作品一覧
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-手塚治虫は、長くて中身が濃い、波瀾万丈のマンガ人生を送ってきた。昭和二十年代後半から三十年代にかけては、『ジャングル大帝』、『鉄腕アトム』、『リボンの騎士』など数多くの傑作を世に送り続け、名実ともにマンガ界の第一人者として活躍した。 また、一九六二年にアニメーション会社の虫プロダクションを興すと、日本初のテレビ・マンガ『鉄腕アトム』や、日本初のカラー・テレビ・マンガ『ジャングル大帝』を制作し、日本中の子供たちをブラウン管の前に釘付けにした。 しかし、劇画ブームの到来や、虫プロダクションの社内争議などのゴタゴタが生じて、手塚は深刻なスランプに陥った。青年マンガの台頭によって、少年マンガに拘った手塚は「手塚治虫はもう古い」とか、「手塚治虫の時代は終わった」などと、世間からも散々言われたのだった。 そんな中、手塚は七三年十一月に、秋田書店の〈週刊少年チャンピオン〉で『ブラック・ジャック』を連載し始めた。また、七四年には、講談社の〈週刊少年マガジン〉で『三つ目がとおる』を描き始めた。これらが好評で、人気を呼び、氏は長い迷いからついに脱することができたのである。
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3.7二階堂黎人デビュー30周年 オーソリティと気鋭が本格ミステリーの深淵を追い求めた意欲の合作!! 栃木県の片田舎に小さな村があった。その村には〈アヤの祟り〉という言い伝えがあり、アヤという名の女性が村に入ると災いが起こるというものだった。現在村は〈梅屋敷〉と〈藤屋敷〉の二つの家を中心に動いていた。東京から家に戻ってきた〈梅屋敷〉の跡取り和壱が、密室内で拳銃自殺をした……。 村にアヤという器量良しの女がいた。夫と仲睦まじく暮らしていたが村長に目をつけられ夫は大雨の夜に川に流され亡くなった。その後村では子供が神隠しにあって殺害される事件が続いた。村人はアヤを疑い石を投げて殺し、簀巻きにして池に投げ込んだ。池はアヤの血で真っ赤に染まった。池は〈アヤの池〉と呼ばれるようになった。村に災いが起こる時、池は赤く染まるようになったという。
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5.0手塚漫画に魅入られた作家の自伝的探書記! 幼少の頃に手塚漫画に夢中になり、漫画の神様・手塚治虫の足跡を追ううちに長じてミステリ作家となった著者。その著者が成長とともに奥深い手塚作品の世界に踏み入り、ときに迷宮のような謎に挑みながら、膨大な作品を当時の状況とともに解説していく記録であり、あふれ出る手塚への愛と造詣を綴った偏愛エッセイ。ファンの間では知られる長期連載をまとめた単行本の、文庫化第一弾。「この本では、一人の少年と、彼と同じように手塚マンガを愛した多くのファンやマニアの心象を通して、手塚マンガの魅力に迫ろうとしています。そういう意味では、この本は、これまでの手塚マンガの解説書や評伝とは、少しだけ違っています」「書くにあたっては、自分の持っている収集品をフルに活用し、できるだけ多くの図版をしようと考えました。僕自身、手塚マニアとしての自負もあり、図版を見るだけでも楽しめる本にしたかったのです」(本書まえがきより)。 今回は、単行本未収録の手塚治虫原画をカラーで掲載。
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-警視庁捜査一課の刑事・馬田権之助は、大学の後輩で犯罪捜査の能力がある水乃紗杜瑠に、奇妙な手紙を読ませていた。そこには、幼い頃の事故が原因で醜い容貌となってしまった日沼定男という男の栄田美恵子という幼馴染みへの想いが綴られていた。研究者となった彼は、透明な「人間空気」になる薬を開発し、常に彼女のそばにいたと言う。そんなストーカーじみた生活の中で、日沼は美恵子が夫を殺した現場を目撃したというのだ。そして、実際、美恵子の夫は数年前に本当に密室状態の中、謎の死を遂げていた。日沼は本当に、人間空気になったのか? 不可能犯罪の謎に素人探偵・水乃紗杜瑠が挑む!
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ユーザーレビュー
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Posted by ブクログ
ネタバレ人狼城の恐怖 第四部 完結編
第三部にて蘭子達は謎のグループに捕えられて「青の狼城」に連れ去られる。待ち構えていた人物から、狼城で何の事件も起きていない、人狼城を気の済むまで調査する様にと自信ありげに告げられ調査に乗り出す。そして、事実どんな痕跡も発見されない。
冒頭からどうやってこの問題を解決するのか疑問だったが、黎人が述べる実は四つ子の城説よりももっと衝撃的で確実な城の秘密が明かされる。
僕は第一部の際に実は白は一つなのではないかと考えたのだが、全く違ったトリックになる。偽装は幾つかあるが、城自体のトリックも面白いし、更に明かされる衝撃的結末には驚きがある。
作品のクライマックスはど -
Posted by ブクログ
人狼城の恐怖 第三部 探偵編
「人狼城の恐怖」第三部。いよいよ二階堂蘭子が登場。ドイツ編、フランス編にどの様に関わって行くのか楽しみだ。
今作は蘭子シリーズの集大成的な雰囲気があり、特に「地獄の奇術師」のエピローグの回収や、アウスラ修道院事件を解決したことによる教会からの働きかけ、悪霊の館で発見された宝石を巡る思惑など、蘭子が今まで解決してきた事件に関わる人物や組織が一堂に集結する。合わせて「紫煙」に集う面々も登場し、ジュペア老人は蘭子、黎人の保護者替わりにドイツ、フランスに一緒に向かう事になる。
新聞記事の小さな一面、遠くドイツで起きたツアー団体の謎の失踪事件。蘭子はその記事に興味を覚え -
Posted by ブクログ
人狼城の恐怖 フランス編
第一部ドイツ編では思考不能に陥ってしまったが、引き続き第二部であるフランス編に突入。
フランス編では弁護士のローラントを主人公に、ナチズム時代の負の遺産、恐ろしい人体実験やそれによって生まれた星気体についての恐怖が語られる。
戦争終末期のドイツやフランスにおけるナチズムやヒトラーの悪行へのリアクションは当時を生きてきた人達でなければ理解が難しいが、少なからず今作の根幹にナチズム時代の残虐な行いや思想の数々がテーマとして組み込まれていて、読者を「オカルト」的な思考に導こうとしている事がわかる。また、宗教的な要素も「ロンギヌスの槍」の昔話より活用、常識での理解を難しくさ -
Posted by ブクログ
二階堂黎人の長編ミステリー。作者のデビュー作であり、二階堂蘭子シリーズの最初の作品。
登場人物や役割の明記も丁寧にされており、これぞミステリー小説と言える出来栄え。作風は江戸川乱歩や横溝正史の様な恐怖心もあるサスペンス的な部分もふんだんにあり、少し突飛な部分もあるが設定が魅力的で王道だと思った。蘭子自身はまだ未熟な部分もあり、完全なる探偵ではない様に見えるが、彼女の閃きや頭脳明晰さは随所に見る事ができる。黎人も「ワトソン」的な立ち位置にはなりきっていないが、高校生である事の溌剌さなどは随所に発揮される(蘭子含め子供っぽさは一切ないが)
舞台は十字架屋敷と呼ばれる敬虔なカトリック教徒の一族が -
Posted by ブクログ
二階堂蘭子シリーズの初短編集。
ロシア館の謎
クリスティの「火曜クラブ」のオマージュの様な形で進行する物語。
ジュペア老人が語る彼が経験した戦争時代の話。ジュペア老人はロシアの軍人であり、奇異な経験を持っている。また、当時のロシア皇帝とロマノフ朝を巡る浪漫は様々な作品のテーマになる程、魅力的なものだが、今作に置いてもジュペア老人を中心に語られるストーリーはとてもスリリングな逸話でありながらも肝心の「館消失」というミステリー部分も面白く、トリックは壮大であり、楽しめた作品だ。
(数年後に今作を引き継ぐ巨大マンモス幽霊事件が発表されるがこちらも面白かった)
密室のユリ
前作とは違い、本格的な