。」 少し受け答えがあってから、先生は生徒のみんなに言った。「<あそぶ><まなぶ>は動詞です。ほかにも<ぶ>が付く動詞は多い。書き出してみなさい。」- 従来の「国語の授業」の型をひらりと飛び越え、脱線もかまわずに授業を進めながらも「国語」から逸脱した形では終わらず、気が付けば「国語」を学べているという、まさに絶妙な匙加減。 それとこの本では、橋本先生が特別授業のために作った「プリント」も掲載されている。その手書き文字が「美しい」。 ここで言う美しいとは、書道有段者のようないわゆるきれいな字と言えるものではなく、長年板書やプリント作成で鍛えられたと言える、人が書く文字としての均整の取れた個性的な美しさとでも言おうか。「フォント」に見慣れた今の中学生に、橋本先生の書き文字をぜひ見てもらいたい。 そして橋本先生の書き文字の美しさは、罫線を引き縦に手書きされた「あとがき」で極致に達していると思う。 手書き文字に旧字や古めかしい言い回しが使われていないことから、時代が変わろうとも常に漢字や言葉の正しい使い方へ目配せし続けてきたことがうかがえ、てらいのない文章の若々しさと併せて「若々しく年を重ねる」見本とも言えるのではないか。橋本先生が書く「若い人たちはもちろん、年配の方々にも読んでいただきたいと思っています」にも同意したい。
灘校がいわゆる進学校とは一線を画す教育システムをつくってきたかというのがよく分かる。自由闊達に自学出来る人へと教え導くというのは、実に根気のいる取り組みなのだと。教育論に留まらない、組織やコミュニティづくりにも大いに気づきを与えてくれる内容でした。
私が知っている、神戸の私立高校「灘高」は多くの東大合格者を排出する名門高。 そこで先生をしていた人、というのに興味を持って、 本の「はじめに」に書かれている「先生に親しみはあっても、授業の内容がまるで思い出せない」という一節に惹かれて、 この本を読むことにしました。 なんだかうまく書けないので...続きを読む、キーワードを。 熱意、努力、研究研究研究‥、 誤解、悲しみ、 だけど、趣味。 「先生」が憧れられない・尊敬されないということを私は多く聞くけれど、こんな先生、好きにならずにいられない。 型破りといえば型破りだけれど、悪いことたくさんしてたとか、そういうんじゃない。 でも、失礼ながら、聖職者でもないと思う。 橋本武さんの話をもっと深めたくて『奇跡の教室/伊藤氏貴』・『銀の匙/中勘助』を次々と読みました。 私個人的には、 国語じゃなくても先生をしている人に、 著者の「あとがき」からは、 年配の方に、読んでもらいたい本です。 本当に乱文ですが、覚え書きも兼ねて残しておきます。
今年100歳になられた著者の国語の授業方法と、これまでの人生をふりかえった一冊。 こんな先生に出会えば、きっと「国語」というものをもっともっと積極的に学ぶ人が増えるんだろうなと感じた。こういう国語教育の方法は、誰しも理想ではあるけれど、本当にやってきた橋本先生にはだただ感服。 「銀の匙」という一...続きを読む冊をじっくり読み進めること。たまに横道にそれながら、さまざまな知識を一人一人が深めていく。ただ、本を読むだけ、意味を知るだけ、漢字を覚えるだけ、ということではなくて、生徒たちが積極的に「銀の匙」という作品の世界に入っていく方法は本当にすばらしいと思った。 岩波ジュニア新書ということで、とても読みやすいので、本当に幅広い年代に読んで欲しい一冊。
灘高の伝説の教師、橋本先生のお話。 一冊に三年間かけるというのは、どういう授業なのかと興味をもって読み始めたが、面白かった。 魚を与えるのではなく、魚の釣り方を教える授業です。国語の基礎体力があれば、自分で道を切り拓いていける。 こんな先生に教わりたかったなぁー。 ワクワクする人生を、自分で...続きを読む選んで生きられている姿、見習いたいです。決して聖人君士でなさそうなところもいいです。 学ぶのに年令は関係ないですね。
こんな先生に出会いたかった! 思考の基である「国語」を、こんなにも楽しい授業で、遊び感覚で伸ばせる先生がいたとは。 橋本先生には、このような授業の出来る先生を育てていって欲しい! それにしても、この本を書いた年齢が99歳とは思えない、エネルギーを感じる一冊だ。 私のような主婦でも、これからで...続きを読むも国語をしっかり勉強したいと思った。 橋本先生関連、これからむさぼり読みます!
キーになるのは追体験かなと思いました。追体験をすることで著者の世界にどっぷり浸かる。 ただ銀の匙以外にもかなりの本を読ませて、課題も膨大。これについて来られる灘高生はやっぱり優秀。 とても印象に残る授業であることは間違いない。
銀の匙を国語の授業に取り入れた有名な先生の話。1つの話題を突き詰めて脱線しながら学んでいくと言う訴えがとても面白い。しかし先生の力になるところが大きい。誰にでも真似もできるものじゃない。
最初は、灘高の生徒なんてどんなやり方で教えてもそれなりに成長するだろう それを自分の実績みたいにタラタラと説明するのは趣味が悪いなんて思っていた 銀の匙も徒然草も、偏差値50代の生徒からしたら現代語訳版でも理解できない。イラストや図を使って関係図を整理して、やっと理解できるレベル。 楽しくやろうと...続きを読む思っても、「丹波に出雲というところあり」みたいな話ばかりでは無いし、さらに精読なんてすればみんな寝てしまうと思う。 今でも橋本さんの授業形式が全国の公立学校で通用するとは思わないけど、本書を読み進めていくうちに彼の持つメンタルというか、色々と生徒の為に試行錯誤している様子はすごいと思った 普通と違うスタイルでかつ自分たちの為に頑張ってる授業って、どこか聞きたくなる魅力があるんだよね
中勘助さん著『銀の匙』が読むべき良本という情報が頭の中にあり、長年うじうじと先延ばしつつ、やっと読み始めました。少し読んで、夏目漱石の『坊ちゃん』みたいだな、というのが率直な感想でした。『坊ちゃん』を読んだ時もその面白さがわからず、忍耐を重ねて読んだくらいだったので、この本をやはり面白いと思えない...続きを読む自分がいて、どうしたものかと思っていたら、この本の存在を知りました。 灘高で国語の先生をしていた作者が、『銀の匙』だけを使って三年間、現代文の授業をしたというのです。先にこちらを読んだ方が、『銀の匙』の面白さがわかるのではないかと、『銀の匙』はちょっとお休みして、この本を読んでみました。 実際に、どんなふうに授業を進めていったか、その際に使用したプリントなどもわかりやすく載っていました。さらに、橋本武先生が、国語をどう捉え、何を大切にして授業をしていたかなども書かれています。 気になった文をいくつか… ◯今いわれている「ゆとり教育」は遊び時間を増やすことなのかと思いたくなりますが、そうじゃなくて、水準以上のことをやっているから心にゆとりが持てる、そうあるべきです。もっとも先生が大変ですけど。 ◯私は、国語の基礎学力を涵養する根源は「書く」ことにあると思っています。 ◯国語勉強の7つのポイント読む書く話す聞く見る味わう集める。 『銀の匙』を読んでいた時、読みやすいように沢山言葉の意味が注記として書かれている版を選んで読んでいても、よくわからない言葉が沢山出てきてウンザリしていました。橋本先生の授業では、その一つ一つの語句の意味を理解し、できるものは授業で実際体験し(凧揚げなどなど)、生徒自身がこの物語に参加するような形で丁寧に読み解いていきます。そして、生徒の知識が、教材を限定することで狭まることのないように、事あるごとに横道にそれ、新たな世界を知るように配慮されています。 この本をじっくりと読み終えた生徒たちの達成感や自信はどれほどのものだったでしょう。そして、手をかけてプリントを作ってくれ、生徒以上の好奇心と熱量で学ぶ姿勢を見せ続けた先生の姿はどう子供たちの目に映ったでしょう。 本当の学びとはこういうことなんだ、と教えられました。気持ちを新たに、『銀の匙』をまた読み始めたいと思います。
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