「マリみて」の3冊目。私が選ぶ「Best volume of マリみて」は、これしかありえない。この本の後半に掲載されている「白き花びら」という短編が、あまりにも印象深いので…。白薔薇さま(ロサ・ギガンティア)こと佐藤聖さまの過去を描いたこのお話しは、「同性を好きになって何故いけないのか」という聖さまの心の叫びが痛ましく、救いのない結末と相まって、涙なしには読むことができない。40冊近く刊行されている「マリみて」シリーズにおいて、恋愛感情がここまで明示的に描かれている箇所は他に見当たらず、本シリーズの異色作となっている。その一方、この短編が「マリみて」の世界観に与えた影響は極めて大きく、「マリみて」から百合的な要素を感じ取る読み方を確立させた意味で、「白き花びら」はシリーズの方向性を決定づけた一大転機だったのだと思う。