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第二次大戦末期、敵国の中国大陸の奥深くまで「密偵」として潜入した若者・西川一三。敗戦後もラマ僧に扮したまま、幾度も死線をさまよいながらも、未知なる世界への歩みを止められなかった。その果てしない旅と人生を、彼の著作と一年間の徹底的なインタビューをもとに描き出す。著者史上最長にして、新たな「旅文学」の金字塔。
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Posted by ブクログ
西川一二三の「秘境西域8年の潜行」を沢木耕太郎解釈で再編成されたノンフィクション。 本編もさることながら、作品の出来上がる過程が浪漫そのものだ。 これは深夜特急でチベットやヒマラヤ周辺も旅してきた沢木さんだからこそ書ける、いや、間違いなく沢木さんにしか書けない本だ。 とにかくとてつもなく面白かっ...続きを読むた。足掛け20年はかけてきた大作なだけある。 満州からチベットを渡り歩き、なんとヒマラヤを11度も超えているとか。 その生活ぶりや、旅のある生活。現地の方との交流。馴染み方。衣食住。そのどれもが、素朴かつ質素で、大冒険!って感じではないのだけど、それこそが、本当の心理的自由なのかもしれない。と思わされる作品でした。 旅に出ると生活は単純化して、生きる上で本当に大切なことはなんなのか。それを思い知らされることになる。 という部分が特に印象的で、 規模は小さくても登山で似たようなことは感じることができるから、大いに共感した。 人生はきっと、もっと、シンプルだ。 自身の心のあり方と、 大自然の巨大さと意思。 旅はいい。自然の中を歩く旅は特にいい。 人を成長させてくれる。 天路の旅人。タイトル通り、超素敵な作品でした。 ラサ、なるべく早く行ってみたい。 人はむしろ汚い位の方が安心するんです。自分を低いところに置くことができるのなら、どのようにしても生きていける。 幸せとはこういうことを言うのか。 旅に出ると生活が単純化されていく。その結果、旅人は生きる上で何が大切なのか、どんなことが重要なのかを思い知らされることになる。日が起きてくれれば、湯が沸き、太陽の光を浴びれば体が温かくなる。たったそれだけで幸せになる。 砂漠を歩いていると、路傍に、様々な動物の死骸が横たわっているのにぶつかる。砂漠では、どんな死骸も放置されたままだ。最初こそ、無残な姿を探すことになるか、すぐに着を取り、立ちに肉を食べ尽くされ、風に吹かれ、砂に現れているうちに、美しい白骨となる。そうした大自然の営みを前にすると、人間の力ではどうしようもない巨大な力を感じる。そして、ここにおけるすべての言葉、この大自然が解決してくれるように思える。あるいは、その大自然の意思を、と呼ぶのかもしれない。自分はその点が命ずるままに、目の前で続く道を歩いていけば良いのではないだろうか。 もしかしたらこんなの突破しようと苦労している時が、旅における最も楽しい時間なのかもしれない。困難を突破してしまうと、この先にまた新しい困難が待ち受けているのではないかと不安になる。困難の最中にあるときは、ただひたすらそれを克服するために努力すればいいだけだから、むしろ不安は少ない。 今の自分はきれいに欲がなくなっている。何をしたいとか何を得たいとか何を食べたいとか言ったような欲望から解放されている。1日分の食料があればどこで寝ようが構わないと思っている。水の流れに漂っている、1枚の葉と同じように、ただ目の前の道を歩いている。その欲のなさが人の好意を誘うのかもしれない。 最下層の生活だったろう。しかし改めて思い返せば、その日々のなんと自由だったことか。誰に強いられたわけでもなく、自分が選んだ生活なのだ。やめたければいつでもやめることができる。それだけでなく、その最も低いところにある生活を受け入れることができれば、失うことを恐れたり、階段を踏み外したり、坂を転げ落ちたりするのを心配することもない。なんて恵まれているのだろう
さすが沢木耕太郎! どっぷり内蒙古からインド、ネパールまでの旅を味わせてもらった。読んでいる間は自分もラマ僧の気分だった。あまりにもハマりすぎて、読んでいる最中は自分まで粗食になったりして…。 それにしても世の中捨てたもんじゃない。 貧しい人にこれだけ食べ物を分け与えてくれたり、軒下で休ませてくれ...続きを読むたりしてくれる人が世の中にはいるんだと感動した。 また同時に自分も人に優しくできる、何の見返りも求めず人助けできる人になりたいと思った。 一方で多くの日本人が戦争下で苦しむ中、西川氏が青春を全うしていたようにも見える。 どこまでお国の為の旅だったのか…。 著者による深夜特急のような旅を西川氏がしていたようにも見えてしまうのだが、そんなのことはないのだろうか。 いずれにしても、すごい本を読んだ。 あらゆる情報が簡単に手に入り、どこにでも気軽に旅行できる現代人には貴重な作品である。
沢木耕太郎の久々の長編ノンフィクション。「天路」とは仏教の六道の一つで、天上にあるとされる世界(天上界)へ通じる道を意味するとの事。第二次大戦末期、敵国の中国大陸の奥深くまで「密偵」として潜入した西川一三の生涯を描くドラマ。敗戦後もラマ僧に扮したまま、幾度も死線をさまよう。 戦後に海外に残っていた...続きを読む有名な日本人としては、終戦を知らずにフィリピンのルバング島に潜伏し続けた元日本兵小野田寛郎、グアム島に潜伏していた横井庄一が有名だろう。西川は日本軍ではないし現地で程なく終戦を知る事にはなるが、「密偵」として潜入したままで敗戦後を暫く過ごしたという意味では、似たような境遇と言えるかもしれない。 西川は自ら、自身の旅について『秘境西域八年の潜行』という書物に記している。これを読みながら、実際の本人や家族からの取材で補い、再び彼の旅を描こうとするのはどうなのか。沢木は、自問したという。この葛藤は分かる気がする。同書は入手困難というわけでもなく、電子書籍として読むことも可能だ。だが、『深夜特急』を書いた沢木の目線での描写に興味があったし、そもそも私は西川の事を全く知らなかったので、有難い掘り起しであった。そして、それは期待を裏切らない壮絶な内容だ。 ― この戦争で、日本軍は、その土地その土地の人々の感情や習慣を無視して、どれほどの失敗を犯したことだろう。それは、多くは無知によるものだった。何も学ばず、知ろうとせず、ただ闇雲に異国に侵攻していってしまった。日本は、戦争をする前に、自分や木村のような者たちを、あらゆる国に送り出しておくべきだったのだ。あるいは、実際に送り出されていたのかもしれない。だが、その人たちは、自分たちのように、地を這うようには人々のあいだを歩くことをしていなかったのだろう。同じ言葉を話し、同じ物を食べ、同じ苦しみを味わったりはしなかったのだ。 彼の行いは密偵だが、しかし、蒙古人への同質化でもあったのだろう。多少美化して書いた部分はあるのかもしれないが、篤実な人柄が伝わってくる内容だ。「自分を低いところに置くことができるなら、どのようにしても生きていけるものです」という言葉が沁みる。実際の経験には到底及ばないが、この旅の壮絶さを味わいそこで得たものをお裾分けしてもらった気分だ。
ああ、自分はこういう小説を読みたかったんだ…。 読み終えた感動と一緒にしみじみと思った。 ストーリーを盛り上げる装置もなければ、旅先でのロマンスもない。ただ、淡々と日々を旅して生きる男の話。主人公西川を見つめる著者の眼差しは温かく、それでいて驚くほど冷静。 でも、それで十分。 満たされる読書体験でし...続きを読むた。
壮絶、驚愕としか言いようのないアジア大陸潜行記。 西川一三さんの若さ、気丈さ、まじめさ。勉強熱心さ。そして、出会う土地の人々の温かさ、寛容さ、宗教に対する尊敬の念などが相まって、この過酷な旅が長く続くことになったのだろう。 人間、ここまで何人でもあって、何人でもないような、しなやかな心で人生を送れる...続きを読むだろうか。 西川一三さんに仏を見た気がする。
旅文学というものがこれほどに面白いと思ったことはなかった。 これほどの壮大な旅に身を置いた半生とそして「その後」の暮らしぶりのコントラストが印象的
戦時中‐戦後の8年間をかけて中国からインドまでを密偵として旅した西川という人の話。近代の話なのにほとんどが徒歩の旅のせいかもっと昔の話のよう。読むだけで旅をしてる気分になれる。 西川さんという人がとても魅力的。
やっぱりこの人の文章は面白い。 西川はここでも大丈夫と見栄を切ったが、内心は不安が大きく広がってきていた。だが、仕方がない。この2頭で行けるところまで行くしかないと覚悟を決めた。
深夜特急以来の沢木耕太郎の作品。これは、著者本人ではなく、戦中に蒙古、チベット、日本敗戦後は、引き続きインド、ネパールに潜入した西川一三氏の記録。西川氏は蒙古のラマ僧に擬態して旅を続けるが、人生への考え方、とりわけ欲のなさが、本物のラマ僧を超え、聖人の領域に入っていく。そうした西川氏が、信頼していた...続きを読む日本人の密告により帰国せざるを得なくなる姿が、本当に哀しい。その密告も全くの善意からのものであったのも、また、悲しい。帰国後、西川氏は戦後の俗な日本に、しばらくの間馴染めなかったが、かくありなんと思う。その後、個人事業主として1年のうち364日働き、一生を終えるが、これも修行として割り切っている様も面白い。 旅の楽しさの本質は、未知への探求ということが、西川氏と半年間旅を共にしたラマ僧を通じて描き出されており、読んでいるこちらもすぐに旅に飛び出したくなる。
戦中、西域に潜行した西川一三氏。旅の渦中での多民族との出会いや自然の素晴らしさに喜びを感じ、苦行を乗り越える度に自身の価値を見出していく。彼の生き様を通して、人が生きるために真に必要なことは何なのかに気づかされる。いつまでも心に残るノンフィクション。
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