Posted by ブクログ
2021年02月15日
ー 「このヨーロッパに、太古から二つの勢力が相まみえていると考えてみたまえ。一つは実存に基づいた勢力。もう一つは神秘に基づいた勢力だ。あるいは単純に、神の勢力と悪魔の勢力と換言することができるものどもだ。
この二つの勢力の超大な力はほとんど拮抗しており、闇の世界の中で、有史以来、ずっと熾烈な抗争を...続きを読む繰り広げてきている。彼女が、そのどちらかの一派に付く下っ端であることは充分に考えられることだな。
若い君らも、あのアドルフ・ヒトラーがオカルトの信奉者だったのは知っておるだろう。そもそも、ヒトラーのドイツ労働者党が、トゥーレというオカルト秘密結社を母胎としておることは有名な話だ。アンダルーシアは、そのトゥーレの儀式に深くかかわっておった。私が聞いた話では、アンダルーシアは、戦時中にヒトラーに拘束され、星気体による軍隊を整備するよう命令された人員の一人だった。これが成功していれば、当時、たいへんなことになっただろう。何故なら、この軍隊は実体がなく、ほとんど不死身なのだからな。戦争の結果に、間違いなく多大な影響が出ておっただろう」
テオドールは、すっかりオカルトじみた教授の話に、完全に面食らった。 ー
1970年のドイツを舞台とした第一部。
長い長編小説としてギネスにも登録された作品。
300ページまで事件が起きないなんて、さすが。
フランスとドイツの国境の渓谷を隔てて屹立する双子の城を舞台に繰り広げられる事件。ミステリーの宝石箱のような作品。
早くフランス編も読みたいなぁ(@ ̄ρ ̄@)