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Posted by ブクログ
ー 「このヨーロッパに、太古から二つの勢力が相まみえていると考えてみたまえ。一つは実存に基づいた勢力。もう一つは神秘に基づいた勢力だ。あるいは単純に、神の勢力と悪魔の勢力と換言することができるものどもだ。
この二つの勢力の超大な力はほとんど拮抗しており、闇の世界の中で、有史以来、ずっと熾烈な抗争を繰り広げてきている。彼女が、そのどちらかの一派に付く下っ端であることは充分に考えられることだな。
若い君らも、あのアドルフ・ヒトラーがオカルトの信奉者だったのは知っておるだろう。そもそも、ヒトラーのドイツ労働者党が、トゥーレというオカルト秘密結社を母胎としておることは有名な話だ。アンダルーシアは、そのトゥーレの儀式に深くかかわっておった。私が聞いた話では、アンダルーシアは、戦時中にヒトラーに拘束され、星気体による軍隊を整備するよう命令された人員の一人だった。これが成功していれば、当時、たいへんなことになっただろう。何故なら、この軍隊は実体がなく、ほとんど不死身なのだからな。戦争の結果に、間違いなく多大な影響が出ておっただろう」
テオドールは、すっかりオカルトじみた教授の話に、完全に面食らった。 ー
1970年のドイツを舞台とした第一部。
長い長編小説としてギネスにも登録された作品。
300ページまで事件が起きないなんて、さすが。
フランスとドイツの国境の渓谷を隔てて屹立する双子の城を舞台に繰り広げられる事件。ミステリーの宝石箱のような作品。
早くフランス編も読みたいなぁ(@ ̄ρ ̄@)
Posted by ブクログ
二階堂蘭子シリーズ
フォン・フェスト製薬の企画で「人狼城」に招待された一行。テオドール・レーゼ、フェルラーグド教授、ジャンヌ・ゼーハイム、コネゲン夫妻など10人。招待者の伯爵の不在。壊れた橋。殺害され顔を焼かれた執事バンクス。密室で首を切られたコネゲン夫妻。石弓で射殺されたシャイラー、同時に消えたヨハン・ゼーハイム。毒殺されたエクスナー、フッテン。甲冑姿の怪人物に襲われたテオドール、殺害されたフェルラーグ教授。中身の消えた甲冑。テオドールが目撃した甲冑の下の顔。バラバラにされワインの樽に沈められ首を持ち去られたメイドのハンニ。シャンデリアにつるされたマリカ・クルト。
Posted by ブクログ
全4冊、文庫版で総ページ数2800超、原稿用紙換算で4000枚超の超々大作。
ドイツとフランスの国境に跨って建つ人狼城。そこで同時期に、それぞれの名目で招待された人々と城の住民が連続殺人事件に巻き込まれる。本書がドイツ編。以降フランス編、探偵編、完結編へと続く。
著者は当初、物語の舞台を国内も考えていたようだが、「聖アウスラ修道院の惨劇」や「悪霊の館」でも扱われるような西洋宗教(=キリスト教といっても良いが)に関する要素が多分に含まれているため、ヨーロッパを舞台にして正解だと思う。
作中、ドイツ編ではハーメルンの笛吹き男、フランス編ではナチスドイツが生み出した人狼についてページを多く割いている。これが何を意味するかは完結編で明らかになることだが、これは過去に存在した人権を侵すことに対して糾弾する著者の訴えのように感じた。
最後に、著者の作品に必ず出てくると言ってもいい黎人と蘭子のミステリ談義や他作品の引用。今作ではいつにも増してふんだんに出てくるので、次はこれを読んでみたいなと思わせてくれる。
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