あらすじ
「本格ミステリ・ベスト10」(1999年版)をはじめ、あらゆるミステリ・ベスト10を総なめにした本格推理小説の金字塔。名探偵・二階堂蘭子がついに人狼城に登場!合計20人もの死者を数える人狼城殺人事件解決のため、二階堂蘭子は欧州へ飛んだ。だが、人狼城からの唯一の生還者は人格を破壊され、有力な証人は何者かんいよって命を絶たれていた。空前絶後の謎と恐怖、いよいよ佳境へ!
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人狼城の恐怖 第三部 探偵編
「人狼城の恐怖」第三部。いよいよ二階堂蘭子が登場。ドイツ編、フランス編にどの様に関わって行くのか楽しみだ。
今作は蘭子シリーズの集大成的な雰囲気があり、特に「地獄の奇術師」のエピローグの回収や、アウスラ修道院事件を解決したことによる教会からの働きかけ、悪霊の館で発見された宝石を巡る思惑など、蘭子が今まで解決してきた事件に関わる人物や組織が一堂に集結する。合わせて「紫煙」に集う面々も登場し、ジュペア老人は蘭子、黎人の保護者替わりにドイツ、フランスに一緒に向かう事になる。
新聞記事の小さな一面、遠くドイツで起きたツアー団体の謎の失踪事件。蘭子はその記事に興味を覚え、知人である九段記者に依頼、ドイツの事件の詳細を調査する。
同じごろ、過去に事件を解決した因縁から、東洋カトリック教会の修道女冥福尼に招待され、本国からの依頼、フランスに向かうべき指示を受ける。蘭子は断るが、フランス外務省も蘭子達の手助けをする約束でフランスにも出向く準備をする。
探偵が事件に巻き込まれる因果を単なるカルマとせずに探偵の予感から気付かせる場面が良い。合わせて、まさか英樹への言及が見られることも驚いたし、八植教授が掘り出した曰くアリのバズズの像についての後日譚も興味深いものだ。第一部、第二部が余りにも殺伐としていた為、日常生活に戻った第三部は読みやすく、すらすらと時間が進む。
第三部の見どころは、如何にしてドイツ編、フランス編の事件を蘭子達に伝えるかという部分であったがいずれも見事に描いている。フランス編事件のローズとの出会い、そして彼女がローラントの日記を持っている不思議は残ったが(実は第四部で回収された)、それぞれの国でおぞましい事件が発生している事を見事に繋いでいる。
ドイツ、フランスにてそれぞれグレゴール掲示や生島大使館など新しい仲間も登場し、(ストラスブールの警官二名にも名前をつけて欲しかったなあ(笑))ヨーロッパにおける華々しい蘭子の活躍が幕を開ける。異国から来た若い女性探偵に現を抜かすフランス人と頑なに協力を拒むドイツ人の対比が面白い。また、蘭子は今回の被害者達の間にミッシングリンクを見つけるが衝撃。第一部、第二部で読者を惑わせたオカルト的な擬装も見事に理解の及ぶ範囲に紐解かれる。
後半、団体一行が訪れたワイン工房にて、最終章への扉が開かれる。人狼城にはどの様な謎が隠されていて、第四部では何が起きるのか。恐ろしいが楽しみである。
余談ではあるが、唯一蘭子の元を自ら去ったボーイフレンドの多木佳未来(タキヨシミクル)は何かしら隠された謎があるはずだ(笑)蘭子シリーズにおける強烈な個性でありながら登場人物ではないため、言及が少ない。
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蘭子&黎人のコンビが出てきたとき「待ってました‼️」という気持ちになった。そして「地獄の奇術師で出てきたアレがここで出てくるのか。」という驚きもあった。
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ー 「相手が犯罪者にしろ、自分が神に成り代わって人間を裁く権利を有することに、君は疑問を感じないのか」私がそう尋ねると、彼女はきっぱりとかぶりを振った。
「私は、けっして自分の立場に大仰な理由付けをしたりしないわよ。探偵は探偵以外のものに成り得ないのだから、その本質に疑いをいだくなんて、自己矛盾もいいところじゃない。マルクスの言葉に、『人間とは、自分の運命を支配する自由な者のことである』というのがあるけれども、探偵行為が嫌になった者はさっさと犯罪の舞台から退けばいいのよ。誰もその人を引き留めたりしないのだから」 ー
ここまでで、1942ページ。やっと探偵編に入り、前半が終了。ようやく本格的な推理が始まる。最終巻が楽しみだなぁ〜。
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二階堂蘭子シリーズ
人狼城の事件に関わらないよう警告を鳴らす暮林英希のバズズ像。東洋カトリック協会からの調査依頼。シュペア老人と共にフランスに旅立つ蘭子、黎人。フランスからドイツへ。ドイツで明らかになった人狼城の事件。精神病院のレーゼ。殺害されたジプシーの占い師アンダールシアとヒルデガルド。人狼城の研究を進めていたシモン・ベルナール教授の死。教授の自宅から消えた研究資料。人狼城からの招待。
2010年11月4日再読
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---あらすじ---
合計二十人もの死者を超える人狼城事件解決のため、名探偵・二階堂蘭子は欧州へ飛んだ。だが、人狼城からの唯一の生還者は人格を破壊され、有力な証人は何者かによって命を絶たれていた。蘭子が鋭敏は推理力から看破した犠牲者達をつなぐ<失われた環>とは?空前絶後の謎の恐怖、いよいよ佳境へ!
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二階堂蘭子シリーズ。
遂に合計20人以上もの被害者を出した人狼城の事件に
蘭子が名乗りを上げてきますっ!!
結構、黎人と同じ推理をしていたんですが、
蘭子に一蹴に付されてしまいました(´ω`;)トホホ
これからどういう風に謎が解明されていくのか。
謎だらけの第一部・第二部やっただけに
とても気になるトコロです。
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やっと探偵がお目見えです!長かったな〜。事件編がとてもおもしろかったので、解決されるのがもったいないくらい。ドイツとフランスそれぞれの事件がなかなか結びつかないのがもどかしいっ!!それにしても暮林くんの予言…、すげーな。
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第1部と第2部があまりにも衝撃的だった為、二階堂蘭子シリーズだという事を忘れてました。ここに来て主役登場。私はこの作品がこの作者の初読みなので、始めの方で今までのシリーズに出た人・物・出来事の羅列には疎外感を覚えました。どこからでも難なく読めるようにもう少しさらっと触れる程度の方が、楽しめるかも。この作品も神の話し、小説の話し、色々盛りすぎて退屈。ただ、終盤で一気に話が進んだので、この先が楽しみです。
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再読。蘭子シリーズ9作目。
4部作第3部。
探偵編という事で、ここからようやく蘭子登場。
様々な仮説が展開、検証されていく。
まだ調査中なので、蘭子も思わせ振りでイライラします(笑)
1部2部と殺戮の連続だったので、読み手のこちらもここで頭を冷やせるので良いですね。
次で完結。
Posted by ブクログ
第3部は二階堂蘭子の登場である。
日本から遠く離れたヨーロッパの怪奇な事件に、蘭子がどう関わって行くのかという過程と、2つの城での事件のミッシング・リンクを描く。
基本的に第1部と第2部を読んだだけで謎は解けるようになっている(らしい)ので、特に目新しい追加情報が出てくる訳ではないのだけど、事件の背後に何か強大なものが蠢いている様を予感させる作りになっている。
人狼城からの唯一の生存者は精神病院に送り込まれ、有力な証人達は次々と命を絶たれているーーーそんな状況で蘭子は犯人とどう闘うのか?ヨーロッパの森深くに隠された双子の人狼城に、蘭子はどうやって辿り着くのだろうか?
2つの事件が今、蘭子の手によって一つに結びつく!
膨大な資料を手に、事件を解く糸口を見つけて行く蘭子と黎人の頭脳に感服しながら読み進める。とても楽しい。
さぁこれから二階堂蘭子が登場しますよ!という期待。
さぁこれからあの惨殺事件が解かれて行きますよ!という興奮。
長くかかった道のりも3/4まで来たという充足。
「東洋カトリック教会(ベネディクトローマンカトリック派)」はどう絡んでくるのか。
「モンセギュール叙事詩教団」は一体どんな団体なのか。
「アルザス独立サロン」の事件はどんな解決を見るのか。
「フォン・フェスト製薬」はこの事件にどんな関わりがあるのか。
ナチス・ドイツの亡霊は果たして存在するのか。
まだまだ解かれるべき謎は山積みだ。