あらすじ
灘校で中学3年間をかけて『銀の匙』1冊を読みこむという授業を続けてきた橋本先生の教育論。「国語はすべての教科の基本であり、学ぶ力の背骨」という伝説の教師が国語の学び方を伝えます。「早急に答えを求めてはいけない、すぐに役立つものはすぐに役立たなくなります」など「学び」の原点に気づかされる1冊。
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Posted by ブクログ
国語の学び方ってどんな感じ?を教えてもらえます。おもしろかったです。
前に読んだ『本を読んだことがない32歳がはじめて本を読む』は、みくのしんさんが短編小説を何時間もかけて読むスタイルのスローリーディングでした。でもスローリーディングといえば、灘校の伝説の国語教師、橋本武先生ですよね。
橋本先生は、白髪ロン毛のおしゃれさん。どんなスローリーディングかは知らなかったので、読ませていただきました。
みくのしんさんと橋本先生、どちらが上とか下とかではないですが、勝手にスローリーディング対決です!
早速ですがわたしの結論、常温常圧下での物質に例えるなら、みくのしんさんは「ガス」水素とかヘリウムかな。橋本先生は「金属」、金属だけど柔軟性ある水銀でしょうか。つまり、密度がぜんぜん違うのを実感しました。
みくのしんさんと、プロ国語教師橋本先生を比べるのがおかしいですが、この本を読むと、これは似てるんじゃないのと思うところもありビックリです!
この本は2011年灘校で土曜講座として復活した『銀の匙』の授業内容や配布プリントに、橋本先生がこれまで書かれてきた文章も加え、まとめられた本です。橋本先生の「自分史」ともいえるものだそうです。
橋本先生の『銀の匙』の授業とは、中勘助著『銀の匙』一冊を、中学3年間かけて教えるというものです。進度は遅く、1ページに1~2週間かかることもあったようです。
プロ国語教師として、これを実行するのは大変なようです。通常は教科書とセットで用意されている指導書を自分で用意しなければいけないそうです。そのため一年かけて研究ノートを作成されたみたいです。
生徒のみなさんは、毎回配布される「記入式プリント」、毎月「課題図書」を読み「読後感」を求められたそうです。現代文に古文、求められたレベルは高そうです。
橋本先生によれば国語を学ぶとは人生の基礎力を付けることだそうです。この本には、そのためのポイントが書かれています。
わたしは、もっとおもしろく本を読みたいし、楽しく感想を書きたい。でも、国語を学んでも即効性はないみたいです。じんわりと効く体質改善の漢方薬的なもののようです。
ポイントは様々あれど、書くことがよいようです。読後感(やってます)、日記(続くかな?)、詩・短歌(でた!)、いくつになっても国語力は大切ですね。
最後にわたしがみくのしんさんとの共通点と感じたのは「傍観するのではなく、遊び感覚で、入り込んで一緒にやる」なのでした。
Posted by ブクログ
臨時休校中で「何か本を読みたいけど、何を読めばいい?」と悩む中学生に推薦します。
「国語の勉強の役に立つから」とかそういう視点じゃなくて、当たり前にとらわれない物の見方とか、物事を広げて考えるということの実例がいっぱい書いてあるから。
第1章では「土曜講座―27年ぶりに教壇に立つ」と題し99歳にしてかつての勤務校で「銀の匙」の特別授業をした様子が描かれているが、もうこの章だけでも一読の価値あり。
冒頭、橋本先生はこう切り出す。
-「『銀の匙』の授業は、傍観するのではなく、入り込んで一緒にやっていく授業です。それは「遊ぶ感覚」です。見ているだけでは面白くない。自分のその中に関わる、参加して、行動するという遊びの楽しさを、学ぶことに取り入れようと思ったのです」
そして先生はおもむろに黒板に<あそぶ><まなぶ>と書き、こう尋ねた。「あそぶとまなぶ。このふたつに共通するものはなんですか。どんなことでもいいから、言ってみなさい。」
ある生徒が答えた。「あそぶもまなぶも、どちらにも<ぶ>が付いています。」
少し受け答えがあってから、先生は生徒のみんなに言った。「<あそぶ><まなぶ>は動詞です。ほかにも<ぶ>が付く動詞は多い。書き出してみなさい。」-
従来の「国語の授業」の型をひらりと飛び越え、脱線もかまわずに授業を進めながらも「国語」から逸脱した形では終わらず、気が付けば「国語」を学べているという、まさに絶妙な匙加減。
それとこの本では、橋本先生が特別授業のために作った「プリント」も掲載されている。その手書き文字が「美しい」。
ここで言う美しいとは、書道有段者のようないわゆるきれいな字と言えるものではなく、長年板書やプリント作成で鍛えられたと言える、人が書く文字としての均整の取れた個性的な美しさとでも言おうか。「フォント」に見慣れた今の中学生に、橋本先生の書き文字をぜひ見てもらいたい。
そして橋本先生の書き文字の美しさは、罫線を引き縦に手書きされた「あとがき」で極致に達していると思う。
手書き文字に旧字や古めかしい言い回しが使われていないことから、時代が変わろうとも常に漢字や言葉の正しい使い方へ目配せし続けてきたことがうかがえ、てらいのない文章の若々しさと併せて「若々しく年を重ねる」見本とも言えるのではないか。橋本先生が書く「若い人たちはもちろん、年配の方々にも読んでいただきたいと思っています」にも同意したい。
Posted by ブクログ
灘校がいわゆる進学校とは一線を画す教育システムをつくってきたかというのがよく分かる。自由闊達に自学出来る人へと教え導くというのは、実に根気のいる取り組みなのだと。教育論に留まらない、組織やコミュニティづくりにも大いに気づきを与えてくれる内容でした。
Posted by ブクログ
私が知っている、神戸の私立高校「灘高」は多くの東大合格者を排出する名門高。
そこで先生をしていた人、というのに興味を持って、
本の「はじめに」に書かれている「先生に親しみはあっても、授業の内容がまるで思い出せない」という一節に惹かれて、
この本を読むことにしました。
なんだかうまく書けないので、キーワードを。
熱意、努力、研究研究研究‥、
誤解、悲しみ、
だけど、趣味。
「先生」が憧れられない・尊敬されないということを私は多く聞くけれど、こんな先生、好きにならずにいられない。
型破りといえば型破りだけれど、悪いことたくさんしてたとか、そういうんじゃない。
でも、失礼ながら、聖職者でもないと思う。
橋本武さんの話をもっと深めたくて『奇跡の教室/伊藤氏貴』・『銀の匙/中勘助』を次々と読みました。
私個人的には、
国語じゃなくても先生をしている人に、
著者の「あとがき」からは、
年配の方に、読んでもらいたい本です。
本当に乱文ですが、覚え書きも兼ねて残しておきます。
Posted by ブクログ
今年100歳になられた著者の国語の授業方法と、これまでの人生をふりかえった一冊。
こんな先生に出会えば、きっと「国語」というものをもっともっと積極的に学ぶ人が増えるんだろうなと感じた。こういう国語教育の方法は、誰しも理想ではあるけれど、本当にやってきた橋本先生にはだただ感服。
「銀の匙」という一冊をじっくり読み進めること。たまに横道にそれながら、さまざまな知識を一人一人が深めていく。ただ、本を読むだけ、意味を知るだけ、漢字を覚えるだけ、ということではなくて、生徒たちが積極的に「銀の匙」という作品の世界に入っていく方法は本当にすばらしいと思った。
岩波ジュニア新書ということで、とても読みやすいので、本当に幅広い年代に読んで欲しい一冊。
Posted by ブクログ
灘高の伝説の教師、橋本先生のお話。
一冊に三年間かけるというのは、どういう授業なのかと興味をもって読み始めたが、面白かった。
魚を与えるのではなく、魚の釣り方を教える授業です。国語の基礎体力があれば、自分で道を切り拓いていける。
こんな先生に教わりたかったなぁー。
ワクワクする人生を、自分で選んで生きられている姿、見習いたいです。決して聖人君士でなさそうなところもいいです。
学ぶのに年令は関係ないですね。
Posted by ブクログ
こんな先生に出会いたかった!
思考の基である「国語」を、こんなにも楽しい授業で、遊び感覚で伸ばせる先生がいたとは。
橋本先生には、このような授業の出来る先生を育てていって欲しい!
それにしても、この本を書いた年齢が99歳とは思えない、エネルギーを感じる一冊だ。
私のような主婦でも、これからでも国語をしっかり勉強したいと思った。
橋本先生関連、これからむさぼり読みます!
Posted by ブクログ
キーになるのは追体験かなと思いました。追体験をすることで著者の世界にどっぷり浸かる。
ただ銀の匙以外にもかなりの本を読ませて、課題も膨大。これについて来られる灘高生はやっぱり優秀。
とても印象に残る授業であることは間違いない。
Posted by ブクログ
銀の匙を国語の授業に取り入れた有名な先生の話。1つの話題を突き詰めて脱線しながら学んでいくと言う訴えがとても面白い。しかし先生の力になるところが大きい。誰にでも真似もできるものじゃない。
Posted by ブクログ
最初は、灘高の生徒なんてどんなやり方で教えてもそれなりに成長するだろう それを自分の実績みたいにタラタラと説明するのは趣味が悪いなんて思っていた
銀の匙も徒然草も、偏差値50代の生徒からしたら現代語訳版でも理解できない。イラストや図を使って関係図を整理して、やっと理解できるレベル。
楽しくやろうと思っても、「丹波に出雲というところあり」みたいな話ばかりでは無いし、さらに精読なんてすればみんな寝てしまうと思う。
今でも橋本さんの授業形式が全国の公立学校で通用するとは思わないけど、本書を読み進めていくうちに彼の持つメンタルというか、色々と生徒の為に試行錯誤している様子はすごいと思った
普通と違うスタイルでかつ自分たちの為に頑張ってる授業って、どこか聞きたくなる魅力があるんだよね
Posted by ブクログ
中勘助さん著『銀の匙』が読むべき良本という情報が頭の中にあり、長年うじうじと先延ばしつつ、やっと読み始めました。少し読んで、夏目漱石の『坊ちゃん』みたいだな、というのが率直な感想でした。『坊ちゃん』を読んだ時もその面白さがわからず、忍耐を重ねて読んだくらいだったので、この本をやはり面白いと思えない自分がいて、どうしたものかと思っていたら、この本の存在を知りました。
灘高で国語の先生をしていた作者が、『銀の匙』だけを使って三年間、現代文の授業をしたというのです。先にこちらを読んだ方が、『銀の匙』の面白さがわかるのではないかと、『銀の匙』はちょっとお休みして、この本を読んでみました。
実際に、どんなふうに授業を進めていったか、その際に使用したプリントなどもわかりやすく載っていました。さらに、橋本武先生が、国語をどう捉え、何を大切にして授業をしていたかなども書かれています。
気になった文をいくつか…
◯今いわれている「ゆとり教育」は遊び時間を増やすことなのかと思いたくなりますが、そうじゃなくて、水準以上のことをやっているから心にゆとりが持てる、そうあるべきです。もっとも先生が大変ですけど。
◯私は、国語の基礎学力を涵養する根源は「書く」ことにあると思っています。
◯国語勉強の7つのポイント読む書く話す聞く見る味わう集める。
『銀の匙』を読んでいた時、読みやすいように沢山言葉の意味が注記として書かれている版を選んで読んでいても、よくわからない言葉が沢山出てきてウンザリしていました。橋本先生の授業では、その一つ一つの語句の意味を理解し、できるものは授業で実際体験し(凧揚げなどなど)、生徒自身がこの物語に参加するような形で丁寧に読み解いていきます。そして、生徒の知識が、教材を限定することで狭まることのないように、事あるごとに横道にそれ、新たな世界を知るように配慮されています。
この本をじっくりと読み終えた生徒たちの達成感や自信はどれほどのものだったでしょう。そして、手をかけてプリントを作ってくれ、生徒以上の好奇心と熱量で学ぶ姿勢を見せ続けた先生の姿はどう子供たちの目に映ったでしょう。
本当の学びとはこういうことなんだ、と教えられました。気持ちを新たに、『銀の匙』をまた読み始めたいと思います。
Posted by ブクログ
学生時代、坊主の兼業教師が『学問のすすめ』と『般若心経』で、1年だか2年だか授業をやった
本書を読んで初めて本を読むと言うことが分かった気がした
理系だからでも無いが、文章を体系化、数式化して理解したがる
そうではないんだ
Posted by ブクログ
なんというか久しぶりに国語の授業を受けた気分になった。
・横道にそれる楽しさ
・すぐ役立つものはすぐに役立たなくなる
・話し上手になるには書き上手であることが必要
・労働に対するささやかな感謝の気持ちの有難う
最後に一歌
コツコツと いろんな本と 巡り合い
今年のゴール 目指せ100冊
Posted by ブクログ
たくさん角を折ってしまった(あとでまた見返したいページ)。
銀の匙をやっとちゃんと読もうと思った。
意外と面白いかもと思わされた。
タイトルをつけたり、実際に書かれていることをやってみたり、語句の意味を考えたり調べたり、興味深い。
Posted by ブクログ
灘中・高の国語教育で有名になった橋本氏は、当たり前ながら非常に信念の人だ。自らが印象に残った国語授業がなかったということから、この本にチャレンジし、作家・中勘助氏への手紙から始めて直接の交流。生徒に読み込ませた後は章立てのタイトルを考えさせ、感想文を書かせる!きっと楽しい授業だっただろうと思う。灘が単なる進学校ではなく、素晴らしい教育の場であったことを痛感する。国語教育の7つのポイントに優れたユニークさが凝縮されていると感じた。「読む、書く、話す、聞く」に加えて「見る、味わう、集める」の3つによって深さを得られ、本物になっていく!生徒とともに作った能楽研究同好会はそれを象徴しているようだ。夏休みのグループ学習で4冊の論文集が出来上がるのも凄味を感じたが、やはり元々の基礎能力が高い生徒たちばかりなので可能だったのだろうと思えなくもない。
Posted by ブクログ
『銀の匙』を読んだあと、灘で教材として使われていたと知り
興味を持ったので手に取りました。3年間『銀の匙』のみという
究極のスローリーディング!2012年に満100歳を迎えた著者は
21歳から71歳まで教壇に立った。
「どんな授業だろう?」と読み進めると意外と「文中の単語の意味を調べる」と
いうことにかなり比重が置かれていました、そこから脱線(例えば干支の話)していって
様々な知識を得ていくという方法です、あとは章ごとに生徒に題を
つけたり、作品に出てくる遊びをしたり、様々な工夫がされています。
昔はコピー機もないのでガリ版ですべての教材を自主制作、
それで一日が終わってしまうという教師の鏡のような先生。
先生が作られたプリントは血と汗と涙の結晶の教材でした。
教材がそんな風に作られたら学生さんも授業を聞かないわけにはいかなかったでしょうね(^-^)
Posted by ブクログ
100歳の授業。
どんなんだろうなぁと思います。
その100年を本当に、好きに生きてきたんだなぁということがよく分かります。
でも、教え子が自分より先に亡くなっていくというのは、けっこうたまらなくさびしいものがあるよなぁと思います。
そして、今も昔も変わらず、マスコミは、はじめから自分で決めたストーリーで報道するというのがよくわかる一冊だ。
人間、自分の大好きなことをして一生過ごせれば、それが1番です。
そういう人生を過ごすために、がんばろう。
Posted by ブクログ
『奇跡の教室』を読んだ時、エチ先生が実際に『銀の匙』の授業で使ったプリントを見てみたいと思いました。今回はそれが載っています。
綺麗な字とは言い難いですが、今はあまり見られない手書きのプリントに味わいを感じました。プリントといっても、ただ番号が振ってあったり、桝目があったり、線が引いてあったりと、ほとんど自分で内容を書き入れないといけないもの、書きいれることが沢山あるプリントです。
そして、そのプリント作りに多大な労力とお金(当時学校に予算がなく、エチ先生は仕事といっても好きなことをやっているので、仕事ではなく趣味と思えばいい。趣味にはお金がかかるものだ。ということでガリ版刷りの道具等を自費で買ったそうです^^;) をかけたそうです。本当に情熱がなければできないことです。そういう教師にであえた生徒は学ぶことを楽しいと感じるでしょうね。本当に羨ましい。うちの子達にも、そういう先生との出会いがあれば…(苦笑)
Posted by ブクログ
国語教育に関わろうとするものとして、読む価値はあったと思う。こんな授業をできるかどうかは別として、国語を教えるとは(学ぶ)どういう事か、教師として生きるとはどういう事かなどを考えるよいきっかけになる。
Posted by ブクログ
この本の中で,「自分が中学生であったとき,どんな授業を受けたかんだろう」と思い出してみようとしても,何も浮かんでこない!というところがあった。(P51)
私は,好きな授業のことは鮮明に思い出せる。先生の言葉も,黒板に書く様子も,どんな事を学んでいたかも。・・・しかし,中には先生の存在さえ忘れていたこともある。そんな先生いたんだと思ったことがあった。著者が,その事に気づき,そこから,生徒の記憶の中に残るような自分の国語の授業づくりをしていったことが素晴らしいと思った。
Posted by ブクログ
教師としての在り方がすごい。
27年ぶりに教壇に立ったときの、授業の進め方もさすがだよね。遊ぶと学ぶの共通点は何?から入って、漢字と仮名の成り立ちや、ぶ動詞について。
本に出てくる遊びを体験させるとか、徹底してる。
Posted by ブクログ
灘高の伝説の国語教師・橋本武氏の本である。
本書の発刊が2012年であるが、2013年に橋本氏が亡くなっているので、最後の書と言っても良いのだろう。
橋本氏の国語授業の概要は知っていた。学習意欲を引き出す授業は、教え子たちの生き方に影響を与えた。
遊ぶように学ぶ、遊びながら学ぶ、授業法は画期的であり、氏の研究と努力の結晶である。
そもそも授業は教師の人間性と不可分である。
ゆえに、『銀の匙』のスローリーディング授業は、橋本氏だから出来たわけだが、氏のコンセプトを咀嚼するならば、また新たな形の授業を生むことも出来るだろう。
橋本氏の授業は、遊ぶような感覚から導入するが、そこから派生する知識の伝授と、多読の勧め、覚えるべきことをきっちりと覚えさせる暗記など、多岐に渡る。生徒の状況に応じて教え方を変えていった橋本氏の真骨頂は、生徒とともに学ぶ、そのマインドであった。
Posted by ブクログ
灘中学で三年間かけて中勘助の『銀の匙』を読むという授業をつづけてきた著者が、みずからの教育実践を振り返りつつ、国語の学び方について語った本です。
著者の授業は、みずから学ぼうとする意欲をもった生徒たちと、彼らの若々しい意欲を自由に飛翔させる度量をもった教師が深い信頼関係で結ばれることによって可能になったのだろうと考えます。その意味では本書から教育についての一定の方法論を性急に引き出そうとするのは控えるべきなのかもしれません。むしろ両者の交流、とくに著者の生徒たちに向ける温かいまなざしに触れることができるというのが、本書の一位番の魅力なのではないかと思います。
Posted by ブクログ
こういう「プロ中のプロ」みたいな先生が昔はいた、いた。僕の高校の数学の先生は黒板に「パーフェクト・サークル」を描けることを自慢していた。今はこういう人材って「予備校」にしかいないのかなぁ〜。
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国語を教える者として、共感することと見習いたいことがいっぱいに詰まった本作。
私も、絶えず工夫と情熱とユーモアをもって、自分の頭で考えようとする力を育てていきたいと思う。
Posted by ブクログ
以前に読んだ、伊藤氏貴さんの『奇跡の教室』では、ちょいとガッカリさせられてしまったので、ドキドキしながら本書を読み進めていくこととなりました。同じテーマを扱っている本ではあるけれど、『奇跡の教室』が外から見た評価であるのに対し、本書は内からの自己評価。当然、『奇跡の教室』にあったような問題点は、本書には見当たらないことになりますね。
ところで、周囲が賞賛する中で、当人がどう思っているのかという点は、別に橋本先生の授業という話題でなくとも、気になるものではありますな。そういった意味で、本書には賞賛される者の「本音」が描かれており、ニヤニヤしながら読み進めることができました(笑)。
結局のところ、周りの評価言は想定していたものではなく、橋本先生ご自身は「好きなこと」をしているつもりだったのが、勝手に評価されるものであったわけで。そういう意味では、「ゴーイングマイウェイ」の大切さを窺い知るために、役に立てられる一冊ということになります☆
ただ、本書の中でも橋本先生は「ゴーイングマイウェイ」すぎてしまって、話題があっちに行ったり、こっちに行ったり。結局、終始振り回されることとなってしまいました!
【目次】
はじめに
Ⅰ 「土曜講座」――二七年ぶりに教壇に立つ
Ⅱ 私の『銀の匙』授業
Ⅲ 国語を学ぶとは
Ⅳ 人生の節目に思う
あとがき
Posted by ブクログ
教科「国語」って考えれば考えるほど難しい。
国語という教科を通じて何を教えるのか。
そんなことを考えて教壇に立っている、国語教員が増えてほしいものです。
決して、指示語の指すものがわかる事が国語ではないはず。
Posted by ブクログ
国語を学ぶことは豊かな人生を送るための感受性を涵養するために必要な基礎学習であり、一生かけて行っていくものだという基本姿勢に共感。そのために先生が用意したレッスンは、作中の言葉で例文を作ったり、作品の各章に自分でタイトルを付けたり、読後感を書いたりと、アウトプット重視のトレーニング。これは灘校の秘術ではない。誰でもできるがほとんどの人はやらない、愚直な正攻法。
よく「国語には正解はない」という言葉が勉強しないことの言い訳に使われるが、この言葉が意味するところはむしろ逆で、国語学習においては本人がかいた汗以外には価値はないということなんだと思う。